機械工作法

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 機械工作法
科目番号 0032 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 総合理工学科(機械システム系) 対象学年 2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:鬼鞍宏猷編著「機械製作要論」(養賢堂),参考書:加工対象である材料に関する知識については,門間改三「大学基礎 機械材料」(実教出版)を参照すること。工作法に関する図書は図書館に多数所蔵。
担当教員 小西 大二郎

到達目標

学修目標:各種の工作法および工作機械の基礎的なことがらを理解し,工作物に対して最適な加工方法を選択できる能力を養う。

到達目標
1.各種工作法をエネルギーと工作物の質量変化の観点から分類・整理し,説明できる。
2.付加加工,変形加工,除去加工に関する基礎的な概念を理解し,説明できる。
3.金属材料や鉄鋼材料の生産性に関連した基礎知識の必要性を理解し,目的に応じた材料加工法を選択することができる。
4.工作法に関する基礎的知識を理解し,専門用語を用いて説明できる。

ルーブリック

不可
評価項目1 各種工作法をエネルギーと工作物の質量変化の観点から分類・整理し,説明できる。各種工作法をエネルギーと工作物の質量変化の観点から分類・整理し,説明できる。5種類以上の工作法を分類・整理し,説明できる。各種工作法のうち1種類を工作法の観点から分類・整理し,説明することができる。左記に達していない。
評価項目2 付加加工,変形加工,除去加工に関する基礎的な概念を理解し,説明できる。付加加工,変形加工,除去加工に関する基礎的な概念について理解し,説明できる。付加加工,変形加工,除去加工に関する基礎的な概念について,2種類以上説明できる。付加加工,変形加工,除去加工のうち1種類の基礎的な概念について,説明できる。左記に達していない。
評価項目3 金属材料や鉄鋼材料の生産性に関連した基礎知識の必要性を理解し,目的に応じた材料加工法を選択することができる。金属材料や鉄鋼材料の生産性に関連した基礎知識の必要性を理解し,目的に応じた材料加工法を選択することができる。金属材料や鉄鋼材料の生産性に関連した基礎知識の必要性を理解し,材料加工法を選択することができる。金属材料あるいは鉄鋼材料の材料加工法を選択することができる。左記に達していない。
評価項目4 工作法に関する基礎的知識を理解し,専門用語を用いて説明できる。 工作法に関する基礎的知識を理解し,必要な情報をまとめ,専門用語を用いて説明できる。工作法に関する基礎的知識を理解し,必要な情報をまとめ,説明できる。工作法に関する基礎的知識が説明できる。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門

学習の分野:材料・設計と生産

基礎となる学問分野:工学/機械工学/生産工学・加工学

学習教育目標との関連:本科目は「③基盤となる専門性の深化」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化」である。

授業の概要:機械工作法とは機械や部品を生産するための技術であり,機械工学を学ぶ技術者の基本的な素養として,ものを作る技術・機械材料の工作法およびその原理・特徴を学ぶ。それぞれを実践的に活用する手法を学ぶ。
 本授業では主に付加加工,変形加工,除去加工について実験実習や身の回りの製品と関連させながら授業を進める。基礎知識の解説のみならず,実際の生産プロセスにおける各種工作法の役割について説明し,加工法のみならず,「設計・生産」という立場からも広く考え,生産と経済,自然科学との関係などとも関連付けることを心がける。
授業の進め方・方法:
授業の方法:板書やパワーポイントを中心に,工作に必要とされる材料や力学の知識との関連に注意しながら授業を進める。また,理解が深まるよう学習の進度にあわせて,演習指導をする。加えて,実験実習で学習した事項との関連に注意しながら授業を進める。

成績評価方法:2回の定期試験の結果をそれぞれ同等に評価する(70%)。試験には,教科書・ノートの持込を許可しない。演習(30%)。また,成績が60点未満の学生に対して再試験を行うことがある。
注意点:
履修上の注意:本科目は必履修科目であり,学年の課程修了のためには履修(欠課時間数が所定授業時間数の3分の1以下)が必須である。

履修上のアドバイス:「機械工作法」の学習内容は,普段の生活の中で目にしたり,「総合理工実験実習」や「機械システム工学実験実習」で実際に体験した内容が多く含まれるので,普段から「物」を注意深く観察し,その特徴を考えることが重要です。
 また,機械工作での作業は,材料を所要の形にする加工プロセスのみならず材料を所要の性質に処理する材料プロセスをも含みます。したがって「材料学」や「物理」「化学」で学習した内容を基礎にして,加工プロセスの操作や材料プロセスの特徴を考えることも重要です。これらの科目での学習事項と関連されながら学習すれば,よりイメージがつかめ,理解が深まることにつながります。
 このため,事前に行う準備学習として教科書や参考資料に目を通すなど予習を行うことを勧めます。実験実習や身の回りの工業製品と講義内容対応させながら復習し,興味・関心を持ち理解を深めること。


基礎科目:総合理工入門(1年),総合理工実験実習(1),機械システム工学実験実習Ⅰ(機械2),材料学(機械2)など

関連科目:機械システム実験実習Ⅱ(機械3年),機械システム工学実験(機械4),計測工学(機械4),生産工学(機械5),材料加工学(機械5) など

受講上のアドバイス:「機械工作法」は,機械工学を学ぶ技術者の基本的な素養として,技術用語の理解や工作の原理・特徴や用途の理解は必修である。設計と製造,それぞれの関係を念頭におき学習を進めてほしい。
 板書を写したり,覚えることの多い科目です。ゆえに,授業中の態度や姿勢が成果に大きく影響します。積極的に授業に参加しましょう。また,25分以上の遅刻は欠課扱いとする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
必履修

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ・ガイダンス,1年生で習った実験実習内容についての復習
・機械工作法の概要〔加工エネルギー,加工法の分類,1次加工と2次加工,4MとQCD,加工計測〕
・1年生で習った実験実習内容のうち,機械工作法の授業との関連項目について説明できる。
・部品の加工法を自然法則から説明できる。
・機械工作法の選定について,技術的・経済的・社会環境的要因との関係から考察できる。
2週 ・鋳造〔鋳造、鋳物、造型プロセスと鋳造プロセス、造型、鋳型、模型、金属の凝固、鋳造方案〕 ・鋳物の製作工程について説明できる。
・造型のプロセスを説明できる。
・鋳造製品を設計する際の留意点を理解し,図面に反映できる。
3週 ・生型鋳造法の造型プロセスと鋳造プロセス〔砂型と金型,鋳物砂,粘結剤,砂管理,鉄鋳物と非鉄鋳物,鋳造性,延性とぜい性,鋳造プロセス〕 ・製作したい数量や形状または大きさ,材料から最適な鋳造法を選択できる。
・砂型鋳造法について説明できる。
・鋳物砂の成分および必要な性質を説明できる。
・鋳造プロセスの概要を説明できる。
4週 ・特殊鋳造法〔特殊鋳造法(砂型鋳造法,金型鋳造法),鋳物の検査,鋳造欠陥〕
・特殊(精密)鋳造法における鋳物のつくりかたを説明できる。
・ダイカスト法など金型鋳造法について説明できる。
・鋳物の欠陥とその検査方法を説明できる。
5週 ・溶接〔[溶接,溶接のプロセス,接合の原理,被覆アーク溶接,アーク,ジュール熱〕
・溶接法の概要を説明できる。
・接合方法の原理やプロセスについて説明できる。
・被覆アーク溶接法で用いられる装置と溶接の仕組みを説明できる。
6週 ・溶接の自動化と薄板の溶接〔イナートガスアーク溶接,ガス溶接,圧接,ろう接〕
・イナートガスアーク溶接,炭酸ガスアーク溶接で用いられる装置と溶接のしくみを説明できる。
・ガス溶接の接合方法とその特徴,ガスとガス溶接装置,ガス溶接棒とフラックスを説明できる。
・圧接,ろう接について説明できる。
7週 ・溶接金属の強度と変化〔溶接性,熱影響部(HAZ),溶接欠陥,溶接変形〕
・溶接部の熱影響と組織の変化について説明できる。
・溶接ひずみの発生など溶接施工上の留意すべき点について説明できる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 ・塑性加工〔塑性加工,弾性と塑性,塑性加工法の分類,1次加工と2次加工,引張試験,加工硬化,変形抵抗,塑性加工性,単結晶の塑性変形,体積一定則,多結晶の塑性変形〕 ・塑性加工法が分類でき,それらの特徴が説明できる。
・弾性変形と塑性変形,加工硬化,体積一定の法則の基本概念が説明できる。
・加工法に対しての力学的視点や考え方を説明できる。
・引張試験の方法を理解し,応力‐ひずみ線図を説明できる。
・塑性変形の起こり方を説明できる。
10週 ・素形材の加工(1次加工)と部品の加工(2次加工)〔素形材の製造,圧延加工,押出し加工,部品の製造,引抜き加工〕
・圧延/押出し/引抜き加工の原理と加工にともなって起こる現象を物理的法則と 関係付けて説明できる。
11週 ・部品の加工(2次加工)〔プレス成形加工、鍛造加工、プレス機械〕
・プレス成形加工とその特徴を説明できる。
・鍛造とその特徴を説明できる。
12週 ・除去加工〔除去加工の概要,工作物の形状と工具運動の関係,切削加工のメカニズムとプロセス,被削性,切削工具と工作機械〕
・機械加工の特徴を説明できる。
・工作機械の運動を説明できる。
・切削加工に用いられる切削工具や工作機械を説明できる。
13週 ・機械加工の加工原理と砥粒加工の中の研削加工〔機械加工の加工原理、砥粒加工、固定砥粒加工と遊離砥粒加工、自生作用、研削加工、研削砥石・研削液〕
・除去加工の種類/機械加工の加工原理を説明できる。
・切削加工と砥粒加工の相違点・類似点を説明できる。
・砥粒加工を固定砥粒工具と遊離砥粒工具を用いる加工に分類できる。
・研削加工の概要を説明できる。
・砥石の3要素,構成,選定,修正のしかたを説明できる。
・研削加工の原理,円筒研削と平面研削の研削方式を説明できる。
14週 ・砥粒加工の中の研磨加工,特殊加工〔固定砥粒研磨,遊離砥粒加工,特殊加工〕
・固定砥粒研磨(ホーニングと超仕上)/遊離砥粒研磨(ラッピングとポリッシング)を説明できる。
・特殊加工が適用される加工を説明できる。
・放電/レーザ加工の加工原理を説明できる。
・電解加工/電解研磨の加工原理を説明できる。
15週 前期末試験
16週 前期末試験の返却と解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野工作鋳物の作り方、鋳型の要件、構造および種類を説明できる。4前2,前3
精密鋳造法、ダイカスト法およびその他の鋳造法における鋳物の作り方を説明できる。4前4
鋳物の欠陥について説明できる。4前4
溶接法を分類できる。3前5
ガス溶接の接合方法とその特徴、ガスとガス溶接装置、ガス溶接棒とフラックスを説明できる。3前6
アーク溶接の接合方法とその特徴、アーク溶接の種類、アーク溶接棒を説明できる。3前5
サブマージアーク溶接、イナートガスアーク溶接、炭酸ガスアーク溶接で用いられる装置と溶接のしくみを説明できる。3前6
塑性加工の各加工法の特徴を説明できる。4前9,前10,前11
降伏、加工硬化、降伏条件式、相当応力、及び体積一定則の塑性力学の基本概念が説明できる。4前9
平行平板の平面ひずみ圧縮を初等解析法により解くことができる。4
軸対称の圧縮を初等解析法により解くことができる。4
切削加工の原理、切削工具、工作機械の運動を説明できる。3前12,前13
バイトの種類と各部の名称、旋盤の種類と構造を説明できる。3前12
フライスの種類と各部の名称、フライス盤の種類と構造を説明できる。3前12
ドリルの種類と各部の名称、ボール盤の種類と構造を説明できる。3前12
切削工具材料の条件と種類を説明できる。3前12
切削速度、送り量、切込みなどの切削条件を選定できる。3前12
切削のしくみと切りくずの形態、切削による熱の発生、構成刃先を説明できる。3前12
研削加工の原理、円筒研削と平面研削の研削方式を説明できる。4前13
砥石の三要素、構成、選定、修正のしかたを説明できる。4前13
ホーニング、超仕上げ、ラッピングなどの研削加工を説明できる。4前14

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100
分野横断的能力000