機械システム工学実験実習Ⅱ

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 機械システム工学実験実習Ⅱ
科目番号 0057 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 総合理工学科(機械システム系) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 指導書:実験実習指導書参考書:門間改三「大学基礎 機械材料」(実教出版),Massimo Banzi「Arduinoをはじめよう」(O’REILLY)
担当教員 細谷 和範,趙 菲菲,野中 摂護,関 一郎

到達目標

学修目標
工作機械の操作,計測より,基礎技術を習得するとともに実験の遂行能力および実験結果に対する考察能力を養う。また,実験と解析を通じて機械工学の基礎技術の理解を深化させる。報告書を作成することにより,結果と考察を簡潔に表現,報告する能力を養う。

到達目標
1.災害防止と安全確保のためにすべきことが説明できる。
2.ノギスやマイクロメータの目盛りの読み方,使い方が説明できる。
3.アーク溶接や機械加工の基本作業を理解し,安全に留意して作業できる。
4.各種工作機械の構造と機能がわかり,基本的な作業ができる。
5.実験及び解析結果を分析,整理でき,結果の精度を評価できる。
6.実験装置を理解し,実験の過程及び結果を説明できる。
7.必要な文献調査,考察が行え,適切かつ簡潔な報告書の作成が行える。
8.共同実験者との議論・協議による結論の導出,報告書作成および口頭試問等への簡潔な解答ができる。

ルーブリック

不可
評価項目1災害防止と安全確保のためにすべきことを説明・実践できる。安全確保のためにすべきことを説明・実践できる。安全確保のためにすべきことを実践できる。左記に達していない。
評価項目2ノギスやマイクロメータの目盛りの読み方,使い方が説明・実践できる。ノギスやマイクロメータの使用が可能で説明できる。ノギスやマイクロメータの使用が可能。左記に達していない。
評価項目3アーク溶接や機械加工の基本作業を理解し,安全に留意し作業できる。アーク溶接や機械加工の基本作業を理解し,作業できる。アーク溶接や機械加工の基本作業ができる。左記に達していない。
評価項目4各種工作機械の構造と機能がわかり,説明が可能で,基本的な作業もできる。各種工作機械の構造と機能がわかり,基本的な作業もできる。各種工作機械の基本的な作業ができる。左記に達していない。
評価項目5実験及び解析結果を分析,整理でき,結果の精度を評価できる。実験及び解析結果を整理でき,結果の精度を評価できる。実験及び解析結果を評価できる。左記に達していない。
評価項目6実験装置の構造や原理を理解し,実験の過程及び結果を説明できる。実験装置を理解し,実験の過程及び結果を説明できる。実験の過程及び結果を説明できる。左記に達していない。
評価項目7必要な文献調査,考察が行え,適切かつ簡潔な報告書の作成が行える。必要な文献調査が行え,適切かつ簡潔な報告書の作成が行える。報告書が作成できる。左記に達していない。
評価項目8共同実験者との議論・協議による結論の導出,報告書作成および口頭試問への簡潔に解答することができる。共同実験者との議論・協議による結論の導出ができ,報告書が作成できる。共同実験者との議論・協議できる。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門

学習の分野:実験・実習他

基礎となる学問分野:工学/機械工学・電気電子工学

学習教育目標との関連:本科目は「③基盤となる専門性の深化」「⑥ 課題探求・解決能力の育成」に相当する科目である。
技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化」であるが,付随的には「(C), (D), (F)」にも関与する。

授業の概要:品物を製作する上で必要なNC旋盤,機械加工,溶接などの基礎的な技能,技術を習得する。さらに,専門科目の知識を実験的及び解析的に確認し,実験装置の準備・操作,データ収集・整理,解析・考察,討論,報告書の作成など,一連のプロセスを行い各テーマの内容を理解する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:クラスを2グループ8班に分け,6テーマを巡回して実施する。テーマは次のように5つに分ける。A.基礎教育。B.NC旋盤,機械加工,溶接。C.材料。D.制御。E.電気基礎。F.マイコン。以下に示す授業計画は第1グループ1班の例である。テーマごとに報告書の提出を課す。

成績評価方法:安全等に対する取り組み姿勢(40%),実験報告書,作品完成度(60%)。なお,提出物(報告書,作品)が一つでも提出されなければ成績評価は不可となる。
注意点:
履修上の注意:本科目は,学年の課程修了のために履修(欠課時間数が所定授業時間数の5分の1以下)および単位修得が必須である。

履修のアドバイス:本科目の内容は機械工作およびシステム設計の基礎であり,本科目で習得した技能や技術は3年生以降において活用する。

基礎科目:総合理工入門(1年), 総合理工実験実習(1), 総合理工基礎(1), 総合理工演習(2年), 工業材料(2), 機械工作法(2), 電気電子回路(2), 機械設計製図I(2), 機械システム工学実験実習Ⅰ(2)など

関連科目:全系横断演習1(3), 機械システム工学実験(4)など

受講上のアドバイス:毎回実験及び実習は必ず自分で行う。工作機械の取り扱い方を誤ると事故を招く可能性があり、実験機器にも危険が伴うものがあるため取り組み態度,服装には注意すること。
座学での学習内容と本科目の実験内容との関係を意識して,実験および報告書作成を行うこと。結果の記述のみで考察が不足する報告書は必ず再提出になるので,担当教員の中間チェックを受けること。事前に行う準備学習として,事前レポート等,指示のあった項目について予習を必ず行うこと。報告書の提出期限は特別の指示がない限り各テーマが終了した1週間後とする。提出期限は厳守すること。実技を伴う科目であるので遅刻や欠課をしないこと。やむを得ず欠課した場合は速やかに担当教員に連絡を取ること。授業開始25分以内であれば遅刻とし,遅刻3回で1欠課とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
必修

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンスと安全教育〔心構え,報告書のまとめ方〕(全グループ共通) 実験・実習の目標と心構えの理解
2週 実験実習テーマA・基礎教育(2~4週)
報告書の書き方〔報告書の形態,内容,実験結果の整理の仕方について〕
災害防止と安全確保の理解
3週 実験実習テーマA・基礎教育(2~4週)
プレゼンテーション技術1〔資料の作成方法と発表の基礎技術〕
レポート作成の仕方の理解
4週 実験実習テーマA・基礎教育(2~4週)
プレゼンテーション技術2〔資料の作成方法と発表の基礎技術〕
実験内容をレポート等にまとめ,口頭で説明
5週 実験実習テーマB・NC旋盤(5~7週)
NC旋盤1〔プログラミング,切削加工〕
NC工作機械の特徴,種類,制御,方式、プログラミングの実施
6週 実験実習テーマB・NC旋盤(5~7週)
NC旋盤2〔プログラミング,切削加工〕
各部名称,機能,作業,操作の理解
7週 実験実習テーマB・NC旋盤(5~7週)
NC旋盤3〔プログラミング,切削加工〕
プログラミング基本作業
8週 実験実習テーマB・機械加工(8~10週)
実験実習テーマB・機械加工(8~10週)
立フライス盤,ボール盤1〔座標出し,穴あけ,組み付け,調整〕
ボール盤の基本操作と穴あけ等の作業
けがき作業とやすり作業
2ndQ
9週 実験実習テーマB・機械加工(8~10週)
立フライス盤,ボール盤2〔座標出し,穴あけ,組み付け,調整〕
旋盤基本操作
計測機器(ノギス,マイクロメータ,ダイヤルゲージ,ハイトゲージ,デプスゲージなど)の理解と計測
10週 実験実習テーマB・機械加工(8~10週)
立フライス盤,ボール盤3〔座標出し,穴あけ,組み付け,調整〕
フライス盤主要部の構造と機能
11週 実験実習テーマB・溶接(11~13週)
溶接2〔アーク溶接(機器の説明,ビード練習,重ね溶接)〕
アーク溶接の原理と扱い方(アーク溶接器具、アーク溶接棒)の理解と実践
12週 実験実習テーマB・溶接(11~13週)
溶接2〔アーク溶接(機器の説明,ビード練習,重ね溶接)〕
アーク溶接の基本作業
13週 実験実習テーマB・溶接(11~13週)
溶接3〔アーク溶接(機器の説明,ビード練習,重ね溶接)〕
アーク溶接の基本作業
14週 報告書の整理及び実習工場の清掃1(全グループ共通) レポート指導と清掃
15週 (前期期末試験)
16週 報告書の整理及び実習工場の清掃2(全グループ共通) レポート指導と清掃
後期
3rdQ
1週 ガイダンス,前期分報告書の確認 ガイダンスとレポート指導
2週 実験実習テーマC・材料(2~4週)
衝撃試験〔焼入れ材と焼入れ焼き戻し材の衝撃試験〕
加工学,材料学,材料力学の実験(衝撃試験)
(実験準備、装置の操作、実験結果の整理と考察)
3週 実験実習テーマC・材料(2~4週)
引張試験〔軟鋼と高張力鋼の引張試験〕
材料学、材料力学実験(引張試験)
(実験準備、装置の操作、実験結果の整理と考察)
4週 実験実習テーマC・材料(2~4週)
引張試験2〔軟鋼と高張力鋼の引張試験〕
材料学、材料力学実験(引張試験)
(実験準備、装置の操作、実験結果の整理と考察)
5週 実験実習テーマD・制御(5~7週)
LEGOマインドストーム〔LEGOマインドストームを用いる制御実験〕
制御工学実験(自動制御,古典制御,フィードバック制御)
(実験準備、ライントレース装置の制御、実験結果の整理と考察)
6週 実験実習テーマD・制御(5~7週)
シーケンス制御〔シーケンス回路を構成し,動作を確認する実験〕
制御工学実験(リレーによるシーケンス制御)
(実験準備、回路の作成と制御、実験結果の整理と考察)
7週 実験実習テーマD・制御(5~7週)
無接点リレー〔リレーシーケンス回路を論理回路に書き換える実験〕
制御工学実験(ICによるシーケンス制御)
(実験準備、回路の作成と制御、実験結果の整理と考察)
8週 実験実習テーマE・電気基礎(8~10週)
キルヒホッフ・テブナンの定理〔法則,定理の実証実験〕
電気回路実験(キルヒホッフ・テブナンによる電圧・電流の計算と計測)
(実験準備、回路の作成と制御、実験結果の整理と考察)
4thQ
9週 実験実習テーマE・電気基礎(8~10週)
半可算回路と全可算回路〔NORゲートICのみを用いる可算回路構成実験〕
電子回路実験(ICを用いた信号制御と計測)
(実験準備、回路の作成と制御、実験結果の整理と考察)
10週 実験実習テーマE・電気基礎(8~10週)
過渡現象〔過渡現象の観察実験〕
電気回路実験(コンデンサを用いた過渡現象の計算と計測)
(実験準備、回路の作成と制御、実験結果の整理と考察)
11週 実験実習テーマF・マイコン(11~13週)
マイコン1〔Arduinoマイコンを用いた計測・制御実験〕
電子回路,制御実験(組み込みマイコンによる信号制御と計測)
(実験準備、回路の作成と制御、実験結果の整理と考察)
12週 実験実習テーマF・マイコン(11~13週)
マイコン2〔Arduinoマイコンを用いた計測・制御実験〕
電子回路,制御実験(組み込みマイコンによる信号制御と計測)
(実験準備、回路の作成と制御、実験結果の整理と考察)
13週 実験実習テーマF・マイコン(11~13週)
マイコン3〔Arduinoマイコンを用いた計測・制御実験〕
電子回路,制御実験(組み込みマイコンによる信号制御と計測)
(実験準備、回路の作成と制御、実験結果の整理と考察)
14週 報告書の整理及び実習工場の清掃1(全グループ共通) レポート指導と清掃
15週 (後期期末試験)
16週 報告書の整理及び実習工場の清掃2(全グループ共通) レポート指導と清掃

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学両端固定棒や組合せ棒などの不静定問題について、応力を計算できる。3
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。3前4
引張荷重や圧縮荷重が作用する棒の応力や変形を計算できる。3前4
工作溶接法を分類できる。4
ガス溶接の接合方法とその特徴、ガスとガス溶接装置、ガス溶接棒とフラックスを説明できる。4
アーク溶接の接合方法とその特徴、アーク溶接の種類、アーク溶接棒を説明できる。4
サブマージアーク溶接、イナートガスアーク溶接、炭酸ガスアーク溶接で用いられる装置と溶接のしくみを説明できる。4
切削加工の原理、切削工具、工作機械の運動を説明できる。3前3,前4
バイトの種類と各部の名称、旋盤の種類と構造を説明できる。3
フライスの種類と各部の名称、フライス盤の種類と構造を説明できる。3
ドリルの種類と各部の名称、ボール盤の種類と構造を説明できる。3
切削工具材料の条件と種類を説明できる。3
切削速度、送り量、切込みなどの切削条件を選定できる。3
切削のしくみと切りくずの形態、切削による熱の発生、構成刃先を説明できる。3
計測制御計測の定義と種類を説明できる。3
測定誤差の原因と種類、精度と不確かさを説明できる。3
国際単位系の構成を理解し、SI単位およびSI接頭語を説明できる。3
代表的な物理量の計測方法と計測機器を説明できる。3
自動制御の定義と種類を説明できる。3前5,前6,前7
フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。3前5,前6,前7
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。3
ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。3
伝達関数を説明できる。3前5
ブロック線図を用いて制御系を表現できる。3前5
制御系の過渡特性について説明できる。3前5
制御系の定常特性について説明できる。3前5
制御系の周波数特性について説明できる。3前5
安定判別法を用いて制御系の安定・不安定を判別できる。3
分野別の工学実験・実習能力機械系分野【実験・実習能力】機械系【実験実習】実験・実習の目標と心構えを理解し、実践できる。3
災害防止と安全確保のためにすべきことを理解し、実践できる。3
レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。3前14,前16
ノギスの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4
ダイヤルゲージ、ハイトゲージ、デプスゲージなどの使い方を理解し、計測できる。4
けがき工具を用いてけがき線をかくことができる。4
やすりを用いて平面仕上げができる。4
ねじ立て工具を用いてねじを切ることができる。4
アーク溶接の原理を理解し、アーク溶接機、アーク溶接器具、アーク溶接棒の扱い方を理解し、実践できる。4
アーク溶接の基本作業ができる。4
旋盤主要部の構造と機能を説明できる。4
旋盤の基本操作を習得し、外丸削り、端面削り、段付削り、ねじ切り、テ―パ削り、穴あけ、中ぐりなどの作業ができる。4
フライス盤主要部の構造と機能を説明できる。4
フライス盤の基本操作を習得し、平面削りや側面削りなどの作業ができる。4
ボール盤の基本操作を習得し、穴あけなどの作業ができる。4
NC工作機械の特徴と種類、制御の原理、NCの方式、プログラミングの流れを説明できる。4
少なくとも一つのNC工作機械について、各部の名称と機能、作業の基本的な流れと操作を理解し、プログラミングと基本作業ができる。4
加工学実験、機械力学実験、材料学実験、材料力学実験、熱力学実験、流体力学実験、制御工学実験などを行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。3前4,前6
実験の内容をレポートにまとめることができ、口頭でも説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ報告書・製作品合計
総合評価割合00040060100
基礎的能力0000000
専門的能力00040060100
分野横断的能力0000000