機械システム設計概論

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 機械システム設計概論
科目番号 0091 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 総合理工学科(情報システム系) 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:塚田忠夫ほか「機械設計法 第3版」(森北出版)。参考図書:青木ほか、「第3版・新装版 工業力学」、森北出版 など
担当教員 小西 大二郎

到達目標

学習目的:機械要素設計の基本的な考え方を理解することで,デザイン基礎能力を修得する。また,材料力学や力学の知識を機械要素設計に応用する能力を修得する。

到達目標
1. 要素設計の立場から,機械設計に関する基本的な考え方が説明できる。
2. 主な機械要素の種類・働き・規格と設計方法について説明ができる。
3. 機械材料,材料力学,力学などの知識を活用して,機械要素を合理的かつ安全に設計できる。
4. 機械の“動く”部分をうまく制御,利用するトライボロジーの技術が設計においてどのように活用されているか説明できる。

ルーブリック

不可
評価項目1  知識を融合することで設計要件・問題点等の課題を明確にし,知識・技術の社会への影響を論理的に判断を下しながら,その結果を設計に考慮できる。 知識を融合することで設計要件・問題点等の課題を明確にできる。  設計対象をモデル化することでその機能の本質を理解できる。  設計要件・問題点等の課題を概ね言える。 設計要件・問題点等の課題を言えない。
評価項目2 設計対象をモデル化することでその機能の本質を理解し,かつ設計対象となるものを品質,コスト,納期を配慮しながら設計できる。 設計対象となるものを品質,コスト,納期を配慮しながら設計できる。 設計対象となるものを合理的に概ね設計できる。 設計対象となるものを合理的に設計できない。
評価項目3 公式ではなく,力学の概念と知識から必要な設計式を理解して,活用できる。 力学の知識を設計解導出の手段として活用できる。 設計式を設計解導出の手段として概ね使える。 設計式を設計解導出の手段として使えない。
評価項目4 機械や機械要素の機能や性能を満足させることのできる条件と設計式との関係を関連付けできる。 機械や機械要素の機能を制御する方法について考察できる。 機械や機械要素の機能を制御する方法について概ね言える。 機械や機械要素の機能を制御する方法について言えない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門 学習の分野:材料・設計と生産

基礎となる学問分野:工学/機械工学/設計工学・機械機能要素・トライボロジー

学習教育目標との関連:本科目は総合理工学科学習教育目標「③基盤となる専門性の深化」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化、A-2:「材料と構造」,「運動と振動」,「エネルギーと流れ」,「情報と計測・制御」,「設計と生産・管理」,「機械とシステム」に関する専門技術分野の知識を修得し,説明できること」である。

授業の概要:機械設計とは人間が必要とする機能を一つの機械システムに具体化する作業過程である。機械を設計するための基本的考え方や方法について解説するとともに機械を構成する代表的な機械要素を例にその設計法を解説する。特にベルト,クラッチ,ブレーキの項目ではトライボロジー(摩擦,摩耗,潤滑を取り扱う技術)との関連に注意して説明する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:パワーポイントや板書を中心に,実験実習で学習した事項との関連に注意しながら授業を進める。また,理解が深まるよう学習の進度にあわせて,演習指導をする。

成績評価方法:定期試験の結果をそれぞれ同等に評価する(70%)。試験には,電卓以外の持込を許可しない。演習・レポート(30%)。また,成績が60点未満の学生に対して再試験を行うことがある。
注意点:
履修上の注意:本科目を選択した者は,学年の課程修了のために履修(欠課時間数が所定授業時間数の3分の1以下)が必須である。また,本科目は「授業時間外の学修を必要とする科目」である。当該授業時間と授業時間外の学修を合わせて,1単位あたり45時間の学修が必要である。授業時間外の学修については,担当教員の指示に従うこと。

履修のアドバイス:教科書は機械設計法Ⅰ,Ⅱ(3,4年)で使用したものと同じものを使用する。具体的なある一つの機械を設計するには、設計製図・実験実習・力学に関する科目はいうまでもなく社会科学に関する科目も含めた学習成果や、多くの長年の経験や慣習によって培われてきた知識が必要とさる。
 したがって事前に行う準備学習として,これら関連科目の復習や日刊工業新聞,日本経済新聞などを読み,機械システムに関する国内外の現状と動向を知ることを勧める。理解のためには力学および材料力学の知識が必要となる。機械システム系以外の履修学生には力学の復習と機械設計法Ⅰと材料力学での学修内容の自己学習が必要となる。

基礎科目:総合理工入門(1年),材料学(2),CAD入門(2),機械設計製図Ⅰ~Ⅱ(2~3),力学Ⅰ~Ⅲ(3),材料力学Ⅰ(3),機構学(3),機械設計法Ⅰ(3),機械設計法Ⅱ(4)など

関連科目:機械設計創造演習(4年),材料力学Ⅱ(4),機械システム工学実験(4),応用機械設計(5),応用設計工学(専1)など

受講上のアドバイス:本来,機械設計は「総合」に重きを置く分野であるので,他の教科で学習した知識と関連させて学習するよう心掛けること。遅刻は25分までとし,これを越えるときは欠席と見なす。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
履修選択

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス,ベルトとチェーンによる伝動1〔平ベルト伝動装置の設計〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• 回転運動と動力,・巻き掛け伝動装置の特徴からの選択基準,・平ベルトの長さと伝達動力
角速度などの概念を用いて,円運動を記述することができる。
機械的な仕事,動力,エネルギーを求めることができる。
円板と中間節の間に生じる摩擦力を利用した動力伝達の手段が説明できる。
2週 ベルトとチェーンによる伝動2〔平ベルト伝動装置の設計〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• 合モーメント,・ベルト伝動装置による動力伝達の基礎,・平ベルトの寸法決定
基本的な回転力のつり合い,合モーメントの計算ができる。
円板と中間節の間に生じる摩擦力を利用した動力伝達の手段を理解し,ベルトの張力や伝動動力を計算できる。
摩擦伝動であるベルト駆動のアルテンワインの式を知っていること。
平ベルトの強度設計ができる。
3週 ベルトとチェーンによる伝動3〔Vベルトによる伝動〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• Vベルト伝動装置による動力伝達の基礎,・ベルトの使い方
Vベルトのくさびの原理を力学的に説明できる。
4週 ベルトとチェーンによる伝動4〔Vベルト伝動装置の設計〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• 仕様に適した細幅Vベルト(プーリ)の選択
与えられた仕様から細幅Vベルトを用いた巻き掛け伝動装置の設計ができる。
5週 ベルトとチェーンによる伝動5〔歯付きベルトによる伝動,チェーンによる伝動〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• チェーンとスプロケット,・ローラチェーンのリンク
ローラチェーンとスプロケットの選定ができる。
6週 ベルトとチェーンによる伝動6〔チェーン伝動装置の設計,ベルト伝動による無段変速装置〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• ローラチェーンの伝達動力
与えられた仕様と規格から合理的にチェーン・スプロケットを選ぶことができる。
7週 クラッチ,ブレーキおよびつめ車1〔動力制御要素の機能と構造,摩擦クラッチの設計〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• クラッチを断続の方法、作動方法からの分類,・円板クラッチの寸法の決定,・クラッチの設計上の制約条件
動力制御要素の機能とその構造を説明できる。
摩擦クラッチの摩擦が要素の性能に及ぼす影響について説明できる。
円板クラッチの伝達トルク容量を算出できる。
8週 (後期中間試験)
4thQ
9週 後期中間試験の返却と解答解説,クラッチ,ブレーキおよびつめ車2〔動力制御要素の機能と構造〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• ブレーキ効力係数,・摩擦材
ブレーキの摩擦が要素の性能に及ぼす影響について説明できる。
10週 クラッチ,ブレーキおよびつめ車3〔ブレーキの設計,つめ車〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• ブロックブレーキのブレーキ力,・ドラムブレーキのブレーキ力
ブロックブレーキ,ドラムブレーキの形式が理解でき,ブレーキトルクが求められる。
バンドブレーキの形式が理解でき,ブレーキ力が求められる。

11週 ばね1〔エネルギー蓄積要素・緩衝要素の機能,ばねの種類,トーションバー,円筒コイルばねの強度設計〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• 各種ばねの特徴,・エネルギー蓄積要素としてのばね,・トーションバーのばね特性,・ばねの強度設計
ばねの機能・種類・特性を説明できる。
緩衝器とダンパについてその役割を説明できる。
ばねの種類や用途について、その役割を説明できる。
エネルギーを自身に蓄積し、復元する要素であることを理解してばねの性能、設計ができる。
圧縮円筒コイルばねの作用する力と応力を材料力学的視点で説明できる。

12週 ばね2〔円筒コイルばねのばね特性,重ね板ばねとその他のばね〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• ばね特性
任意の材質,線径,巻数のコイルばねへ引張,圧縮荷重が作用した場合のたわみ量を求めることができる。

13週 ばね3〔重ね板ばねとその他のばね〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• 荷重とたわみ・応力の関係
一様強さのはりを設計できる(板ばね)。
14週 管,管継手,弁〔管の種類と用途,管の選択方法,管継手,弁の種類と用途〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• 管の平均流速,・管の寸法の選定,・管用ねじ,・管路設計
管路や管継手・バルブの種類と特徴を説明できる。
流体輸送などの管路に使用される管の選定ができる。
管路設計に際して安全,保全,操作性などが考慮できる。
15週 (学年末試験)
16週 学年末試験の返却と解説,まとめ

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力0000000
専門的能力70300000100
分野横断的能力0000000