熱機関

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 熱機関
科目番号 0070 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:田坂英紀,内燃機関(第3版)(森北出版),金原粲ほか「専門基礎ライブラリー 熱力学 事例でわかる考え方と使い方」(実教出版)
担当教員 佐伯 文浩

到達目標

学習目的:我々の日常生活に欠かせない自動車の動力源であるエンジンの燃焼と性能についての知識を修得するとともに,省エネルギーや環境保全への関心を深める。

到達目標:
 1.ガソリン機関とディーゼル機関の違いを理解し説明できる。
 2.エンジンの性能評価方法を理解し活用できる。
 3.排気ガスによる大気汚染とその対策について説明できる。

ルーブリック

不可
評価項目1ガソリン機関とディーゼル機関の燃料や混合気形成,燃焼の違いについて,詳細に説明できる。ガソリン機関とディーゼル機関の燃料や混合気形成,燃焼の違いについて,概略を説明できる。内燃機関の仕組みと代表的なサイクルについて説明できる。左記に達していない。
評価項目2出力,平均有効圧力,熱効率,燃料消費率,体積効率などの性能評価方法を具体的な問題に応用できる。出力,平均有効圧力,熱効率,燃料消費率,体積効率などの性能評価方法を説明し,数値を計算できる。用いる式と代入する数値が与えられれば,出力,熱効率,燃料消費率などの数値を計算できる。左記に達していない。
評価項目3内燃機関の排気ガスに含まれる有害成分と環境対策について,詳細に説明できる。内燃機関の排気ガスに含まれる有害成分と環境対策について,概略を説明できる。内燃機関の排気ガスに含まれる代表的な有害成分について説明できる。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
※実務との関係:この科目は,企業で燃焼施設の排気ガス測定に従事していた教員が,その経験を活かし,熱機関について講義形式で授業を行うものである。

一般・専門の別:専門

学習の分野:機械とシステム

必修・履修・履修選択・選択の別:履修

基礎となる学問分野:工学/機械工学/熱工学

学科学習目標との関連:本科目は機械工学科学習目標「(2)エネルギーと流れ,材料と構造,運動と振動,設計と生産・管理,情報と計測・制御,機械とシステムに関する専門技術分野の知識を修得し,工学現象の解析や機械の設計・製作に応用できる能力を身につける。」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化,A-2:「材料と構造」,「運動と振動」,「エネルギーと流れ」,「情報と計測・制御」,「設計と生産・管理」,「機械とシステム」に関する専門技術分野の知識を修得し,説明できること」である。

授業の概要:本教科では主に内燃機関であるガソリン機関やディーゼル機関について概説する。また,熱機関の現状と課題について説明する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:授業は板書を中心に進め,必要な周辺知識の復習も含めながら,出来るだけ具体的に解説を行う。また,具体的な計算問題を通して理解が深まるように努める。

成績評価方法:4回の定期試験の結果をそれぞれ同等に評価する(70%)。試験には,自筆ノート・電卓等の持ち込みを許可する場合がある。演習・レポート(30%)。成績が60点未満の学生に対して,再試験を実施する場合がある。その場合,定期試験と再試験の平均点を試験分として成績を再評価する。ただし,再評価による成績の上限は60点とする。なお,再試験の実施および受験資格は,該当者の学習態度を踏まえて判断する。
注意点:
履修上の注意:なし

履修のアドバイス:自動車やエンジン,環境問題等に関するニュースや記事に目を通すよう心掛けると理解が深まる。

基礎科目:機械工学入門(1年),物理Ⅱ(2),化学Ⅰ(2),化学Ⅱ(3),熱力学Ⅰ・Ⅱ(4),流体工学Ⅰ・Ⅱ(4)など

関連科目:機械工学実験実習V(5年),エネルギーシステム工学(専1)

受講上のアドバイス:他の教科で身に付けた知識と関連させて学習し,意欲的に新しい知識の吸収に努めること。20分を越える遅刻・早退は1欠課,65分を超える遅刻・早退は2欠課とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス〔講義の概要〕
2週 エンジンの基礎1〔エンジンの種類と構造〕 エンジンの種類と構造について説明できる。
3週 エンジンの基礎2〔エンジンの作動原理〕 エンジンの作動原理について説明できる。
4週 エンジンの熱力学1〔理論熱効率と平均有効圧力〕 熱力学の基本概念を応用して熱機関の理論熱効率と平均有効圧力について説明できる。
5週 エンジンの熱力学2〔各種サイクルの熱効率の比較〕 熱力学の基本概念を応用して各種サイクルの熱効率を計算できる。
6週 蒸気サイクル1〔蒸気の状態変化〕 蒸気の状態変化について説明できる。
7週 蒸気サイクル2〔ランキンサイクル〕 開いた系の熱力学第一法則と蒸気の状態変化を応用して,ランキンサイクルについて説明できる。
8週 (前期中間試験)
2ndQ
9週 前期中間試験の返却と解説,出力と効率1〔出力とトルク〕 熱機関の出力とトルクについて説明できる。
10週 出力と効率2〔平均有効圧力,熱効率,燃料消費率〕 平均有効圧力,熱効率,燃料消費率について説明できる。
11週 出力と効率3〔摩擦損失動力,熱勘定〕 摩擦損失動力と熱勘定について説明できる。
12週 燃料1〔燃料の分類と性質〕 燃料の分類と性質について説明できる。
13週 燃料2〔ガソリン機関用燃料(オクタン価など)〕 ガソリン機関用燃料(オクタン価など)について説明できる。
14週 燃料3〔ディーゼル機関用燃料(セタン価など)〕 ディーゼル機関用燃料(セタン価など)について説明できる。
15週 (前期末試験)
16週 前期末試験の返却と解説
後期
3rdQ
1週 燃焼の基礎1〔空燃比,空気過剰率,当量比〕 空燃比,空気過剰率,当量比について説明できる。
2週 燃焼の基礎2〔発熱量,予混合燃焼と拡散燃焼〕 発熱量,予混合燃焼と拡散燃焼について説明できる。
3週 吸排気1〔動弁系と弁機構,体積効率〕 動弁系と弁機構,体積効率について説明できる。
4週 吸排気2〔2サイクル機関,過給〕 2サイクル機関と過給について説明できる。
5週 ガソリンエンジン1〔燃焼,混合気形成〕 ガソリンエンジンの燃焼と混合気形成について説明できる。
6週 ガソリンエンジン2〔排気特性と対策〕 ガソリンエンジンの排気特性と対策について説明できる。
7週 ガソリンエンジン3〔燃焼室形状〕 ガソリンエンジンの燃焼室形状について説明できる。
8週 (前期中間試験)
4thQ
9週 後期中間試験の返却と解説,ガソリンエンジン4〔層状給気機関〕 層状給気機関について説明できる。
10週 ディーゼルエンジン1〔燃焼〕 ディーゼルエンジンの燃焼について説明できる。
11週 ディーゼルエンジン2〔燃料噴射,燃焼室〕 ディーゼルエンジンの燃料噴射と燃焼室について説明できる。
12週 ディーゼルエンジン3〔排気特性〕 ディーゼルエンジンの排気特性とその対策について説明できる。
13週 エンジンの評価と対策1〔排気ガスによる大気汚染〕 排気ガスによる大気汚染について説明できる。
14週 エンジンの評価と対策2〔環境対策,内燃機関の将来性〕 環境対策と内燃機関の将来性について説明できる。
15週 (後期末試験)
16週 後期末試験の返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。4前4,前5
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。4前4,前5
熱力学の第一法則を説明できる。4前4,前5
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。4前4,前5,前7
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。4前4,前5,前7
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。4前4,前5
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。4前4,前5
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。4前4,前5
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。4前4,前5
熱力学の第二法則を説明できる。4前4,前5
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。4前4,前5,前10
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。4
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。4
サイクルをT-s線図で表現できる。4前4,前5,前7

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100
分野横断的能力000