流体機械

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 流体機械
科目番号 0071 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:原田幸夫「流体機械 SI単位版」(朝倉書店)
担当教員 佐藤 紳二

到達目標

学習目的:流体機械に関する理論・基礎事項を理解し,関連する諸問題に対応でき,また設計するための基礎知識を習得する。

到達目標
1ポンプ,送風機と水車,風車の違いを理解する。
2流体機械の分類および有効利用を理解する。
3各種流体機械に係る流体の基礎的な知識と理論を理解し,これらを用いて各種流体機械の主要部の設計ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安良好な到達レベルの目安(良)標準的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1各種流体機械において,エネルギー変換の方向や扱う流体の特性の違いが理解できていて,これらの知識を実際の技術フィールドにおける諸問題に活用・応用することができる。各種流体機械において,エネルギー変換の方向や扱う流体の特性の基本的な違いが理解できていて,これらの知識を課題解決に活用することができる。ポンプ,送風機,水車,風車において,エネルギー変換の方向や扱う流体の特性の基本的な違いが理解できている。ポンプ,送風機,水車,風車において,エネルギー変換の方向や扱う流体の特性の基本的な違いが理解できていない。
評価項目2流体機械の分類・有効利用について理解できていて,これらの知識を実際の技術フィールドにおける諸問題に活用・応用することができる。流体機械の分類・有効利用について理解できていて,これらの知識を課題解決に活用することができる。流体機械の分類・有効利用について理解できている。流体機械の分類・有効利用に関する理解ができていない。
評価項目3各種流体機械に係る知識と理論を理解し,これらを用いて,必要な資料を主体的に調査・参照しながら最適な設計手順を考え,各種流体機械の主要部が設計できる。各種流体機械に係る知識と理論を理解し,これらを用いて,必要な資料を参照して,設計手順を考えながら,各種流体機械の主要部が設計できる。各種流体機械に係る知識と理論を理解し,これらを用いて各種流体機械の主要部が,示された基本的な設計手順に従って設計できる。各種流体機械に係る流体工学の基礎的な知識と理論が理解できていない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
※実務との関係:この科目は,民間企業で熱交換型換気扇 の開発設計に従事していた教員が,その経験を活かし,流体機械の分類,基本特性,設計方法等について講義形式で授業を行うものである。

一般・専門の別:専門
学習の分野:機械とシステム

必修・履修・履修選択・選択の別:履修

基礎となる学問分野:工学/機械工学/流体工学

学習・教育目標との関連:本科目は機械工学科学習・教育目標「(2) エネルギーと流れ,材料と構造,運動と振動,設計と生産・管理,情報と計測・制御,機械とシステムに関する専門技術分野の知識を修得し,工学現象の解析や機械の設計・製作に応用できる能力を身につける。」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化、A-2:「材料と構造」,「運動と振動」,「エネルギーと流れ」,「情報と計測・制御」,「設計と生産・管理」,「機械とシステム」に関する専門技術分野の知識を修得し,説明できること」である。

授業の概要:流体保有エネルギーと機械的仕事の相互の変換をする装置を流体機械といい,水力機械と空気機械に分類される。本教科では主に水力機械であるポンプや水車と空気機械である送風機や風車について概説し,それぞれの違いを理解するとともに,省エネルギーや自然エネルギー利用への関心を深める。



授業の進め方・方法:
授業の方法:板書を中心に教科書に沿って授業を進め,流体機械の作動原理と流体力学的背景についてできるだけ平易に解説を行う。また理解を深めるために,演習やレポート課し,その都度,各問題についての解説を行う。

成績評価方法:4回の定期試験の結果をそれぞれ同等に評価する(80%)。各中間試験には教科書・ノートの持込を許可しないが,前期末試験と学年末試験ではノートのみ持込を許可する。演習・レポート(20%)。

注意点:
履修上の注意:なし

履修のアドバイス:可能な限り身近な例を挙げて解説するので,細かい数式の導出にとらわれすぎないようにし,物理的意味を深く理解するように心掛ける方が良い。

基礎科目:流体工学Ⅰ,Ⅱ(4年),熱力学Ⅰ,Ⅱ(4),工業力学(3)など

関連科目:機械工学実験実習Ⅴ(5年),エネルギーシステム工学(専1)など

受講上のアドバイス:受け身の姿勢では問題解析能力は身に付かない。予習・復習を十分にするとともに演習問題やレポートにも積極的に取り組むこと。1単位時間の半分を遅刻した場合には欠課とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 前期ガイダンス,流体機械の分類 流体機械の分類(扱う流体の違い、エネルギー変換の向きの違い等)の概要を理解する。
2週 非圧縮性流体の力学[連続の式,ポンプまたは送風機とエネルギー方程式] 非圧縮性流体の基礎(連続の式・ベルヌーイの式)と各種流体機械の関連について理解する。
3週 非圧縮性流体の力学[水車とエネルギー方程式,運動量の法則1] 非圧縮性流体の基礎(運動量の法則)と各種流体機械の関連について理解する。
4週 非圧縮性流体の力学[運動量の法則2,遠心式のポンプ・送風機・圧縮機の理論] 遠心式の流体機械の基礎理論を理解する。
5週 非圧縮性流体の力学[軸流式のポンプ・送風機・圧縮機の理論] 軸流式の流体機械の基礎理論を理解する。
6週 ターボ形ポンプの相似則[ターボ形ポンプの分類と構造] ターボ形ポンプの相似則について理解する。
7週 ターボ形ポンプの相似則[流量・揚程・軸動力に関する相似則] ターボ形ポンプの相似則、比速度について理解する。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 前期中間試験の返却と解答解説,ターボ形ポンプの相似則[諸損失] ターボ形ポンプの諸損失に関する基礎事項を理解する。
10週 遠心ポンプ[性能に影響を及ぼす諸要素] 遠心ポンプを構成する諸要素に関する基礎事項を理解する。
11週 遠心ポンプ[軸推力のつりあい,設計] 遠心ポンプの設計手順の概略を理解する。
12週 軸流ポンプ[翼理論] 軸流ポンプにおける翼理論の基礎を理解する。
13週 軸流ポンプ[性能に影響を及ぼす諸要素,設計] 軸流ポンプの設計手順の概略を理解する。
14週 往復ポンプ 往復ポンプの基礎事項を理解する。
15週 前期末試験
16週 前期末試験の返却と解答解説,回転ポンプ・特殊ポンプ 回転ポンプと特殊ポンプの基礎事項を理解する。
後期
3rdQ
1週 キャビテーション ポンプにおけるキャビテーションの基礎を理解する。
2週 水撃作用ならびにサージング ポンプにおける水撃作用とサージングの基礎を理解する。
3週 水車[各種水車の構造,諸定義および用語] 水車の基礎事項を理解する。
4週 水車[水車の相似則,水車のキャビテーション,ポンプ水車] 水車の相似則やポンプ水車について理解する。
5週 流体継手,トルクコンバータ 流体継手・トルクコンバータの基礎を理解する。
6週 油圧機器 油圧機器の基礎を理解する。
7週 ターボ形送風機の相似則 ターボ形送風機の相似則について理解する。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 後期中間試験の返却と解答解説,遠心送風機[性能に影響を及ぼす諸要素,設計] 軸流送風機の基礎と、設計手順の概略を理解する。
10週 軸流送風機[性能に影響を及ぼす諸要素,設計] 軸流送風機の基礎と、設計手順の概略を理解する。
11週 送風機の騒音 送風機の騒音に関する基礎事項を理解する。
12週 風車 風車の基礎理論の概要を理解する。
13週 圧縮性流体機械[圧縮性気体のエネルギー方程式,各種ヘッド・動力・効率] 圧縮性気体のエネルギー方程式に基づき、圧縮性流体機械のヘッドや動力の基礎を理解する。
14週 圧縮性流体機械[諸損失・効率,多段圧縮機の全圧ヘッド] 圧縮性流体機械の諸損失・効率、多段圧縮機のヘッドの考え方を理解する。
15週 学年末試験
16週 答案返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。3
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。3
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。3
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。3
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。3
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。3
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。3
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。3
熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。3
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。3
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。3
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。3
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。3

評価割合

試験発表相互評価自己評価課題その他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力0000000
専門的能力80000200100
分野横断的能力0000000