物性物理

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物性物理
科目番号 0098 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 総合理工学科(機械システム系) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:藤本晶著 基礎電子工学 森北出版参考書:伊藤國雄・原田寛治著 電気電子材料 電気書院
担当教員 香取 重尊,原田 寛治,中村 重之,山本 綱之

到達目標

学習目的:量子力学の基礎的な知識の習得にはじまり,電子デバイスに使われる半導体工学について学習すると共に,導体、半導体、絶縁体の基礎的事項を習得することを目的とする。

到達目標:
1. 簡単な量子力学について説明できる。
2. 半導体のエネルギー帯構造について説明できる。
3. pn接合とダイオードについて説明できる。
4. 導電,半導体,磁性などの物性を説明できる。
5. 単に物性的な特性だけでなく経済性を考慮した材料を説明できる。

ルーブリック

不可
評価項目1ボーア条件から水素原子の電子の軌道半径と全エネルギーを求められる.粒子と波動の二重性,ボーアの仮説,ド・ブロイ波を説明できる.参考書を利用して、粒子と波動の二重性,ボーアの仮説,ド・ブロイ波を説明できる.粒子と波動の二重性,ボーアの仮説,ド・ブロイ波を説明できない.
評価項目2半導体のエネルギー帯構造の形成についてメカニズムを説明できる.半導体のエネルギー帯構造について伝導帯,禁制帯,価電子帯の図が描ける.導体,半導体,絶縁体のエネルギー帯構造の違いを説明できる.参考書の半導体のエネルギー帯構造の図面を利用して、導体,半導体,絶縁体のエネルギー帯構造の違いを説明できる.半導体のエネルギー帯構造について伝導帯,禁制帯,価電子帯の図が描けない.導体,半導体,絶縁体のエネルギー帯構造の違いを説明できない
評価項目3ダイオードの整流作用について式を使って定量的に説明できる.pn接合のエネルギー準位図を描ける.ダイオードの整流作用についてエネルギー準位図を用いて定性的に説明できる。参考書のpn接合のエネルギー準位図を利用して、ダイオードの整流作用について定性的に説明できる。pn接合のエネルギー準位図を描けない.ダイオードの整流作用についてエネルギー準位図を用いて定性的に説明できない.
評価項目4導電,半導体,磁性などの物性について説明でき,それらの材料に関する問題を計算することができる。導電,半導体,磁性などの物性について説明でき,一部の材料について,計算問題を解決できる。導電,半導体,磁性などの物性について説明でき,講義ノートを見て一部の材料に関する計算問題ができる。導電,半導体,磁性などの物性について説明できず,講義ノートを見ても一部の材料に関する計算問題ができない。
評価項目5各用途で用いられる材料について,単に物性的な特性だけでなく,経済性を考慮した材料を説明できる。各用途で用いられる一部の材料について,おおまかな物性的な特性や,経済性を考慮した材料を説明できる。各用途で用いられる一部の材料について,おおまかな物性的な特性を考慮した材料ついて説明できる。各用途で用いられる一部の材料について,おおまかな物性的な特性を考慮した材料ついて説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:一般 学習の分野:電気・電子

基礎となる学問分野:工学/工学基礎

学習教育目標との関連:本科目は総合理工学科学習教育目標 「③基盤となる専門性の深化」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化, A-2:「電気・電子」, 「情報・制御」に関する専門分野の知識を修得し, 説明できること」である。

授業の概要:この授業では,電子の振る舞いに関係した物性論を取り扱う。導体、半導体、絶縁体に関する必要な基礎知識を養う。
授業の進め方・方法:
授業の方法:1週2単位時間で開講する(板書を中心の講義)。理解が深まるように適宜演習問題をしながら進めていく。状況に応じてレポートも課す。

成績評価方法:
定期試験の結果を同等に評価する(70%)。
課題と小テスト結果を評価する(30%)。理解度が不十分であると感じられる部分は補講を行い,再試を行う場合もある。
再試の結果は上限60点として定期試験結果に入れる。定期試験は筆記用具・電卓以外の持ち込みを禁止する。
注意点:
履修上の注意:学年の課程修了のために、本科目履修(欠課時間数が所定授業時間数の3分の1以下)が必須である。

履修のアドバイス:
・事前に行う準備学習として,基礎科目となる電気基礎の内容を復習しておくこと。
・電気・電子分野の専門科目の基礎科目なので,じっくりと取り組むこと。

基礎科目:電子回路Ⅰ(3年),物理Ⅰ,Ⅱ(1, 2),化学Ⅰ,Ⅱ(2, 3)
関連科目:電子工学(4年),電気電子材料(5),電子回路Ⅱ(4),電子デバイス(専2),応用物理Ⅰ,Ⅱ(4,5),量子科学(5)

受講上のアドバイス:授業の開始時に出欠をとり,そのときにいない学生は遅刻とする。
遅刻3回で1欠課とする。
板書される内容を理解しながらノートに取ることを薦める。その日にノートを見返して理解不足の箇所を明確にし,次の授業で質問するように心掛けること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
必履修

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス、古典力学(ニュートン力学)の復習
2週 原子中の電子〔ボーアのモデル,量子数,パウリの排他律〕 ボーアのモデル,量子数,パウリの排他律
3週 固体のエネルギー帯
(エネルギー準位,エネルギー帯)
エネルギー準位,エネルギー帯
4週 金属の導電現象と空孔率 電子の散乱と抵抗
5週 格子の粒子数と球の占める体積比 空孔率&体積率
6週 超伝導体の基本 抵抗と電子対
7週 (前期中間試験)
8週 試験の答案返却と試験解説,超伝導材料,超伝導材料の応用 MRIとリニアモーターカー
2ndQ
9週 液晶材料とLiイオン電池 液晶と電池
10週 磁性材料の基礎と高透磁率材料 磁性材料とBH曲線
11週 永久磁石材料 磁性材料とBH曲線
12週 半導体材料の作製方法 シリコンの純度
13週 成長型トランジスタとMOSFETの作製方法 バイポーラトランジスタとニュニポーラトランジスタ
14週 化合物半導体とレーザー レーザーの発振条件
15週 (前期末試験)
16週 前期末試験の答案返却と試験解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
物体に作用する力を図示することができる。3
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3
慣性の法則について説明できる。3
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3
運動方程式を用いた計算ができる。3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
運動の法則について説明できる。3
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3
最大摩擦力に関する計算ができる。3
動摩擦力に関する計算ができる。3
仕事と仕事率に関する計算ができる。3
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力のモーメントを求めることができる。3
角運動量を求めることができる。3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3
気体の内部エネルギーについて説明できる。3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。4
横波と縦波の違いについて説明できる。3
波の重ね合わせの原理について説明できる。3
波の独立性について説明できる。3
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3
ホイヘンスの原理について説明できる。3
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3
自然光と偏光の違いについて説明できる。3
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。4
電場・電位について説明できる。4
クーロンの法則が説明できる。4
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。4
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。4
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。4
ジュール熱や電力を求めることができる。4

評価割合

試験発表相互評価自己評価課題小テスト合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力0000000
専門的能力70000300100
分野横断的能力0000000