発電工学

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 発電工学
科目番号 0076 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 総合理工学科(電気電子システム系) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 ・ 教科書:財満英一 著「発変電工学総論」電気学会・ 参考書:吉川栄和ほか 著「発電工学」電気学会,箕田充志ほか 著「よくわかる発変電工学」電気書院
担当教員 桶 真一郎

到達目標

学習目的:これまでに学んだ電気電子工学に関する知識や技術に基づき,現代社会の基盤をなす電気エネルギーの発生,変換,および供給について理解する。

到達目標
1.我が国および世界の電力系統の概要や電力供給の現状と課題について説明できる。
2.水力,火力,原子力,および再生可能エネルギーを用いた発電方法の原理や特徴について説明できる。
3.各種発電方法および電力系統についての基本的な計算ができる。

ルーブリック

不可
評価項目1我が国および世界の電力系統の概要や電力供給の現状と課題について説明できる。我が国および世界の電力系統の概要や電力供給の現状と課題について基本的な事項を説明できる。我が国および世界の電力系統の概要や電力供給の現状と課題について特に基本的な事項を説明できる。左記に達していない。
評価項目2水力,火力,原子力,および再生可能エネルギーを用いた発電方法の原理や特徴について説明できる。水力,火力,原子力,および再生可能エネルギーを用いた発電方法の原理や特徴について基本的な事項を説明できる。水力,火力,原子力,および再生可能エネルギーを用いた発電方法の原理や特徴について特に基本的な事項を説明できる。左記に達していない。
評価項目3各種発電方法および電力系統について基本的な計算ができる。各種発電方法および電力系統について簡単な計算ができる。各種発電方法および電力系統について特に簡単な計算ができる。左記に達していない。
評価項目4自己の取り組みについて,客観的に評価できる。自己の取り組みについて,ほぼ客観的に評価できる。自己の取り組みについて,すこし客観的に評価できる。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門

学習の分野:電気・電子

基礎となる学問分野:工学/電気電子工学/電力工学・電力変換・電気機器

学習教育目標との関連:本科目は総合理工学科学習教育目標「2.確かな基礎科学の知識習得」および「3.基盤となる専門性の深化」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(B)「電気・電子」,「情報・制御」に関する専門技術分野の知識を修得し,説明できる」である。

授業の概要:電力を発生させるエネルギー源としての水力,火力,原子力,および再生可能エネルギーや,電力系統の運用について学習する。変電についても取り扱う。
授業の進め方・方法:
授業の方法:前期か後期に開講する。教科書と配布資料を用いて授業を進める。適宜,小テストやレポートを課す。

成績評価方法:成績の評価は,定期試験:70%,課題等:30%とする。各定期試験の結果が60点未満の者は,理解度の再確認により60点を上限として定期試験の評価を変更する場合がある。授業時間外の学習成果の評価は小テストおよびレポートにより行い,その配分は前記の30%に含まれる。
注意点:
履修上の注意:本科目は,学年の課程修了のために履修(欠課時間数が所定授業時間数の3分の1以下)が必須である。また,本科目は「授業時間外の学修を必要とする科目」である。当該授業時間と授業時間外の学修を合わせて,1単位あたり45時間の学修が必要である。授業時間外の学修については,担当教員の指示に従うこと。

履修のアドバイス:次回の授業に向け,教科書に目を通すなど簡単に予習するとよい。なお,本科目では専門分野の知識・能力だけでなく,ジェネリックスキルの向上に資する授業をおこなう。

基礎科目:電気磁気学概論(3年),電気磁気学Ⅰ(3),電気回路Ⅰ(3),電気機器Ⅰ(2)・Ⅱ(3)

関連科目:送配電工学(4年),電気磁気学Ⅱ(4),電気法規(4),高電圧工学(4),パワーエレクトロニクス(5)

受講上のアドバイス:本科目は「原子力人材育成関連科目」である。
授業冒頭の出席確認時に不在の場合,遅刻とする。
授業開始から単位時間の半分を超過して入室した場合は欠課とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
必履修

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,世界のエネルギー情勢と日本 【授業】世界のエネルギー消費や資源の偏在について説明できる。日本のエネルギー需給の特徴を諸外国と比較して説明できる。
【授業時間外】日本の電力需給の現状やこれまでの推移について説明できる。
2週 電源構成と電力系統の運用 【授業】日負荷曲線と電源構成との関係について説明できる。系統周波数・電圧の維持の重要性とそれらの制御方法を説明できる。
【授業時間外】交流・直流それぞれの送電方式の特徴を理解し,日本の電力系統の概要を説明できる。
3週 水力発電1(原理,設備) 【授業】水力発電の原理を理解し,水力発電所の種類や特徴を説明できる。多くの水力発電所のエネルギー源である河川水の流量について理解し,その計算ができる。水力発電の基本構成を説明できる。水力発電の基礎について説明でき,計算ができる。
【授業時間外】水力発電所における使用水量と出力との関係を理解し,その計算ができる。水力発電所の水路や水圧管の役割や働きについて説明できる。発電用ダムを構造や材料で分類し,それぞれの特徴について説明できる。
4週 水力発電2(水車,水車発電機) 【授業】衝動水車の原理を理解し,代表的な衝動水車であるペルトン水車の種類や特性を説明できる。反動水車の原理を理解し,代表的な反動水車であるフランシス水車の種類や特性を説明できる。反動水車の一種である軸流水車(とくにカプラン水車)の原理を理解し,その特性を説明できる。
【授業時間外】調速機構の役割やその性能について説明でき,その計算ができる。水車発電機の特徴について説明でき,その回転速度についての計算ができる。
5週 火力発電1(原理,設備) 【授業】蒸気の状態や性質がその圧力や体積とともにどのように変化するかを説明できる。火力発電に使われている熱サイクルの特徴や熱効率について説明でき,その計算ができる。燃料の燃焼について理解し,発熱量を用いて熱効率の計算ができる。ボイラを構成するさまざまな設備の役割や機能について説明できる。
【授業時間外】汽力発電とガスタービン発電の概要について説明できる。火力発電に使われる燃料の種類や特徴について説明できる。火力発電所の環境保全技術について説明できる。
6週 火力発電2(コンバインドサイクル,運転制御) 【授業】ガスタービンの原理を熱サイクルに基づき理解し,その構造について説明できる。コンバインドサイクル発電の原理や特徴について説明できる。火力発電の運転パターンを理解し,簡単な計算ができる。
【授業時間外】蒸気タービンの種類や構造について説明できる。火力発電所の運転管理および保守についての基本的な事項を理解し説明できる。
7週 変電 【授業】電力系統における変電所の役割を理解し,その種類について説明できる。開閉器の種類と用途について説明できる。とくに遮断器について,その種類や特徴,機能について説明できる。変圧器の技術動向をニーズと対応付けて説明できる。変圧器を冷却方式で分類できる。
【授業時間外】変電所の中核機器である変圧器について,その原理や構造を説明できる。複合開閉装置の特徴や利点を説明できる。避雷器の特性について説明できる
8週 (前期中間試験) 【授業】ここまでの内容を理解し,説明や計算ができる。
【授業時間外】試験に備えて十分な準備ができる。
2ndQ
9週 前期中間験の答案返却と試験解説 【授業】試験の内容を理解し説明や計算ができる。
【授業時間外】試験の内容や欠課を踏まえて復習ができる。
10週 原子力発電1(原理,BWRとPWR,核廃棄物) 【授業】核分裂反応およびそれによって取り出されるエネルギーを利用した原子力発電の基本原理を説明できる。改良型を含む沸騰水型原子炉の基本的な仕組みや制御方法を説明できる。改良型を含む加圧水型原子炉の基本的な仕組みや制御方法を説明できる。
【授業時間外】原子炉の制御の特徴について,火力発電と比較して説明できる。核燃料サイクルの考え方を説明できる。核燃料サイクルの現状を理解しその問題点について説明できる。放射性廃棄物の廃棄について説明できる。
11週 原子力発電2(安全管理,シビアアクシデント),ディベート 【授業】原子力発電の長所と短所について,根拠を示して説明することができる。原子力発電を推進すべきという意見と廃止すべきという意見のそれぞれについて,その理由を説明することができる。原子力発電の是非についての自分の意見を科学的根拠に基づき説明することができる。
【授業時間外】原子力発電所における深層防護の考え方と安全確保の3原則について説明できる。原子力発電所の危険性を低減するために実施されているさまざまな対策や工夫について,その必要性や実施方法を説明できる。原子力発電所のシビアアクシデントについて,具体例に基づき説明できる。
12週 分散型電源1(いろいろな分散型電源) 【授業】社会的・技術的背景に基づき,電力系統における分散型電源の位置づけについて説明することができる。いろいろな分散型電源の特徴を説明することができる。再生可能エネルギーとはどのようなものか説明することができる。
【授業時間外】我が国における再生可能エネルギーの普及状況をデータに基づき説明することができる。
13週 分散型電源2(再生可能エネルギーの系統連系) 【授業】再生可能エネルギーを系統連系する際に重要な技術について,その概念や方法を説明することができる。再生可能エネルギーを大量に導入している国の電力系統の状況を説明することができる。
【授業時間外】海外の先進国と比較して,我が国での再生可能エネルギーの系統連系についての問題点を説明することができる。
14週 分散型電源3(太陽光発電) 【授業】太陽エネルギーや太陽光発電の発電量をエネルギー消費量と対比して説明することができる。太陽光発電の EPT,EPR,ライフサイクルCO2排出量や経済性を火力発電と比較することができる。太陽電池のI-Vカーブの意味を理解し,変換効率やFFなどの特性値を計算することができる。
【授業時間外】太陽電池の原理をエネルギーバンド理論を用いて説明することができる。いろいろな太陽電池の特徴を説明することができる。太陽光発電システムを構成する機器の種類と役割を説明することができる。
15週 (前期末試験) 【授業】ここまでの内容を理解し,説明や計算ができる。
【授業時間外】試験に備えて十分な準備ができる。
16週 前期末試験の答案返却と試験解説 【授業】試験の内容を理解し説明や計算ができる。
【授業時間外】試験の内容や欠課を踏まえて復習ができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。4
電源および負荷のΔ-Y、Y-Δ変換ができる。4
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。4
直流機の原理と構造を説明できる。4
誘導機の原理と構造を説明できる。4
同期機の原理と構造を説明できる。4
変圧器の原理、構造、特性を説明でき、その等価回路を説明できる。4
半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。4
電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。4
交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴を説明できる。4
電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。4
電力システムの経済的運用について説明できる。4
水力発電の原理について理解し、水力発電の主要設備を説明できる。4
火力発電の原理について理解し、火力発電の主要設備を説明できる。4
原子力発電の原理について理解し、原子力発電の主要設備を説明できる。4
その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できる。4
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価自己評価課題小テスト合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力0000000
専門的能力70000300100
分野横断的能力0000000