電子回路Ⅰ

科目基礎情報

学校 徳山工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 電子回路Ⅰ
科目番号 0047 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械電気工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 大類重範「ディジタル電子回路」(日本理工出版会)
担当教員 櫻本 逸男

到達目標

複合分野の基礎となる基本的素養を身につけるため、以下の項目を到達目標とする。
①数体系や基数変換について理解し、課題に対する計算を行うことができる。
②課題に対する真理値表と標準形の論理式の作成、ブール代数による簡単化、論理回路図の記述を行うことができる。
③カルノー図による論理式の簡単化手法について理解し、回路設計を行うことができる。
④半導体に関する基礎的な知識をベースとして、トランジスタ、TTLおよびFET、CMOSの構造や特徴を説明することができる。
⑤他の回路とのインターフェースに必要な回路や基本的な演算回路について理解し、回路設計を行うことができる。
⑥フリップフロップについて理解し、回路設計を行うことができる。
⑦非同期式および同期式カウンタについて理解し、カウンタの設計を行うことができる。
⑧シフトレジスタ、シーケンスジェネレータ、ワンショットマルチバイブレータについて理解し、回路設計を行うことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標①数体系や基数変換について理解し、課題に対する計算を間違いなく行うことができる。数体系や基数変換についてほぼ理解し、課題に対する基本的な計算を行うことができる。数体系や基数変換についての理解が不十分であり、課題に対する基本的な計算を行うことができない。
到達目標②課題に対する真理値表と標準形の論理式の作成、ブール代数による簡単化、論理回路図の記述を間違いなく行うことができる。基本的な課題に対する真理値表と標準形の論理式の作成、ブール代数による簡単化、論理回路図の記述を行うことができる。課題に対する真理値表と標準形の論理式の作成、ブール代数による簡単化、論理回路図の記述を行うことができない。
到達目標③カルノー図による論理式の簡単化手法について理解し、回路設計を間違いなく行うことができる。カルノー図による論理式の簡単化手法について理解し、基本的な回路設計を行うことができる。カルノー図による論理式の簡単化手法についての理解が不十分であり、回路設計を行うことができない。
到達目標④半導体に関する基礎的な知識をベースとして、トランジスタ、TTLおよびFET、CMOSの構造や特徴を詳細に説明することができる。半導体に関する基礎的な知識をベースとして、トランジスタ、TTLおよびFET、CMOSの構造や特徴の概略を説明することができる。半導体に関する基礎的な知識をベースとして、トランジスタ、TTLおよびFET、CMOSの構造や特徴を説明することができない。
到達目標⑤他の回路とのインターフェースに必要な回路や基本的な演算回路について理解し、回路設計を間違いなく行うことができる。他の回路とのインターフェースに必要な回路や基本的な演算回路についてほぼ理解し、基本的な回路設計を行うことができる。他の回路とのインターフェースに必要な回路や基本的な演算回路についての理解が不十分であり、回路設計を行うことができない。
到達目標⑥フリップフロップについて理解し、回路設計を間違いなく行うことができる。フリップフロップについてほぼ理解し、基本的な回路設計を行うことができる。フリップフロップについての理解が不十分であり、回路設計を行うことができない。
到達目標⑦非同期式および同期式カウンタについて理解し、カウンタの設計を間違いなく行うことができる。非同期式および同期式カウンタについてほぼ理解し、基本的なカウンタの設計を行うことができる。非同期式および同期式カウンタについての理解が不十分であり、カウンタの設計を行うことができない。
到達目標⑧シフトレジスタ、シーケンスジェネレータ、ワンショットマルチバイブレータについて理解し、回路設計を間違いなく行うことができる。シフトレジスタ、シーケンスジェネレータ、ワンショットマルチバイブレータについてほぼ理解し、基本的な回路設計を行うことができる。シフトレジスタ、シーケンスジェネレータ、ワンショットマルチバイブレータについての理解が不十分であり、回路設計を行うことができない。

学科の到達目標項目との関係

到達目標 A 1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電気系における基本的な科目は、電気回路、電子回路および電磁気学である。電子回路にはディジタル回路とアナログ回路が含まれているが、電子回路Iでは、特にディジタル回路を取り扱う。ディジタル回路は、メカトロ系の技術者にとって不可欠の重要な科目である。最近は、PICなどの安価なマイコンを使用し、プログラムにより様々なディジタル回路を代替させることが可能となったが、そのためには基本的なディジタル回路の理解が必要である。必要となる数学は、論理関数や2進数などである。
授業の進め方・方法:
基本的に教科書に沿って講義を行うが、適宜必要な資料を配布する。
毎時間、課題を与え、次回の授業の最初に小テストを行う。
注意点:
評価方法
【試験4回均等評価】70% 【小テスト】30%

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ディジタル電子回路の基礎 
数体系(2進数、8進数、16進数)
事後学習:課題1
ディジタル電子回路の基礎および2進数、8進数、16進数について理解する。
2週 基数変換、2進数の負数表現
事後学習:課題2
基数変換および2進数の負数の表し方を理解する。
3週 BCDコード、グレイコード
事後学習:課題3
BCDコード、計測用のグレイコードについて理解する。
4週 基本論理回路① OR,AND,NOT
事後学習:課題4
OR、AND、NOTの論理記号、動作表、内部回路について理解する。
5週 基本論理回路② NAND,NOR,EX-OR、正論理と負論理
事後学習:課題5
NAND、NOR、EX-ORの論理記号、動作表、内部回路および論理の表現方法について理解する。
6週 ブール代数の基本定理、論理式の証明、論理式の簡単化
事後学習:課題6
ブール代数の基本定理、論理式の証明、論理式の簡単化について理解する。
7週 論理回路の設計、真理値表の作成、論理式の標準展開
事後学習:課題7
真理値表の作成方法、論理式の標準展開について理解する。
8週 論理回路図の作成 論理回路図の書き方を理解する。
2ndQ
9週 前期中間試験
数体系や基数変換、課題に対する真理値表と標準形の論理式の作成、ブール代数による簡単化、論理回路図の記述などの理解を問う。
10週 試験の解答および復習
カルノー図による簡単化
試験範囲の復習を行い、不十分な箇所の理解を深める。
カルノー図を用いた論理式の簡単化について理解する。
11週 カルノー図の演習(7セグメントデコーダの設計)
事後学習:課題8
応用例を通して、真理値表の作成からカルノー図による簡単化までの手法を総合的に体得する。
12週 ディジタルICの種類、半導体の性質と種類、PN接合
事後学習:課題9
半導体の性質や種類、PN接合およびトランジスタについて理解する。
13週 トランジスタの種類、バイポーラトランジスタの原理と特徴、TTL ICの構造と特徴
事後学習:課題10
接合型トランジスタの原理と特徴およびTTL ICの構造について理解する。
14週 電界効果トランジスタの原理と特徴
CMOS ICの構造と特徴
FETの原理と特徴およびCMOS ICの構造について理解する。
15週 前期末試験 カルノー図による論理式の簡単化手法、半導体についての構造や特徴などを問う。
16週 試験の解答および復習 試験範囲の復習を行い、不十分な箇所の理解を深める。
後期
3rdQ
1週 オープンコレクタ、スリーステート
事後学習:課題11
オープンコレクタ回路およびスリーステート回路について理解する。
2週 シュミットトリガとその応用
事後学習:課題12
マイコンの入力ピンにも使われているヒステリシス特性を有するシュミットトリガ回路を理解する。
3週 各種ゲート回路
事後学習:課題13
各種ゲート回路の論理回路以外の使用法について理解する。
4週 加算回路、FFの基本
事後学習:課題14
加算回路およびFFの基本について理解する。
5週 RS-FF、RST-FF、Dラッチ
事後学習:課題15
RS-FF、RST-FF、Dラッチについて理解する。
6週 D-FF、JK-FF
事後学習:課題16
D-FFおよび万能のFFであるJK-FFを理解する。
7週 T-FF、順序回路の設計 カウンタの要素であるT-FFおよび順序回路設計の演習などについて理解する。
8週 後期中間試験 インターフェースに必要な回路、演算回路、フリップフロップについての理解を問う。
4thQ
9週 試験の解答および復習 試験範囲の復習を行い、不十分な箇所の理解を深める。
10週 非同期式カウンタ
事後学習:課題17
非同期式カウンタの設計について理解する。
11週 同期式カウンタ
事後学習:課題18
同期式カウンタを設計する方法を理解する。
12週 D-FFによる同期式カウンタ、シフトレジスタの基本
事後学習:課題19
D-FFによる同期式カウンタを理解する。シフトレジスタの基本を理解する。
13週 シフトレジスタの応用
事後学習:課題20
シーケンスジェネレータなどのシフトレジスタの応用について理解する。
14週 ワンショットマルチバイブレータ マルチバイブレータの種類と動作について理解する。
15週 後期末試験 カウンタ、シフトレジスタ、ワンショットマルチなどの理解を問う。
16週 試験の解答および復習 試験範囲の復習を行い、不十分な箇所の理解を深める。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4前12
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。4前13
FETの特徴と等価回路を説明できる。4前14
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。2
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。4前13
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4前12
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4前12
原子の構造を説明できる。2前12
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。2前12
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。2前12
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。2
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4前12
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4前12
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4前12
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4前13
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4前14

評価割合

前期中間試験前期末試験後期中間試験後期末試験小テスト等合計
総合評価割合1718171830100
到達目標①②17000825
到達目標③④01800725
到達目標⑤⑥00170825
到達目標⑦⑧00018725