機械工学実験実習Ⅴ

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 機械工学実験実習Ⅴ
科目番号 0067 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 指導書:別途配布する参考書:古浜・神本・金・大聖著「エンジンの辞典」(朝倉書店),廣安・寳諸・大山著「内燃機関」(コロナ社),実践教育研究会編「機械工学基礎実験」(工業調査会),原田著「流体機械」(朝倉書店),須藤・長谷川・白樫著「流体の力学」(コロナ社),中島・塚本著「知的な科学・技術文章の書き方」(コロナ社),報告書作成の手引き(津山高専機械工学科)
担当教員 小西 大二郎,井上 浩行,佐伯 文浩,加藤 学

到達目標

学習目的:実験課題を通して基礎知識・技術の理解を深化させると共に,実験の遂行能力,結果に対する考察能力,論理的思考能力,説明能力を養う。

到達目標:
◎ 実験結果を理解し,論理的に説明できる。
◎ 報告書の様式を理解し,簡潔な報告書を作成できる。
◎ 結論を導き出す過程におけるディスカッションにより,共同実験者とコミュニケーションをとり,チームワークを図ることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安到達レベルの目安(可)到達レベルの目安(不可)
評価項目1実験結果を考察し,実験の目的・内容と関係付けて,論理的かつ的確に説明できる。実験の目的と内容を理解し,実験結果を論理的に説明できる。実験の目的と内容を概ね理解し,実験結果を説明できる。左記に達しない。
評価項目2報告書の様式を十分に理解して,必要な情報を不足なく盛り込んだ報告書を作成し,定められた期限内に提出できる。報告書の様式を理解して,最低限の情報を盛り込んだ報告書を作成し,定められた期限内に提出できる。報告書の様式を概ね理解して,最低限の情報を盛り込んだ報告書を作成し,定められた期限内に提出できる。左記に達しない。
評価項目3指導書と自らの知識に基づき,共同実験者との協働の下,実験機器を適切に利用して実験を行うことができる。指導教員に質問しながら,共同実験者との協働の下,実験機器を適切に利用して実験を行うことができる。指導教員に質問しながら,共同実験者との協働の下,実験機器を利用して実験を概ね行うことができる。左記に達しない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
※実務との関係:この科目は,機械工学の基盤となる各項目について実験形式で授業を行うものである。熱工学実験は,企業で燃焼施設の排ガス測定や温泉水発電実証事業に従事していた教員が担当する。

一般・専門の別:専門
学習の分野:実験・実習

必修・履修・履修選択・選択の別:必修

基礎となる学問分野:工学/機械工学

学科学習目標との関連:本科目は機械工学科学習目標「(3)設計製図,実験・実習等の体験的学習を通じて,知識理解を深化させると同時に,実験の遂行能力,データの解析能力および考察能力を身につける。」「(4)自発的学習を含む科目の学習を通じ,創造的,主体的,積極的にモノつくりに取り組み,学んだ技術・知識を具体的なモノつくりに応用できる能力を身につける。」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化,A-3:実験・実習をとおして,技術に関する基礎知識の理解を深めるとともに,関連した技能や手法を修得し,説明できること」であるが,付随的には「D-1」,「D-3」,「F-1」にも関与する。

授業の概要:今まで学習した専門科目の知識を実験実習により確認し,理解を深めるために実施する。また,実験計画,実験装置の準備・操作,データ収集・解析,ディスカッション,報告書の作成,質疑応答といった一連の作業を通して,目的達成能力や他者と協働して組織的に研究・実務を遂行する能力を身に付ける。
授業の進め方・方法:
授業の方法:本科目は前期に集中して開講する。クラスを4グループに分けて4テーマの実験(熱工学,精密測定,流体力学,機械学)を巡回して実施する。各担当教員の指導の下,グループで組織的に実験に取り組み,議論を行う。実験後は,データ整理,文献調査,考察を行い,報告書を作成して提出する。提出後,担当教員から適宜口頭試問が行われる。

成績評価方法:各テーマにおいて報告書の評価(70%),口頭試問の結果(30%)とし,4テーマの平均により成績評価を行う。ただし,全報告書の提出を必須とする。報告書の提出期限は特別の指示がない限り,各テーマが終了した2週間後とする。遅刻の成績への反映は,各テーマのガイダンスで説明する。
注意点:
履修上の注意:本科目は実技を主とする科目であるので,学年の課程修了のためには履修(欠席時間数が所定授業時間数の5分の1以下)・修得が必須である。

履修のアドバイス:基礎科目で習った内容を充分に復習しておくと共に,関連科目と随時関連付けながら理解を深めることが望ましい。

基礎科目:数学・物理全般,機械工学実験実習I~IV(1~4年),熱力学I,II(4),流体工学I,II(4)など
関連科目:熱機関(5年),伝熱工学(5),流体機械(5),機械力学(5),卒業研究(5),特別実験(専1),特別研究I,II(専1,2)など

受講上のアドバイス:実技を伴う科目であるので遅刻や欠課をしないこと。実験にあたっては,現象を注意深く観察・探求する態度で臨むこと。なお,結果の記述のみで考察が不足する報告書は再提出となるので,必ず担当教員の中間確認を受けること。午前,午後共に10分を超えて遅刻した場合には欠課とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 以下に第1グループの授業計画を示す.
ガイダンス(全グループ共通)
熱工学(ディーゼルエンジンの性能試験)
熱力学実験を行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。
2週 熱工学(熱交換器の特性試験) 熱力学実験を行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。
3週 熱工学(熱電素子の発電特性試験) 熱力学実験を行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。
4週 精密測定(真円度の測定) 精密測定実験を行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。
5週 精密測定(平面度の測定) 精密測定実験を行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。
6週 精密測定(周波数特性の測定) 精密測定実験を行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。
7週 報告書の整理(全グループ共通) 実験の内容をレポートにまとめることができ、口頭でも説明できる。
8週 流体工学(管路抵抗測定,流量測定,遠心ポンプの性能試験) 流体力学実験を行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。
2ndQ
9週 流体工学(円柱周りの圧力分布および抗力測定) 流体力学実験を行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。
10週 流体工学(実験結果についてのプレゼンテーションおよび結果及び考察の検討) 流体力学実験を行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。
11週 機械学(歯車の解析) 機械学実験を行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。
12週 機械学(ねじの測定と強度) 機械学実験を行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。
13週 機械学(トライボロジー実験:傾斜平面軸受の性能) 機械学実験を行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。
14週 報告書の整理(全グループ共通) 実験の内容をレポートにまとめることができ、口頭でも説明できる。
15週 報告書の整理(全グループ共通) 実験の内容をレポートにまとめることができ、口頭でも説明できる。
16週
後期
3rdQ
1週
2週
3週
4週
5週
6週
7週
8週
4thQ
9週
10週
11週
12週
13週
14週
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。4
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。4
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。4
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。4
パスカルの原理を説明できる。4
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。4
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。4
物体に作用する浮力を計算できる。4
定常流と非定常流の違いを説明できる。4
流線と流管の定義を説明できる。4
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。4
オイラーの運動方程式を説明できる。4
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。4
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。4
層流と乱流の違いを説明できる。4
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。4
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。4
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。4
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。4
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。4
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。4
熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。4
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。4
熱力学の第一法則を説明できる。4
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。4
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。4
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。4
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。4
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。4
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。4
熱力学の第二法則を説明できる。4
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。4
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。4
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。4
サイクルをT-s線図で表現できる。4
計測制御計測の定義と種類を説明できる。4
測定誤差の原因と種類、精度と不確かさを説明できる。4
国際単位系の構成を理解し、SI単位およびSI接頭語を説明できる。4
代表的な物理量の計測方法と計測機器を説明できる。4
分野別の工学実験・実習能力機械系分野【実験・実習能力】機械系【実験実習】実験・実習の目標と心構えを理解し、実践できる。4
災害防止と安全確保のためにすべきことを理解し、実践できる。4
レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。4
ノギスの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4
ダイヤルゲージ、ハイトゲージ、デプスゲージなどの使い方を理解し、計測できる。4
けがき工具を用いてけがき線をかくことができる。4
やすりを用いて平面仕上げができる。4
ねじ立て工具を用いてねじを切ることができる。4
アーク溶接の原理を理解し、アーク溶接機、アーク溶接器具、アーク溶接棒の扱い方を理解し、実践できる。4
アーク溶接の基本作業ができる。4
旋盤主要部の構造と機能を説明できる。4
旋盤の基本操作を習得し、外丸削り、端面削り、段付削り、ねじ切り、テ―パ削り、穴あけ、中ぐりなどの作業ができる。4
ボール盤の基本操作を習得し、穴あけなどの作業ができる。4
加工学実験、機械力学実験、材料学実験、材料力学実験、熱力学実験、流体力学実験、制御工学実験などを行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。4
実験の内容をレポートにまとめることができ、口頭でも説明できる。4

評価割合

報告書口頭試問相互評価課題ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力0000000
専門的能力000000
分野横断的能力70300000100