到達目標
学習目的:機械技術者として必要と考えられる伝熱学全般(熱伝導,対流熱伝達,ふく射熱伝達)の基礎的な知識を習得する。
到達目標:
1. 熱伝導の基本法則に基づき,物体の温度,熱通過率,伝熱量を求めることができる。
2. 流れの状態に応じて適切な熱伝達関係式を選択し,熱伝達率よび伝熱量を求めることができる。
3. ふく射熱伝達の基本法則を理解し,ふく射熱交換に関する基礎的な問題を解くことができる。
ルーブリック
| 優 | 良 | 可 | 不可 |
評価項目1 | 温度や伝熱量に関する要求事項を満たすように,物体の厚さや物質を設定・選択することができる。 | 平板および円筒の定常一次元熱伝導問題を解き,物体の温度,熱通過率,伝熱量を求めることができる。 | 平板の定常一次元熱伝導問題を解き,平板内の温度分布と熱流束を求めることができる。 | 左記に達していない。 |
評価項目2 | 熱伝達関係式に基づき伝熱量を適切に評価できることに加え,局所量の式から平均量や積分量の式を導出することができる。 | 流れの状態に応じて適切な熱伝達関係式を選択し,熱伝達率および伝熱量を求めることができる。 | 無次元パラメータを正しく求め,流れの状態に応じた適切な熱伝達関係式を選択することができる。 | 左記に達していない。 |
評価項目3 | 放射率および灰色面間のふく射熱交換について理解している。また,3つ以上の面で閉ざされた閉空間系のふく射熱交換について,形態係数に関する関係式を列記することができる。 | 黒体面間のふく射熱交換について理解している。また,簡単な配置の2面間のふく射熱交換における形態係数を求めることができる。 | ステファン・ボルツマンの法則および形態係数の基本特性を理解している。 | 左記に達していない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
一般・専門の別:専門
学習の分野:エネルギーと流れ
必修・履修・履修選択・選択の別:履修
基礎となる学問分野:工学/機械工学/熱工学
学科学習目標との関連:本科目は機械工学科学習目標「(2)エネルギーと流れ,材料と構造,運動と振動,設計と生産・管理,情報と計測・制御,機械とシステムに関する専門技術分野の知識を修得し,工学現象の解析や機械の設計・製作に応用できる能力を身につける。」に相当する科目である。
技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化,A-2:「材料と構造」,「運動と振動」,「エネルギーと流れ」,「情報と計測・制御」,「設計と生産・管理」,「機械とシステム」に関する専門技術分野の知識を修得し,説明できること」である。
授業の概要:熱力学が平衡状態にある系を扱うのに対して,伝熱工学では温度差の結果として物体間に生じるエネルギー伝達を扱う。熱エネルギー伝達の3つの形式である熱伝導,対流熱伝達,ふく射熱伝達の基礎を,実際の問題への応用も考慮して解説する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:授業は板書を中心に進める.理論的な事項に加え,身近な現象や実際の機器への応用についても具体的に解説する.基本原理に対する理解を深め,基礎的な計算手法を身に付けるために,適宜,演習・レポートを課す。
成績評価方法:4回の定期試験の結果をそれぞれ同等に評価する(80%)。試験には,自筆ノート・電卓等の持ち込みを許可する場合がある。演習・レポート(20%)。成績が60点未満の学生に対して,再試験を実施する場合がある。その場合,定期試験と再試験の平均点を試験分として成績を再評価する。ただし,再評価による成績の上限は60点とする。なお,再試験の実施および受験資格は,該当者の学習態度を踏まえて判断する。
注意点:
履修上の注意:なし
履修のアドバイス:微分積分,熱力学,流体工学など,広範囲にわたる工学基礎知識が必要となる。
基礎科目:微分積分Ⅰ(2年),微分積分Ⅱ(3),熱力学Ⅰ,Ⅱ(4),流体工学Ⅰ,Ⅱ(4)など
関連科目:熱機関(5年),機械工学実験実習Ⅴ(5),エネルギーシステム工学(専1),流体力学(専2)など
受講上のアドバイス:広範囲にわたる基礎知識が必要となるため,基礎・関連科目の内容も参考にしながら学習すること。20分を越える遅刻・早退は1欠課,65分を超える遅刻・早退は2欠課とする。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス,概要〔伝熱の3形態〕 |
伝熱の3形態について理解する。
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2週 |
熱伝導の基礎〔フーリエの法則,熱伝導方程式〕 |
フーリエの法則と熱伝導方程式を理解する。
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3週 |
定常熱伝導1〔平板内の熱伝導〕 |
平板内の熱伝導に関する基礎的な微分方程式を解くことができる。
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4週 |
定常熱伝導2〔熱伝導問題に関する境界条件,熱通過率・熱抵抗〕 |
熱伝導問題に関する境界条件について理解する.また,多層平板の熱通過率・熱抵抗を求めることができる。
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5週 |
定常熱伝導3〔円筒内の熱伝導〕 |
円筒内の熱伝導に関する基礎的な微分方程式を解くことができる.また多層円筒の熱抵抗を求めることができる。
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6週 |
フィンの伝熱1〔フィン内部の温度分布〕 |
フィン内部の温度分布の求め方を理解する。
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7週 |
フィンの伝熱2〔フィンからの放熱量とフィン効率〕 |
フィンからの放熱量とフィン効率について理解し,単純な形状のフィンに対してそれらの値を求めることができる。
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8週 |
前期中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
前期中間試験の返却と解答解説 |
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10週 |
非定常熱伝導〔温度が一様な物体の温度変化〕 |
温度が一様な物体の温度変化について理解する。
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11週 |
対流熱伝達の基礎1〔対流の分類,熱伝達率,境界層〕 |
対流の分類,熱伝達率,境界層について理解する。
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12週 |
対流熱伝達の基礎2〔対流熱伝達の基礎式,無次元パラメータ〕 |
対流熱伝達の基礎式と関係する無次元パラメータを理解する。
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13週 |
強制対流熱伝達1〔平板に沿う流れの熱伝達〕 |
平板に沿う流れの熱伝達について,平均熱伝達率を導出できる.また,適切な熱伝達関係式を選択でき,伝熱量を計算できる。
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14週 |
強制対流熱伝達2〔管内流れの熱伝達,円柱まわりの流れの熱伝達〕 |
管内流れおよび円柱まわりの流れの熱伝達について,適切な熱伝達関係式を選択でき,伝熱量を計算できる。
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15週 |
前期末試験 |
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16週 |
前期末試験の返却と解答解説 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
自然対流熱伝達1〔静水圧,ブシネ近似〕 |
静水圧とブシネ近似を理解する。
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2週 |
自然対流熱伝達2〔無次元パラメータ,垂直平行平板間の自然対流〕 |
自然対流熱伝達に関係する無次元パラメータを理解する.また,垂直平行平板間の自然対流に関する基礎的な微分方程式を解くことができる。
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3週 |
自然対流熱伝達3〔物体まわりの自然対流熱伝達〕 |
物体まわりの自然対流熱伝達について,適切な熱伝達関係式を選択でき,伝熱量を計算できる。
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4週 |
相変化を伴う熱伝達1〔相変化と潜熱,相変化を利用した伝熱技術〕 |
相変化と潜熱,その工学的応用について理解する。
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5週 |
相変化を伴う熱伝達2〔凝縮の分類,膜状凝縮の理論〕 |
膜状凝縮の理論を理解し,凝縮膜厚および熱伝達率を導出できる。
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6週 |
相変化を伴う熱伝達3〔膜レイノルズ数,沸騰の分類〕 |
膜状凝縮における膜レイノルズ数を理解する.また,流動形態や流体温度による沸騰の分類を理解する。
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7週 |
相変化を伴う熱伝達4〔沸騰曲線,核沸騰,膜沸騰〕 |
沸騰曲線,核沸騰,膜沸騰について理解する。
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8週 |
後期中間試験 |
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4thQ |
9週 |
後期中間試験の返却と解答解説 |
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10週 |
ふく射熱伝達1〔電磁波の分類,ふく射熱伝達のメカニズムと保存則,黒体〕 |
電磁波の分類,ふく射熱伝達のメカニズムと保存則,黒体の性質について理解する。
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11週 |
ふく射熱伝達2〔ふく射熱流束,黒体面間のふく射熱交換,形態係数〕 |
ふく射熱流束と黒体面間のふく射熱交換について理解する.また,形態係数とその基本特性を理解する。
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12週 |
ふく射熱伝達3〔実在面・灰色面,灰色面間のふく射熱交換〕 |
実在面,灰色面,黒体面の違いを理解する.また,灰色面間のふく射熱交換について理解する。
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13週 |
熱交換器1〔隔壁式熱交換器の分類,伝熱量〕 |
隔壁式熱交換器の分類を理解する.また,高温流体から低温流体への熱の移動について理解する。
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14週 |
熱交換器2〔対数平均温度差〕 |
対数平均温度差の式を導出でき,具体的な状況に対して数値を求めることができる。
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15週 |
学年末試験 |
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16週 |
学年末試験の返却と解答解説 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 熱流体 | 層流と乱流の違いを説明できる。 | 3 | |
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。 | 3 | |
熱力学の第二法則を説明できる。 | 3 | |
評価割合
| 試験 | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 80 | 20 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 |