システム工学

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 システム工学
科目番号 0077 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:須賀雅夫著,「システム工学」(コロナ社), 参考書:椹木,添田,中溝,「システム工学の基礎」(日新出版)など図書館に所蔵
担当教員 小林 敏郎

到達目標

学習目的:社会が抱える課題は複雑化しており,製品にも単なる機能の向上ではなく新たな付加価値が求められている今,社会環境変化に対応するものづくり(プロセス イノベーション)のための製造の管理と科学を考える。本講義を通して,工場生産での設計から製造にいたるプロセスに関する基礎知識を修得する。環境エネルギー工学で扱う内容は広範囲の専門分野にわたり、お互いに深く関連する多様な複合技術により成り立つこと、将来のエネルギー問題や地球環境問題の重要性について理解する。

到達目標:
1. 生産技術の歴史と生産システム化の意義について説明できる。
2. 生産プロセスを「物の流れ(固有技術)」,「情報の流れ(管理技術)」,「価値の流れ(コスト評価)」の視点からそれぞれ説明できる。
3. 経営資源を有効に活用しより効率的にものをつくるための手法を説明でき,ものづくりの手法を科学的に分析・改善できる。
4.エネルギーの発生・省エネと環境問題との関わりを説明できる。
5.各種の発電方法の現状と課題について説明できる。
6.エネルギー科学や地球科学を学ぶ基礎を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低の到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安
評価項目1生産技術の歴史と生産システム化の意義について,管理技術とシステムの視点から説明できる。生産技術の歴史と生産システムを理解し,説明できる。生産技術の歴史と生産システムを理解している。左記に達していない。
評価項目2生産プロセスを「物の流れ(固有技術)」,「情報の流れ(管理技術)」,「価値の流れ(コスト評価)」の視点からそれぞれ説明できる。生産プロセスを理解し,説明できる。生産プロセスを理解している。左記に達していない。
評価項目3 経営資源を有効に活用しより効率的にものをつくるための手法を説明でき,ものづくりの手法を科学的に分析・改善できる。経営資源を有効に活用しより効率的にものをつくるための手法を説明でき,ものづくりの手法を科学的に分析できる。経営資源を有効に活用しより効率的にものをつくるための手法を理解できる。左記に達していない。
評価項目4再生可能エネルギーを含む各種の発電方法について、十分理解でき説明できる再生可能エネルギーを含む各種の発電方法について、基本的な語句などを説明できる再生可能エネルギーを含む各種の発電方法について、参考書等を用いて説明できる再生可能エネルギーを含む各種の発電方法について、全く説明できない
評価項目5水力、火力、原子力等のエネルギー資源の効率的な利用と環境問題の関わりについて説明できる水力、火力、原子力等のエネルギー資源の効率的な利用と環境問題などの概略を説明できる水力、火力、原子力等のエネルギー資源の利用と環境問題について、参考書等を用いて説明できる水力、火力、原子力等のエネルギー資源の利用と環境問題について全く説明できない
評価項目6エネルギー利用や省エネの知識を融合して、エネルギー消費が社会に及ぼす影響について十分理解し、説明できる。エネルギー利用や省エネの知識を融合して、エネルギー消費が社会に及ぼす影響について概略を、説明できる。エネルギー利用や省エネの知識を融合して、エネルギー消費が社会に及ぼす影響について参考書等を用いて、説明できる。エネルギー利用や省エネの知識や、エネルギー消費が社会に及ぼす影響について理解できず、説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門   学習の分野:機械とシステム

必修・履修・履修選択・選択の別:選択

基礎となる学問分野:工学/機械工学/知能機械学・機械システム

学科学習目標との関連:本科目は電子制御工学科学習目標「(2)情報と計測・制御,設計と生産・管理,材料と構造,機械とシステム,運動と振動,エネルギーと流れに関する専門技術分野の知識を修得し,工学問題の解析やメカトロニクス関連機器の設計や製作ができる能力を身につける。」に相当する科目である。

技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化,A-1:工学に関する基礎知識として,自然科学の幅広い分野の知識を修得し,説明できること」であるが,付随的には「A-2」にも関与する。

授業の概要:幾つかの要素を,ある目的が実現できるように集めたものをシステムと呼び,そのようなシステムを開発・計画・設計・改善・運用するための技術がシステム工学である。本講義では,システムエ学の概念と基本的手法を中心に,システム分野の専門性の深化を目指して授業を行う。
授業の進め方・方法:
授業の方法:パワーポイントや板書を中心に,実験実習で学習した事項との関連に注意しながら授業を進める。また,理解が深まるよう学習の進度にあわせて,演習指導をする。後期16週,1週2単位時間(90分)で開講する。板書を中心の講義を行う。学習の進度にあわせて,理解が深まるように授業時間内に演習指導を行い,レポートを課す。

成績評価方法:
前期:2回の定期試験の結果をそれぞれ同等に評価する(70%)。試験には,電卓の持込を許可する。演習プリント(授業時間外の課題を含む)(30%)。また,成績が60点未満の学生に対して再試験を行うことがある。
後期:授業の進捗に合わせて課題を課す。その結果を最終成績の最大30%、定期試験の結果を70%とする。総合成績は,それら(2回分)の平均とする。定期試験結果から理解不足であると感じられる学生に関しては,その部分の補講を行い,再試を行う場合もある。再試結果は上限60点とし定期試験結果に入れる。試験は筆記用具・電卓・自筆のノート以外は持ち込み禁止とする。
注意点:
履修上の注意:教科書の補足,演習のためにプリント資料を配布する。

履修のアドバイス:システム工学は比較的新しい学問分野のため,教科書だけでは内容が不足するため,板書を多用して授業を進める。したがって,復習の際にはノートが非常に重要になる。

基礎科目:物理Ⅰ(1年),物理Ⅱ(2),機械材料学Ⅰ(3),工業力学(3),機械力学(4)

関連科目:環境工学(5年),電気エネルギー工学(専2)

受講上のアドバイス:『本科目は原子力コア人材育成関連科目である。』演習課題は基本的手法を修得するためのものであるので,見て理解するのではなく,実際に手を動かして解くことが重要である。従って,試験前には繰り返し解くことが肝要である。授業開始時に着席していない場合,遅刻とする。




授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,経営戦略手法としての生産システムと管理[生産の仕組み,生産システムの課題・要素・評価指標,生産活動の変遷,大量生産の発生と発展,QCD,生産システムの構成,プロダクト アウト,マーケット イン]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔ロット,ロット生産,在庫,段取り替え,スループット,ロットサイズ,バーチャート(ガントチャート),規模の経済(性),速度の経済(性),範囲に経済(性) 〕(〔項目〕に示した用語を調査し,大ロット生産と小ロット生産との違いを考える。)
生産技術の歴史と生産システム化の意義について,管理技術とシステムの視点から説明できる。
企業活動には品質,コスト,効率,納期などの視点が重要であることを認識している。
生産システムをその構成要素や部分に分解し,それらの要素の間にどのような関連があるかを吟味できる。
社会環境の変化に対して,生産システム全体がどのように順応しようとしているかが説明できる。

2週 「物の流れ」:工場計画に関する基本知識-生産プロセス1[生産プロセスの分類,レイアウトによる分類,ABC分析]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔製品アーキテクチャ,モジュラー,マスカスタマゼーション,サプライチェーン(マネジメント),リコール〕(〔項目〕に示した用語を調査し,モジュール生産方式の利点と課題を考える。),〔P-Q分析(ABC分析)〕
(〔項目〕に示した用語を調査し,ロスのない工場レイアウト設計を考える1。)
生産プロセスを理解し,説明できる。
生産形態について説明できる。
設備レイアウトの意義と必要性について説明できる。
データから,生産品種を 3 グループ (A, B, C) に分類することができる。

3週 「物の流れ」:セル生産システム-生産プロセス2[生産セル,組立セル]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔ディジタルエンジニアリング(CAD/CAM, CAEなど)〕(〔項目〕に示した用語を調査し,生産性向上のための生産活動の自動化について考える1。),〔FA,システム インテグレーション,CIM〕(〔項目〕に示した用語を調査し,生産性向上のための生産活動の自動化について考える2。)
生産プロセスにおけるNC工作機械・ロボットの役割,人間の役割について説明できる。


4週 「情報の流れ」:技術情報-設計プロセス1[製品戦略,製品設計,図面]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔製品・部品の標準化・単純化,価値分析(VA: Value Analysis),グループテクノロジー(GT), P-Q分析(ABC分析),固定費と変動費〕(〔項目〕に示した用語を調査し,コストリダクションの視点から、開発・設計部門や生産技術部門が中心にする製品別のコストダウン・アプローチについて考える。)
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。
新製品の開発手順と生産の流れについて説明できる。
製品設計,生産設計について説明できる。

5週 「情報の流れ」:技術情報-設計プロセス2[工程,技術的順序,作業レベル,工程設計,作業設計,標準時間]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔優劣分岐点〕(〔項目〕に示した用語を調査し,コストリダクションを考えた設計について考える1-生産設備の選定ができる。)
要求に適合したシステム,構成要素,工程等の設計に取り組むことができる。
工程設計を理解し,説明できる。
作業設計を理解し,説明できる。
6週 「情報の流れ」:技術情報-設計プロセス3[生産システム設計,体系的レイアウト計画:SLP]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔マテリアル ハンドリング〕(〔項目〕に示した用語を調査し,コストリダクションを考えた設計について考える2。-ムダの少ない工程設計が提案できる。)
工場の生産設備の配置の計画,設計ができる。
物流の動線計画ができる。

7週 「情報の流れ」:組立システム設計-設計プロセス4[組立システム設計,ラインバランシング]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔ボトルネックの解消による生産性向上、目標サイクルタイムの同期化による省人〕(〔項目〕に示した用語を調査し,コストリダクションを考えた設計について考える3-ラインバランシングの簡単な問題を解く。)
工場の生産ライン(作業員の配置)の計画,設計ができる。
ラインバランシングの簡単な問題を解くことができる。
8週 (前期中間試験)
2ndQ
9週 前期中間試験の返却と解答解説,「情報の流れ」:計画情報―計画プロセス1[生産計画,需要予測]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項)::〔線形近似、直線回帰、最小二(自)乗法〕(〔項目〕に示した用語を調査し,コンピュータを実際に活用できるようにする1-Excelによりグラフを描き線形近似する。)
生産計画について説明できる。
問題に対して,的確に予測をすることができる。
10週 「情報の流れ」:計画情報―計画プロセス2[生産計画の主要機能,総合生産計画(APP),最適化とは,数理計画法]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔数理計画法(線形計画法,シンプレックス法)〕(〔項目〕に示した用語を調査し,コンピュータを実際に活用できるようにする2-Excelソルバーによる線形計画法(シンプレックス法)の解法)
生産管理の日程計画について基本的な説明ができる。
線形計画法に基づき生産計画を最適化できる。
11週 「情報の流れ」:計画情報―計画プロセス3[生産手配,基準生産計画(MPS)(資材所要量計画(MRP),能力所要量計画(CRP))]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔初等整数論の中の小さくない数と大きくない数: max(a,b), min(a,b)〕(〔項目〕に示した用語を調査し,関数max(a,b), min(a,b)を使いこなす。)
資材,能力と負荷(工数)の各計画の手法を説明できる。
12週 「情報の流れ」:計画情報―計画プロセス4[小日程計画,日程計画問題,スケジューリング,順序付け(差立て)規則,フローショップスケジューリング手法 ]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔初等整数論の中の小さくない数と大きくない数: max(a,b), min(a,b)〕(〔項目〕に示した用語を調査し,ジョンソン法の最適性を検証する。)
小日程計画について基本的な説明ができる。
フローショップススケジューリングについて説明できる。
13週 「情報の流れ」:計画情報―計画プロセス5[ジョブショップスケジューリング手法]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔横棒積み上げグラフ〕(〔項目〕に示した用語を調査し,コンピュータを実際に活用できるようにする3- Excelでバーチャート(ガントチャート)を作成する。)
ジョブショップスケジューリングについて説明できる。
14週 「情報の流れ」:管理情報-管理プロセス1[管理と生産管理,在庫問題,ABC分析、在庫モデル、定量発注モデル,定期発注モデル,s-S モデル,2 ビンモデル]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):
生産管理に含まれる機能を理解し説明できる。
どの状況でどちらの発注方式が使われるかを知っている。
在庫管理の計算ができる。

15週 (前期末試験)
16週 前期末試験の返却と解答解説
後期
3rdQ
1週 ガイダンス,エネルギーの基礎、環境の基礎 エネルギーと環境の概念理解
2週 人間、資源、経済、力学エネルギー 資源、経済との関係
3週 水力、風力、潮汐力 自然エネルギー(水力、風力、潮汐力)
4週 熱エネルギーと地熱・太陽熱 各種の熱エネルギー
5週 電磁エネルギーと電力 電磁エネルギー
6週 光エネルギーと太陽光 太陽光のエネルギー配分
7週 化学エネルギーと化石燃料 化学エネルギーと化石燃料
8週 後期中間試験
4thQ
9週 後期中間試験の返却と解答解説,生体エネルギー 生体エネルギー
10週 バイオマスと核エネルギー 原子力の基礎
11週 原子力発電と放射線 原子力発電のしくみ
12週 エネルギーの有効利用、環境資源
(非エネルギー資源)
環境資源
13週 地球温暖化と環境保全
14週 未来エネルギーと未来環境 地球温暖化に関する基礎知識
15週 後期末試験 未来エネルギー
16週 後期末試験の返却と解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野情報処理プログラムを実行するための手順を理解し、操作できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力0000000
専門的能力70000300100
分野横断的能力0000000