グローバル倫理

科目基礎情報

学校 呉工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 グローバル倫理
科目番号 0070 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 プロジェクトデザイン工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 藤本義彦・木原滋哉・天内和人(編)(2018)『技術者倫理:グローバル社会で活躍するための異文化理解』実教出版
担当教員 藤本 義彦

到達目標

グローバル化に関連した知識を広げ、理解を深めることを目的とする。かつ、議論するスキルや論理的思考力を高める。
1.グローバル社会の諸相を理解し、グローバルな課題を発見することができる
2.グローバルな課題について、グローバル技術者としての解決策を倫理規範に基づいてまとめることができる
3.グローバルな課題に対する解決策を論理的に説明できる
4.討議(ディスカッション)を通じて、他者の意見を参考にしながら自らの意見を創りだすことができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 グローバル社会の諸相を理解し、グローバルな課題を発見するグローバル社会の諸相と課題を発見して的確に理解できるグローバル社会の諸相と課題を発見して理解できるグローバル社会の諸相と課題を発見することも理解することもできない
評価項目2 グローバルな課題に対して、倫理的な解決策をまとめるグローバルな課題に対して、倫理的に的確な解決策を提案できるグローバルな課題に対して、倫理的な解決策を提案できるグローバルな課題に対して、倫理的な解決策を提案できない
評価項目3 グローバルな課題への解決策を論理的に説明するグローバルな課題への解決策を論理的に的確に説明できるグローバルな課題への解決策を論理的に説明できるグローバルな課題への解決策を論理的に説明できない
評価項目4 他者の意見を参考に、自らの意見をまとめる ディスカッションなどを通じて他者の意見を参考にして、自らの意見を的確にまとめることができるディスカッションなどを通じて他者の意見を参考にして、自らの意見をまとめることができるディスカッションなどでも他者の意見を参考にできず、自らの意見もまとめることができない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 専攻科の学習・教育目標 (SA) 説明 閉じる
JABEE 環境都市(B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
グローバル化の進む今日、技術者にも、文化や習慣、宗教や言語などの違いを前提として、多様な価値観や多元的な社会的背景をもつ人々と共存し、協調して業務を遂行することのできる「地球市民」としての素養が求められている。グローバル化した社会では、多様で多元的な社会的ニーズや要求を見出す力が求められるだけでなく、次から次へと発生するさまざまな問題に対して、倫理的な判断をしなければならない場面も多くなる。ここでは、グローバル社会で直面しうるこれらの問題に対し、主として技術者の立場において生じうる倫理的課題に焦点を当て、問題点を的確に把握する力を養うとともに、自ら考えだした対応策について倫理的に判断できる力を養い、グローバル社会で活躍できる人材である「グローバル技術者」の育成を目的とする。【複数教員担当方式,オムニバス方式,連携教育科目】
授業の進め方・方法:
講義と討論を基本とする。講義や討議した内容について、学生自らふりかえり、何をどのように学んだか、どのように成長したのか、報告書を提出してもらいます。報告書の提出を確認することで、自学自習を促進していきます。
注意点:
講義に主体的に参加しないと、報告書が提出できません。主体的かつ積極的に参加するようにしてください。
なお、本講義は、呉高専と大島商船高専との連携教育科目です。第1回から第4回までを野本が、第5回から第15回までを藤本が担当します。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス
技術者倫理とグローバル社会
グローバル社会において技術者に求められる倫理とその意義を理解する
2週 倫理と法 コンプライアンスと社会的要請の意味を理解できる
3週 安全性とリスク 公衆の安全とリスクの意義を理解できる
4週 製造物責任 製造物責任法の内容および公益に関して理解する
5週 公害への技術者の役割と責任 技術的合理性と社会的合理性について理解できる
6週 地球環境と国際的取り組み 地球環境問題を理解し、地球環境を守るための国際的レジームを理解する。同時に、持続可能な開発に関する理解を促す。技術者の倫理綱領などから、技術者の取り組み方を考える。
7週 宗教の多様性 世界各地の多様な価値観や倫理観を理解でき、技術者がそれらに向きある姿勢に関して考察する
8週 難民問題と移民問題 難民・移民問題の概要を理解し、技術者としてそれらに向き合う姿勢に関して考察する
4thQ
9週 人権とグローバル社会 人権やジェンダーに関して理解し、技術者としてのそれらに向き合う姿勢に関して考察する
10週 兵器と戦争 現代の戦争に関して理解し、兵器開発など技術者が向き合う課題に関して倫理的に考察する
11週 企業の海外展開 企業が海外に展開する際の課題について考察する
12週 国際経済システムと持続可能な開発 現代の国際経済システムの概要を理解し、技術者がかかわることの多い開発援助政策とのかかわりについて考察する
13週 グローバル社会の成り立ちと国家 グローバル化する現代国家に関して理解し、技術者がそれらに適応するための課題について考察する
14週 地域社会と地域協力 グローカルな視点を理解し、地域社会の動向と技術者に関して主体的に考察する
15週 グローバルエンジニアの使命と責任 グローバル倫理について主体的に考察し、実践する準備ができる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会地理歴史的分野世界の資源、産業の分布や動向の概要を説明できる。4
民族、宗教、生活文化の多様性を理解し、異なる文化・社会が共存することの重要性について考察できる。4
近代化を遂げた欧米諸国が、19世紀に至るまでに、日本を含む世界を一体化していく過程について、その概要を説明できる。4
帝国主義諸国の抗争を経て二つの世界大戦に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、平和の意義について考察できる。4
第二次世界大戦後の冷戦の展開からその終結に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、そこで生じた諸問題を歴史的に考察できる。4
19世紀後期以降の日本とアジア近隣諸国との関係について、その概要を説明できる。4
公民的分野自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。4
現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。4
工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。5
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。5
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。5
社会における技術者の役割と責任を説明できる。5
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。5
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。5
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。5
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。5
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。5
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。4
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。5
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。5
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。5
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。5
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。5
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。5
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。4
グローバリゼーション・異文化多文化理解グローバリゼーション・異文化多文化理解それぞれの国の文化や歴史に敬意を払い、その違いを受け入れる寛容さが必要であることを認識している。4
様々な国の生活習慣や宗教的信条、価値観などの基本的な事項について説明できる。4
異文化の事象を自分たちの文化と関連付けて解釈できる。4
それぞれの国や地域の経済的・社会的な発展に対して科学技術が果たすべき役割や技術者の責任ある行動について説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合06000400100
基礎的能力0200020040
専門的能力0400020060
分野横断的能力0000000