熱流体力学

科目基礎情報

学校 広島商船高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 熱流体力学
科目番号 0027 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 商船学科(機関コース) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 武居昌広 著 「単位が取れる流体力学ノート」 講談社出版
担当教員 雷 康斌

到達目標

(1)熱力学の基本を理解し、熱量の計算ができる。
(2)流体の性質について理解し、燃料油と潤滑油の性質を理解する。
(3)流れの基礎について理解し、ラグランジュの方法とオイラーの方法の区別が理解できる。
(4)流体力学における連続の式とベルヌーイの定理の誘導を理解し、ベルヌーイの式による計算ができる。
(5)流れ関数と速度ポテンシャル、渦度、円柱まわりの流れを理解し、抗力と揚力を計算できる。
(6)レイノルズ数、境界層、ナビエ・ストークスの方程式を理解し、管摩擦係数など基本的な問題が解ける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1熱力学の概念と法則を説明でき、熱量の移動問題を解くことができる。熱力学の概念と法則を理解し、簡単な熱量の計算問題ができる。熱力学の基本的な概念や法則を理解していいない。
評価項目2流体の単位と概念を理解して説明でき、燃料油と潤滑油の性質を説明できる。流体の単位と基本的な概念を理解し、燃料油と潤滑油の性質を理解する。流体の性質と基本的な概念を理解できない。
評価項目3ラグランジュの方法とオイラーの方法の区別を説明し、ベルヌーイの定理の誘導を説明でき、ベルヌーイの式による流れの計算ができる。ラグランジュの方法とオイラーの方法の区別を理解し、ベルヌーイの定理を理解し、ベルヌーイの式による流れの計算ができる。ラグランジュの方法とオイラーの方法を理解していない、ベルヌーイの式による計算ができない。
評価項目4流れ関数と速度ポテンシャル、渦度、円柱まわりの流れの特徴を説明でき、抗力と揚力を計算できる流れ関数と速度ポテンシャル、円柱まわりの流れの特徴を理解し、抗力と揚力を計算できる。流れ関数と速度ポテンシャル、渦度を理解していない、抗力と揚力の計算ができない。
評価項目5レイノルズ数、境界層、ナビエ・ストークスの方程式を理解し、基本的な流れの問題が解ける。レイノルズ数、境界層、ナビエ・ストークスの方程式を説明し、基本的な流れの問題が解ける。レイノルズ数、境界層、ナビエ・ストークスの方程式を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
水や空気などの流体の流れがわれわれの生活に密接に関係しており、流れを取り扱う熱力学及び流体力学は日常生活や工学の広範囲の分野において重要である。本授業では、熱力学および流体力学に関わる基礎的な知識を習得し、現象を科学的に説明できることを目標とする。また、得られた知識・技術を活用して、熱機関および流体機械を運用管理するための基礎能力を習得することを目指す。
船舶に限らず、熱機関(エンジン)や冷凍機、ポンプなど、熱および流体を取り扱う機器は非常に多岐にわたっている。それらを取り扱う各種工業機器の動作原理の基礎理論を理解するうえで、「熱力学」および「流体力学」の知識が非常に重要になってくる。この授業では、各種工業機器の原理などを理解するのに必要な熱力学および流体力学の基礎的な知識を学習する。
授業の進め方・方法:
注意点:
(1) 数学的な取り扱いが多い学問であるので先行している数学と力学の基礎知識を確認しながら授業を進める。
(2) 日常の具体例を取り上げながら物理的意味を解説し、これに数学と力学の知識を応用する。
(3) 学習内容の定着には、日々の予習復習が不可欠である。教科書・問題集などを活用して主体的に学習すること。
(4) 授業では実験実習の日時と学習の進捗状況によってシラバスの内容を調整することがある。
(5) 学習内容についてわからないことがあれば、積極的に質問すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 熱力学の基礎 熱力学の基本、単位を理解する。
2週 熱力学の基礎 温度、圧力、仕事、熱量、エネルギーの概念を理解する。
3週 熱力学の基礎 熱伝導、熱伝達、熱放射(輻射)、熱貫流を理解する。
4週 熱力学の基礎 比熱、定積比熱、定圧比熱、比熱比、理想気体、ボイル・シャルルの法則を理解する。
5週 熱力学の基礎 内部エネルギ、エンタルピー、熱力学の第一法則を理解する。
6週 熱力学の基礎 カルノーサイクル、エントロピー、可逆変化と不可逆変化、熱力学の第二法則を理解する。
7週 前期中間試験
答案返却・解説
8週 流体の性質 国際単位系、工学単位系、気体、液体、固体、連続体、流体と流れを理解する。
2ndQ
9週 流体の性質 比重、密度、比体積、圧力、せんだん応力、浮力、パスカルの原理が理解できる。
10週 流体の性質 粘性、粘度、動粘度、ニュートンの粘性法則、燃料油と潤滑油の性質を理解する。
11週 流体の性質 静止流体、圧縮性、非圧縮性、圧縮率、体積弾性係数を理解する。
12週 流れの基礎 流体運動の記述法、ラグランジュの方法、オイラーの方法が理解できる。定常流れと非定常流れ、圧縮流れと非圧縮流れの区別が理解できる。
13週 流れの基礎 一次元流れ、二次元流れ、平面流れ、三次元流れが理解できる。流線、流脈線、流跡線の区別を理解し、流線の式、流管を理解する。
14週 流れの基礎 流体粒子の局所加速度と対流加速度、実質微分、粒子微分、物質微分を理解する。
15週 流れの基礎 流体の体積力、オイラーの運動方程式、連続の式が理解できる。ベルヌーイの定理、ピトー静圧管、ピトー管、よどみ点圧力、静圧、動圧が理解できる。
16週 前期末試験
答案返却・解説
後期
3rdQ
1週 理想流体の流れ 流体粒子の変形と回転、伸縮変形、せん断変形、回転変形が理解できる。
2週 理想流体の流れ 流れの渦度、循環、ストークスの定理が理解できる。
3週 理想流体の流れ 渦なし流れ、ポテンシャル流れが理解できる。
4週 理想流体の流れ 流れ関数、速度ポテンシャルが理解できる。
5週 理想流体の流れ 流れの連続の式とオーラ-運動方程式を理解できる。
6週 理想流体の流れ 平行な一様流、吹き出し流れ、吸い込み流れを理解できる。
7週 理想流体の流れ 円柱まわりの流れを理解し、揚力と抗力を計算することができる。
8週 後期中間試験
答案返却・解説
4thQ
9週 粘性流体の流れ 粘性流体に作用する力とすべりなしの条件を理解できる。
10週 粘性流体の流れ レイノルズ数、レイノルズの相似則を理解できる。
11週 粘性流体の流れ 定常流、非定常流、層流、乱流、臨界レイノルズ数、遷移、境界層を理解できる。
12週 粘性流体の流れ 流体の内部応力、体積力、表面力、せん断応力、ひずみ速度を理解できる。
13週 粘性流体の流れ ナビエ・ストークスの方程式を理解し、基本的な解析例と応用問題が解ける
14週 粘性流体の流れ 円管内の粘性流れ、速度分布、圧力損失、管摩擦係数、ムーディ線図を理解する。
15週 粘性流体の流れ 平行平板間の流れ、クエット流れ、剥離流、噴流、後流を理解する。
16週 学年末試験
答案返却・解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体水の等圧蒸発過程を説明できる。3
飽和蒸気、湿り蒸気、過熱蒸気の状態量を計算できる。3
蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができる。3
伝熱の基本形態を理解し、各形態における伝熱機構を説明できる。3
フーリエの法則および熱伝導率を説明できる。3
平板および多層平板の定常熱伝導について、熱流束、温度分布、熱抵抗を計算できる。3
対流を伴う平板の定常熱伝導について、熱流束、温度分布、熱通過率を計算できる。3
ニュートンの冷却法則および熱伝達率を説明できる。3
自然対流と強制対流、層流と乱流、温度境界層と速度境界層、局所熱伝達率と平均熱伝達率を説明できる。3
平板に沿う流れ、円管内の流れ、円管群周りの流れなどについて、熱伝達関係式を用いることができる。3
黒体の定義を説明できる。3
プランクの法則、ステファン・ボルツマンの法則、ウィーンの変位則を説明できる。3
単色ふく射率および全ふく射率を説明できる。3
圧縮性流体と非圧縮性流体の違いを説明できる。3
流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。3
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。3
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。3
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。3
パスカルの原理を説明できる。3
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。3
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。3
物体に作用する浮力を計算できる。3
質量保存則と連続の式を説明できる。3
ピトー管、ベンチュリー管、オリフィスを用いた流量や流速の測定原理を説明できる。3
定常流と非定常流の違いを説明できる。3
流線と流管の定義を説明できる。3
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。3
オイラーの運動方程式を説明できる。3
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。3
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。3
円管内層流および円管内乱流の速度分布を説明できる。3
ハーゲン・ポアズイユの法則を説明できる。3
層流と乱流の違いを説明できる。3
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。3
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。3
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。3
流れの中の物体に作用する抗力および揚力について説明できる。3
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。3
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。3
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。3
熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。3
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。3
熱力学の第一法則を説明できる。3
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。3
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。3
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。3
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。3
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。3
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。3
固体、液体および理想気体におけるエントロピーの変化量を計算できる。3
熱の有効エネルギーを説明できる。3
熱力学の第二法則を説明できる。3
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。3
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。3
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。3
サイクルをT-s線図で表現できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合600020020100
基礎的能力0000000
専門的能力600020020100
分野横断的能力0000000