物性物理

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 物性物理
科目番号 0104 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 総合理工学科(情報システム系) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:市村正也著 高校化学からはじめる半導体 オーム社,参考書:藤本晶著 基礎電子工学 森北出版,竹内淳著 高校数学でわかるシュレディンガー方程式 ブルーバックス 講談社,竹内淳著 高校数学でわかる半導体の原理 ブルーバックス 講談社,古川・荻野・浅野共著 電子デバイス工学 森北出版
担当教員 香取 重尊,中村 重之,久保 敏弘

到達目標

学習目的:この授業の目的は,半導体素子であるダイオードやトランジスタなどの動作原理の基礎をエネルギーに着目して理解することである。

到達目標:
1. 簡単な量子力学について説明できる。
2. 半導体のエネルギー帯構造について説明できる。
3. 半導体のキャリアについて説明できる。
4. pn接合とダイオードについて説明できる。
5. MOS-FETの仕組みについて説明できる。
6. メモリICの仕組みについて説明できる。

ルーブリック

不可
評価項目1参考書を利用して、ボーア条件から水素原子の電子の軌道半径と全エネルギーを求められる.主量子数,副量子数,磁気量子数を説明でき,軌道の形の違いを説明できる。参考書を利用して、量子力学の初歩について説明できる。参考書を利用して、量子力学の初歩(例えば粒子と波動の二重性,ボーアの仮説,ド・ブロイ波,量子数,パウリの排他律など)のうち6割程度を説明できる。左記に達しない。
評価項目2参考書を利用して、半導体のエネルギー帯構造の形成メカニズムについて説明できる。参考書を利用して、半導体のエネルギー帯構造について説明でき,伝導帯,禁制帯,価電子帯の図が描ける。金属,半導体,絶縁体のエネルギー帯構造の違いを説明できる。参考書を利用して、半導体のエネルギー帯構造の6割程度を説明できる。金属,半導体,絶縁体のエネルギー帯構造の違いを説明できる。左記に達しない。
評価項目3参考書を利用して、状態密度と分布関数,キャリア密度について式を導き出せる。キャリア密度の温度特性図が描け,真性領域・出払い領域・不純物領域の説明ができる。参考書中の電子の状態の図を利用して、状態密度と分布関数,キャリア密度、フェルミ準位,真性半導体と不純物半導体の違い,不純物準位について説明できる。参考書を利用して、状態密度と分布関数,キャリア密度について式の意味を説明できる。参考書中の電子の状態の図を利用して、状態密度と分布関数,キャリア密度、フェルミ準位,真性半導体と不純物半導体の違い,不純物準位について6割程度,説明できる。左記に達しない。
評価項目4参考書を利用して、ダイオードの整流作用について式を使って定量的に説明できる。参考書を利用して,ダイオードの整流作用についてエネルギー順位図を用いて6割程度,定性的に説明できる。参考書を利用して、pn接合のエネルギー準位図が描ける。左記に達しない。
評価項目5参考書を利用して、MOS-FETの動作が説明でき,動作点の計算ができる。参考書を利用して、MOS-FETの動作が説明できる。参考書を用いて,MOS-FETの反転層について説明できる。左記に達しない。
評価項目6参考書を利用して、不揮発性メモリの動作が説明できる。参考書を利用して、メモリーIC(DRAM)の動作が説明できる。参考書を用いて,メモリーIC(DRAM)の回路図が描ける。左記に達しない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:一般
学習の分野:自然科学系共通・基礎

基礎となる学問分野:工学/工学基礎

学習教育目標との関連:本科目は総合理工学科の学習目標「②確かな基礎科学の知識修得」のための科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化および情報技術の習得とそれらを応用することができる」であるが,付随的には「(B) 専攻分野に関連する知識理解を深化させ,それらを応用することができる」にも関与する。

授業の概要:この授業では,半導体の電子の振る舞いに関係した物性論を取り扱う。半導体中の電子や正孔の振る舞いをエネルギーに着目して説明し,半導体素子であるダイオードやトランジスタなどの動作原理の理解に必要な基礎知識を養う。

授業の進め方・方法:
授業の方法:プレゼンテーションソフトを用い,図示によって具体的に解説を行う。時間外に適宜演習を行う。

成績評価方法:2回の定期試験の結果をそれぞれ同等に評価する(60%)。小テストの成績,レポートの成績,演習で評価する(40%)。
成績不振者には再試験を実施することがある。再試験を行う場合は再試験結果を上限60点として定期試験結果に入れる。
注意点:
履修上の注意:課程修了のため履修が必須である。

履修のアドバイス:
・事前に行う準備学習として,教科書を読んでくること。
・トランジスタやLED,太陽電池など半導体デバイスの動作原理を理解するための基礎となる重要な科目である。聞きなれない新しい考え方が多いかもしれないが,分からないところは積極的に質問すること。

基礎科目:電子回路Ⅰ(3年),物理Ⅰ,Ⅱ(1, 2),化学Ⅰ,Ⅱ(2, 3)

関連科目:電子工学(4年),電気電子材料(5),電子回路Ⅱ(4),電子デバイス(専2),応用物理Ⅰ,Ⅱ(4,5),量子科学(5)

受講上のアドバイス:初めて聞く言葉や概念が多いと思うので,わからないところはそのままにしないで教員の部屋まで積極的に聞きに来ること。復習を十分すること。レポートは欠かさず提出のこと。授業の各単位時間の開始時に出欠をとり,その際返事がなくその後入室してきた者は遅刻とする。遅刻3回で1回の欠席とする。授業開始時から25分以上遅れたものは1欠課とみなす。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
必履修

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス、古典力学(ニュートン力学)の復習
2週 量子力学の発見〔粒子と波動,ド・ブロイ波〕 粒子と波動の二重性,ド・ブロイ波
3週 原子中の電子〔ボーアのモデル,量子数,パウリの排他律〕 ボーアのモデル,量子数,パウリの排他律
4週 固体のエネルギー帯
(エネルギー準位,エネルギー帯)
エネルギー準位,エネルギー帯
5週 固体のエネルギー帯
(真性半導体と外因性半導体,ドナとアクセプタ)
真性半導体と外因性半導体,ドナとアクセプタ
6週 キャリア密度と電気伝導率
(キャリア密度,フェルミ準位)
キャリア密度,フェルミ準位
7週 キャリア密度と電気伝導率
(状態密度,分布関数)
状態密度,分布関数
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 前期中間試験の返却と解答解説
10週 キャリア密度と電気伝導率
(状態密度,分布関数)
状態密度,分布関数
11週 pn接合とダイオード
(pn接合と電位障壁)
pn接合と電位障壁
12週 pn接合とダイオード
(pn接合と電位障壁)
pn接合と電位障壁
13週 MOS-FET
(MOS構造,反転層,ピンチオフ)
MOS構造,反転層,ピンチオフ
14週 メモリICの
(アドレス線,データ線,読込,書込,DRAM,EEPROM)
アドレス線,データ線,読込,書込,DRAM,EEPROM
15週 前期末試験
16週 前期末試験の返却と解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
物体に作用する力を図示することができる。3
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3
慣性の法則について説明できる。3
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3
運動方程式を用いた計算ができる。3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
運動の法則について説明できる。3
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3
最大摩擦力に関する計算ができる。3
動摩擦力に関する計算ができる。3
仕事と仕事率に関する計算ができる。3
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力のモーメントを求めることができる。3
角運動量を求めることができる。3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3
気体の内部エネルギーについて説明できる。3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。4
横波と縦波の違いについて説明できる。3
波の重ね合わせの原理について説明できる。3
波の独立性について説明できる。3
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3
ホイヘンスの原理について説明できる。3
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3
自然光と偏光の違いについて説明できる。3
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。4
電場・電位について説明できる。4
クーロンの法則が説明できる。4
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。4
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。4
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。4
ジュール熱や電力を求めることができる。4

評価割合

試験発表相互評価自己評価課題小テスト合計
総合評価割合60000400100
基礎的能力0000000
専門的能力60000400100
分野横断的能力0000000