精密加工学

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 精密加工学
科目番号 0017 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械・制御システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:丸井悦男「超精密加工学」(コロナ社) 参考書:伊藤豊次「超精密加工のエッセンス」(日刊工業新聞社)は生産現場でのノウハウの視点から解説。日本機械学会編「生産加工の原理」(日刊工業新聞社)は生産加工全般を網羅的・原理的な視点から解説。
担当教員 小西 大二郎

到達目標

学習目的:高精度加工のための工作機械・工具・加工プロセスやそれらの技術について考えることで,超精密加工に関する基礎知識を深化させる。

到達目標
1.超精密加工・微細加工の適用分野とその社会的意味合いを述べることができる。
2.普通加工/超精密加工/微細加工の違いを理解して類別できる。
3.切削/研削/研磨加工の特徴を転写性・分解能の視点から説明できる。
4.機械材料の工作方法および工作機械の基礎的な事柄を理解できる。
5.工作機械/工具/加工プロセスについての基礎知識を修得し,超精密加工の技術や課題について考察できる。
6.工作機械の要素技術/工具・加工技術を理解し,高精度加工のための方策について考察できる。

ルーブリック

不可
評価項目1精密加工,超精密加工の適用分野とその社会的意味合いを述べることができる。精密加工,超精密加工の適用分野とその付加価値を説明できる。精密加工,超精密加工の適用分野とその付加価値を概ね言える。精密加工,超精密加工の適用分野を言えない。
評価項目2超精密加工の定義と加工についての知識を理解し,高精度加工のための指針を考察できる。加工単位と工具の大きさの関係から普通加工/超精密加工/微細加工の違いを理解して類別できる。加工単位と工具の大きさの関係から普通加工/超精密加工/微細加工の違いを概ね言える。加工単位と工具の大きさの関係から普通加工/超精密加工/微細加工の違いを言えない。
評価項目3加工原理から切削/研削/研磨加工の特徴を理解し,超精密加工のための手法や課題を説明できる。加工原理から切削/研削/研磨加工の特徴を説明できる。加工原理から切削/研削/研磨加工の特徴を概ね言える。加工原理から切削/研削/研磨加工の特徴を言えない。
評価項目4各種工作法を工作物の質量変化の視点から分類し,その特徴を説明できる。  工作機械が変位基準で設計されていることが説明できる。  工作機械・工具・工作物の関係を説明できる。 各種工作法を工作物の質量変化の視点から分類し,その特徴を説明できる。  工作機械が変位基準で設計されていることが説明できる。 各種工作法を工作物の質量変化の視点から分類し,その特徴を概ね言える。  工作機械が変位基準で設計されていることが概ね言える。 各種工作法を工作物の質量変化の視点から分類し,その特徴を言えない。  工作機械が変位基準で設計されていることが言えない。
評価項目5切削/研削/研磨加工の加工プロセスを理解し,超精密加工への適用例について説明でき,超精密加工技術の課題について考察できる。切削/研削/研磨加工の加工プロセスを理解し,超精密加工への適用例について説明できる。切削/研削/研磨加工の加工プロセスを理解し,超精密加工への適用例について概ね言える。切削/研削/研磨加工の加工プロセスを理解していないし,超精密加工への適用例についても言えない。
評価項目6工作機械の要素設計技術や工具技術,除去加工の現象・モデルを説明でき,高精度加工のための方策について考察できる。工作機械の要素設計技術や工具技術,除去加工の現象・モデルを説明できる。工作機械の要素設計技術や工具技術,除去加工の現象・モデルを言える。工作機械の要素設計技術や工具技術,除去加工の現象・モデルを言えない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門  学習の分野:設計と生産・管理

必修・選択の別:選択

基礎となる学問分野:工学/機械工学/生産工学・加工学

専攻科学習目標との関連:本科目は専攻科学習目標「(2)材料と構造,運動と振動,エネルギーと流れ,情報と計測・制御,設計と生産・管理,機械とシステムなどの専門技術分野の知識を修得し,機械やシステムの設計・製作・運用に活用できる能力を身につける」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化,A-2:「設計と生産・管理」に関する専門技術分野の知識を修得し,説明できること」である。

授業の概要:現代の科学技術において精密・超精密加工技術は重要な役割を担っており,他の周辺技術とともに相補的に進化・発展している。本講義では,主に切削・砥粒加工を対象として,精密・超精密加工技術の特徴と機構を概観し,これらが先端技術などに果たす役割について学習する。また,機械加工以外の超微細加工技術についても概観する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:プロジェクターを中心に授業を進める。これまでに修得した機械加工や工作機械に関する知識を確認しながら授業を進める。また,理解を深めるため,授業進度を考えながら適当な時期に課題,演習を課す。

成績評価方法:期末試験に加え中間達成度試験を行う。それぞれの試験の結果を同等に評価する(70%)。試験には,教科書の持込を許可する。授業時間外の学習成果である課題・演習(30%)。
注意点:
履修上の注意:本科目は「授業時間外の学習を必修とする科目」である。1単位あたり授業時間として15単位時間開講するが,これ以外に30単位時間の学習が必修となる。これらの学習については担当教員の指示に従うこと。

履修のアドバイス:これまで学習した機械加工や工作機械の知識を必要とする科目である。

基礎科目:機械設計法Ⅰ,Ⅱ(機械工学科3,4年),機械工作法Ⅱ(4),工作機械(5),計測工学(5),機械工作法(電子制御工学科2年),設計工学(5),計測工学(5)など

関連科目:機械・制御システム特別実験(専1年),応用設計工学(専1)

受講上のアドバイス :本科で学習した知識を基に,加工精度高精度化のための工作機械の要素技術,工具技術,加工技術,制御・計測技術についての知識を総合的に考えること。
遅刻は25分までとし,これを越えるときは欠席と見なす。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ・ ガイダンス,超精密加工法が適用される加工

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 機能・加工精度の視点からみた工作機械の技術動向
超精密加工・微細加工の適用分野とその社会的意味合いを述べることができる。
2週 ・ 超精密加工の背景1〔超精密加工の特徴と定義,超精密加工とは〕授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項): 機械材料の工作方法および工作機械の基礎的な事柄を理解できる。
3週 ・ 超精密加工の背景2〔超精密加工方法〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 加工の転写性と分解能の視点からみた超精密加工の技術
各種工作法を、工作物の質量変化の視点から眺め、分類し、その特徴を説明できる。
切削/研削/研磨加工の特徴を転写性・分解能の視点から説明できる。
普通加工/超精密加工/微細加工の違いを理解して類別できる。
4週 ・ 超精密加工の背景3〔超高精度加工のための基本技術〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 再現性と超精密加工機の基本技術
工作機械の要素技術/工具・加工技術を理解し、高精度加工のための方策について考察できる。
5週 ・ 超精密切削加工機1〔工作機械の構造と構成要素の役割〕
授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 工作機械の基本構成要素と形状創成運動
工作機械本体の構造を説明できる。
高精度加工を実現するために必要な諸原理や考え方を説明できる。
工作機械の要素技術/工具・加工技術を理解し、高精度加工のための方策について考察できる。
6週 ・ 超精密切削加工機2〔工作機械の構成要素と工夫-構造要素〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 構造用材料の機械的性質と剛性の関係
工作機械の構造や主軸の駆動方式を説明できる。
高精度加工を実現するために必要な諸原理や考え方を説明できる。
工作機械の要素技術/工具・加工技術を理解し、高精度加工のための方策について考察できる。
平面軸受とジャーナル軸受の流体潤滑の原理が説明できる。
静圧軸受と動圧軸受の相違および静圧軸受の原理が説明できる。
7週 ・ 超精密切削加工機3〔工作機械の構成要素と工夫-主軸と案内要素〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 主軸の剛性(軸受構造)と回転精度,案内の剛性と運動精度,高速化
工作機械の構造や案内の駆動方式を説明できる。
高精度加工を実現するために必要な諸原理や考え方を説明できる。
工作機械の要素技術/工具・加工技術を理解し、高精度加工のための方策について考察できる。
8週 (中間達成度試験)
2ndQ
9週 ・ 中間試験の返却と解答,超精密切削加工用の工具〔超精密切削工具〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 切削工具に求められる事項
工作機械の要素技術/工具・加工技術を理解し、高精度加工のための方策について考察できる。
工作機械/工具/加工プロセスについての基礎知識を修得し、超精密加工の技術や課題について考察できる。
刃物の持つべき性質、切削工具材料の条件と種類を説明できる。
切削工具の刃部の摩耗によって生じる現象および工具寿命を説明できる。
10週 ・ 金属の切削機構1〔切削モデルと切りくず〕
授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 切削加工の現象
切削のしくみと切りくずの形態、切削による熱の発生、構成刃先を説明できる。
除去加工の現象を理解した上で、そのモデルが説明できる。
11週 ・ 金属の切削機構2〔切削抵抗と単一せん断面モデル加工〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 切削抵抗と単一せん断面モデル
工作機械/工具/加工プロセスについての基礎知識を修得し、超精密加工の技術や課題について考察できる。
切削のしくみと切りくずの形態、切削による熱の発生、構成刃先を説明できる。
除去加工の現象論を理解した上で、そのモデルが説明できる。
12週 ・ 金属の切削機構3〔仕上げ面の粗さ,切削加工で高仕上げ面粗さを得る方法と超精密切削機構〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 切削条件・工具条件と表面粗さの関係
切削加工の高精度化技術とその社会的意味合いを述べることができる。
加工精度、生産性を上げるための切削工具の工夫を説明できる。
13週 ・ 超精密研削加工〔超精密研削法〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 砥粒による加工の特徴と高精度化
砥石車の3要素・5因子について説明でき、これらと研削性能の関係から砥石車選定の仕方を説明できる。
研削加工と研磨加工の類似点、相違点を説明できる。
砥粒加工を固定砥粒工具と遊離砥粒工具を用いる加工に分類できる。
どのように研削が行われるのか加工のしくみや特徴について説明できる。
研削加工の高精度化技術とその社会的意味合いを述べることができる。
14週 ・ 超精密研磨加工〔従来からの研磨法と超精密研磨法〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 固定・遊離砥粒による加工の特徴,完全表面創成の加工メカニズム
研磨加工を砥粒の固定の仕方で分類できる。
研磨加工の高精度化技術とその社会的意味合いを述べることができる。
15週 (期末試験)
16週 ・ 期末試験の返却と解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力0000000
専門的能力70300000100
分野横断的能力0000000