概要:
本教科の目的は,直流・交流回路の基本的な解析方法の習得である.授業は,単位や物理量の解説や回路計算に必要な数学的教養,直並列回路の計算方法,キルヒホッフ則等の基本的な理論を学習する.次いで交流回路では交流電圧電流の表現方法,回路要素(RLC)の性質やインピーダンスの考え方,複素数表示,フェーザ表示等や計算方法を習得する.以上により,電気回路解析に関する基礎的な専門的知識・技術の習得(知識・技術とその応用)を目指す.さらに,習得した知識や技術を用いて,所望の動作をする電気回路を設計するための基礎的能力を身につけることを目的とする.
なお,本教科は電気関係の専門的な学習をする上で基礎となる最も重要な教科の一つである.
授業の進め方・方法:
授業は基本的に以下の手順で行う.
1.当日学習する内容について概説し,その関連分野や重要性等について説明しするので,把握しておくこと.
2.次いで当日学ぶ学習内容の達成目標について説明するので,「今日は何が分かればよいのか?」を正しく把握しておくこと.
3.今回の学習内容の前提条件を示すので,これまでの学習内容を思い出すこと.
4.学習内容を伝達するので,それらを正確に理解し,必要に応じてノート等に記すこと.
5.練習課題の解き方を具体的に説明するので,その解法等について正しく理解すること.
6.練習の機会を提供するので,実際に問題を解いてみること.
7.解いた結果を確認して各自にフィードバックを与えるので,問題点を整理し当日の学習内容を正確に理解しているか,確認すること.
8.学習の成果を評価するので,解いた結果等を教員に示すこと.
9.今回の学習内容について,別の視点等から再度解説するので,次回以降の学習のために,今回の学習内容を保持するように努力すること.
注意点:
・授業内容は全て連続しているため,授業の前に事前学習として,それまでの授業内容を理解しておくことが重要である.
・予習として,それまでの授業内容をもう一度自分で学習してから次の授業に臨むこと.
・単に計算技法や法則を覚えるのではなく,電気や磁気の物理現象の意味や本質を理解することが極めて重要である.
・電磁気学の諸現象について図や数式を用いて適切に説明できることが必要である.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
直流回路 |
基礎電気量(電荷,電流,電圧,電力,電力量)を理解している
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2週 |
直流回路 |
回路要素(電気抵抗,インダクタンス,キャパシタンス)の基本的性質が理解できる
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3週 |
直流回路 |
直流回路の基本(直並列回路,電源の等価回路,電力の整合等)を理解している
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4週 |
直流回路 |
直流回路網の計算ができる(直並列回路,Y-Δ変換)
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5週 |
直流回路 |
直流回路網の計算ができる(直並列回路,Y-Δ変換)
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6週 |
直流回路 |
直流回路網の基本定理(キルヒホッフ則)を利用して計算ができる
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7週 |
直流回路 |
直流回路網の基本定理(キルヒホッフ則)を利用して計算ができる 直流回路網の諸定理(重ね合わせの理,鳳・テブナンの定理,ノートンの定理)を利用して回路網の計算ができる
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
直流回路 |
交流回路網解析に必要な数学的知識を習得している
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10週 |
交流回路 |
交流回路網解析に必要な数学的知識を習得している
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11週 |
交流回路 |
正弦波交流について理解している.
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12週 |
交流回路 |
正弦波交流のフェーザ表示と複素数表示を理解している.
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13週 |
交流回路 |
交流における回路要素(抵抗,インダクタンス,キャパシタンス)の基本的性質を理解している
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14週 |
交流回路 |
交流における回路要素(抵抗,インダクタンス,キャパシタンス)の基本的性質を理解している
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15週 |
交流回路 |
交流における回路要素(抵抗,インダクタンス,キャパシタンス)の基本的性質を理解している
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16週 |
前期末試験 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
交流回路 |
2端子回路の直列,並列接続を理解している.
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2週 |
交流回路 |
2端子回路の直列,並列接続を理解している.
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3週 |
交流回路 |
交流の電力(有効,無効,皮相電力,力率等)を理解している.
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4週 |
交流回路 |
交流回路網の基本定理(キルヒホッフ則)を利用して計算ができる
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5週 |
交流回路 |
交流回路網の諸定理(重ね合わせの理,鳳・テブナンの定理,ノートンの定理)を利用して回路網の計算ができる.
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6週 |
交流回路 |
電磁誘導結合回路,相互インダクタンスの基礎を理解している.
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7週 |
交流回路 |
変圧器結合回路の基礎を理解している.
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
交流回路 |
交流回路の周波数特性,インピーダンス面,アドミタンス面の基礎を理解している
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10週 |
過渡現象 |
直列共振,並列共振,回路のQ値,並列共振インピーダンス等について理解している
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11週 |
過渡現象 |
過渡現象の基礎を理解している.
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12週 |
過渡現象 |
回路素子の性質とエネルギーについての基礎を理解している.
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13週 |
過渡現象 |
回路素子の性質とエネルギーについての基礎を理解している.
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14週 |
過渡現象 |
RL直列回路,RC直列回路における過渡現象の解析ができる.
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15週 |
過渡現象 |
RLC直列回路における過渡現象の解析ができる.
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16週 |
学年末試験 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | 瞬時値を用いて、簡単な交流回路の計算ができる。 | 3 | 前10 |
フェーザを用いて、簡単な交流回路の計算ができる。 | 3 | 前13 |
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。 | 3 | 前14 |
正弦波交流の複素表示を説明し、これを交流回路の計算に用いることができる。 | 3 | 前12 |
電荷と電流、電圧を説明できる。 | 3 | 前1 |
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。 | 3 | 前2 |
重ねの理を説明し、直流回路の計算に用いることができる。 | 3 | 前7 |
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | 前6 |
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | 前3 |
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。 | 3 | 前4 |
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。 | 3 | 前3 |
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。 | 3 | 前10 |
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。 | 3 | 前10 |
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。 | 3 | 前12 |
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。 | 3 | 前13 |
網目電流法や節点電位法を用いて交流回路の計算ができる。 | 3 | 後4 |
重ねの理やテブナンの定理等を説明し、これらを交流回路の計算に用いることができる。 | 3 | 後5 |
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | 後4 |
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | 後1,後2 |
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。 | 3 | 後10 |
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。 | 3 | 後6 |
理想変成器を説明できる。 | 3 | 後7 |
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。 | 3 | 後3 |
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。 | 3 | 後10,後11 |
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。 | 3 | 後14,後15 |