制御工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 制御工学Ⅰ
科目番号 0004 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 4
開設学科 電子制御工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:小坂学「高校数学でマスターする制御工学」(コロナ社),参考書:森泰親「演習で学ぶ基礎制御工学」(森北出版)など
担当教員 湊原 哲也

到達目標

学習目的:1入力1出力の基本的な制御を学習し,フィードバック制御の基本を理解する。

到達目標:
1. 伝達関数,システムの応答,フィードバック系の安定判別等制御工学に関する基本的な理論を説明できる。
2. PID制御の設計ができる。

ルーブリック

不可
評価項目1伝達関数に関する基本的な理論をよく理解しており,評点で80点以上取れている伝達関数に関する基本的な理論をおおむね理解しており,評点で70点以上取れている 伝達関数に関する基本的な理論を少しは理解しており,評点で60点以上取れている伝達関数に関する基本的な理論を理解できておらず,評点が60点未満である
評価項目2システムの応答に関する基本的な理論をよく理解しており,評点で80点以上取れているシステムの応答に関する基本的な理論をおおむね理解しており,評点で70点以上取れているシステムの応答に関する基本的な理論を少しは理解しており,評点で60点以上取れているシステムの応答に関する基本的な理論を理解できておらず,評点が60点未満である
評価項目3フィードバック系の安定判別に関する基本的な理論をよく理解しており,評点で80点以上取れているフィードバック系の安定判別に関する基本的な理論をおおむね理解しており,評点で70点以上取れているフィードバック系の安定判別に関する基本的な理論を少しは理解しており,評点で60点以上取れているフィードバック系の安定判別に関する基本的な理論を理解できておらず,評点が60点未満である
評価項目4PID制御の設計方法についておおむね理解しており,制御仕様をおおむね満たす制御系設計ができているPID制御の設計方法について最低限理解しており,不安定にならない制御系の設計ができているPID制御の設計方法について最低限理解しているPID制御の設計方法について理解できておらず,制御系設計ができない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門,学習の分野:情報と計測・制御

必修・履修・履修選択・選択の別:必修

基礎となる学問分野:工学/電気電子工学/制御工学

学科学習目標との関連:本科目は電子制御工学科学習目標「(2) 情報と計測・制御,設計と生産・管理,材料と構造,機械とシステム,運動と振動,エネルギーと流れに関する専門技術分野の知識を修得し,工学問題の解析やメカトロニクス関連機器の設計や製作ができる能力を身につける。」に相当する。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化,A-2: 「材料と構造」,「運動と振動」,「エネルギーと流れ」,「情報と計測・制御」,「設計と生産」,「機械とシステム」に関する専門技術分野の知識を修得し,説明できること」である。

授業の概要:古典制御の中心であるフィードバック制御理論の基礎について講義する。制御における入力と出力関係は,線形化された微分方程式をラプラス変換した伝達関数で表す。これらの伝達関数を検討することにより,様々な制御特性を知ることができる。

授業の進め方・方法:
授業の方法:板書を中心に授業を進め,できるだけ具体的に解説を行う。制御理論はとかく抽象的になり易いので,教材による例示に努め,内容の把握を重視して授業を進める。また,課題を出して授業時間外での追加学習を求める。理解の手助けとしてコンピュータを用いた演習を含めることがある。

成績評価方法:4回の定期試験の結果(同等に評価し70%)と授業時間外の演習・レポート(30%)の合計により評価する。必要に応じて再試験を実施する。試験には,教科書・ノート等の持ち込みを許可しない。

注意点:
履修上の注意:本科目は「授業時間外の学習を必修とする科目」である。1単位あたり授業時間として15単位時間開講するが,これ以外に30単位時間の学習が必修となる。これらの学習については担当教員の指示に従うこと。また,本科目は必修科目であり,学年の課程修了のため履修が必須である。

履修のアドバイス:主な解析の手段はラプラス変換であり,かなり数学的であるので,数学の基礎をしっかり確立しておくことが肝要である。

基礎科目:電子制御工学入門(1年),電子制御工学Ⅰ(2)・Ⅱ(3)

関連科目:制御工学Ⅱ(5年),制御機器(5),ロボット工学(5),メカトロニクス(5)など

受講上のアドバイス: 制御理論は抽象的になりがちなので,具体的なイメージを常に持って臨むことが肝要である。遅刻については,90分授業のうち最初の20分以内の入室を遅刻,45分以内を1欠課,65分以内を1欠課1遅刻,それ以降を2欠課として扱う。本科目は,メカトロニクス人材育成関連科目である。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 制御工学Iの年間計画と評価方法について理解する
2週 制御とはなにか
(身の回りのフィードバック制御系について)
身の回りのフィードバック制御系について理解する
3週 静的システムと動的システム
(システム表現に関する演習)
静的システムと動的システムについて理解する
4週 ブロック線図
(ブロック線図に関する演習)
ブロック線図を用いて制御系を表現できる
5週 ラプラス変換〔伝達関数〕
(ラプラス変換・逆変換の演習)
ラプラス変換を求めることができる
6週 ラプラス変換〔微分方程式〕
(ラプラス変換・逆変換の演習)
微分方程式のラプラス変換を求めることができる
7週 ラプラス変換〔逆ラプラス変換〕
(ラプラス変換・逆変換の演習)
逆ラプラス変換を求めることができる.ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる
8週 (前期中間試験) 前期中間までの内容の理解度を確認する
2ndQ
9週 答案の返却と解説 前期中間までの内容の理解度を確認する
10週 極による安定性
(極による安定性に関する演習)
極による安定性について理解する
11週 極による速応性
(極による速応性に関する演習)
極による速応性について理解する
12週 周波数特性によるシステム解析1
(ボード線図に関する演習)
ボード線図,ナイキスト線図を学び,制御系の周波数特性について説明できる
13週 周波数特性によるシステム解析2
(ナイキスト線図に関する演習)
ボード線図,ナイキスト線図を学び,制御系の周波数特性について説明できる
14週 安定解析〔ラウス・フルビッツ,ナイキスト〕
(安定判別演習)
安定判別法を用いて制御系の安定・不安定を判別できる
15週 前期末試験 前期末までの内容の理解度を確認する
16週 答案の返却と解説 前期末までの内容の理解度を確認する
後期
3rdQ
1週 代表的なシステムの性質〔比例要素,微分要素,積分要素〕
(比例要素,微分要素,積分要素に関する演習)
比例要素,微分要素,積分要素の性質について理解する
2週 代表的なシステムの性質〔一次遅れ系〕
(一次遅れ系に関する演習)
一次遅れ系の性質を理解するとともに制御系の過渡特性・定常特性について理解する
3週 代表的なシステムの性質〔二次遅れ系〕
(二次遅れ系に関する演習)
二次遅れ系の性質を理解するとともに制御系の過渡特性・定常特性について理解する
4週 代表的なシステムの性質〔零点をもつ要素〕
(零点をもつ要素に関する演習)
零点をもつ要素の性質について理解する
5週 代表的なシステムの性質〔むだ時間要素〕
(むだ時間要素に関する演習)
むだ時間要素の性質について理解する
6週 制御仕様とは
(制御仕様に関する演習)
制御仕様について理解する
7週 コンピュータを用いた演習〔代表的なシステムの性質〕 制御工学における代表的なシステムの性質について,コンピュータを用いた演習を通じて理解をさらに深める
8週 (後期中間試験) 後期中間までの内容の理解度を確認する
4thQ
9週 答案の返却と解説 後期中間までの内容の理解度を確認する
10週 PID制御概要
(PID制御の用途について調べる)
PID制御の用途について理解する
11週 PID制御のバリエーション
(各々の特性と違いの把握)
PID制御の各々の特性と違いの把握する
12週 PID制御器の設計方法1
(報告書の作成)
グループワークを通じてPID制御器の設計ができるようになる
13週 PID制御器の設計方法2
(報告書の作成)
グループワークを通じてPID制御器の設計ができるようになる
14週 PID制御器の設計方法3
(報告書の作成)
グループワークを通じてPID制御器の設計ができるようになる
15週 (後期末試験) 後期末までの内容の理解度を確認する
16週 答案の返却と解説 後期末までの内容の理解度を確認する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野計測制御自動制御の定義と種類を説明できる。3前2
フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。3前2
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。3前5,前6,前7
ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。3前6,前7
伝達関数を説明できる。3前5
ブロック線図を用いて制御系を表現できる。3前4
制御系の過渡特性について説明できる。3後2,後3
制御系の定常特性について説明できる。3後2,後3
制御系の周波数特性について説明できる。3前12,前13
安定判別法を用いて制御系の安定・不安定を判別できる。3前14

評価割合

試験ポートフォリオレポート合計
総合評価割合70255100
基礎的能力0000
専門的能力70255100
分野横断的能力0000