機械工学演習

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 機械工学演習
科目番号 0027 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:基礎科目で用いたテキストなど
担当教員 小西 大二郎

到達目標

学習目的: 具体的な工学の演習問題に数多く取り組み,機械工学の基礎となる力学の理解を深め,またそれを応用して工学の問題を解く能力を習得する。

到達目標
1. 製図に関する基礎的な事項を理解している。
2. 機構学・機械要素設計に関する基礎的な事項を理解している。
3. 工業力学に関する基礎的な諸問題を解くことができる。
4. 工業材料に関する基礎的な事項を理解している。
5. 工作法に関する基礎的な事項を理解している。
6. 材料力学に関する基礎的な諸問題を解くことができる。
7. 機械力学に関する基礎的な諸問題を解くことができる。
8. 制御工学に関する基礎的な諸問題を解くことができる。
9. 流体力学に関する基礎的な諸問題を解くことができる。
10. 熱力学に関する基礎的な諸問題を解くことができる。

ルーブリック

不可
製図に関する基礎的な事項を理解している。公差・はめあい・表面性状の意味を説明でき,図面に書き入れることができる。製作図について機械製図規格に基づいた基本的なかき方を理解している。図面からその立体に,あるいは立体からその図面に正しく概ね再現できる。図面からその立体に,あるいは立体からその図面に正しく再現できない。
機構学・機械要素設計に関する基礎的な事項を理解している。 ねじの締め付けトルク,伝動装置の動力等に関する計算ができる。ねじ,歯車,カム,リンクの種類・構造・寸法等に関する基礎的な問題を解くことができる。機械装置の構成要素(リンク,摩擦伝導装置,歯車,カム)の特徴を概ね言える。機械装置の構成要素(リンク,摩擦伝導装置,歯車,カム)の特徴を言えない。
工業力学に関する基礎的な諸問題を解くことができる。直線運動と回転運動を組み合わせた剛体の平面運動に関する問題を解くことができる。剛体の回転運動に関する基礎的な問題を解くことができる。質点・剛体に働く力のつりあいおよび平面運動に関する基礎的な問題を概ね解くことができる。質点・剛体に働く力のつりあいおよび平面運動に関する基礎的な問題を解くことができない。
工業材料に関する基礎的な事項を理解している。金属材料の熱処理方法と効果,代表的な材料試験法について説明できる。代表的な工業材料の性質・用途を説明できる代表的な工業材料の性質・用途を概ね言える。代表的な工業材料の性質・用途を言えない。
工作法に関する基礎的な事項を理解している。材料と加工内容に応じて,工作法と工具を適切に選ぶことができる。代表的な工作法の原理と特徴を説明できる。また,代表的な計測法を説明できる。代表的な工作法および計測法を概ね言える。代表的な工作法および計測法を言えない。
材料力学に関する基礎的な諸問題を解くことができる。段付き棒に作用する力・モーメントや断面情報に関する問題を解くことができる。はりのせん断力・曲げモーメント・反力に関する基礎的な問題を解くことができる。引張と圧縮を受ける材料に生じる応力とひずみを概ね計算できる。引張と圧縮を受ける材料に生じる応力とひずみを計算できない。
機械力学に関する基礎的な諸問題を解くことができる。振動系の運動方程式を解くことができ,解の物理的な意味(固有振動数,振幅,周期等)を説明できる。機械の振動および調和振動について説明できる。 基礎的な振動系の運動方程式を導くことができる。周期,振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。周期,振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができない。
制御工学に関する基礎的な諸問題を解くことができる。フィードバック制御系の過渡応答とその評価パラメータを説明できる。ブロック線図とその等価変換が理解できる。自動制御の定義と種類を説明できる。 フィードバック制御系の要素や信号の流れを説明できる。自動制御の定義と種類を 言えない。フィードバック制御系の要素や信号の流れを言える。自動制御の定義と種類を 言えない。 フィードバック制御系の要素や信号の流れを言えない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門 学習の分野:設計と生産・管理
必修・履修・履修選択・選択の別:履修選択
基礎となる学問分野:工学/機械工学/機械材料・材料力学・加工学・設計工学・機械機能要素・流体工学・熱工学・機械力学・制御

学科学習目標との関連:本科目は機械工学科学習目標「(2) エネルギーと流れ,材料と構造,運動と振動,設計と生産・管理,情報と計測・制御,機械とシステムに関する専門技術分野の知識を修得し,工学現象の解析や機械の設計・製作に応用できる能力を身につける。」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化,A-2:「「材料と構造」,「運動と振動」,「エネルギーと流れ」,「情報と計測・制御」,「設計と生産・管理」,「機械とシステム」に関する専門技術分野の知識を修得し,説明できること。」である。

授業の概要:機械工学において基礎となる科目の演習問題に取り組む。出題する演習問題は,基礎的なものから,応用力を必要とするものを準備する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:本科目は演習を中心に行うが,必要に応じて解説を行う。演習問題を出題する場合は,各自問題を解いた後に提出する。解答の解説は原則として学生が行う。各自問題を解くと共に,板書して説明ができるように理解を深めること。

成績評価方法:分野ごとに行われる小テストまたは定期試験(70%),演習問題の提出及び解答の解説(30%)。
注意点:
履修上の注意:なし

履修のアドバイス:本科目では,演習問題を解くことが中心となるため,就職試験,資格試験,専攻科,大学への編入試験の対策にもつながる。

基礎科目:工業材料(2年),機械設計製図Ⅰ~Ⅲ(1~3),機械工作法Ⅰ(2),工業力学(3),材料力学Ⅰ,Ⅱ(3),機構学(3)など

関連科目:材料力学Ⅲ(4年),流体工学Ⅰ,Ⅱ(4),熱力学Ⅰ,Ⅱ(4),機械工作法Ⅱ(4),制御工学Ⅰ,Ⅱ(4,5),流体機械(5),熱機関(5),伝熱工学(5),機械力学(5),流体力学(専2)など

受講上のアドバイス:本科目は講義で学んだことを応用する場である。自ら考え,自らの手で問題解決を図る努力をすること。わからないところは友人,教員に積極的に質問し,十分かみ砕いた上で再度問題に挑戦してみること。各時限の半分を越える遅刻は当該時限を欠課とみなす。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 • ガイダンス,製図 機械製図における投影法として第三角法を理解し,立体を投影図に,投影図を立体に表現できる。
図面をわかりやすく表すための図形の省略・断面図や寸法の記入法について理解している。
製品の表面性状・寸法公差・はめあい・幾何公差など製品の幾何特性に関する用語や表示方法を理解している。
2週 • 製図 同上
3週 • 機構学 機構の動きを理解し,機械装置の構成要素(リンク,摩擦伝動装置,歯車,カム)の特徴を言える。
伝動機構の動作の原理,運動について理解している。
伝動装置の動力等に関する計算ができる。
ねじ,軸,歯車,カム,リンクの種類・構造・寸法等に関する基礎的な問題を解くことができる。
ねじの締め付けトルクに関する計算ができる。
4週 • 機構学 同上
5週 • 工業力学 静力学では,力のつり合い,モーメントのつり合いから物体の作用している力を求めることができる。
6週 • 工業力学 同上
7週 • 機械要素設計 機構の動きを理解し,機械装置の構成要素(リンク,摩擦伝動装置,歯車,カム)の特徴を言える。
伝動機構の動作の原理,運動について理解している。
伝動装置の動力等に関する計算ができる。
ねじ,軸,歯車,カム,リンクの種類・構造・寸法等に関する基礎的な問題を解くことができる。
ねじの締め付けトルクに関する計算ができる。
8週 • 工業材料 各種材料の基本的特性について理解している。
代表的な工業材料の性質・用途を説明できる。
設計における材料選択において,材料の特徴とその位置づけを,機械的性質,密度,用途などの観点から理解している。
鉄鋼材料を利用できる基礎知識を有している。
鉄鋼材料の材料記号とその意味,熱処理方法とその効果について説明できる。
材料試験の種類と評価方法について理解している。
代表的な材料試験法について説明できる。
2ndQ
9週 • 工業材料 同上
10週 • 工作法 各種工作法とその結果得られる加工精度との関係を理解している。
代表的な工作法の原理と特徴を説明できる。
代表的な計測法を説明できる。
工作物の特徴や材料から,工作法と工具が適切に選択できる。
11週 • 工作法 同上
12週 • 材料力学 引張,圧縮,せん断に関するフックの法則を理解している。
引張と圧縮を受ける材料に生じる応力とひずみを概ね計算できる。
応力・ひずみが何かを理解しておく。
熱応力について理解しておく。
真直はりの曲げに関するSFD, BMDが描ける。
曲げ剛性である EI を求める I,および曲げ応力を求める Z を理解しておく。
ねじり剛性である GIp を求める。 Ip,およびせん断応力を求める Zp を理解しておく。
13週 • 材料力学 同上
14週 • 材料力学 同上
15週 • 総合演習
16週
後期
3rdQ
1週 ・機械力学
剛体の動力学
機械力学に登場する剛体の運動を理解し,並進運動と回転運動の運動方程式を立てられること。
2週 ・機械力学
フックの法則、単振動
フックの法則に基づいてばねに繋がれた物体の運動を理解し,単振動運動を記述できること。
3週 ・機械力学
総合問題
滑車やばねを組み合わせた系について、運動方程式とエネルギー保存の式が立てられること。
4週 ・制御工学
制御工学の基礎
制御工学の基本事項について理解し,登場する語句の意味を理解すること。
5週 ・制御工学
ブロック線図、伝達関数
フィードバック回路などの種々のブロック線図の伝達関数を求め,記述できること。
6週 ・制御工学
伝達関数とラプラス変換
ラプラス変換を用いて複雑な微分方程式を解くことができ,伝達関数から入出力を計算できること。
7週 ・流体力学
静止流体
パスカルの原理,アルキメデスの原理を理解し,静止流体のゲージ圧・絶対圧を求められること。
8週 ・流体力学
連続の式、ベルヌーイの定理
運動する流体の連続の式とベルヌーイの式を組み合わせてピトー管などの現象を理解すること。
4thQ
9週 ・流体力学
運動量の法則
検査面における流体の運動量の法則を理解し,噴流が壁面に及ぼす力の大きさを計算できること。
10週 ・流体力学
管内、管路内損失
管内,管路内における種々のエネルギー損失を把握し,修正ベルヌーイの式で問題が解けること。
11週 ・熱力学
熱力学の基礎
熱力学の基礎について理解し,温度,熱量,比熱,気体の状態方程式を適切に扱えること。
12週 ・熱力学
熱力学第一法則
熱力学第一法則を理解し,閉じた系と開いた系に適用して問題が解けること。
13週 ・熱力学
理想気体の状態変化
各理想気体の比熱を導出し,等温,等圧,等積過程における状態変化を記述できること。
14週 ・熱力学
各種熱機関とその熱効率
カルノー,オットー,ディーゼル,ランキンサイクルを理解し,熱効率を計算できること。
15週 ・総合演習
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。3
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。3
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。3
力のモーメントの意味を理解し、計算できる。3前5
偶力の意味を理解し、偶力のモーメントを計算できる。3
着力点が異なる力のつりあい条件を説明できる。3
重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。3
速度の意味を理解し、等速直線運動における時間と変位の関係を説明できる。3
加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。3
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。3
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。3
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。3
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。3
向心加速度、向心力、遠心力の意味を理解し、計算できる。3
仕事の意味を理解し、計算できる。3
てこ、滑車、斜面などを用いる場合の仕事を説明できる。3
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。3
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。3
動力の意味を理解し、計算できる。3
すべり摩擦の意味を理解し、摩擦力と摩擦係数の関係を説明できる。3
運動量および運動量保存の法則を説明できる。3
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。3
平板および立体の慣性モーメントを計算できる。3
荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。3
応力とひずみを説明できる。3
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。3
許容応力と安全率を説明できる。3
両端固定棒や組合せ棒などの不静定問題について、応力を計算できる。3
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。3
引張荷重や圧縮荷重が作用する棒の応力や変形を計算できる。3
はりの定義や種類、はりに加わる荷重の種類を説明できる。3
はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。3
各種の荷重が作用するはりのせん断力線図と曲げモーメント線図を作成できる。3
曲げモーメントによって生じる曲げ応力およびその分布を計算できる。3
各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。3
各種のはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。3
振動の種類および調和振動を説明できる。3
不減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。3
熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。3
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。3
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。3
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。3
パスカルの原理を説明できる。3
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。3
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。3
物体に作用する浮力を計算できる。3
定常流と非定常流の違いを説明できる。3
流線と流管の定義を説明できる。3
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。3
オイラーの運動方程式を説明できる。3
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。3
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。3
熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。3
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。3
熱力学の第一法則を説明できる。3
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。3
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。3
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。3
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。3
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。3
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。3
工作鋳物の作り方、鋳型の要件、構造および種類を説明できる。3
精密鋳造法、ダイカスト法およびその他の鋳造法における鋳物の作り方を説明できる。4
鋳物の欠陥について説明できる。4
溶接法を分類できる。3
ガス溶接の接合方法とその特徴、ガスとガス溶接装置、ガス溶接棒とフラックスを説明できる。4
アーク溶接の接合方法とその特徴、アーク溶接の種類、アーク溶接棒を説明できる。4
サブマージアーク溶接、イナートガスアーク溶接、炭酸ガスアーク溶接で用いられる装置と溶接のしくみを説明できる。4
塑性加工の各加工法の特徴を説明できる。3

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力0000000
専門的能力70300000100
分野横断的能力0000000