応用創造工学

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 応用創造工学
科目番号 0017 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械・制御システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:田口紘一 ,明石剛二「 精密加工学 (機械系 教科書シリーズ 16 )」(コロナ社) 参考書:伊藤豊次「超精密加工のエッセンス」(日刊工業新聞社)は生産現場でのノウハウの視点から解説。日本機械学会編「生産加工の原理」(日刊工業新聞社)は生産加工全般を網羅的・原理的な視点から解説。初学者の者が機械工作法全般を知るには、鬼鞍宏猷「機械製作要論」(養賢堂)が読みやすい。
担当教員 小西 大二郎

到達目標

学習目的:高精度加工のための工作機械・工具・加工プロセスやそれらの技術について考えることで,超精密加工に関する基礎知識を深化させる。

到達目標
1. 精密加工、超精密加工の適用分野とその社会的意味合いを考える。
2. 超精密加工の定義と精密加工についての知識を理解し、高精度加工のための方策を考える。
3. 機械加工や工作機械について基礎知識を再確認する。
4. 超精密加工のための工作機械の要素設計技術や工具技術を理解する。
5. 金属の切削機構を理解する。
6. 切削/研削/研磨加工の特徴を理解し、超精密加工のための課題を理解する。
7. 複合加工の加工プロセスを理解し、超精密加工の適用例について知識を得る

ルーブリック

不可
評価項目1精密加工,超精密加工の適用分野とその社会的意味合いを述べることができる。精密加工,超精密加工の適用分野とその付加価値を説明できる。精密加工,超精密加工の適用分野とその付加価値を概ね言える。精密加工,超精密加工の適用分野を言えない。
評価項目2超精密加工の定義と精密加工についての知識を理解し,高精度加工のための指針を評価・考察できる。加工単位と工具の大きさの関係から普通加工/超精密加工/微細加工の違いを理解して類別できる。加工単位と工具の大きさの関係から普通加工/超精密加工/微細加工の違いを概ね言える。加工単位と工具の大きさの関係から普通加工/超精密加工/微細加工の違いを言えない。
評価項目3各種工作法を工作物の質量変化の視点から分類し,その特徴を説明できる。  工作機械が変位基準で設計されていることが説明できる。  工作機械・工具・工作物の関係を説明できる。各種工作法を工作物の質量変化の視点から分類し,その特徴を説明できる。  工作機械が変位基準で設計されていることが説明できる。各種工作法を工作物の質量変化の視点から分類し,その特徴を概ね言える。  工作機械が変位基準で設計されていることが概ね言える。各種工作法を工作物の質量変化の視点から分類し,その特徴を言えない。  工作機械が変位基準で設計されていることが言えない。
評価項目4工作機械の要素設計技術や工具技術,除去加工の現象・モデルを説明でき,高精度加工のための方策について評価・考察できる。工作機械の要素設計技術や工具技術,除去加工の現象・モデルを説明できる。工作機械の要素設計技術や工具技術,除去加工の現象・モデルを言える。工作機械の要素設計技術や工具技術,除去加工の現象・モデルを言えない。
評価項目5加工原理から切削/研削/研磨加工の特徴を理解し,超精密加工のための手法や課題を評価・説明できる。加工原理から切削/研削/研磨加工の特徴を説明できる。加工原理から切削/研削/研磨加工の特徴を概ね言える。加工原理から切削/研削/研磨加工の特徴を言えない。
評価項目6切削/研削/研磨加工の加工プロセスを理解し,超精密加工への適用例について説明でき,超精密加工技術の課題について評価・考察できる。切削/研削/研磨加工の加工プロセスを理解し,超精密加工への適用例について説明できる。切削/研削/研磨加工の加工プロセスを理解し,超精密加工への適用例について概ね言える。切削/研削/研磨加工の加工プロセスを理解していないし,超精密加工への適用例についても言えない。
評価項目7複合加工の加工プロセスを理解し,超精密加工の適用例について知識を説明できる。複合加工の加工プロセスを理解し,超精密加工の適用例を説明できる。複合加工の超精密加工への適用例を説明できる。複合加工の超精密加工への適用例を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門  
学習の分野:材料・設計と生産

基礎となる学問分野:工学/機械工学/生産工学・加工学

専攻科学習目標との関連:本科目は専攻科学習目標「(2)材料と構造,運動と振動,エネルギーと流れ,情報と計測・制御,設計と生産・管理,機械とシステムなどの専門技術分野および数学・物理分野、化学・バイオの技術分野の知識を修得し,機械やシステムの設計・製作・運用に活用できる能力を身につける」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(B)専攻分野に関連する知識理解を深化させ,それらを応用することができる」である。

授業の概要:現代の科学技術において精密・超精密加工技術は重要な役割を担っており,他の周辺技術とともに相補的に進化・発展している。本講義では,主に切削・砥粒加工を対象として,精密・超精密加工技術の特徴と機構を概観し,これらが先端技術などに果たす役割について学習する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:プロジェクターを用いて授業を実施する。これまでに修得した機械加工や工作機械に関する知識を確認しながら授業を進める。また,理解を深めるため,授業進度を考えながら適当な時期に演習を課す。

成績評価方法:期末試験に加え中間達成度試験を行う。それぞれの試験の結果を同等に評価する(70%)。試験には,教科書の持込を許可する。授業時間外の学習成果である課題・演習(30%)。
注意点:
履修上の注意:本科目は「授業時間外の学修を必要とする科目」である。当該授業時間と授業時間外の学修を合わせて,1単位あたり45時間の学修が必要である。授業時間外の学修については,担当教員の指示に従うこと。

履修のアドバイス:これまで学習した機械加工や工作機械の知識を必要とする科目である。したがって事前に行う準備学習として,本科で学習した機械加工や工作機械に関する知識を今一度,振り返ってみることを勧めます。機械システム系以外の出身履修学生には力学の復習と機械工作法・機械設計法と材料力学などでの学習内容の自己学習が必要となる。

基礎科目:機械設計法Ⅰ,Ⅱ(機械システム系3,4年),機械工作法(機械システム系2),計測工学(機械システム系4),材料加工学(機械システム系5)など

関連科目:機械・制御システム特別実験(専1年),応用設計工学(専1)など

受講上のアドバイス :本科で学習した知識を基に,加工精度高精度化のための工作機械の要素技術,工具技術,加工技術,制御・計測技術についての知識を総合的に考えること。
遅刻は25分までとし,これを越えるときは欠席と見なす。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
選択

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ・ ガイダンス,超精密加工法が適用される製品

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):○精密さと正確さ,精度の3要素,機能的互換性,寸法公差およびはめあい,幾何公差,表面性状(機械システム系以外の出身者向け)
超精密加工・微細加工の適用分野とその社会的意味合いを述べることができる。
2週 ・ 超精密加工の背景1〔超精密加工とは〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 機能/加工精度の視点からみた工作機械の技術動向(全ての履修学生向け),○除去加工の概要,工作物の形状と工具運動の関係,切削加工のメカニズムとプロセス,被削性,切削工具と工作機械
機械材料の工作方法および工作機械の基礎的な事柄を理解できる。
3週 ・ 超精密加工の背景2〔超精密加工法の種類〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・加工の転写性と分解能の視点からみた超精密加工の技術,○機械加工の加工原理,砥粒加工,固定砥粒加工と遊離砥粒加工,自生作用,研削加工,研削砥石/研削液
各種工作法を,工作物の質量変化の視点から眺め,分類し,その特徴を説明できる。
切削/研削/研磨加工の特徴を転写性・分解能の視点から説明できる。
普通加工/超精密加工/微細加工の違いを理解して類別できる。
4週 ・超精密加工の背景3〔超高精度加工システムの基本技術〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・再現性と超精密加工機の基本技術,○フックの法則,剛性,残留応力,鋳鉄/鋼の熱膨張率(線膨張係数) ,自励振動,防振と制振,数値制御(NC),フィードバック
工作機械の要素技術/工具・加工技術を理解し,高精度加工のための方策について考察できる。
5週 ・超精密切削加工機1〔工作機械の構造と構成要素の役割,構造要素〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・工作機械の基本構成要素と形状創成運動,・ 構造用材料の機械的性質と剛性の関係,○力線,曲げ剛性,ねじり剛性(縦弾性係数/断面2次モーメントと横弾性係数/断面2次極モーメント),1自由度集中定数系モデルの運動方程式,材料特性値と構造材料
工作機械本体の構造を説明できる。
高精度加工を実現するために必要な諸原理や考え方を説明できる。
工作機械の要素技術/工具・加工技術を理解し,高精度加工のための方策について考察できる。
6週 ・超精密切削加工機2〔工作機械の構成要素と工夫-主軸〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 主軸の剛性(軸受構造)と回転精度,案内の剛性と運動精度,高速化,○転がり軸受/すべり軸受(動圧)/静圧軸受(静圧),ニュートンの粘性公式,圧力流れとせん断流れ,連続の式
工作機械の構造や主軸の駆動方式を説明できる。
高精度加工を実現するために必要な諸原理や考え方を説明できる。
工作機械の要素技術/工具・加工技術を理解し,高精度加工のための方策について考察できる。
平面軸受とジャーナル軸受の流体潤滑の原理が説明できる。
静圧軸受と動圧軸受の相違および静圧軸受の原理が説明できる。
7週 ・超精密切削加工機3〔工作機械の構成要素と工夫-直線運動機構〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 直線運動機構の剛性と運動精度・高速化,○サーボ系の要素:サーボモータ,軸継手,ボールねじ/ナット,エンコーダ,リニアスケール
工作機械の構造や案内の駆動方式を説明できる。
高精度加工を実現するために必要な諸原理や考え方を説明できる。
工作機械の要素技術/工具・加工技術を理解し,高精度加工のための方策について考察できる。
8週 (中間達成度試験)
2ndQ
9週 ・中間試験の返却と解答,超精密切削加工用の工具〔超精密切削工具と保持具〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・切削工具に求められる事項,○チャック,マシンバイス,コレットチャック,バイト,セラミックス/超硬合金/高速度工具鋼,硬さ/じん性,摩耗
工作機械の要素技術/工具・加工技術を理解し,高精度加工のための方策について考察できる。
工作機械/工具/加工プロセスについての基礎知識を修得し、超精密加工の技術や課題について考察できる。
刃物の持つべき性質,切削工具材料の条件と種類を説明できる。
切削工具の刃部の摩耗によって生じる現象および工具寿命を説明できる。
10週 ・金属の切削機構1〔切削モデルと切りくず〕
授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・切削加工の現象,○力の分解と合成,力/モーメントのつり合い,延性(破壊)とぜい性(破壊),応力とひずみ,垂直応力とせん断応力,弾性と塑性,加工硬化
切削のしくみと切りくずの形態,切削による熱の発生,構成刃先を説明できる。
除去加工の現象を理解した上で,そのモデルが説明できる。
11週 ・金属の切削機構2〔切削抵抗と単一せん断面モデル加工〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・切削抵抗と単一せん断面モデル,○摩擦角,材料の欠陥(点欠陥,線欠陥(転位),面欠陥(結晶粒界)),すべり(降伏)
工作機械/工具/加工プロセスについての基礎知識を修得し,超精密加工の技術や課題について考察できる。
切削のしくみと切りくずの形態,切削による熱の発生,構成刃先を説明できる。
除去加工の現象論を理解した上で,そのモデルが説明できる。
12週 ・金属の切削機構3〔仕上げ面の粗さ,切削加工で高品質仕上げ面粗さを得る方法と超精密切削機構〕・砥粒加工〔研削加工のモデル、研削加工の課題、従来からの研削加工とその特徴〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・切削条件・工具条件と表面粗さの関係,○真実接触,凝着,熱処理(焼なまし,回復と再結晶),オーステナイト,○確率密度関数,(累積)分布関数,上向き/下向き削り
切削加工の高精度化技術とその社会的意味合いを述べることができる。
加工精度,生産性を上げるための切削工具の工夫を説明できる。
13週 ・超精密研削加工〔超精密研削法〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 砥粒加工の特徴と高精度化への工夫
砥石車の3要素・5因子について説明でき,これらと研削性能の関係から砥石車選定の仕方を説明できる。
研削加工と研磨加工の類似点,相違点を説明できる。
砥粒加工を固定砥粒工具と遊離砥粒工具を用いる加工に分類できる。
研削加工のしくみや特徴について説明できる。
研削加工の高精度化技術とその社会的意味合いを述べることができる。
14週 ・超精密研磨加工〔従来からの研磨法と超精密研磨法〕

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):・ 固定・遊離砥粒による加工の特徴,・完全表面創成の加工メカニズム
研磨加工を砥粒の固定の仕方で分類できる。
研磨加工の高精度化技術とその社会的意味合いを述べることができる。
15週 (期末試験)
16週 ・ 期末試験の返却と解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力0000000
専門的能力70300000100
分野横断的能力0000000