学習目的:現在主流となっているディジタルコンピュータのしくみや,ディジタルコンピュータを中心に構築されたシステムのしくみを理解するために,そこで実際に使われる基本的な技術やアイディア・概念を学習する。
到達目標:
1.コンピュータの基本的ハードウェア技術について説明できる。
2.コンピュータの基本的ソフトウェア技術について説明できる。
概要:
一般・専門の別:専門 学習の分野:情報システム・プログラミング・ネットワーク
基礎となる学問分野:情報学/情報科学,情報工学およびその関連分野/計算機システム
学科学習目標との関連:本科目は総合理工学科の学習教育目標「③基盤となる専門性の深化」に相当する科目である。
授業の概要:コンピュータは,情報工学科の学生が専門的に学習する主要な装置である。本授業では,現在のコンピュータを実現するために利用されている基本的な技術やアイディアについて,ハードウェアとソフトウェアの両面から解説する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:板書や配付資料を使い,問題解答を通して学生の理解度を確かめながら授業を進める。また,授業で扱った内容の理解が深まるよう,授業中の演習や課外の課題レポートを適宜課す。
成績評価方法:4回の定期試験の結果をそれぞれ同等に評価し(70%),演習や課題レポートに対する取り組み状況を評価に加える(30%)。再試験は原則行わない。ただし,定期試験の結果をもって単位認定を正当に結論できないと判断した場合にのみ再試験を行い,その結果によって学年末成績を修正することがありうる。
注意点:
履修上の注意:3学年の課程修了のためには履修(欠課時間数が所定授業時間数の3分の1以下であること)が必須である。
履修のアドバイス:1,2年生の科目で学習した内容の理解が,この科目の理解に大きく影響する。事前に行う準備学習として,これらの内容をしっかり復習すること。
基礎科目:総合理工基礎(1年),情報リテラシー(1),プログラミング基礎(2),ディジタル基礎(2),など
関連科目:情報数理(4年),情報システム(4),システムプログラミング(5),など
受講上のアドバイス:授業開始前に行う出席確認に遅れた者は遅刻として扱う。遅刻は授業時間の1時限目の半分までとし,それを過ぎるとその時限を欠課とする。2時限目も同様に扱う。
本授業で扱う内容は,情報系高専卒業生として当然理解していると社会から期待される内容である。そのことを十分理解して受講すること。また,本授業の内容を理解している証明として,基本情報処理技術者試験合格を目指すことを勧める。時期としては,就職活動に取りかかる前がよい。
本授業で扱う内容は,日々利用しているものであり,急速に進歩・変化している。身近な情報機器の動作や仕組みに関心を持つとともに,雑誌・新聞・テレビに触れる際には本授業の内容に関連する事項はないか考えてみるとよい。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス〔科目の位置づけ,学習内容,方法に関する説明〕 |
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2週 |
n進数の扱い |
n進数の扱いが説明できる。基数が異なる数の間で相互に変換できる。
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3週 |
2進数の計算 |
2進数の計算ができる。整数を2進数,10進数,16進数で表現できる。
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4週 |
数値表現論 |
整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。小数を2進数,10進数,16進数で表現できる。
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5週 |
論理演算と基本論理回路 |
論理演算と基本的な論理回路について説明できる。
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6週 |
組み合わせ論理回路 |
組合せ回路について説明できる。
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7週 |
ビット操作と論理演算演習 |
ビット操作について説明できる。
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8週 |
(前期中間試験) |
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2ndQ |
9週 |
前期中間試験の返却と解答解説 |
前期中間試験までの内容を理解しているかどうか確認する。
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10週 |
ディジタルデータの表現方法 |
ディジタルデータについて説明できる。
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11週 |
コンピュータの構成要素とCPUの命令実行 |
コンピュータを構成する基本的な要素の役割とこれらの間でのデータの流れを説明できる。コンピュータアーキテクチャにおけるトレードオフについて説明できる。
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12週 |
CPUのアドレス指定方式と性能評価・高速化技術 |
プロセッサを実現するために考案された主要な技術を説明できる。デュアルシステムやマルチプロセッサシステムなど,コンピュータシステムの信頼性や機能を向上させるための代表的なシステム構成について説明できる。
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13週 |
メモリと主記憶の高速化手法 |
メモリシステムを実現するために考案された主要な技術を説明できる。
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14週 |
補助記憶装置とその他のハードウェア |
入出力を実現するために考案された主要な技術を説明できる。
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15週 |
(前期末試験) |
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16週 |
前期末試験の答案返却と解説 |
前期末試験までの内容を理解しているかどうか確認する。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
後期の説明〔ガイダンス〕 |
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2週 |
OSの仕事とタスク・ジョブ管理 |
コンピュータシステムにおけるオペレーティングシステムの位置づけを説明できる。プロセス管理やスケジューリングなどCPUの仮想化について説明できる。排他制御の基本的な考え方について説明できる。
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3週 |
記憶管理と再配置可能プログラム |
記憶管理の基本的な考え方について説明できる。再配置可能プログラムについて説明できる。
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4週 |
言語処理プロセッサと計算モデル |
主要な言語処理プロセッサの種類と特徴を説明できる。プログラミング言語は計算モデルによって分類されることを説明できる。主要な計算モデルを説明できる。
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5週 |
ソフトウェア開発環境とソフトウェア工学 |
ソフトウェア開発に利用する標準的なツールの種類と機能を説明できる。ソフトウェアを中心としたシステム開発のプロセスを説明できる。
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6週 |
ファイル管理 |
ファイル管理について説明できる。
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7週 |
(後期中間試験) |
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8週 |
後期中間試験の返却と解答解説およびDBMS |
後期中間試験までの内容を理解しているかどうか確認する。データベースについて説明できる。
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4thQ |
9週 |
関係データベースのキーと正規化 |
データモデル,データベース設計法に関する基本的な概念を説明できる。
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10週 |
データベース操作とトランザクションおよび障害管理 |
データベース言語を用いて基本的なデータ問合わせを記述できる。
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11週 |
LANとWANおよびプロトコル |
LAN,WAN,プロトコルについて説明できる。
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12週 |
ネットワーク構成機器とデータの誤り制御 |
ネットワーク機器とデータ誤り制御について説明できる。
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13週 |
TCP/IPネットワーク |
TCP/IPについて説明できる。
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14週 |
ネットワークサービス(WWW・電子メールなど) |
ネットワークサービスについて説明できる。
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15週 |
(後期末試験) |
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16週 |
後期末試験の答案返却と解説 |
後期末試験までの内容を理解しているかどうか確認する。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 情報系分野 | プログラミング | 主要な言語処理プロセッサの種類と特徴を説明できる。 | 4 | |
ソフトウェア開発に利用する標準的なツールの種類と機能を説明できる。 | 4 | |
プログラミング言語は計算モデルによって分類されることを説明できる。 | 4 | |
主要な計算モデルを説明できる。 | 4 | |
ソフトウェア | ソフトウェアを中心としたシステム開発のプロセスを説明できる。 | 4 | |
計算機工学 | 整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。 | 3 | 前10 |
基数が異なる数の間で相互に変換できる。 | 3 | 前2 |
整数を2進数、10進数、16進数で表現できる。 | 3 | 前3 |
小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。 | 3 | 前4 |
コンピュータを構成する基本的な要素の役割とこれらの間でのデータの流れを説明できる。 | 3 | 前11 |
プロセッサを実現するために考案された主要な技術を説明できる。 | 3 | 前12 |
メモリシステムを実現するために考案された主要な技術を説明できる。 | 3 | 前13 |
入出力を実現するために考案された主要な技術を説明できる。 | 3 | 前14 |
コンピュータアーキテクチャにおけるトレードオフについて説明できる。 | 3 | 前12 |
ハードウェア記述言語など標準的な手法を用いてハードウェアの設計、検証を行うことができる。 | 3 | |
要求仕様に従って、標準的なプログラマブルデバイスやマイコンを用いたシステムを構成することができる。 | 3 | |
コンピュータシステム | ネットワークコンピューティングや組込みシステムなど、実用に供せられているコンピュータシステムの利用形態について説明できる。 | 3 | |
デュアルシステムやマルチプロセッサシステムなど、コンピュータシステムの信頼性や機能を向上させるための代表的なシステム構成について説明できる。 | 3 | |
集中処理システムについて、それぞれの特徴と代表的な例を説明できる。 | 3 | |
分散処理システムについて、特徴と代表的な例を説明できる。 | 3 | |
システムプログラム | コンピュータシステムにおけるオペレーティングシステムの位置づけを説明できる。 | 3 | |
プロセス管理やスケジューリングなどCPUの仮想化について説明できる。 | 3 | |
排他制御の基本的な考え方について説明できる。 | 3 | |
記憶管理の基本的な考え方について説明できる。 | 3 | |
その他の学習内容 | データモデル、データベース設計法に関する基本的な概念を説明できる。 | 4 | |
データベース言語を用いて基本的なデータ問合わせを記述できる。 | 4 | |