情報システム工学実験

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 情報システム工学実験
科目番号 0087 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 総合理工学科(情報システム系) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 教科書:情報システム工学実験指導書(本校教職員作成) 参考書:必要に応じて実験分野ごとに指定する。
担当教員 寺元 貴幸,川波 弘道,松島 由紀子,畑 良知

到達目標

学習目的:情報システム工学の主要な分野について理論的背景,基礎知識,技術を理解する。実験には主体的に取り組み,目標達成に必要な計画立案や経過の確認を自立して行うことで問題設定能力,解決能力を身につける。

到達目標:
◎1実験結果の妥当性評価や考察について論理的な説明ができる。
◎2実験内容の関連知識や技術について,情報を収集・分析し,情報の加工・作成・整理ができる。
◎3実験の計画立案や途中経過の確認などを主体的に行い,自ら実験課題を発見することができる。
◎4ハードウェア・ソフトウェアを利用した適切な方法を用いて,要求された課題を制約の下でデザインすることができる。

ルーブリック

不可
評価項目1実験結果の妥当性評価や考察についての論理的な説明を適切に行える。実験結果の妥当性評価や考察についての論理的な説明を,一部他者の協力を得ながら行える。実験結果の妥当性評価や考察についての論理的な説明を理解できる。実験結果の妥当性評価や考察についての論理的な説明を理解できない。
評価項目2実験内容の関連知識や技術について,情報を適切に収集・分析し,加工・作成・整理できる。実験内容の関連知識や技術について,軽微な修正を伴いつつ,情報を適切に収集・分析し,加工・作成・整理できる。実験内容の関連知識や技術について,他者の指導の下で,情報を適切に収集・分析し,加工・作成・整理できる。実験内容の関連知識や技術について,情報を適切に収集・分析し,加工・作成・整理できない。
評価項目3実験の計画立案や途中経過の確認などを主体的に行い,自ら実験課題を発見することができる。実験計画上あるいは実験途中に生じた問題を他者に指摘された際,自らそれを解決する実験課題を発見することができる。実験計画上あるいは実験途中に生じた問題を他者に指摘された際,その問題を理解できる。実験計画上あるいは実験途中に問題が生じていることを理解できない。
評価項目4要求された課題を解決するための,ハードウェア・ソフトウェアを利用した適切な方法を,与えられた制約の下で自ら考え,実施できる。要求された課題を解決するための,ハードウェア・ソフトウェアを利用した適切な方法を,他者の助言の下で考え,実施できる。他者が提案した,要求された課題を解決するための,ハードウェア・ソフトウェアを利用した適切な方法を理解し,実施できる。要求された課題を解決するための,ハードウェア・ソフトウェアを利用した適切な方法を理解・実施することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門
学習の分野:実験・実習

基礎となる学問分野:情報科学,情報工学およびその関連分野/計算機システム関連,情報ネットワーク関連

学習教育目標との関連:本科目は総合理工学科学習教育目標「③基盤となる専門性の深化」と「⑥課題探求・解決能力の育成」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化および情報技術の習得とそれらを応用することができる」であるが,付随的に「(C)課題解決能力,研究能力,コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力を身に付けそれらを発揮することができる」,「(D)課題解決能力,研究能力,コミュニケーション能力,プレゼンテーション能力を身に付けそれらを発揮することができる」にも関与する.

授業の概要:専門分野に対する理解が進んでいる第4学年の工学実験では,応用的な内容の実験を4分野について行う。
授業の進め方・方法:
授業の方法:4班に分かれて下記の4つのテーマの実験を順に行う。授業計画ではある班の学習順序の例である。

 ・ハードウェア実験(寺元)
  論理回路をパソコン上で設計し,設計した論理回路をPLDで構成して実際に動作させる。
 ・ソフトウェア実験(畑)
  統合開発環境を用いてデバッガおよびプロファイラを用いた開発方法を学ぶ。さらに,オブジェクト指向プログラミングの基本を理解する。
 ・計測・制御実験(川波)
  マイコンを利用して,センサやモーターのような物理的な情報を扱える入出力デバイスを用いた制御実験を行う。
 ・ネットワーク実験(松島)
  TCP/IPとEthernetを使った通信の仕組み,および,ネットワークの設計方法を学習する。また,実際にネットワークの構築を行う。

成績評価方法:提出された実験報告書により,到達目標の到達度を評価する(100%)。各回前期と後期の評価は対等に扱う。
注意点:
履修上の注意:本科目は,学年の課程修了のために履修(欠課時間数が所定授業時間数の5分の1以下)および単位修得が必須である。

履修のアドバイス:実践的な実験内容となっている。事前に,実験テキストの内容を把握してから実験に臨むこと。また,報告書作成を通し十分に理解,考察を行うことが重要である。

基礎科目:情報システム工学実験実習Ⅰ(2年)など,これまでに履修したすべての科目
関連科目:卒業研究(5)

受講上のアドバイス:レポートには,実験の結果だけでなく,実験を行った経過(実験の手順や途中経過)も記録すること。提出期限の遵守は評価において重視する。定められた期限を守ってレポートを提出すること。原則,指示されるすべての実験を行うこと。受け身でなく積極的に実験に参加し,自分で考え抜く努力をすること。

遅刻の扱い:出欠確認から10分までは遅刻とし,それ以降は欠課とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
必修

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 (以下,4班のうちの1班を例に示す。)
ガイダンス1:計測・制御実験の概要
2週 実験1-1:Arduinoによる開発環境の学習・LED制御 マイコンボードArduinoと電子パーツを使った回路とプログラムの開発の流れと簡単な制御回路が作成できる。
3週 実験1-2:圧電スピーカの制御とアナログ入力測定 任意の周波数の波形の生成方法と電圧の測定方法が分かる。
4週 実験1-3:CdSセルを用いた光量計測とLED制御 光量センサによる計測ができる。
5週 実験1-4:距離の測定とサーボモータの制御 距離センサによる計測とサーボモータの制御ができる。
6週 実験1-5:風量調整付き扇風機の作成 実用的なアプリケーションのスケッチが理解でき,回路を作成できる。
7週 実験1-6:野球ゲームの作成と改良 実用的なスケッチと回路を理解し,応用ができる。
8週 報告書作成指導
2ndQ
9週 ガイダンス2:ネットワーク実験の概要
10週 実験2-1:UNIX系コマンドの使い方とコンピュータのネットワーク設定
コンピュータのネットワーク設定ができる。
11週 実験2-2:ネットワークの論理設計 ネットワークの論理設計ができる。
12週 実験2-3:イーサネットとIPによる通信のロールプレイと通信状況の確認 通信状況の確認ができる。
13週 実験2-4:DNSサーバの構築 DNSサーバの構築ができる。
14週 実験2-5:WEBサーバの構築とセキュリティ対策 WEBサーバの構築とセキュリティ対策ができる。
15週 実験2-6:MAILサーバの構築 MAILサーバの構築ができる。
16週 報告書作成指導
後期
3rdQ
1週 ガイダンス3:ハードウェア実験の概要
2週 実験3-1:ハードウエア-設計環境の構築とORゲート回路
ハードウェア設計環境が使える。
3週 実験3-2:計算回路(半加算器,全加算器)と 4 ビット加算器 の設計
基本的な組合せ回路の設計ができる。
4週 実験3-3:セグメント LED 表示回路 の設計と加減算器(1)
LED出力のある基礎的な回路の設計ができる。
5週 実験3-4:セグメント LED 表示回路 の設計と加減算器(2)
LED出力のある基礎的な回路の設計ができる。(つづき)
6週 実験3-5:カウンター回路 表示回路 の設計
応用的回路の設計ができる。
7週 実験3-6:VHDL言語による回路設計
VHDL言語による回路設計ができる。
8週 報告書作成指導
4thQ
9週 ガイダンス4:ソフトウェア実験概要
10週 実験4-1:C#の基礎
プログラミング言語C#の基礎的な構文をもちいて簡単なプログラムを作成できる。
11週 実験4-2:デバッグ
デバッガを用いてプログラムの簡単なデバッグができる。
12週 実験4-3:構造化プログラミング
構造化プログラミングの基礎を理解し,プログラム作成に役立てることができる。
13週 実験4-4:オブジェクト指向プログラミング(1)
オブジェクト指向プログラミングの基礎を理解する。
14週 実験4-5:オブジェクト指向プログラミング(2)
オブジェクト指向プログラミングの基礎を理解する。
15週 実験4-6:プロファイリング
プロファイラを用いた性能測定をすることができる。
16週 報告書作成指導

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。4
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。4
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。4
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。4
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。4
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。4
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。4
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。4
専門的能力分野別の専門工学情報系分野計算機工学ハードウェア記述言語など標準的な手法を用いてハードウェアの設計、検証を行うことができる。4
要求仕様に従って、標準的なプログラマブルデバイスやマイコンを用いたシステムを構成することができる。4
分野別の工学実験・実習能力情報系分野【実験・実習能力】情報系【実験・実習】与えられた問題に対してそれを解決するためのソースプログラムを、標準的な開発ツールや開発環境を利用して記述できる。4
ソフトウェア生成に利用される標準的なツールや環境を使い、ソースプログラムをロードモジュールに変換して実行できる。4
ソフトウェア開発の現場において標準的とされるツールを使い、生成したロードモジュールの動作を確認できる。4
フローチャートなどを用いて、作成するプログラムの設計図を作成することができる。4
問題を解決するために、与えられたアルゴリズムを用いてソースプログラムを記述し、得られた実行結果を確認できる。4
与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計できる。4
基礎的な論理回路を構築し、指定された基本的な動作を実現できる。4
論理回路などハードウェアを制御するのに最低限必要な電気電子測定ができる。4

評価割合

試験発表相互評価自己評価課題小テスト合計
総合評価割合00001000100
基礎的能力0000000
専門的能力0000000
分野横断的能力00001000100