学習目標:物質の三態や物質に働く力,有機物の構造と反応,溶液の性質を理解し,現在,直面している深刻な環境問題等に人として適切な対応が取れるような物質観を養う。
到達目標
1.状態変化に関して説明できる。
2.気体の状態方程式がどんなものか説明でき,その計算ができる。
3.コロイドの運動学的性質(ブラウン運動など)を説明できる。
4.有機化合物の構造と官能基,化合物の合成法について説明できる。
5.目的応じて器具・試薬を使って実験し,レポートを作成できる。
概要:
一般・専門の別:一般
必修・必履修・履修選択・選択の別:必履修
基礎となる学問分野:無機化学・物理化学・有機化学
学科学習目標との関連:本科目は総合理工学科学習・教育目標「②確かな基礎科学の知識修得」に相当する科目である。
技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化」である。
学習の分野:自然科学系共通・基礎
授業の概要:化学Ⅰに引き続いて,様々な化学的現象を理解するための基礎的素養を教授する。化学結合,生命と密接に関係する有機化合物,さらに気体や溶液の性質等を学ぶ。
授業の進め方・方法:
授業方法:一週2単位時間を2時限連続で,原則として各HRで行う。板書中心の講義であるが、適宜化学実験を行い,実験結果をまとめ,考察したレポートの提出を義務付ける。さらに必要に応じて,基礎的な問題に対するレポートや小テストを課す。
成績評価方法:4回の定期試験の得点をそれぞれ同等に評価(70%)し,各定期試験までの小テスト,レポートおよび授業態度をこれに加味(30%)して,その都度評価する。原則として,前期成績は中間成績との,学年成績は全結果の単純平均とする。試験の持ち込み可能物品は電卓のみ。
注意点:
履修上の注意:本科目は必履修科目のため,3学年課程修了には履修(欠課時数は年間の出席日数の1/3以下)が必須である。
履修上のアドバイス:身のまわりで起きる現象を「物質」という視点から考えてみよ。物質の構造のイメージを持てるように学習せよ。常に疑問をもち,分からない事は放置せずに解決するよう努力せよ。暗記のみに頼るな,覚えるだけでなく「理解すること」が何よりも大切なことである。
関連科目:化学I(全系2年),一般化学(先進2),有機化学I(先進4),有機化学II(先進5),無機化学(先進4),生化学(先進4),化学実験(先進4),物理化学(先進5)
受講上のアドバイス:本科目は環境エネルギー人材育成関連科目である。
元素記号,化学式,量の単位など,教員から指示された基礎事項は憶える。記憶に頼って済ませようとせず,きちんと理解して応用力をつけようという努力がまず必要である。再試験は行わない。チャンスはそう多くない事を知って欲しい。
レポ-トは提出期限を守り,けじめを身につけること。
遅刻の取扱については,授業開始後15分を超えた時点で欠課とみなす。講義への不参加も欠課とカウントする場合がある。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学(一般) | 化学(一般) | 物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。 | 3 | 前1 |
水の状態変化が説明できる。 | 3 | 前1 |
物質の三態とその状態変化を説明できる。 | 3 | 前1 |
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。 | 3 | 前3 |
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。 | 3 | 前4 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 3 | 後1 |
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。 | 3 | 後1,後4,後5,後6,後7,後8,後11 |
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。 | 3 | 後2,後3 |
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。 | 3 | 後2,後3 |
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。 | 3 | 後2,後3 |
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。 | 3 | 後2,後3 |
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 3 | 後4,後5,後6,後7,後8,後11 |
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。 | 3 | 後4,後5,後6,後7,後8,後11 |
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。 | 3 | |
高分子化合物がどのようなものか説明できる。 | 4 | 後11 |
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。 | 4 | 後11 |
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。 | 4 | 後11 |
高分子の熱的性質を説明できる。 | 4 | 後11 |
重合反応について説明できる。 | 4 | 後11 |
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。 | 4 | 後11 |
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の反応を説明できる。 | 4 | 後11 |
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の特徴を説明できる。 | 4 | 後11 |
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。 | 3 | |
反応機構に基づき、生成物が予測できる。 | 3 | |
分析化学 | 強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。 | 3 | 前14 |
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。 | 3 | 前14 |
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。 | 3 | 前15 |
物理化学 | 放射線の種類と性質を説明できる。 | 3 | 前10,前11 |
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。 | 3 | 前10,前11 |
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。 | 3 | 前10,前11 |
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。 | 3 | 前10,前11 |
気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。 | 3 | 前3,前4 |
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。 | 3 | 前5 |
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。 | 3 | 前5 |
混合気体の分圧の計算ができる。 | 3 | 前5 |
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。 | 3 | 前2 |
束一的性質を説明できる。 | 3 | 前6 |
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。 | 3 | 前6 |
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。 | 3 | 前6 |
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。 | 3 | 前12,前13 |
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。 | 3 | 前12,前13 |
均一および不均一反応の平衡を説明できる。 | 3 | 前12,前13 |
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。 | 4 | 前10,前11 |
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。 | 4 | 前10,前11 |
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。 | 4 | 前10,前11 |
化学工学 | SI単位への単位換算ができる。 | 3 | 前10,前11,前12,前13 |
物質の流れと物質収支についての計算ができる。 | 3 | 前10,前11,前12,前13 |
化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。 | 4 | 前10,前11,前12,前13 |