到達目標
学習目的:大規模な工学的現象に関する計算をコンピュータにやらせるには,コンピュータ特有の誤差について理解する必要がある。また,コンピュータの特徴を活かす計算法や一般的な解法がない問題の近似解を求める方法について理解する必要がある。これらの理解を得ることを目的とする。
到達目標
1. コンピュータ上で生じる各種の誤差について理解している。
2.代表的な数値計算法の原理や特徴を説明できる。
ルーブリック
| 優 | 良 | 可 | 不可 |
評価項目1 | 授業で扱った数値表現時に生じる誤差と計算過程で生じる誤差のすべての名前とその特徴を挙げることができる。 | 授業で扱った数値表現時に生じる誤差と計算過程で生じる誤差の名前とその特徴を8割挙げることができる。 | 授業で扱った数値表現時に生じる誤差と計算過程で生じる誤差の名前とその特徴を6割挙げることができる。 | 授業で扱った数値表現時に生じる誤差と計算過程で生じる誤差について,6割未満の名前とその特徴しか挙げることができない。 |
評価項目2 | 授業で扱った代表的な数値計算法すべてについて,その原理や特徴を説明できる。 | 授業で扱った代表的な数値計算法の8割について,その原理や特徴を説明できる。 | 授業で扱った代表的な数値計算法の6割について,その原理や特徴を説明できる。 | 授業で扱った代表的な数値計算法について,6割未満しかその原理や特徴を説明できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
一般・専門の別:専門 学習の分野:情報システム・プログラミング・ネットワーク
基礎となる学問分野:情報科学,情報工学およびその関連分野/高性能計算関連
専攻科学習目標との関連:本科目は専攻科学習目標「(2)電気・電子,情報・制御に関する専門分野技術の知識を修得し,機械やシステムの設計・製作・運用に活用できる。」に相当する科目である。
技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(B)専攻分野に関連する知識理解を深化させ,それらを応用することができる」である。
授業の概要:あらゆる工学分野の技術開発において,シミュレーションは欠くことはできない。シミュレーションでは,工学的現象を記述した様々な数式をコンピュータに計算させる。本科目は,コンピュータ上での計算にまつわる独特の注意点や計算法について理解することを目的としている。
授業の進め方・方法:
授業の方法:授業では,教科書の理解を助けるための説明を,資料や板書を利用しながら行う。演習もできるだけ行う。必要に応じて,教科書にない内容を配付資料に基づいて説明することもある。原則,学習内容ごとに予習課題を提示する。
成績評価方法:2回の試験結果をそれぞれ同等に評価する(70%)。課題に対する取組状況も評価に加える(30%,うち,授業時間外の成果の評価は20%)。再試験は原則行わない。ただし,定期試験の結果をもって単位認定を正当に結論できないと判断した場合には再試験を行い,その結果次第で期末成績を見直すことがありうる。再試験実施にあたっては,状況に応じて受験条件や受験準備の方法などについて指示するので,アナウンスに注意すること。原則として,いずれの試験にも教科書・ノートの持込を許可しないが,状況によっては許可することもありうる。
ルーブリックに基づいて定期試験を作成するが, 定期試験がルーブリックの評価項目を必ずしも網羅しているとは限らない。
注意点:
履修上の注意:本科目は「授業時間外の学修を必要とする科目」である。当該授業時間と授業時間外の学修を合わせて,1単位あたり45時間の学修が必要である。授業時間外の学修については,担当教員の指示に従うこと。事前に行う準備学習として,数学の復習をしておくこと。
履修のアドバイス:コンピュータ・シミュレーション・システムを開発したい学生が,それに必要な基礎的知識を習得する目的に向いた科目である。また,これまでに学んできた数学の知識が強く求められる科目である。
本科目で扱う問題は,本科ではすべて数学においてその解法を学んできたはずのものである。しかし,数学で学んだ解法をそのままコンピュータプログラムとして実現することは一般に困難である。この科目では,本科で受講した各数学系科目において学んだ工学分野でも現れる主要な数学的問題をコンピュータではどのように解くのかを学習する。その上で,その解法で生じる誤差など,コンピュータで解く場合に特有の問題について理解する。
基礎科目:基礎数学Ⅰ(1年),微分積分Ⅰ(2), 基礎線型代数(2),微分積分Ⅱ(3),応用数学Ⅱ(電気4,情報4),プログラミングⅠ(情報1),プログラミングⅡ(情報2),プログラミング言語(情報3),電子・情報システム特別実験(専1年)等
受講上のアドバイス:授業開始前に行う出席確認に遅れた者は遅刻として扱う。2遅刻で1欠課(1回分の授業)として扱う。今まで学習した微分積分,線型代数など,数学の知識がベースとなっているので,それらのテキストやノートを適宜,参照できるようにしておくこと。また,予習課題は授業時間外の学習の主たる内容となるので,手を抜かずしっかりと取り組むこと。この取り組みにより,内容の理解度がかなり向上するはずである。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
講義内容のガイダンス |
講義の位置づけを理解する。
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2週 |
誤差 |
コンピュータ上での数値の表現方法が誤差に関係していることを理解している。 コンピュータ上で数値計算を行う際に発生する誤差の影響を理解している。
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3週 |
方程式①(二分法,ニュートン法) (授業時間外:次回内容の予習と宿題) |
二分法を説明できる。 ニュートン法を説明できる。 コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。
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4週 |
方程式②(ベアストウ法) (授業時間外:次回内容の予習と宿題) |
ベアストウ法を説明できる。 コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。
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5週 |
連立1次方程式①(ガウスージョルダン法) (授業時間外:次回内容の予習と宿題) |
ガウスージョルダン法を説明できる。 コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。
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6週 |
連立1次方程式②(ガウスーザイデル法) (授業時間外:次回内容の予習と宿題) |
ガウスーザイデル法を説明できる。 コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。
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7週 |
関数補間と近似式①(ラグランジュの補間法) (授業時間外:次回内容の予習と宿題) |
ラグランジュの補間法を説明できる。 コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。
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8週 |
(後期中間試験) |
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2ndQ |
9週 |
後期中間試験の答案返却と解答解説,関数補間と近似式②(最小2乗法) (授業時間外:次回内容の予習と宿題) |
自分の知識を点検し、改善する。 最小2乗法を説明できる。 コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。
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10週 |
数値積分(台形公式,シンプソンの公式) (授業時間外:次回内容の予習と宿題) |
台数公式を説明できる。 シンプソンの公式を説明できる。 コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。
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11週 |
常微分方程式(オイラーの前進公式,ルンゲークッタの公式) (授業時間外:次回内容の予習と宿題) |
オイラーの前進公式を説明できる。 ルンゲ-クッタの公式を説明できる。 コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。
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12週 |
偏微分方程式①(放物型) (授業時間外:次回内容の予習と宿題) |
放物型偏微分方程式の解法を説明できる。 コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。
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13週 |
偏微分方程式②(双曲型,楕円型) (授業時間外:次回内容の予習と宿題) |
双曲型偏微分方程式の解法を説明できる。 楕円型偏微分方程式の解法を説明できる。 コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。
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14週 |
逆行列 |
逆行列の求め方を説明できる。 コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。
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15週 |
(後期末試験) |
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16週 |
後期末試験の答案返却と解答解説 |
自分の知識を点検し、改善する。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 自己評価 | 課題 | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 0 | 0 | 0 | 30 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 70 | 0 | 0 | 0 | 30 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |