送配電工学

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 送配電工学
科目番号 0090 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:田辺茂著「よくわかる送配電工学」(電気書院)   参考書:道上勉著「送配電工学」(電気学会)
担当教員 石邊 信治

到達目標

学習目的:送配電システムを理解し,送電線や配電系統の定常時および故障時の挙動を考えることができる能力を修得すると共に,電力システムの保護思想を理解する。

【到達目標】
1. 電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。
2. 交流および直流送電方式について,それぞれの特徴について説明できる。
3. 電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。
4. 電力システムの各種障害について理解している。

ルーブリック

不可
評価項目1電力システムの構成,および構成要素とその役割を説明できる。電力システムの構成,および構成要素を説明できる。電力システムの構成,および構成要素を理解している。左記に達していない。
評価項目2交流および直流送電方式について,それぞれの特徴を説明でき,電力などの基礎的な計算ができる。交流および直流送電方式について,それぞれの特徴を説明できる。交流および直流送電方式について,それぞれの特徴を理解している。左記に達していない。
評価項目3電力品質の定義およびその維持に必要な手段について,図式を用いて説明できる。電力品質の定義およびその維持に必要な手段について説明できる。電力品質の定義およびその維持に必要な手段について理解している。左記に達していない。
評価項目4電力システムの各種障害について定量的に説明できる。電力システムの各種障害について説明できる。電力システムの各種障害について理解している。 左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
※実務との関係:この科目は企業で送配電工学に関する職務経験を有する教員が,その経験を活かし,送配電システムを理解し,送電線や配電系統の定常時および故障時の挙動を考えることができる能力を修得すると共に,電力システムの保護思想を理解することを目的として講義形式で授業を行うものである。

一般・専門の別:専門・電気・電子

必修・履修・履修選択・選択の別:必修

基礎となる学問分野 :工学/電気電子工学/電力工学・電力変換・電気機器

学習・教育目標との関連:本科目は電気電子工学科学習目標「(2)電気理論,電子・通信,情報・制御,電力・機器・設計に関する専門技術分野の知識を修得し,電気現象の解析や電気・電子機器の設計・製作に応用できる能力を身につける」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化,A-2:「電気・電子」,「情報・制御」に関する専門技術分野の知識を修得し,説明できること」である。

授業の概要:電力系統は人類が作ったもっとも複雑で巨大なシステムの1つである。今や我々の生活に一瞬たりとも欠かせなくなった電気を需要家まで安全に届けるための基礎理論と構成機器,制御・保護方式を学習し,送配電システムを構成している基本思想について考察する。



授業の進め方・方法:
授業の方法:教科書を主体に講義を進めるが,必要に応じて演習問題を課す。また実際の設備写真・構造を紹介して,フィールドを実感できるような工夫をする。

成績評価方法:定期試験70%(4回の定期試験をそれぞれ同等に評価する。)演習問題30%
注意点:
履修上の注意:学年の課程修了のために履修(欠席時間数が所定授業時間数の3分の1以下)が必須である。

履修のアドバイス:具体的なハードウエアをイメージして学習するとともに,計算問題が多くでるが計算で求めた数字を直感的に捉えて,極端な間違いはすぐにわかるように心がけて欲しい。

基礎科目:電気機器Ⅰ,Ⅱ(2,3年),電気磁気学Ⅰ,Ⅱ(3,4),電気回路Ⅰ,Ⅱ(3,4)

関連科目:高電圧工学(5年),発電工学(5),電気法規(5),電気電子機器設計(5)

受講上のアドバイス:電気主任技術者試験(電力)の勉強をしていると理解しやすい。授業開始25分以内であれば遅刻とし,遅刻3回で1欠課とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,総論 それぞれ以下の内容について理解する
2週 系統構成 電力系統全体の構成と発展の歴史
3週 架空送電線の構成 架空送電線の構成と各種機器
4週 地中送電線の構成 地中送電線の構成と各種機器
5週 送電線路定数 線路定数の求め方
6週 送電線路の等価回路 電力方程式
7週 送電特性 電力円線図の考え方
8週 (前期中間試験)
2ndQ
9週 中間試験の答案返却と解答解説,
故障計算
単位法による故障計算
10週 電力系統の安定度 系統の安定度とは何か
11週 電力系統の安定度向上策 安定度の改善方法
12週 送電系統の電圧と無効電力 系統電圧と無効電力との関係
13週 故障計算法〔対象座標法〕 対象座標法の用い方
14週 電力系統の接地方式 各種接地方式の得失
15週 (前期末試験)
16週 前期末試験の答案返却と解答解説
後期
3rdQ
1週 電力系統の異常電圧 異常電圧の種類
2週 異常電圧の影響と異常電圧低減策 異常電圧の影響度合いと低減方法
3週 絶縁協調 電力系統における絶縁協調の考え方
4週 電力系統の保護〔継電器〕 電力系統の保護の考え方
5週 電力系統の保護〔継電方式〕 電力系統の保護の各種方式
6週 安定化保護,機器保護 電力系統の安定度維持のための保護の考え方と機器個別の保護方法
7週 送電線による障害〔電磁・静電誘導〕 送電線が周辺機器に及ぼす電磁界の影響と対策
8週 (後期中間試験)
4thQ
9週 中間試験の返却と解答解説,
送電線による障害〔コロナ他〕
送電線が周辺機器に及ぼす部分放電の影響と対策
10週 直流送電〔概要〕 直流送電システムの特徴
11週 直流送電〔構成と送電方式〕 直流送電システムの構成と各種方式
12週 直流送電〔自励式直流送電〕 自励式直流送電システムの特徴
13週 配電系統〔系統構成〕 配電系統の構成と構成機器
14週 配電系統〔配電方式・電気特性〕 配電方式と電気特性
15週 (後期末試験)
16週 後期末試験の答案返却と解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。3
電源および負荷のΔ-Y、Y-Δ変換ができる。3
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。3
電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。4
交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴を説明できる。4
電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。4
電力システムの経済的運用について説明できる。4
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度課題その他合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力0000000
専門的能力70000300100
分野横断的能力0000000