学習目的:自分で選択した実験分野に関する理論的背景,基礎知識,技術を理解する。実験には主体的に取り組み,目標達成に必要な計画立案や経過の確認を自立して行うことで問題設定能力,解決能力を身につける。
到達目標:
◎実験結果の妥当性評価や考察について論理的な説明ができる。
◎実験内容の関連知識や技術について,情報を収集・分析し,情報の加工・作成・整理ができる。
◎実験の計画立案や途中経過の確認などを主体的に行い,自ら実験課題を発見することができる。
◎ハードウェア・ソフトウェアを利用した適切な方法を用いて,要求された課題を制約の下でデザインすることができる。
概要:
一般・専門の別:専門
学習の分野:実験・実習
基礎となる学問分野:情報科学,情報工学およびその関連分野/計算機システム関連,情報ネットワーク関連
学科学習目標との関連:本科目は情報工学科学習目標「(3)実験や演習等の体験的学習を通じて知識理解を深化させるとともに,実験遂行能力,データを解析し考察する能力,システム作成能力を身につける。」に相当する科目である。
技術者教育プログラムとの関連:本科目が主体とする学習・教育目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化,A-3:実験・実習をとおして,
技術に関する基礎知識の理解を深めるとともに,関連した技能や手法を修得し,説明できること」であるが,付随的には「D-2」に関与する。
授業の概要:専門分野に対する理解が進んでいる第4学年の工学実験では,応用的な内容に触れるための実験を,本人の希望する分野に絞って行う。
授業の進め方・方法:
"授業の方法:4班に分かれて下記の4つのテーマの実験を順に行う。授業計画ではある班の学習順序の例である。
・ハードウェア実験(寺元)
論理回路をパソコン上で設計し,設計した論理回路をPLDで構成して実際に動作させる。
・ソフトウェア実験(畑)
統合開発環境を用いてデバッガおよびプロファイラを用いた開発方法を学ぶ。さらに、オブジェクト指向プログラミングの基本を理解する。
・計測・制御実験(川波)
マイコンを利用して,センサやモーターのような物理的な情報を扱える入出力デバイスを用いた制御実験を行う。
・ネットワーク実験(松島)
TCP/IPとEthernetを使った通信の仕組み,および,ネットワークの設計方法を学習する。また,実際にネットワークの構築を行う。
成績評価方法:提出された実験報告書により,到達目標の到達度を評価する(100%)。各回前期と後期の評価は対等に扱う。"
注意点:
履修上の注意:本科目は実技を主とする科目で,学年の課程修了のため履修(欠席時間数が所定授業時間数の3分の1以下)・修得が必須である。また,本科目は「授業時間外の学習を必修とする科目」である。これらの学習については担当教員の指示に従うこと。
履修のアドバイス:実践的な実験内容となっている。事前に,実験テキストの内容を把握してから実験に臨むこと。また,報告書作成を通し十分に理解,考察を行うことが重要である。
基礎科目:情報工学実験Ⅰ(1年)など,これまでに履修したすべての科目
関連科目:情報工学実験Ⅴ(5年),卒業研究(5)
受講上のアドバイス:レポートには,実験の結果だけでなく,実験を行った経過(実験の手順や途中経過)も記録すること。提出期限の遵守は評価において重視する。定められた期限を守ってレポートを提出すること。原則,指示されるすべての実験を行うこと。受け身でなく積極的に実験に参加し,自分で考え抜く努力をすること。
遅刻の扱い:出欠確認から10分までは遅刻とし、それ以降は欠課とする。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
(以下,4班のうちの1班を例に示す。) ガイダンス1:計測・制御実験の概要 |
|
2週 |
実験1-1:Arduinoによる開発環境の学習・LED制御 |
マイコンボードArduinoと電子パーツを使った回路とプログラムの開発の流れと簡単な制御回路が作成できる。
|
3週 |
実験1-2:圧電スピーカの制御とアナログ入力測定 |
任意の周波数の波形の生成方法と電圧の測定方法が分かる。
|
4週 |
実験1-3:CdSセルを用いた光量計測とLED制御 |
光量センサによる計測ができる。
|
5週 |
実験1-4:距離の測定とサーボモータの制御
|
距離センサによる計測とサーボモータの制御ができる。
|
6週 |
実験1-5:風量調整付き扇風機の作成
|
実用的なアプリケーションのスケッチが理解できる。
|
7週 |
実験1-6:野球ゲームの作成と改良
|
実用的なスケッチと回路を理解し,応用ができる。
|
8週 |
報告書作成指導
|
|
2ndQ |
9週 |
ガイダンス2:ネットワーク実験の概要 |
|
10週 |
実験2-1:UNIX系コマンドの使い方とコンピュータのネットワーク設定
|
コンピュータのネットワーク設定ができる。
|
11週 |
実験2-2:ネットワークの論理設計 |
ネットワークの論理設計ができる。
|
12週 |
実験2-3:イーサネットとIPによる通信のロールプレイと通信状況の確認 |
通信状況の確認ができる。
|
13週 |
実験2-4:DNSサーバの構築 |
DNSサーバの構築ができる。
|
14週 |
実験2-5:WEBサーバの構築とセキュリティ対策 |
WEBサーバの構築とセキュリティ対策ができる。
|
15週 |
実験2-6:MAILサーバの構築 |
MAILサーバの構築ができる。
|
16週 |
報告書作成指導 |
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス3:ハードウェア実験の概要 |
|
2週 |
実験3-1:ハードウエア-設計環境の構築とORゲート回路 |
ハードウェア設計環境が使える。
|
3週 |
実験3-2:計算回路(半加算器、全加算器)と 4 ビット加算器 の設計 |
基本的な組合せ回路の設計ができる。
|
4週 |
実験3-3:セグメント LED 表示回路 の設計と加減算器(1) |
LED出力のある基礎的な回路の設計ができる。
|
5週 |
実験3-4:セグメント LED 表示回路 の設計と加減算器(2) |
LED出力のある基礎的な回路の設計ができる。(つづき)
|
6週 |
実験3-5:カウンター回路 表示回路 の設計 |
応用的回路の設計ができる。
|
7週 |
実験3-6:VHDL言語による回路設計 |
VHDL言語による回路設計ができる。
|
8週 |
報告書作成指導 |
|
4thQ |
9週 |
ガイダンス4:ソフトウェア実験概要 |
|
10週 |
実験4-1:C#の基礎 |
プログラミング言語C#の基礎的な構文をもちいて簡単なプログラムを作成できる。
|
11週 |
実験4-2:デバッグ |
デバッガを用いてプログラムの簡単なデバッグができる。
|
12週 |
実験4-3:構造化プログラミング |
構造化プログラミングの基礎を理解し、プログラム作成に役立てることができる。
|
13週 |
実験4-4:オブジェクト指向プログラミング(1) |
オブジェクト指向プログラミングの基礎を理解する。
|
14週 |
実験4-5:オブジェクト指向プログラミング(2) |
オブジェクト指向プログラミングの基礎を理解する。
|
15週 |
実験4-6:プロファイリング |
プロファイラを用いた性能測定をすることができる。
|
16週 |
報告書作成指導 |
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 4 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 4 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 4 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 4 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 4 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 4 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 4 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 4 | |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 情報系分野【実験・実習能力】 | 情報系【実験・実習】 | 与えられた問題に対してそれを解決するためのソースプログラムを、標準的な開発ツールや開発環境を利用して記述できる。 | 4 | |
フローチャートなどを用いて、作成するプログラムの設計図を作成することができる。 | 4 | |
ソフトウェア生成に利用される標準的なツールや環境を使い、ソースプログラムをロードモジュールに変換して実行できる。 | 4 | |
問題を解決するために、与えられたアルゴリズムを用いてソースプログラムを記述し、得られた実行結果を確認できる。 | 4 | |
ソフトウェア開発の現場において標準的とされるツールを使い、生成したロードモジュールの動作を確認できる。 | 4 | |
基礎的な論理回路を構築し、指定された基本的な動作を実現できる。 | 4 | |
論理回路などハードウェアを制御するのに最低限必要な電気電子測定ができる。 | 4 | |
与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計できる。 | 4 | |
標準的な開発ツールを用いてプログラミングするための開発環境構築ができる。 | 4 | |
要求仕様にあったソフトウェア(アプリケーション)を構築するために必要なツールや開発環境を構築することができる。 | 4 | |
要求仕様に従って標準的な手法によりプログラムを設計し、適切な実行結果を得ることができる。 | 4 | |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。 | 3 | |
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。 | 3 | |
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。 | 3 | |
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。 | 3 | |
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。 | 3 | |
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。 | 3 | |
他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 3 | |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 3 | |
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 3 | |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 3 | |
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。 | 3 | |
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。 | 3 | |
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる | 3 | |
複数の情報を整理・構造化できる。 | 3 | |
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。 | 3 | |
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。 | 3 | |
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。 | 3 | |
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。 | 3 | |
事実をもとに論理や考察を展開できる。 | 3 | |
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 3 | |