到達目標
学習目的:「良いものを早く安く作る」ことは機械技術者に与えられた一つの命題である。このため,各種工作法の基本特性に関する知識に基づき,適切で合理的な工程計画が立案できる能力が求められる。機械加工に際して,適切で合理的なもの作りの手段が選択でき,さらに適切な加工条件が設定できる能力を身に付ける。
到達目標:
1. 機械材料の工作方法および工作機械の基礎的な事柄を理解できる。
2.除去加工の現象論を理解した上で,そのモデルが説明できる。
3.除去加工の基本特性に関する知識に基づき,工作機械や加工条件選択の指針が示せる。
4.加工中のトラブル(例えば,仕上げ面粗さが悪い,びびりが生ずるなど)に対して,合理的な解決手段の指針が示せる。
ルーブリック
| 優 | 良 | 可 | 不可 |
評価項目1
機械材料の工作方法および工作機械の基礎的な事柄を理解できる。 | 切削加工の加工原理が説明でき,かつ切削工具・工作物,工作機械の運動から工作物形状創出のメカニズムを説明できる。 | 切削加工の加工原理が説明できる。
工作機械・工具・工作物の関係を説明できる。
| 切削加工の加工原理が説明できる。 | 左記に達していない。 |
評価項目2
除去加工の現象論を理解した上で,そのモデルが説明できる。 | 切削現象の仕組みとそのモデルを理解し,切りくずの形態,切削抵抗,切削による熱の発生を説明できる。 | 除去加工の現象を理解した上で,そのモデルが説明できる。 | 除去加工の現象を説明できる。 | 左記に達していない。 |
評価項目3
除去加工の基本特性に関する知識に基づき,工作機械や加工条件選択の指針が示せる。 | 除去加工の基本特性に関する知識に基づき,工作機械や加工条件選択の指針が示せる。 | 工作物の形状,品質,コスト,加工時間との関係で工作機械や加工条件が決定されることを説明できる。 | 加工条件を選択することができる。 | 左記に達していない。 |
評価項目4
加工中のトラブル(例えば,仕上げ面粗さが悪い,びびりが生ずるなど)に対して,合理的な解決手段の指針が示せる。
| 加工条件による工作物の加工精度との変化,加工条件と材料特性との変化との関係を説明できる。加工精度,生産性を向上させるための,合理的な解決手段の指針が示せる。 | 加工条件による工作物の加工精度との変化,加工条件と材料特性との変化との関係を説明できる。 | 加工条件と工作物の加工精度との関係を説明できる。 | 左記に達していない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
一般・専門の別:専門 学習の分野:設計と生産
必修・履修・履修選択・選択の別:履修
基礎となる学問分野:工学/機械工学/生産工学・加工学
学科学習目標との関連:本科目は機械工学科学習目標「(2)エネルギーと流れ,材料と構造,運動と振動,設計と生産・管理,情報と計測・制御,機械とシステムに関する専門技術分野の知識を修得し,工学現象の解析や機械の設計・製作に応用できる能力を身につける。」に相当する科目である。
技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化,A-2:「材料と構造」,「運動と振動」,「エネルギーと流れ」,「情報と計測・制御」,「設計と生産・管理」,「機械とシステム」に関する専門技術分野の知識を修得し,説明できること」である。
授業の概要:生産技術は人々の暮らしや経済活動に対して大きな役割を担い,その巧拙により企業経営などに重大な損害をもたらすこともある。授業では除去加工(工作機械を用いての加工)を主として扱い,機械工学を学ぶ技術者の基本的な素養として各種工作法およびその原理・特徴,さらには工作機械の基礎理論を学ぶ。加えて,実験実習で得た知識をもとに,加工技術とそれらの意義についても概説する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:板書を中心に,実験実習で学習した事項との関連に注意しながら授業を進める。また,理解が深まるよう学習の進度にあわせて,演習指導をする。
成績評価方法:4回の定期試験の結果をそれぞれ同等に評価する(70%)。試験には,教科書・ノートの持込を許可しない。演習(30%)。再試験は実施しない。
注意点:
履修上の注意:なし
履修のアドバイス:実験実習や身の回りの工業製品と講義内容対応させながら復習し,興味・関心を持ち理解を深めること。
基礎科目:機械工作法Ⅰ(2年),工業材料(2年),機械工学実験実習Ⅰ~Ⅲ(1~3年)
関連科目:機械工学実験実習Ⅳ(4年),工作機械(5年),精密加工学(専1年)
受講上のアドバイス:「工作法」は,機械工学を学ぶ技術者の基本的な素養として,技術用語の理解や工作の原理・特徴の理解は必修である。設計と製造,それぞれの関係を念頭におき学習を進めてほしい。
遅刻は15分までとし,これを越えるときは欠席と見なす。
連絡担当教員:佐伯・総合理工学科機械システム系
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
• ガイダンス,加工法の概観〔加工法の歴史,加工法の種類,加工法の選択と評価〕 |
それぞれ,以下の内容について理解する。 ・加工法の種類と選択
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2週 |
• 切削加工法1:〔切削加工の特徴,切削加工と砥粒加工〕 |
・切削加工の原理 ・切削加工と砥粒加工
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3週 |
• 切削加工法1:〔切削加工用工作機械の種類,汎用機から複合機まで〕 |
・旋盤やフライス盤などの切削用工作機械の種類と構造・動作機構
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4週 |
• 切削加工法2:切削工具〔切削工具用材料とその選択指標,切削油剤〕 |
・切削工具用材料 ・切削油剤
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5週 |
• 切削加工の基礎1:〔切削という現象,切削の様式〕 |
・2次元切削 ・傾斜切削 ・3次元切削
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6週 |
• 切削加工の基礎1:〔切りくず形態,切削比〕 |
・切りくず形態 ・切削比
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7週 |
• 切削加工の基礎1:〔せん断角とせん断ひずみ,構成刃先〕 |
・せん断角 ・構成刃先
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8週 |
(前期中間試験) |
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2ndQ |
9週 |
• 前期中間試験の返却と解答解説,切削加工の基礎2〔切削抵抗力に関する基礎〕 |
・切削抵抗の3分力
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10週 |
• 切削加工の基礎2〔切削抵抗力に関する基礎〕 |
・主分力 ・背分力 ・送り分力
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11週 |
• 切削加工の基礎2〔単一せん断面切削理論1〕 |
・2次元切削における切削抵抗
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12週 |
• 切削加工の基礎2〔単一せん断面切削理論2〕 |
・準2次元切削における切削抵抗
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13週 |
• 切削加工の基礎3〔せん断角に関する理論と実験式〕 |
・最大せん断応力説 ・最小仕事説
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14週 |
• 切削加工の基礎4〔切削熱と切削温度,加工精度〕 |
・切削熱 ・切削温度 ・加工精度
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15週 |
前期末試験 |
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16週 |
• 前期末試験の返却と解答解説,前期のまとめ |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
• 切削加工の基礎5〔切削仕上げ面粗さ〕 |
・理論粗さ ・仕上げ面粗さを決める要因
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2週 |
• 切削加工の基礎6〔加工変質層,切削工具の損耗〕 |
・加工変質層 ・工具の損耗
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3週 |
• 切削加工の基礎6〔工具寿命,工具摩耗機構〕 |
・工具寿命 ・テーラーの寿命方程式
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4週 |
• 切削加工の基礎6〔びびり振動,切りくずの形状・処理〕 |
・びびり振動 ・切りくず形状
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5週 |
• 生産技術としての切削〔被削性,切削条件の選定〕 |
・被削性指数 ・切削条件の選定
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6週 |
• 切削工具〔切削工具に必要な性質と種類〕 |
・切削工具材料の種類・特性 ・バイト・ドリルの種類 ・刃部の名称・形状
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7週 |
• 特殊な切削法〔加熱切削,冷却切削〕 |
・加熱切削 ・冷却切削 ・振動切削
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8週 |
(後期中間試験) |
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4thQ |
9週 |
• 後期中間試験の返却と解答解説,砥粒加工と砥粒〔砥粒加工の特徴,砥粒の種類〕
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・砥粒加工 ・粒度
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10週 |
• 研削加工の基礎〔砥石,研削盤,ドレッシングとツルーイング〕 |
・砥石の3要素・5因子 ・円筒研削と平面研削 ・ドレッシングとツルーイング
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11週 |
• 研削加工の基礎〔研削の特徴,砥石の自生作用,研削抵抗〕 |
・研削加工の原理 ・砥石の自生作用 ・研削抵抗
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12週 |
• 研削加工の基礎〔仕上げ面粗さ,研削焼け,加工変質層〕 |
・仕上げ面粗さ ・研削焼け,研削割れ
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13週 |
• 研磨加工法〔ホーニングと超仕上げ,ラッピング〕 |
・ホーニング ・超仕上げ ・ラッピング
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14週 |
・特殊加工法〔 熱的除去加工,化学的・電気的除去加工〕 |
・レーザー加工 ・放電加工 ・電解加工
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15週 |
(後期末試験) |
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16週 |
• 学年末試験の返却と解答解説,まとめ |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 工作 | 切削加工の原理、切削工具、工作機械の運動を説明できる。 | 3 | |
バイトの種類と各部の名称、旋盤の種類と構造を説明できる。 | 3 | |
フライスの種類と各部の名称、フライス盤の種類と構造を説明できる。 | 3 | |
ドリルの種類と各部の名称、ボール盤の種類と構造を説明できる。 | 3 | |
切削工具材料の条件と種類を説明できる。 | 4 | |
切削速度、送り量、切込みなどの切削条件を選定できる。 | 4 | |
切削のしくみと切りくずの形態、切削による熱の発生、構成刃先を説明できる。 | 4 | |
研削加工の原理、円筒研削と平面研削の研削方式を説明できる。 | 3 | |
砥石の三要素、構成、選定、修正のしかたを説明できる。 | 4 | |
ホーニング、超仕上げ、ラッピングなどの研削加工を説明できる。 | 4 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 0 | 0 | 0 | 0 | 30 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 70 | 0 | 0 | 0 | 0 | 30 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |