日本文学

科目基礎情報

学校 呉工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 日本文学
科目番号 0082 科目区分 一般 / 選択必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 建築学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 《教科書》詳細は第1回目の授業で指示するが、基本的にはプリントを使用する。
《参考文献》米村みゆき編『ジブリの森へ 高畑勲・宮崎駿を読む』(増補版、森話社、2008・4、ISBN: 978-4916087843)、『ユリイカ 臨時増刊号 総特集=高畑勲の世界』(青土社、2018・7、ISBN:978-4791703524)
※その他の参考文献については、講義の進捗や受講生の関心等に応じて適宜紹介する。
担当教員 上芝 令子,花澤 哲文

到達目標

1.自ら問いを立て、それを解決へと導くための方法・思考力を身につけ、それを実践できる。
2.一つの事象や表現を、様々な角度から粘り強く分析する能力および習慣を身につける。
3.ストーリーのみならず、構造や細部、時代背景に着目しながら作品を読み解く技法を身につける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1自ら問いを立て、それを解決へと導くための方法・思考力を身につけ、それを実践できる。自ら問いを立て、それを解決へと導くための方法・思考力を身につけている。自ら問いを立て、それを解決へと導くための方法・思考力を身につけていない。
評価項目2一つの事象や表現を、様々な角度から粘り強く分析する能力および習慣を身につけている。一つの事象や表現を、特定の観点から分析する能力を身につけている。一つの事象や表現を、特定の観点から分析する能力を身につけていない。
評価項目3ストーリーのみならず、構造や細部、時代背景に着目しながら作品を読み解く技法を身につける。ストーリーに着目しながら作品を読み解く技法を身につけている。作品を読み解く技法が身についていない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本講義ではスタジオジブリの製作したアニメ映画を、高畑勲(1935-2018)の作品を中心に読み解いてゆく(宮崎駿監督作品である『風立ちぬ』についても、例外的に論及する)。その際、作品それ自体を精査するのみならず、それと密接な関係を結んでいる他ジャンルの作品(「原作」等)も視野に入れて考察する。こうした作業を通じて、受講生らの自由な発想と、より高度な分析力を涵養することが、この授業の主たる狙いである。
授業の進め方・方法:
教員による講義を軸に授業を進め、適宜グループワーク等の活動も実施する。なお新型コロナウイルスの影響により、授業内容を変更する可能性がある。Microsoft Teams上の連絡を連絡を見落とさないように注意すること。
注意点:
学修単位科目であることに鑑み、受講態度に加えて、平素の課題(授業内課題やワークシート等)への取り組み方を重視する。授業中に指示した作品は必ず読んでくること。また受講態度が不適切である場合、相応に減点するので注意すること。自由な発想に基づく、積極的な議論が交わされることを期待している。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス、高畑勲と反・「ファンタジー」 物語(小説・漫画・映画等)を分析する際の着眼点について理解し、それを実践できる。
2週 『平成狸合戦ぽんぽこ』①―「政治」の季節 作中の描写と作品外の事象との関係について、考察を深めることができる。
3週 『平成狸合戦ぽんぽこ』②―「動物論」として読む 「人間中心主義」とそれに対する批判について、考察を深めることができる。
4週 『平成狸合戦ぽんぽこ』③ ―「滅びの美学」を超えて 「平家物語」や「日本浪曼派」等に関する文学史的な知識を身につけ、それを作品の解釈に役立てることができる。
5週 『火垂るの墓』①―「孤児」の表象 「戦災孤児」の語られ方の変遷を踏まえつつ、作品に対する理解を深めることができる。
6週 『火垂るの墓』②―「戦争体験」という問題系 作品の内容を踏まえつつ、「戦争体験」の語られ方について各自で調査・考察できる。
7週 中間試験
8週 答案返却・解説、履歴書・ES・志望動機書の書き方 履歴書・ES・志望動機書の書き方について理解し、それを実践できる。
4thQ
9週 『火垂るの墓』③―『火垂るの墓』の語られ方 『火垂るの墓』に関する先行研究(研究論文)について議論し、自らの見解を深化ないしは相対化することができる。
10週 『風立ちぬ』①―「飛行」というモチーフ 宮崎駿作品における「飛行(機)」のありかたについて考察し、高畑勲作品におけるそれと比較することができる。
11週 『風立ちぬ』②―「軽井沢」というトポス 複数の文学作品や映画等を比較し、『風立ちぬ』における「軽井沢」の描かれ方について考察を深めることができる。
12週 『かぐや姫の物語』①―「物語」批判の物語 五人の貴公子らが語る「物語」の役割について、考察を深めることができる。
13週 『かぐや姫の物語』②―「御門」の肖像 本作と『竹取物語』における「御門」の描かれ方を比較し、考察を深めることができる。
14週 『かぐや姫の物語』③―加藤道夫「なよたけ」を視座に 『竹取物語』を「アダプテーション」という観点から考察することができる。
15週 期末試験
16週 答案返却・解説、ビジネスメールのマナー ビジネスメールのマナーについて理解し、それを実践できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学国語国語論理的な文章(論説や評論)の構成や展開を的確にとらえ、要約できる。3後9,後13
論理的な文章(論説や評論)に表された考えに対して、その論拠の妥当性の判断を踏まえて自分の意見を述べることができる。3後9,後13
文学的な文章(小説や随筆)に描かれた人物やものの見方を表現に即して読み取り、自分の意見を述べることができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15,後16
常用漢字の音訓を正しく使える。主な常用漢字が書ける。3後8,後15,後16
類義語・対義語を思考や表現に活用できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15,後16
社会生活で使われている故事成語・慣用句の意味や内容を説明できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15,後16
専門の分野に関する用語を思考や表現に活用できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15,後16
実用的な文章(手紙・メール)を、相手や目的に応じた体裁や語句を用いて作成できる。3後8,後16
報告・論文の目的に応じて、印刷物、インターネットから適切な情報を収集できる。3後2,後3,後5,後6,後9,後11,後12
収集した情報を分析し、目的に応じて整理できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後9,後10,後11,後13,後14
報告・論文を、整理した情報を基にして、主張が効果的に伝わるように論理の構成や展開を工夫し、作成することができる。3後8,後16
作成した報告・論文の内容および自分の思いや考えを、的確に口頭発表することができる。3後2,後3,後4,後5,後6,後9,後10,後11,後12,後13
課題に応じ、根拠に基づいて議論できる。3後3,後4,後5,後6,後9,後10,後12,後13,後16
相手の立場や考えを尊重しつつ、議論を通して集団としての思いや考えをまとめることができる。3後9
新たな発想や他者の視点の理解に努め、自分の思いや考えを整理するための手法を実践できる。3後3,後4,後5,後6,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後16

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力70000300100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000