メカトロニクス

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 メカトロニクス
科目番号 0068 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 安田仁彦監修「入門電子機械」(コロナ社)
担当教員 西川 弘太郎

到達目標

学習目的:機械の高機能化などを手がける機械技術者として必要となるメカトロニクスや自動化の技術について基礎的な知識を修得すること。

到達目標:
1.機械伝動機構について理解し説明できる。
2.センサについて理解し説明できる。
3.アクチュエータの働きを理解し説明できる。
4.空気圧を利用した機器の動作原理を理解し説明できる。
5.リレーシーケンスについて理解し説明できる。
6.PCとマイコンを用いた制御について理解し説明できる。

ルーブリック

不可
評価項目1機械伝動機構について,伝達動力,トルクおよび回転速度等の計算ができる。機械伝動機構について,種類,メカニズムおよび特徴を説明できる。機械伝動機構の種類を知っている。左記に達していない。
評価項目2センサの原理が理解でき,関連する電子部品の働きが理解できる。センサの機能が理解できる。センサの種類および用途が説明できる。左記に達していない。
評価項目3アクチュエータの駆動方法が理解できる。アクチュエータの構造および特性が理解できる。アクチュエータの種類,用途および特徴が説明できる。左記に達していない。
評価項目4空気圧回路の構成が理解でき,回路図を描画できる。空気圧アクチュエータの動作を説明できる。空気圧機器の種類と機能を説明できる。左記に達していない。
評価項目5簡単なシステムのシーケンス図を描くことができる。リレーシーケンスを構成する制御機器の構造と機能を説明できる。シーケンス図が理解できる。左記に達していない。
評価項目6簡単なシステムについて結線図とラダー図を描くことができる。また,マイコンおよび関連する電子部品の働きが理解できる。PCの結線図およびラダー図が理解できる。また,マイコンの特徴を説明できる。PCの特徴と機能を説明できる。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
※実務との関係:この科目は,機械メーカーで設計開発を担当していた教員(技術士)が,その経験を活かし,メカトロニクスの基礎と具体的な応用例について講義形式で授業を行うものである。

一般・専門の別:専門

学習の分野:情報と計測・制御

必修・履修・履修選択・選択の別:履修

基礎となる学問分野:工学/機械工学/機械力学・制御

学科学習目標との関連:本科目は機械工学科学習目標「(2) エネルギーと流れ,材料と構造,運動と振動,設計と生産・管理,情報と計測・制御,機械とシステムに関する専門技術分野の知識を修得し,工学現象の解析や機械の設計・製作に応用できる能力を身につける。」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化,A-2:「材料と構造」,「運動と振動」,「エネルギーと流れ」,「情報と計測・制御」,「設計と生産・管理」,「機械とシステム」に関する専門技術分野の知識を修得し,説明できること」である。

授業の概要:メカトロニクスは機械工学に電子工学や情報工学を融合させた新しい技術分野であり,機械の高機能化に欠かせない技術となっている。この講義では,機械技術者として知っておくべき基礎的技術を講義する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:本講義では電気に馴染みの薄い機械工学科の学生にもわかりやすいように配慮された教科書を使用する。内容はメカトロニクス概論,機械伝動機構,センサおよびアクチュエータの動作原理,シーケンス制御技術について講義する。

成績評価方法:2回の定期試験の結果を同等に評価する(80%)。また,レポート課題を課し評価する(20%)。なお,定期試験が60点未満の者に対し再試験を行う場合がある。試験の持込可能物品はその都度指示する。
注意点:
履修上の注意:本科目は「授業時間外の学習を必修とする科目」である。1単位あたり授業時間として15単位時間開講するが,これ以外に30単位時間の学習が必修となる。これらの学習については担当教員の指示に従うこと。

履修のアドバイス:電子部品の基本的な働きを理解しておくことは今や機械技術者の必要不可欠な知識となっており積極的に取り組んでほしい。

基礎科目:応用物理Ⅰ(3年),工業力学(3),電気工学(3),応用数学Ⅱ(4),制御工学Ⅰ(4)など

関連科目:制御工学Ⅱ(5年),計測工学(5),制御機器特論(専1),応用制御工学(専2),システム制御工学(専2)など

受講上のアドバイス:メカトロニクスで使われている機器は実際に使ってみることによって理解が深まる。卒業研究での実験装置の製作,あるいは趣味のもの作りなどの作業を通してできるだけ実際の機器に触れる機会をもつことが大切である。20分を超える遅刻・早退は欠課扱いとする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,メカトロニクスの概要と役割(メカニズム基礎) 機構学の応用としての各種駆動機構や実用的制御回路の動作を理解できる。
2週 機械の実用的機構①(巻き掛け伝動機構) 多軸間でトルクを伝動する仕組みを理解し,伝達力を式により求めることができる。
3週 機械の実用的機構②(タイミングベルトの機構設計) 歯付きタイミングベルトを用いた駆動機構の設計手法を学び,具体的な部品選定ができる。
4週 運動の伝達(歯車と歯車列,歯車列の角速度比)
歯車に関する課題
角速度比に関する課題
遊星歯車及び差動歯車装置の駆動原理を理解し,両装置における入出力間の角速度の関係を説明できる。
5週 センサ基礎(論理回路応用)
論理回路に関する課題
基本論理回路と正論理・負論理の差異を学び,負論理の役割を理解できる。
6週 マイコンと電子回路(コンパレータ・シュミットトリガ)
電子回路に関する課題
電子制御機械に多く利用されている両回路の動作を理解し,それらの応用回路を説明できる。
7週 センサ信号処理(フィルタ)
フィルタに関する課題
オペアンプを使ったアクティブフィルタ(2次のVCVS)の設計と動作を理解できる。
8週 (前期中間試験)
2ndQ
9週 前期中間試験の返却と解答解説,センサ応用(近接,磁気)
センサに関する課題
センサ工学基礎となる近接スイッチ,磁気センサの原理を理解し,応用回路の設計ができる。
10週 ロボットのセンサ利用(エンコーダ)
エンコーダに関する課題
光学センサであるロータリーエンコーダの計測原理とマイコンによるデジタル信号処理が理解できる。
11週 アクチュエータ基礎(電気,空圧,油圧)
アクチュエータに関する課題
油圧・空気圧モータ等の駆動原理と制御手法を学び,電磁弁や電空レギュレータの機能を理解できる。
12週 アクチュエータ制御(直流モータ)
直流モータに関する課題
直流モータの駆動原理と動特性・静特性を学び,制御回路と制御手法を習得できる。
13週 アクチュエータ応用(ステッピングモータ)
ステッピングモータに関する課題
ステッピングモータの駆動原理と制御手法を学び,全体構成を理解できる。
14週 シーケンス制御基礎(シーケンス図)
シーケンス図に関する課題
シーケンス制御の図記号及び有接点・無接点シーケンスを学び,回路図の描き方を理解できる。
15週 (前期末試験)
16週 前期末試験の返却と解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野機械設計標準規格の意義を説明できる。4
許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。4
標準規格を機械設計に適用できる。4
ねじ、ボルト・ナットの種類、特徴、用途、規格を理解し、適用できる。4
ボルト・ナット結合における締め付けトルクを計算できる。4
ボルトに作用するせん断応力、接触面圧を計算できる。4
軸の種類と用途を理解し、適用できる。4
軸の強度、変形、危険速度を計算できる。4
キーの強度を計算できる。4
軸継手の種類と用途を理解し、適用できる。4
滑り軸受の構造と種類を説明できる。4
転がり軸受の構造、種類、寿命を説明できる。4
歯車の種類、各部の名称、歯型曲線、歯の大きさの表し方を説明できる。4
すべり率、歯の切下げ、かみあい率を説明できる。4
標準平歯車と転位歯車の違いを説明できる。4
標準平歯車について、歯の曲げ強さおよび歯面強さを計算できる。4
歯車列の速度伝達比を計算できる。4
リンク装置の機構を理解し、その運動を説明できる。4
代表的なリンク装置の、変位、速度、加速度を求めることができる。4
カム装置の機構を理解し、その運動を説明できる。4
主な基礎曲線のカム線図を求めることができる。4
計測制御計測の定義と種類を説明できる。4
測定誤差の原因と種類、精度と不確かさを説明できる。4
国際単位系の構成を理解し、SI単位およびSI接頭語を説明できる。4
代表的な物理量の計測方法と計測機器を説明できる。4
自動制御の定義と種類を説明できる。3
フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。3
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。3
ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。3
伝達関数を説明できる。3
ブロック線図を用いて制御系を表現できる。3
制御系の過渡特性について説明できる。3
制御系の定常特性について説明できる。3
制御系の周波数特性について説明できる。3
安定判別法を用いて制御系の安定・不安定を判別できる。3

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000