学習目的:技術経営の基本である企業等における研究開発および商品化のプロセス,ならびにその過程で生み出される知的財産の理解を通して,エンジニアの基本的な仕事に取り組む姿勢を学び,将来への準備とする。
到達目標:
1.企業で重要な知的財産について理解する。
2.企業における知的財産を活かした技術経営について理解する。
3.先行特許等調査の実践的なノウハウ・スキルを身に付ける。
概要:
一般・専門の別:専門
学習の分野:自然科学系共通・基礎
基礎となる学問分野:社会科学/経営学/経営学
学科学習目標との関連:本科目は情報工学科学習目標「(1) 数学,物理を中心とした自然科学系の科目に関する知識を修得し,情報工学を中心とした技術分野に応用する能力を身につける。」に相当する科目である。
技術者教育プログラムとの関連:主体とする学習・教育目標は「(B)地球的視野に立った人間性の育成,B-1:技術者に必要な広い視野と一般教養を身に付け,技術が社会や自然に及ぼす影響を理解し,説明できること」である。
授業の概要:企業における技術製品開発とその商品化に関し,知的創造サイクルの基礎となる知的財産全般について解説する。なかでも,特許については理論だけでなく,調査手法を含めた実践的な内容に踏み込んで解説する。また,技術経営(MOT)について,知的財産を事業に活かすための知的財産マネジメントを中心に,具体例を交えて解説する。
授業の進め方・方法:
授業の方法:教科書に加えて,プリントやパワーポイントを用いることで平易に解説する。また,毎回,2時間分の課題を出して授業時間外の学習を求める。
成績評価方法:試験(30%),レポート・授業態度(70%)。Webページなどの記載をほとんどそのままコピー・貼り付けしたに過ぎないレポートは減点する場合がある。また、ほぼ同一記載のレポートが複数人から提出された場合には、どれがオリジナルであるかに関係なく減点する場合がある。
試験時の持ち込み可能物品について制限する予定である(講師の指示に従うこと)。再試験は実施しない。
注意点:
履修上の注意:本科目は「授業時間外の学修を必要とする科目」である。当該授業時間と授業時間外の学修を合わせて,1単位あたり45時間の学修が必要である。授業時間外の学修については,担当教員の指示に従うこと。
履修のアドバイス:企業経験の豊富な非常勤講師により,社会において技術と経営がどのようにかかわっていくべきかについて,企業戦略,技術経営の視点から解説する。
基礎科目:倫理(1年),政治経済(2)
関連科目:なし
受講上のアドバイス:知的財産と技術経営について,企業等に就職後に活かすことができる実践的な内容を説明するので,興味を持って学習してほしい。
知的財産に関する報道(例えば,職務発明関連報道)があれば,積極的に講義で取り上げて,専門家としての切り口から解説を行う予定である。
原則として授業開始時に出席を確認し,その時いなければ欠課とする。授業開始後25分以内に入室した場合は遅刻とするが,遅刻3回で1欠課と扱う。
連絡担当教員:前原・総合理工学科電気電子システム系
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
知的財産概論 【授業時間外の学習】各法域の違いに関する講師指定事項について自己学習する。
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特許,実用新案,意匠,商標の趣旨と保護対象の違いを理解する。
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2週 |
特許1回目:特許要件(1) 【授業時間外の学習】特許要件に関する講師指定事項について自己学習する。 |
特許権を成立させるために必要な要件のうち、法上の発明、産業上利用可能性、新規性について理解する。
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3週 |
特許2回目:特許要件(2) 【授業時間外の学習】特許要件に関する講師指定事項について自己学習する。 |
特許権を成立させるために必要な要件のうち、進歩性、先願について理解する。
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4週 |
特許3回目:特許要件(3) 【授業時間外の学習】特許要件に関する講師指定事項について自己学習する。 |
特許出願をすることができる者は誰であるのか(主体的要件)理解する。企業において発明がどのように扱われるのか理解する。
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5週 |
特許4回目:出願〜登録までの手続き 【授業時間外の学習】登録までの手続きに関する講師指定事項について自己学習する。 |
出願〜登録までの手続きの概要を理解するとともに、どのような補正が可能であるのか理解する。
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6週 |
特許5回目:権利範囲、実施権 【授業時間外の学習】特許権に関する講師指定事項について自己学習する。
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特許権の権利範囲について理解する。侵害の可能性の判断手法について概要を理解する。実施権の種類とそれぞれのメリット・デメリットを理解する。
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7週 |
実用新案:概要理解 【授業時間外の学習】実用新案に関する講師指定事項について自己学習する。 |
実用新案について特許との違いを理解する。先行技術調査の概要について理解する。
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8週 |
前期中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
試験返却,意匠1回目:概要説明 【授業時間外の学習】意匠の保護対象などに関する講師指定事項について自己学習する。 |
意匠について特許との違いを理解する。保護対象である意匠について理解する。意匠の登録要件の概要を理解する。
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10週 |
意匠2回目:特殊な意匠制度 【授業時間外の学習】意匠法特有の制度に関する講師指定事項について自己学習する。 |
部分意匠や関連意匠など特殊な意匠制度について理解する。
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11週 |
商標:概要説明、商標の機能 【授業時間外の学習】商標の機能などに関する講師指定事項について自己学習する。 |
商標制度の概要を理解する。商標の三大機能を理解する。自他商品識別力と商標の類似を理解する。専用権と禁止権を理解する。
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12週 |
著作権、不正競争防止法 【授業時間外の学習】著作権または不正競争防止法に関する講師指定事項について自己学習する。 |
著作権と不正競争防止法の概要を理解する。著作権について人格権と財産権の違いを理解する。
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13週 |
技術経営と知的財産 【授業時間外の学習】技術経営などに関する講師指定事項について自己学習する。 |
知的財産と経営との関わり、知的財産を経営に活かす手法などについて理解する。
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14週 |
データベースを用いた検索 【授業時間外の学習】講師指定の先行技術についてデータベースを用いて調査する。
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無料データベースを用いた先行技術調査の手法を身につける。
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15週 |
前期末試験 |
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16週 |
試験返却 総まとめ |
試験返却後、講義の総まとめを実施する予定。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。 | 3 | |
説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 2 | |
社会における技術者の役割と責任を説明できる。 | 3 | |
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。 | 3 | |
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。 | 2 | |
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。 | 2 | |
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。 | 2 | |
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 2 | |
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 2 | |
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。 | 2 | |
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。 | 3 | |
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。 | 3 | |
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。 | 2 | |
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。 | 2 | |
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。 | 2 | |
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。 | 2 | |
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。 | 2 | |
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。 | 2 | |