電子工学

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和07年度 (2025年度)
授業科目 電子工学
科目番号 0115 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 総合理工学科(電気電子システム系) 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:小林,金子,加藤「基礎半導体工学」(コロナ社)適宜プリントも配布する。
参考書:B. L. アンダーソン,R. L. アンダーソン著 半導体デバイスの基礎 (丸善)
菅博,川畑敬志,矢野満明,田中誠著 図説 電子デバイス (産業図書)
伊藤,原田「これからスタート!電気電子材料」(電気書院)伊藤,植月他「これからスタート!光エレクトロニクス」(電気書院),アトキンス物理化学概論(東京化学同人)千原他
担当教員 香取 重尊

到達目標

学習目的:物質の構造と半導体の基礎物性を理解し,LEDや太陽電池などの身近に存在している半導体デバイスの動作メカニズムを理解する。
到達目標:
1.半導体中の電子等の振る舞いについて,エネルギー準位図を用いて説明できる。
2.基本的な半導体の物性について説明できる。
3.MOSトランジスタの動作原理について説明できる。
4.光半導体素子である発光ダイオード(LED),半導体レーザについて説明できる。
5.太陽電池・フォトダイオードの動作原理について説明できる。

ルーブリック

不可
評価項目1pn接合について,フェルミ準位、価電子帯,伝道帯,ドナー・アクセプタ準位の関係をエネルギー帯図を用いて説明できる。pn接合について,フェルミ準位、価電子帯,伝道帯,ドナー・アクセプタ準位の関係を理解している。参考書のpn接合のエネルギー準位図を利用して、pn接合、フェルミ準位、価電子帯,伝道帯,ドナー、アクセプタについて定性的に説明できる。pn接合について,エネルギー対図を用いて説明することができない。
評価項目2仕事関数,ショットキー障壁、オーム接触についてエネルギー帯図を用いて説明できる。仕事関数,ショットキー障壁,オーム接触のエネルギー帯図を描くことができる。参考書中の図面を利用して、仕事関数,ショットキー障壁,オーム接触を定性的に説明できる。仕事関数,ショットキー障壁、オーム接触のエネルギー帯図を描くことができない。
評価項目3MOS型トランジスタの動作原理を,断面図を用いて説明できる。MOS型トランジスタの動作原理を理解している。参考書中のMOS型トランジスタの図面を利用して、その動作原理を説明できる。MOS型トランジスタの動作原理を説明できない。
評価項目4発光ダイオード・半導体レーザの動作原理を図を用いて説明でき,ダブルへテロ接合」「量子井戸接合」について説明できる。発光ダイオード・半導体レーザの動作原理を図を用いて説明できる。参考書中の発光ダイオードや半導体レーザの構造図面を利用して、動作原理を説明できる。発光ダイオード・半導体レーザの動作原理を説明できない。
評価項目5太陽電池・フォトダイオードの動作原理を図を用いて説明できる。太陽電池・フォトダイオードの動作原理を理解している。参考書中の太陽電池やフォトダイオードの構造図面を利用して、その動作原理を説明できる。太陽電池・フォトダイオードの動作原理を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門 学習の分野:電気・電子

基礎となる学問分野:工学/電気電子工学/電子デバイス・電子機器

学習教育目標との関連:本科目は総合理工学科の学習教育目標「③基盤となる専門性の深化」のための科目である。

授業の概要:この授業は半導体の電子の振る舞いに関係した物性論的な科目である。半導体中の電子や正孔の振る舞いをエネルギーに着目して説明し、さらに半導体を応用したダイオードやトランジスタ,LED,太陽電池などの動作原理の基礎を学習する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:板書とプロジェクタによるスライドの投影を中心に進めていく。図示によって具体的に解説を行う。適宜演習を行い,内容理解度をチェックしながら進めていく。

成績評価方法:
2回の定期試験の結果を同等に評価する (70 %)。
課題と小テスト結果を評価する (30 %)。
前期末段階の成績が60点未満の者には,出席状況や授業態度が良好であれば,事前指示を与えた上で再試験を実施する。再試験の結果は,最終成績の上限を60点として,当該定期試験の結果と読み替える。
注意点:
履修上の注意:本科目を選択した者は,学年の課程修了のために履修(欠課時間数が所定授業時間数の3分の1以下)が必須である。また,本科目は「授業時間外の学修を必要とする科目」である。当該授業時間と授業時間外の学修を合わせて,1単位あたり45時間の学修が必要である。授業時間外の学修については,担当教員の指示に従うこと。教科書に記載していない事項も含まれるので、参考書も合わせて学習するとより理解が深まる。

履修のアドバイス:トランジスタやLED,太陽電池など半導体デバイスの動作原理を理解するための基礎となる重要な科目である。聞きなれない専門用語や新しい考え方を学ぶが,分からないところは積極的に質問すること。

基礎科目:電気電子基礎Ⅰ,Ⅱ(1,2年),電子回路Ⅰ(3年),物理Ⅰ,Ⅱ(1, 2),化学Ⅰ,Ⅱ(2, 3)

関連科目:物性物理(4),電気電子材料(5),電子回路Ⅱ(4),電子デバイス(専2),応用物理Ⅰ,Ⅱ(4,5),量子科学(5)

受講上のアドバイス:初めて聞く言葉や概念が多いので,わからないところはそのままにしないで教員の部屋まで積極的に聞きに来ること。電気電子システム系では電子工学を理解するのに必要な基礎知識を修得することも必要である。復習を十分すること。レポートは遅延なく欠かさず提出すること。授業の各単位時間の開始時に出欠をとり,その際返事がなくその後入室してきた者は遅刻とする。遅刻3回で1回の欠席とする。授業開始時から25分以上遅れたものは1欠課とみなす。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
履修選択

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス・量子力学の基礎
(量子論、原子模型、結晶構造)
学習内容の把握,量子論、原子模型、結晶構造について説明できる
2週 電子の波動性 シュレーディンガーの波動方程式について説明できる
3週 結晶構造 ミラー指数,ブラッグの法則について説明できる
4週 半導体の電気特性・縮退半導体 pn接合の電流電圧特性,トンネルダイオードについて説明できる
5週 金属と半導体の接触 仕事関数,ショットキー型障壁,オーム接触について説明できる
6週 バイポーラトランジスタ バイポーラトランジスタの動作について説明できる
7週 電界効果トランジスタ 接合型トランジスタ,MOSトランジスタについて説明できる
8週 後期中間試験
4thQ
9週 後期中間試験の返却と解答解説
10週 発光デバイス(LED) 発光ダイオードの発光メカニズムとダブルヘテロ構造について説明できる
11週 レーザー レーザー光の特徴,発信原理について説明できる
12週 受光素子 フォトダイオード,太陽電池の動作原理について説明できる
13週 光エレクトロニクス 導波路を伝播する光の導波メカニズムについて説明できる
14週 各種半導体材料 無機系・有機系の各種半導体材料の違いについて説明できる
15週 後期期末試験
16週 後期期末試験の返却と解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4
原子の構造を説明できる。4
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価自己評価課題小テスト合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力0000000
専門的能力70000300100
分野横断的能力0000000