電子工学

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 電子工学
科目番号 0074 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 総合理工学科(電気電子システム系) 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:小林,金子,加藤「基礎半導体工学」(コロナ社)適宜プリントも配布する。参考書:伊藤,原田「これからスタート!電気電子材料」(電気書院)伊藤,植月他「これからスタート!光エレクトロニクス」(電気書院),物理化学概論(東京化学同人)千原他
担当教員 香取 重尊

到達目標

1. 半導体中の電子等の振る舞いについて,エネルギー準位図を用いて説明できる。
2. 基本的な半導体デバイスであるダイオードやトランジスタ,FETの動作原理をエネルギー準位に基づいて説明できる。
3. 光半導体素子である発光ダイオード(LED),半導体レーザ,太陽電池の動作原理をエネルギー準位に基づいて説明できる。

ルーブリック

不可
評価項目1pn接合について,フェルミ準位、価電子帯,伝道帯,ドナー・アクセプタ準位の関係をエネルギー帯図を用いて説明できる。pn接合について,フェルミ準位、価電子帯,伝道帯,ドナー・アクセプタ準位の関係を理解している。参考書のpn接合のエネルギー準位図を利用して、pn接合、フェルミ準位、価電子帯,伝道帯,ドナー、アクセプタについて定性的に説明できる。pn接合について,エネルギー対図を用いて説明することができない。
評価項目2仕事関数,ショットキー障壁、オーム接触についてエネルギー帯図を用いて説明できる。仕事関数,ショットキー障壁,オーム接触のエネルギー帯図を描くことができる。参考書中の図面を利用して、仕事関数,ショットキー障壁,オーム接触を定性的に説明できる。仕事関数,ショットキー障壁、オーム接触のエネルギー帯図を描くことができない。
評価項目3バイポーラトランジスタの動作原理をエネルギー帯図を用いて説明でき,増幅率の計算ができる。バイポーラトランジスタの動作原理を用いて説明でき,増幅率の計算ができる。参考書中のバイポーラトランジスタなどの図面を利用して、バイポーラトランジスタの動作原理を定性的に説明でき、増幅率を計算できる。バイポーラトランジスタの動作原理を説明できない。
評価項目4MOS型トランジスタの動作原理を,断面図を用いて説明できる。MOS型トランジスタの動作原理を理解している。参考書中のMOS型トランジスタの図面を利用して、その動作原理を説明できる。MOS型トランジスタの動作原理を説明できない。
評価項目5発光ダイオード・半導体レーザの動作原理を図を用いて説明でき,ダブルへテロ接合」「量子井戸接合」について説明できる。発光ダイオード・半導体レーザの動作原理を図を用いて説明できる。参考書中の発光ダイオードや半導体レーザの構造図面を利用して、動作原理を説明できる。発光ダイオード・半導体レーザの動作原理を説明できない。
評価項目6太陽電池・フォトダイオードの動作原理を図を用いて説明できる。太陽電池・フォトダイオードの動作原理を理解している。参考書中の太陽電池やフォトダイオードの構造図面を利用して、その動作原理を説明できる。太陽電池・フォトダイオードの動作原理を説明できない。
評価項目7LSIの製造プロセスを理解し,説明できる。LSIの製造プロセスを理解している。参考書中のLSIの製造プロセス図を利用して説明できる。LSIの製造プロセスを説明できない。
評価項目8各種半導体材料・有機半導体材料についてその特徴を説明できる各種半導体材料・有機半導体材料の特徴を理解している参考書の中の各種半導体材料、有機半導体材料の構造図面を利用して、説明できる。各種半導体材料・有機半導体材料について説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門 学習の分野:電気・電子

基礎となる学問分野:工学/電気電子工学/電子デバイス・電子機器

学習教育目標との関連:本科目は総合理工学科の学習教育目標「③基盤となる専門性の深化」のための科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化,A-1:工学に関する基礎知識として,自然科学の幅広い分野の知識を修得し,説明できること」であるが,付随的には「A-2」にも関与する。

授業の概要:この授業では,半導体の電子の振る舞いに関係した物性論的な科目である。この講義では,半導体中の電子や正孔の振る舞いをエネルギーに着目して説明し,さらに半導体素子であるダイオードやトランジスタなどの動作原理の基礎を学習する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:板書を中心に進めていく。図示によって具体的に解説を行う。適宜演習を行い,内容理解度をチェックしながら進めていく。

成績評価方法:2回の定期試験の結果をそれぞれ同等に評価する(70%)。小テストの成績,レポートの成績,演習で評価する(30%)。試験には教科書・ノートの持込みを許可しない。
成績不振者には再試験を実施することがある。再試験を行う場合は再試験結果を上限60点として定期試験結果に入れる。
注意点:
履修上の注意:本科目を選択した者は,学年の課程修了のために履修(欠課時間数が所定授業時間数の3分の1以下)が必須である。また,本科目は「授業時間外の学修を必要とする科目」である。当該授業時間と授業時間外の学修を合わせて,1単位あたり45時間の学修が必要である。授業時間外の学修については,担当教員の指示に従うこと。教科書に記載していない事項も含まれるので、参考書も合わせて学習するとより理解が深まる。

履修のアドバイス:トランジスタやLED,太陽電池など半導体デバイスの動作原理を理解するための基礎となる重要な科目である。聞きなれない専門用語や新しい考え方を学ぶが,分からないところは積極的に質問すること。

基礎科目:電気電子基礎Ⅰ,Ⅱ(1,2年),電子回路Ⅰ(3年),物理Ⅰ,Ⅱ(1, 2),化学Ⅰ,Ⅱ(2, 3)

関連科目:電気電子材料(5),電子回路Ⅱ(4),電子デバイス(専2),応用物理Ⅰ,Ⅱ(4,5),量子科学(5)

受講上のアドバイス:初めて聞く言葉や概念が多いので,わからないところはそのままにしないで教員の部屋まで積極的に聞きに来ること。電気電子システム系では電子工学を理解するのに必要な基礎知識を修得することも必要である。復習を十分すること。レポートは遅延なく欠かさず提出すること。授業の各単位時間の開始時に出欠をとり,その際返事がなくその後入室してきた者は遅刻とする。遅刻3回で1回の欠席とする。授業開始時から25分以上遅れたものは1欠課とみなす。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
履修選択

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス・物性物理の復習
(量子論、原子模型、結晶構造)
量子論、原子模型、結晶構造
2週 半導体のエネルギーバンド
pn接合におけるキャリアの挙動
エネルギーバンド
pn接合、電子と正孔
3週 金属と絶縁体の接触 MIS構造、ヘテロ接合、オーム接触
4週 バイポーラトランジスタ トランジスター、PNP、NPN、増幅
5週 電界効果トランジスタ(MOS-FET) MOS構造、チャンネル、閾電圧
6週 接合型トランジスタ(JFET) J-FET構造
7週 後期中間試験
8週 後期中間試験の返却と解答解説
4thQ
9週 電界効果トランジスタの特性 閾電圧、飽和状態、増幅率
10週 発光デバイス(LED,半導体レーザ) 誘導放出、自然放出、LED構造、LD構造、閉じ込め効果、
MQW
11週 フォトダイオード,太陽電池 PIN構造、バンドギャップ、太陽電池、FF値
12週 半導体デバイスの製造(LSI) LSI集積回路、プレーナー技術、フォトリソグラフ、イオン
注入技術
13週 各種半導体材料(1) Ge、Ⅱ-Ⅵ族化合物半導体、Ⅲ-Ⅴ族化合物半導体、窒化
物系半導体、MQW
14週 各種半導体材料(2) 有機半導体、有機EL
15週 後期末試験
16週 後期末試験の返却と解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4
原子の構造を説明できる。4
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価自己評価課題小テスト合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力0000000
専門的能力70000300100
分野横断的能力0000000