材料学

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 材料学
科目番号 0039 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 総合理工学科(機械システム系) 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:田中政夫・朝倉健二「機械材料」(共立出版),参考書:PEL編集委員会「機械・金属材料学」(実教出版)など
担当教員 関 一郎

到達目標

学習目標
金属の結晶構造や組織と性質など,材料を理解する上で必要な材料一般に共通する理論を学習する。それら則論を用いて実用材料に生じる諸現象を理解する能力を養う。実用材料について種類,性質,用途などを学習することによって製品開発や設計製作などの際に,最適材料を選択できる能力を養う。

到達目標
1. 材料組織の基礎となる原子の幾何学的な配列状態や平衡状態図の見方,変形や熱処理における組織変化を理解し,その性状を説明できる。
2. 実用材料に生じる諸現象を理解し,種類や性質の違い,用途等について説明できる。
3. 金属材料全般に対する基礎的性質ならびに熱処理による組織変化および加工が性質におよぼす影響を理解し,その状況を説明できる。

ルーブリック

不可
評価項目1材料組織の基礎となる原子の幾何学的な配列状態や平衡状態図の見方,変形や熱処理における組織変化を理解し,その性状を説明できる。材料組織の基礎となる原子の幾何学的な配列状態や平衡状態図の見方,変形や熱処理における組織変化を説明できる。材料学の基礎となる平衡状態図の見方や組織変化を説明できる。左記に達していない。
評価項目2実用材料に生じる諸現象を理解し,種類や性質の違い,用途等について説明できる。実用材料に生じる諸現象を種類・性質・用途等について説明できる。実用材料に生じる諸現象を説明できる。左記に達していない。
評価項目3金属材料全般に対する基礎的性質ならびに熱処理による組織変化および加工が性質におよぼす影響を理解し,その状況を説明できる。金属材料全般に対する基礎的性質ならびに熱処理による組織変化および加工が性質におよぼす影響を説明できる。金属材料全般に対する熱処理と組織変化について説明できる。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門

学習の分野:材料・設計と生産

基礎となる学問分野:工学/機械工学/機械材料・材料力学

学習・教育目標との関連:本科目は「(3)基盤となる専門性の深化」に相当する科目である。

授業の概要:材料はあらゆる工業技術の根幹をなすものの一つで,それゆえ材料に関する知識を深化し,応用できる能力を身につけることは,機械技術者にとって必須である。金属材料,特に鉄鋼材料を中心に具体的な材料の性質や用途について解説する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:板書を中心に行うが,サンプル提示したりして,理解を助けるとともに材料に関する興味を促す。また,理解が深まるよう学習の進度にあわせて,演習問題を解く。

成績評価方法:4回の定期試験の結果をそれぞれ同等に評価する(70%)。試験には,教科書,ノートの持ち込みを許可しない。適宜,授業中に演習を行う(30%)。成績不良者に対してはレポート課題を課すことがある。
注意点:
履修上の注意:学年の課程修了のためには履修(欠席時間数が所定授業時間数の3分の1以下)が必須である。

受講上のアドバイス:始業後に行う点呼に応えない者(不在者を含む)は欠課扱いとする。遅刻および早退した場合,教員の許可があれば授業時間の内の出席時間分を出席扱いとし,複数回に渡って遅刻および早退した時間が1回の授業時間を超える場合は欠課扱いとする(例えば30分の遅刻が2回,30分の早退を1回行った者は1欠課として扱う)。授業中に教員から投げかけた質問に対して不誠実な対応が再三に渡って繰り返される場合には欠課扱いとすることがある。

履修のアドバイス:材料に関する理論を主に学習するので,やや難解な箇所もあるが,予習・復習を十分にして欲しい。身の回りには,次々に新しい材料が開発され,新聞やテレビなど一般のマスコミにもよく登場しているので,これらのニュースをよく見ていると,材料に対する興味が湧き,理解しやすい。

基礎科目:総合理工実験実習(1年)

関連科目:機械システム工学実験実習Ⅰ(2年),機械システム工学実験実習Ⅱ(3), 機械システム工学実験実習Ⅲ(4),機械工作法(2),機械設計製図Ⅰ・Ⅱ(2・3),化学Ⅰ・Ⅱ(2・3),機械設計法Ⅰ・Ⅱ(3・4),材料力学Ⅰ・Ⅱ(3・4),材料加工学(5)など

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
必履修

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 〔工業材料と機械〕 ・鉄鋼材料や非鉄材料,非金属材料等の違いを理解する。
2週 金属の通性〔結晶粒界〕 ・鉄鋼材料の製造法と結晶の生成過程を理解する。
3週 金属の通性〔結晶構造〕 ・結晶構造と原子の詰まり方を理解する。
4週 金属の通性〔結晶構造とその性質〕 ・金属の塑性変形と機械的性質について理解する。
5週 金属の通性〔結晶と機械的性質〕 ・金属結晶の熱影響と機械的性質について理解する。
6週 金属の通性〔結晶と機械的性質〕 ・第1週~第5週までの補足。
7週 合金と平衡状態図〔全率固溶型の組織〕 ・純金属の凝固の仕方や熱的振舞いを理解する。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 前期中間試験の返却と解答解説
10週 金属の通性〔結晶と機械的性質〕 ・全率固溶型の平衡状態図の表し方を理解する。
11週 合金の平衡状態図〔共晶型の組織〕 ・全率固溶型と共晶型の平衡状態図の差異を理解する。
12週 合金の平衡状態図〔全率固溶型と共晶型の組織〕 ・固溶体領域を持つ平衡状態図の表し方を理解する。
13週 合金の平衡状態図〔状態図と組織の関係〕 ・Fe-C系平衡状態図の表し方を理解する。
14週 合金の平衡状態図〔状態図と組織の関係〕 ・第9週~第13週までの補足。
15週 前期期末試験
16週 前期末試験の返却と解答解説
後期
3rdQ
1週 合金の平衡状態図〔共析反応と組織〕 ・Fe-C系平衡状態図から亜共析鋼と過共析鋼の違いを理解する。
2週 鋼の熱処理〔焼入れ〕 ・熱処理(焼入れ)に伴う原子の動きと機械的性質を理解する。
3週 鋼の熱処理〔焼きなましと焼きならし〕 ・熱処理(焼きなましと焼きならし)に伴う原子の動きと機械的性質を理解する。
4週 鋼の熱処理〔焼き戻し〕 ・熱処理(焼き戻し)に伴う原子の動きと機械的性質を理解する。
5週 鋼の評価〔機械試験と破面の関係〕 ・機械的性質(引張と硬さとクリープ現象,脆性と靱性,疲労)について理解する。
6週 鋼の評価〔機械試験と破面の関係〕 ・第1週~第5週までの補足。
7週 鉄鋼材料〔炭素鋼,SS材等〕
・各種鉄鋼材料(炭素鋼やSS材,SC材,FC材,特殊鋼)について理解する。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 後期中間試験の返却と解答解説
10週 鉄鋼材料〔ステンレス鋼〕 ・鉄鋼材料(ステンレス鋼)について理解する。
11週 非鉄金属材料〔銅とその合金〕 ・銅とその合金(種類と強化方法)について理解する。
12週 非鉄金属材料〔アルミニウムとその合金〕 ・アルミニウムとその合金(種類と強化方法)について理解する。
13週 非鉄金属材料〔チタンとその合金〕 ・チタンとその合金(種類と強化方法)について理解する。
14週 各種金属材料〔鉄鋼材料と非鉄金属材料〕 ・第9週~第13週までの補足。
15週 後期期末試験
16週 後期期末試験の返却と解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。2後4
応力とひずみを説明できる。2後4
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。2後4
材料機械材料に求められる性質を説明できる。4前2,前4,前5,前6,後4,後11,後12,後13,後14
金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,後11,後12,後13,後14
引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。4後4
硬さの表し方および硬さ試験の原理を説明できる。4前6
脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。4前6,後4
疲労の意味を理解し、疲労試験とS-N曲線を説明できる。4後4
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。4後14
金属と合金の結晶構造を説明できる。4前2,前8,前9,前10,前11,前12,後9,後10
金属と合金の状態変化および凝固過程を説明できる。4前8,前9,前10,前11,前12
合金の状態図の見方を説明できる。4前8,前9,前10,前11,前12,前14
塑性変形の起り方を説明できる。4前2,前6,後4
加工硬化と再結晶がどのような現象であるか説明できる。4前4,前6
鉄鋼の製法を説明できる。4前13,後6,後8
炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。4前14,後1,後2,後11
Fe-C系平衡状態図の見方を説明できる。4前13,前14,後1,後2
焼きなましの目的と操作を説明できる。4後5
焼きならしの目的と操作を説明できる。4後10
焼入れの目的と操作を説明できる。4後10
焼戻しの目的と操作を説明できる。4後10

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100
分野横断的能力000