制御工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 制御工学Ⅱ
科目番号 0099 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:中野道雄・美多勉著「制御基礎理論」(昭晃堂)
担当教員 井上 浩行

到達目標

学習目的:現代制御理論の基本的手法である状態フィードバック制御の考え方を理解するとともに,制御系を設計する能力を修得する。

到達目標
1.状態方程式と出力方程式を用いて制御系を表現できる。
2.可制御性と可観測性を判別できる。
3.安定判別法を用いて安定・不安定を判別できる。
4.状態フィードバック制御の概念を説明できる。

ルーブリック

不可
評価項目1導出した数式に基づき,状態方程式と出力方程式を用いて制御系を表現できる。状態方程式と出力方程式を用いて制御系を表現できる。状態方程式と出力方程式を理解している。左記に達していない。
評価項目2可制御性と可観測性を理解し,判別できる。可制御性と可観測性を判別できる。可制御性または可観測性を判別できる。左記に達していない。
評価項目3複数の安定判別法を用いて安定・不安定を判別できる。2種類の安定判別法を用いて安定・不安定を判別できる。安定判別法を用いて安定・不安定を判別できる。左記に達していない。
評価項目4状態フィードバック制御系を設計できる。状態フィードバック制御の概念を説明できる。状態フィードバック制御の目的を理解している。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門 学習の分野:情報と計測・制御

必修・履修・履修選択・選択の別:必修

基礎となる学問分野:工学/機械工学/機械力学・制御

学科学習目標との関連:本科目は機械工学科学習目標「(2) エネルギーと流れ,材料と構造,運動と振動,設計と生産・管理,情報と計測・制御,機械とシステムに関する専門技術分野の知識を修得し,工学現象の解析や機械の設計・製作に応用できる能力を身につける。」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化,A-2:「材料と構造」,「運動と振動」,「エネルギーと流れ」,「情報と計測・制御」,「設計と生産・管理」,「機械とシステム」に関する専門技術分野の知識の知識を修得し,説明できること」である。

授業の概要:制御工学Ⅱでは,現代制御理論による制御系の安定化・応答性改善および設計法について学ぶ。システムの内部状態を記述する状態方程式に基づいて現象をモデル化し,可制御性と可観測性ならびに安定・不安定を判別する方法を学ぶ。


授業の進め方・方法:
授業の方法:板書を中心に授業を進め,現代制御理論は行列演算が基礎となるため,まず線形代数を復習した後,動的システムの状態方程式に基づく制御法について詳しく解説する。また,応用力を養うためにレポートを課し,理解度を確かめるために小テストを実施する。

成績評価方法:4回の定期試験の結果をそれぞれ同等に評価する(80%)。試験には,自筆ノートの持込を許可する。レポートと小テスト(20%)。また,成績が60点未満の学生に対して再試験を行うことがあり,定期試験と再試験の平均点を試験分として再計算し,成績が60点を超えれば60点とする。
注意点:
履修上の注意:学年の課程修了のためには履修(欠席時間数が所定授業時間数の3分の1以下)が必須である。

履修のアドバイス:現代制御理論は行列演算を多用するため,しっかり復習しておくこと。数学モデル(動的システムを表す微分方程式)さえ求まれば,制御系設計法は一本道であるので,ある面では古典制御よりわかりやすいといえる。

基礎科目:制御工学Ⅰ(4年),電気磁気学(4)

受講上のアドバイス:演習問題を通して理解を深めるが,毎回の予習・復習が大切である。遅刻とみなす時間は授業時間の1/2までとし,以降は欠課とみなす。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,現代制御とは それぞれ以下の内容について理解する
2週 状態方程式と伝達関数 状態方程式,出力方程式,伝達関数
3週 状態方程式と伝達関数 極,零点
4週 状態方程式の解と状態推移行列 状態推移行列
5週 状態方程式の解と状態推移行列 状態推移行列
6週 安定性と固有値 特性方程式,固有値
7週 安定性と固有値 ラウスの安定判別法,フルビッツの安定判別法
8週 (前期中間試験)
2ndQ
9週 前期中間試験の返却と解答解説,座標変換とシステムの等価性
10週 対角正準形式と可制御性・可観測性 座標変換行列,対角正準系
11週 対角正準形式と可制御性・可観測性 可制御性行列,可観測性行列
12週 極―零点消去問題 不可制御,不可観測
13週 可制御正準形式・可観測正準形式 可制御正準系,可観測正準系
14週 高次伝達関数の実現 対角正準系
15週 (前期末試験)
16週 後期ガイダンス,前期末試験の返却と解答解説
後期
3rdQ
1週 状態フィードバック制御と安定化 状態フィードバック制御
2週 状態フィードバック制御と安定化 フィードバック係数ベクトル
3週 直接フィードバック制御と根軌跡法 レギュレータの極,直接フィードバック制御
4週 直列補償器による安定化 直列補償器
5週 直列補償器による安定化,オブザーバによる安定化 オブザーバ
6週 オブザーバによる安定化 ゲインベクトル
7週 オブザーバによる安定化 オブザーバの極
8週 (後期中間試験)
4thQ
9週 後期中間試験の返却と解答解説,サーボ系の設計
10週 内部モデル原理 内部モデル原理
11週 制御の形(P制御) P制御,定常偏差
12週 制御の形(PI制御) PI制御
13週 制御の形(演習) 制御系設計
14週 制御の形(演習) 制御系設計
15週 (学年末試験)
16週 学年末試験の返却と解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野計測制御自動制御の定義と種類を説明できる。3
フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。3
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。3
ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。3
伝達関数を説明できる。3
ブロック線図を用いて制御系を表現できる。3
制御系の過渡特性について説明できる。3
制御系の定常特性について説明できる。3
制御系の周波数特性について説明できる。3
安定判別法を用いて制御系の安定・不安定を判別できる。3

評価割合

試験課題小テスト合計
総合評価割合801010100
基礎的能力0000
専門的能力801010100
分野横断的能力0000