流体力学

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 流体力学
科目番号 0032 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械・制御システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:古川明徳,瀬戸口俊明,林秀千人「流れの力学」(朝倉書店)
担当教員 佐藤 紳二

到達目標

学習目的:流体に関する諸問題や現象を理論的に解析する基礎能力を修得する。

到達目標
1理想流体(完全流体)の力学に関する基礎理論を理解し,これを関連する諸問題に応用できる。
2粘性流体の力学に関する基礎理論を修得する。
3 圧縮性流体の力学に関して,自学に必要な基礎事項を修得する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安良好な到達レベルの目安(良)標準的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1理想流体(完全流体)の力学に関する基礎知識(複素ポテンシャル等)を導出・理解でき,これを複雑な流れに適用・解析できる。理想流体(完全流体)の力学に関する基礎知識(複素ポテンシャル等)が理解できていて,これを用いて基本的な流れを解析できる。理想流体(完全流体)の力学に関する基礎知識(複素ポテンシャル等)が理解できていて,これを説明できる。理想流体(完全流体)の力学に関する基礎知識が理解できていない。
評価項目2粘性流体力学の基礎(相似則,層流と乱流,ナビエ-ストークスの方程式等)の理解に留まらず,これを自ら導出することができ,なおかつ諸問題に適用・応用できる。粘性流体力学の基礎(相似則,層流と乱流,ナビエ-ストークスの方程式等)が理解できていて,これを用いて基本的な流れを解析できる。粘性流体力学の基礎(相似則,層流と乱流,ナビエ-ストークスの方程式等)が理解できていて,これを説明できる。粘性流体の力学に関する基礎知識が理解できていない。
評価項目3圧縮性流体の力学に関して,熱力学との関連性や高速流体の取り扱い等を理解し,これを圧縮性流体の諸問題に適用して,流れを解析できる。圧縮性流体の力学に関して,熱力学との関連性や高速流体の取り扱い等の基礎事項が理解できていて,これを用いて基本的な流れを解析できる。圧縮性流体の力学に関して,熱力学との関連性や高速流体の取り扱い等,自学に必要な最低限の基礎事項が理解できている。圧縮性流体の力学に関して,自学に必要な最低限の基礎事項が理解できていない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
※実務との関係:この科目は民間企業で空調機器の開発や設計を担当していた教員が,その経験を活かし,理想流体・粘性流体の力学と圧縮性流体の力学の基礎について講義形式で授業を行うものである。

一般・専門の別:専門
学習の分野:エネルギーと流れ

必修・選択の別:選択

基礎となる学問分野:工学/機械工学/流体工学

専攻科学習目標との関連:本科目は専攻科学習・教育目標「(2)材料と構造,運動と振動,エネルギーと流れ,情報と計測・制御,設計と生産・管理,機械とシステムなどの専門分野技術の知識を修得し,機械やシステムの設計・製作・運用に活用できる能力を身につける」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化,A-2:「材料と構造」,「運動と振動」,「エネルギーと流れ」,「情報と計測・制御」,「設計と生産・管理」,「機械とシステム」に関する専門技術分野の知識を修得し,説明できること」である。

授業の概要:本科の流体工学では現象の物理的意味を明確にするとともに,水力学的アプローチからの説明を中心とした。これに対して本科目では流体力学的アプローチからの説明を中心とする。具体的には,理想流体(完全流体)および粘性流体の力学に関する基礎式の導出と解説を行う。なお圧縮性流体の力学については熱力学との関連性を概説するに留める。


授業の進め方・方法:
授業の方法:板書を中心に,理想流体および粘性流体の力学に関する基礎式の導出と解説をしながら,授業を進める。可能な限り,教科書の例題について,板書・配布プリントなどを用いて説明する。また,理解が深まるように,レポート課題を課す。

成績評価方法:試験(70%),授業時間外の学習成果(30%)。「試験は原則1回であるが,状況により再試験を行うことがある。再試験は本試験と同等に評価する」。試験には配付資料,自筆ノートと電卓の持ち込みは許可する。
レポート課題は,指定した期日までに必ず提出すること。
注意点:
履修上の注意:本科目は「授業時間外の学習を必修とする科目」である。1単位あたり授業時間として15単位時間開講するが,これ以外に30単位時間の学習が必修となる。これらの学習については担当教員の指示に従うこと。

履修のアドバイス:予備知識として数学の知識がかなり必要とされる(特に複素関数)。良く復習・自学しておくこと。また可能な限り,教科書の例題について説明するが,授業で説明できなかった例題については各自で学習し,理解を深めること。

基礎科目:流体工学(M・S4年),熱力学(M・S4),応用物理Ⅰ(3),数学特論(5)など

関連科目:計算力学(専2年)

受講上のアドバイス:授業時間以外の学習(予習と復習およびレポート課題)は,行なわなければならない。授業で習った知識を身に付けるためにもノートの整理や課題の考察は重要である。定期試験では,ノートの持込を許可するので,基礎事項を除き,暗記中心の学習は必要ない。考え方や内容の理解の修得に重点を置いて学習すること。
なお,遅刻については,各時間の半分を経過するまでは遅刻として扱うが,それ以降は欠課として扱う。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,流体の性質 流体力学の基礎として、粘性等の流体の性質の基礎事項を理解する。
2週 流体粒子の変形,応力と変形速度の関係 流体力学の基礎として、応力と流体粒子の変形に関する基礎事項を理解する。
3週 流体力学の基礎〔質量の保存則,エネルギー保存則〕
授業時間外の学習内容:レポート課題(1)「動水力学の基礎」
質量保存則・エネルギー保存則の基礎を理解する。
4週 非粘性流れの基礎〔流れ関数,速度ポテンシャル,複素ポテンシャル〕 流れ関数・速度ポテンシャルの概念と、これらで構成される複素ポテンシャルについて理解する。
5週 ポテンシャル流れの簡単な例〔一様流,吹き出し・吸い込み〕 一様流、吹き出し・吸込みについて、理想流体としての扱い方(解析法)を理解する。
6週 ポテンシャル流れの簡単な例〔渦〕
授業時間外の学習内容:レポート課題(2)「流れ関数・速度ポテンシャル・複素ポテンシャル」
渦について、理想流体としての扱い方(解析法)を理解する。
7週 ポテンシャル流れの簡単な例〔円柱周りの流れ〕 円柱周りの流れについて、理想流体としての扱い方(解析法)を理解する。
8週 鏡像 理想流体の解析法に関して鏡像法について理解する。
2ndQ
9週 等角写像〔等角写像の証明,写像関数の求め方〕
授業時間外の学習内容:レポート課題(3)「ポテンシャル流れの組み合わせ,鏡像」
理想流体の解析法に関して等角写像について理解する。
10週 等角写像〔等角写像の例,平板翼等の周りの流れ〕 理想流体の解析法に関して等角写像について理解する。
11週 翼理論(揚力・抗力,Blasiusの公式,Kutta-Joukowskiの定理,渦列)
授業時間外の学習内容:レポート課題(4)「円柱・平板翼等の周りの流れ」
翼理論の基礎事項について理解する。
12週 粘性流体力学の基礎(相似則,層流,乱流) 粘性流体の力学の基礎事項について理解する。
13週 境界層・管内流れ
授業時間外の学習内容:レポート課題(5)「平板間・管内流れ」
平板間の流れや管内流れの扱い方(解析法)の基礎を理解する。
14週 圧縮性流体 自学に必要な圧縮性流体の基礎と熱力学との関連を理解する。
15週 期末試験
16週 試験の答案返却と解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価自己評価課題その他合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力0000000
専門的能力70000300100
分野横断的能力0000000