機械設計法Ⅰ

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 機械設計法Ⅰ
科目番号 0054 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 総合理工学科(機械システム系) 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:塚田忠夫ほか「機械設計法 第3版」(森北出版),第3章では,機械製図(実教出版)を参照する。教科書は,必要最小限な項目のみを記述しているので,その他参考書を参照して自ら関連項目の知識を深めることを勧める。 参考書: JISハンドブック「機械要素」(日本規格協会)など図書館に多数所蔵。
担当教員 小西 大二郎

到達目標

学習目的:機械設計の基本的な考え方を理解することで,デザイン基礎能力を修得する。また,力学や材料力学の知識を機械要素設計に応用する能力を修得する。

到達目標
1. 機械設計に関する基本的な考え方が説明できる。
2. 機械設計の手順や設計に考慮すべき事項が説明できる。
3. 機械要素(ねじ・軸)の機能・原理を理解し,機械要素の選択や規格運用ができる。
4. 機械材料,材料力学,力学などの知識を活用して,機械要素を合理的かつ安全に設計できる。

ルーブリック

不可
評価項目1知識を融合して課題に取り組むことができ,知識・技術の社会への影響を設計に考慮できる。知識を融合することで設計要件・問題点等の課題を明確にできる。設計要件・問題点等の課題を言える。設計要件・問題点等の課題を言えない。
評価項目2機械の機能・生産性と設計との関係を説明でき,かつ品質,コスト,納期がトレードオフの関係にあることが説明できる。対象となるものを設計する際に品質,コスト,納期を配慮しなければならないことを例示しながら説明できる。対象となるものを設計する際に品質,コスト,納期を配慮しなければならないことを言える。対象となるものを設計する際に品質,コスト,納期を配慮しなければならないことを言えない。
評価項目3設計対象をモデル化することでその機能の本質を理解し,かつ設計対象となるものを品質,コスト,納期を配慮しながら設計できる。設計対象となるものを品質,コスト,納期を配慮しながら設計できる。設計対象となるものを合理的に概ね設計できる。設計対象となるものを合理的に設計できない。
評価項目4公式ではなく,力学の概念と知識から必要な設計式を理解して,活用できる。力学の知識を設計解導出の手段として活用できる。設計式を設計解導出の手段として概ね使える。設計式を設計解導出の手段として使えない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門 

学習の分野:材料・設計と生産

基礎となる学問分野 :工学/機械工学/設計工学・機械機能要素・トライボロジー

学習教育目標との関連:本科目は総合理工学科学習教育目標「③基盤となる専門性の深化」に相当する科目である。

授業の概要:機械設計とは人間が必要とする機能を一つの機械システムに具体化する知的な作業過程であると同時に広い知識を柔軟な考え方でまとめ総合する技術でもある。機械設計とは何かを考えることを主題とし,機械を設計するための基本的考え方や方法について解説するとともに機械を構成する代表的な機械要素(ねじ・軸)を例にその設計法を解説する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:板書やパワーポイントを中心に,設計に必要とされる力学との関連に注意しながら授業を進める。また,理解が深まるよう学習の進度にあわせて,演習指導をする。

成績評価方法:2回の定期試験の結果をそれぞれ同等に評価する(70%)。試験には,教科書・ノートの持込を許可しない。演習(30%)。また,成績が60点未満の学生に対して再試験を行うことがある。
注意点:
履修上の注意:学年の課程修了のため履修が必修である。

履修のアドバイス:機械要素設計については,継続して機械設計法Ⅱ(4年)で教授する。教科書は同じものを使用する。具体的なある一つの機械を設計するには、設計製図・実験実習・力学に関する科目での学習成果はいうまでもなく、社会科学に関する科目の学習成果と長年の経験や慣習から得られる知識が必要となる。
 したがって事前に行う準備学習として,これら関連科目の復習や日刊工業新聞,日本経済新聞などを読み,機械システムに関する国内外の現状と動向を知ることを勧める。理解のためには力学および材料力学の知識が必要となる。

基礎科目:総合理工入門(1年),材料学(2),CAD入門(2),機械設計製図Ⅰ~Ⅱ(2~3),力学Ⅰ~Ⅲ(3),材料力学Ⅰ(3),機構学(3)など

関連科目:機械設計法Ⅱ(4年),機械システム設計概論(4),機械設計創造演習(4),材料力学Ⅱ(4),機械システム工学実験(4),応用機械設計(5),応用設計工学(専1)など

受講上のアドバイス:各週の授業の予習・復習を十分すること。本来,機械設計は「総合」に重きを置く分野であるので,他の科目で学習した知識と関連させて学習するよう心掛けること。
遅刻は25分までとし,これを越えるときは欠席と見なす。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
必履修

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス1,機械と機械要素〔機械の定義,機械要素〕 機械の定義を説明できる。
機械の一般的な構造を説明できる。
機械を構成する主な機械要素の種類と役割を説明できる。
2週 機械設計の要点〔設計のための3つの行動パターン,よい機械・よい設計〕 機械設計の流れと方法を説明できる。
3週 設計のプロセスと設計支援技術〔機械設計の手順,コンピュータ援用技術〕 設計のプロセスと設計支援技術が説明できる。
CAD/CAM/CAEの概要について説明できる。
4週 設計の工夫〔標準化,生産しやすい設計,安全・安心・環境に配慮した設計〕 工業製品の標準化と設計の関係を説明できる。
標準規格の意義を説明できる。
標準数の意義を説明できる。
生産における設計の役割について説明できる。
機械の寿命や安全と設計との関係を説明できる。
5週 強度・剛性設計〔設計の検討課題(強度設計・剛性設計・精度設計),荷重の作用形式と時間変化,材料の機械的性質,引張試験,弾性と塑性〕 荷重の種類および材料の変形を説明できる。
機械的性質の内容,延性・脆性およびじん性の意味を説明できる。
応力−ひずみ線図の特徴(材質による違い)および機械材料の破損の主な現象を理解する。
弾性・塑性変形,弾性限度,比例限度,降伏点(上下降伏点),耐力等の基礎用語の意味が分かり,線図上で説明できる。
6週 設計時に考慮すべき材料強度〔静荷重・繰返荷重に対する強度,環境や疲労による破壊,材料強度に関する設計の注意点,許容応力と安全率〕 剛性とコンプライアンスを説明できる。
応力集中,使用環境による機械的性質の変化,疲労破壊,許容応力,安全率の意味を説明できる。
部品の形と応力集中の関係を理解できる。
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。
疲労の意味を理解し,疲労試験とS-N曲線を説明できる。
基準の強さ,許容応力と安全率との関係,安全率の考え方と必要性を説明できる。


7週 精度と公差設計〔精密さと正確さ,精度の3要素,機能的互換性,寸法公差およびはめあい,幾何公差,表面性状〕 寸法公差,はめあい,幾何公差,表面性状の基本的な事項を説明できる。
8週 (後期中間試験)
4thQ
9週 後期中間試験の返却と解答解説,ガイダンス2,機械要素としてのねじ〔ねじの機能〕,ねじの基本〔ねじ展開モデル,ねじ山の形状,ねじの表し方〕 ねじ,ボルト・ナットの種類,特徴,用途,規格を理解し,適用できる。
規格によるねじの呼び方,ねじ山の形による機能の違いを説明できる。
10週 ねじの力学〔斜面の原理,締付トルク,ねじ山の形状と摩擦,ねじの効率,ねじ山の形状とねじの性能,ねじの自立条件〕 ねじを締めたり緩めたりする場合の与える力 F (入力)と締結機能を発揮する力 Q (出力)との関係式が求められる。
ボルト・ナット結合における締め付けトルクを計算できる。
11週 ねじの強度設計〔ねじの太さ,有効断面積,機械的性質,ねじのはめあい長さ,ねじ部品とねじの緩み止め〕 ボルト・ナット結合における締付けトルク,効率を計算できる。
三角ねじと角ねじとの比較が締付け力 F と効率の点でできる。
強度計算からおねじの太さとはめあい長さが求められる。
ボルトに作用する応力,ねじ山に作用するせん断力,接触面圧を計算できる。
ねじ,ボルト・ナットの種類,特徴,用途,規格を説明できる。
ねじ部品の使い方が説明できる。
12週 機械要素としての軸〔動力伝達システム,軸の種類,軸の設計,動力とトルク〕 軸の種類と用途を説明できる。
作用する外力の種類から軸を分類できる。
13週 軸の強度と剛性〔ねじりや曲げを受ける軸,軸の材料,回転軸の危険速度〕 軸を設計する際に考慮すべき事項を説明できる。
軸の強度,変形を計算できる。
仕様から軸の直径を規格にしたがって決定できる。
周期,振動数など単振動の様子を表す諸量を求められる。
単振動での速度,加速度,力の関係を説明することができる。
等速円運動をする物体の速度,角速度,加速度,向心力が計算できる。
軸の危険速度を計算できる。
14週 軸と回転部品の接合と軸継手〔キーなど,軸継手〕 軸とボス(ハブ)との結合方法,軸と軸との結合方法の特徴を理解して,適切な結合方法を選択できる。
キーの強度を計算できる。
軸継手の種類と用途を理解できる。
15週 (後期末試験)
16週 後期末試験の返却と解答解説,まとめ

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野機械設計標準規格の意義を説明できる。2後4
許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。2後6
標準規格を機械設計に適用できる。2後9,後10,後11,後12,後13,後14
ねじ、ボルト・ナットの種類、特徴、用途、規格を理解し、適用できる。2後9
ボルト・ナット結合における締め付けトルクを計算できる。2後10
ボルトに作用するせん断応力、接触面圧を計算できる。2後11
軸の種類と用途を理解し、適用できる。2後12
軸の強度、変形、危険速度を計算できる。2後13
キーの強度を計算できる。2後14
軸継手の種類と用途を理解し、適用できる。2後14

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力0000000
専門的能力70300000100
分野横断的能力0000000