応用設計工学

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 応用設計工学
科目番号 0016 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械・制御システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:真壁「新版 信頼性工学入門」(日本規格協会) 参考書:大村「信頼性工学のはなし」(日科技連)などが読みやすい。
担当教員 小西 大二郎

到達目標

学習目的:機械要素をはじめ,機械設計の基礎となる考え方や方法を理解することで,様々なシステムに関する基本的なデザイン能力を習得する。

到達目標
1. 本科で学習した機械工学,電子制御工学の各科目を基礎として,機械システム設計の基本的考え方や手法を理解する。
2. 機械やシステムのデザインは世界中の生産活動に直結している。標準化の意義とISO,JIS規格などの重要性を理解する。
3. 実際の機械システムの設計には,如何に多くの角度から検討することが必要かを知り,具体的な課題をデザインする基本能力を身につける。さらに,応用設計工学の講義を通じて種々の学問,技術の総合応用力を学ぶ。
◎ 専門工学のさまざまな知識を融合して課題に取り組むことができ,知識の社会への影響を考慮できる。

ルーブリック

不可
評価項目1信頼性評価手法を用いて,設計要件・問題点等の課題を明確にして,論理的に判断を下す事ができる。信頼性工学を自分の専門分野に応用するための基礎知識および基礎理論が説明できる。信頼性工学を自分の専門分野に応用するための基礎知識および基礎理論が概ね言える。信頼性工学を自分の専門分野に応用するための基礎知識および基礎理論が言えない。
評価項目2機械システムについて,ISO,JIS規格を運用しながら信頼性・安全性に配慮した設計検討ができる。システムを構成する部品の信頼度からシステムの信頼度を計算でき,信頼性・安全性に配慮した設計検討ができる。システムを構成する部品の信頼度からシステムの信頼度を概ね計算できる。システムを構成する部品の信頼度からシステムの信頼度を計算できない。
評価項目3機械の寿命という視点から限界モデル・耐久モデル,故障分布モデルが説明でき,微分・積分を使って分析できる。信頼性の評価尺度が説明できる。信頼性の評価尺度が概ね言える。信頼性の評価尺度が言えない。
評価項目4設計対象となるものを,使用者や生産性,環境のことを配慮しながら設計するための基本的事項が説明できる。信頼性工学の役割が説明できる。信頼性工学の役割が概ね言える。信頼性工学の役割が言えない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門  学習の分野:設計と生産・管理

基礎となる学問分野:工学/機械工学/設計工学・機械機能要素・トライボロジー

専攻科学習目標との関連:本科目は専攻科学習目標「(2)材料と構造、運動と振動、エネルギーと流れ、情報と計測・制御、設計と生産・管理、機械とシステムなどの専門技術分野および数学・物理分野、化学・バイオの技術分野の知識を修得し,機械やシステムの設計・製作・運用に活用できる能力を身につける」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(B)専攻分野に関連する知識理解を深化させ、それらを応用することができる」である。

授業の概要:本科で学習した機械工学,電子制御工学の各科目を基礎として,現代社会で活躍している機械やシステムはどのようなプロセスを経て設計されているのかを学ぶ。信頼性設計の基本的な考え方について解説する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:プロジェクタによる教示をまじえて授業を進め,理解を深めるためレポート・演習を課す。

成績評価方法:中間達成度試験,期末試験それぞれ1回行い,試験(70%),授業時間外の学習成果であるレポート,演習(30%)で評価し,これらの成績の平均を最終成績とする。試験では教科書・ノートの持ち込みを許可しない。期末段階の成績が60点未満かつ50点以上の者には,出席状況や授業態度が良好であれば,事前指示を与えた上で再試験を実施する。再試験の結果は,最終成績の上限を60点として,当該定期試験の結果と読み替える。
注意点:
履修上の注意:本科目は「授業時間外の学修を必要とする科目」である。当該授業時間と授業時間外の学修を合わせて,1単位あたり45時間の学修が必要である。授業時間外の学修については,担当教員の指示に従うこと。

履修のアドバイス:本科目は,本科3,4年次で学修した機械設計法Ⅰ・Ⅱを基礎とし,機械要素設計法から機械をシステムとしてとらえた設計への展開を行う科目である。
 したがって事前に行う準備学習として,機械の構成要素が,機械システム全体の機能にどのように影響するかを考えながら,これまで学習してきた事項を振り返っておくことを勧める。予備知識として,機械設計法に関する知識を始め,機械工学,電子制御工学全般にわたる科目に関する知識,簡単な数学知識(代数式の理解、および n!, exp, ln などの記号の意味と演算),確率論・統計学の初歩(平均値、メディアン、確率、独立事象、正規分布などの意味)に関する知識が必要である。

基礎科目:機械工学,電子制御工学全般にわたる科目のほか機械設計法,簡単な数学・統計学の知識など

関連科目:エネルギーシステム工学(専1年),応用創造工学(専1),流体力学(専2),材料強度学(専2),振動工学(専2),生産管理工学(専2)

受講上のアドバイス:機械工学と電子制御工学の基礎知識が前提となる。ものづくり,生産とは何か,をよく考えることが大切。
遅刻は25分までとし,これを越えるときは欠課と見なす。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
選択

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 •ガイダンス,設計と信頼性1〔信頼性の役割と技術,品質マネジメントシステム〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):•製造物の責任と品質としての信頼性,○機能と性能,QCD(機械システム系出身以外の出身者向け)
「信頼性」という概念を認識し, 「システム」に対して信頼性を考えることの意義が説明できる。
製品品質の保証という着目点から品質保証と信頼性の関係を理解できる。

2週 •設計と信頼性2・信頼性概論〔信頼性工学,信頼性試験のデータ解析〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):•同上,フィールドデータの整理(ヒストグラム)
信頼性工学の役割と信頼性の維持と向上を考えるために必要となる評価尺度が説明できる。
故障発生にはパターンがあることを理解し,バスタブ曲線を説明できる。
母集団と標本の概念を理解する。
信頼性データの取り扱いについて理解する。
3週 •故障モデルと強度・寿命設計1〔強度的機能とモデル〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):•信頼性の対象としての故障,強度設計と信頼性の関係,確率変数と確率分布,○荷重と強度,強度設計,時間依存型破壊と非時間依存型破壊,安全率,動荷重係数
基準の強さ,許容応力と安全率との関係,安全率の考え方と必要性を説明できる。
確率変数と確率分布に関する基本的概念と諸性質を理解している。
正規分布について,確率の計算ができる。
4週 •故障モデルと強度・寿命設計2〔金属疲労の進行過程〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):•マイナー則,パリス則,○疲労破壊,弾性変形と塑性変形,結晶のすべり,疲労強度,S-N曲線,疲労限度
材料の疲労特性について理解を深め,マイナー則(線形累積損傷則)やパリス則(き裂進展則)から構造物の疲労寿命を計算できる。
セーフライフ設計(安全寿命設計)とフェールセーフ設計(損傷許容設計)の概念を理解する。
5週 •信頼性の尺度[確率密度関数,分布関数,信頼度関数,瞬間故障率関数]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):•確率と信頼度・故障率の関係
修理系と非修理アイテムの違いを理解する。
機械の寿命という視点から故障分布モデルが説明できる。
技術的尺度としての信頼性特性値の定義と数学的表現を理解する。
寿命分布と故障率の関係について理解する。
6週 •故障分布モデル[確率分布]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• 離散型確率分布と連続型確率分布
確率分布モデルにおける二項分布・ポアソン分布・指数分布(母集団の確率分布)の意味を理解する。
故障発生にはパターンがあることを理解し,バスタブ曲線を説明できる。
機械の寿命という視点から故障分布モデルが説明できる。
確率密度関数: f,累積分布関数:F,信頼度関数:R,瞬間故障率関数:λの4つの関数は一連のつながりをもっていることが説明できる。
すなわち,関数の1つが既知なら,残りの3つの関数は求まることがわかる。
7週 •信頼性試験1〔信頼性試験のデータ解析〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• フィールドデータの整理(推定と検定)
信頼性試験と信頼性データの取り扱いについて理解する。
システムの構成要素の情報が与えられた場合に,各信頼性評価尺度の計算ができる。
故障するまでの時間または寿命のデータから信頼性特性値を推定したり,故障分布モデルから寿命現象を推測できる。
推定の概念を理解し,点推定ができる。
母平均の区間推定,検定ができる。
8週 (中間達成度試験)
4thQ
9週 •中間達成度試験の返却と解説,信頼度の配分と予測〔システム信頼性モデル〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• システム信頼性モデル(並列と直列),指数分布,寿命予測:• フィールドデータに対するワイブル・プロット
直列システム,並列(冗長)システムの信頼度が計算できる。
システムを構成する部品の信頼度からシステムの信頼度を計算できる。
10週 •ワイブル・プロット〔ワイブル分布〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• フィールドデータに対するワイブル・プロット
故障時間分布の形(故障分布モデル)から故障現象や寿命を推測できる。
ワイブル確率紙解析ができる。
11週 •信頼性試験2〔故障物理,信頼性試験〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• 加速試験,抜取検査
信頼性試験の重要性と信頼性試験法を理解する。
温度加速による寿命予測のためのワイブル解析およびアレニウス・プロットの実施手順がわかる。
12週 •保全性と信頼性設計〔アベイラビリティ,信頼性設計〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• エラーリカバリー,保全とアベイラビリティ,エルゴノミクス
修理システムとその信頼性の計算ができる。
アベイラビリティの意味が説明でき,その値を算出できる。
保全性は,製品に織り込まれている信頼性を維持し,その信頼性の効果を充分に発揮させるために欠かせないものであることが説明できる。
設計対象となる製品を,使用者や環境のことを配慮しながら設計できる。
13週 •機械安全と余裕設計〔安全率と故障確率〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):• ストレス・強度の分布モデルと強度設計
信頼性とのインターフェースである,安全性技術の概要を理解する。
安全性に配慮した機械システムの設計ができる。
14週 •信頼性解析手法〔故障解析〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項)• リスクと故障解析
トラブルの未然防止手法としてFMEA, FTAの手法が使える。
故障の予測と対処,リスク管理の手法が使える。
現実問題を即物的に解決する信頼性評価手法を用いて,設計仕様・問題点等の課題を明確にして,論理的に判断を下す事ができる。
15週 (期末試験)
16週 •期末試験の返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力0000000
専門的能力70300000100
分野横断的能力0000000