材料学Ⅰ

科目基礎情報

学校 徳山工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 材料学Ⅰ
科目番号 0051 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械電気工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 機械・金属材料学(実教出版株式会社)
担当教員 西村 太志

到達目標

材料学の最終的な到達目標は機械の設計において的確な材料に適切な熱処理を行って使用できるようになることである。3年次の材料学では機械電気工学分野の基礎となる基本的素養を身につけるため、
1. 機械材料に関する基礎的な知識が理解できる。
2. 鉄鋼材料に関する熱処理が理解できる。
3. 種々の鉄鋼材料の化学組成や利用法が理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
機械材料の基礎的知識機械材料に関する基礎的な知識を理解している金属学的なマクロな特徴については理解している機械材料の基礎項目を理解していない
鉄鋼材料の熱処理代表的な熱処理について,プロセスや原理などを理解している代表的な熱処理について,そのプロセスを理解している鉄鋼材料の熱処理を理解していない
鉄鋼材料の化学組成や利用法代表的な鉄鋼材料について化学組成や利用法について理解している代表的な鉄鋼材料の機械部品への適応について理解している鉄鋼材料について化学組成や利用法について理解していない

学科の到達目標項目との関係

到達目標 A 1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
機械や構造物の開発や設計・製作に携わる技術者には、目的とする機械部品に適した材料を選定し、設計の意図を満足する方法を選んで適切な加工することが可能な知識が必要である。そこで、材料学では材料の性質、とりわけ強度などの機械的性質の本質を理解し、必要に応じてその材料に適した加工や熱処理などの処置が行えるようになることを目的に、材料の基礎的事項および、材料の変形、加工、熱処理など、主として機械的性質にかかわる処理法とその意味を学習する。
授業の進め方・方法:
前期は機械材料の基礎的性質、後期は鉄鋼材料について学習する。授業の進め方はおおむね教科書に沿って講義形式で進めるが、教科書だけでは説明不足の箇所に関しては適宜資料を配布して説明する。また、各時間ごとに学習シートを配布し、授業で学んだ内容の確認のための課題を課す。
注意点:
最終成績= 各授業における課題の平均:50%+前期末試験:25%+後期末試験25%

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 オリエンテーション
構造材料としての金属材料
機械材料に求められる性質と用途が説明できる。
2週 純金属の結晶構造 原子が規則的に配列する結晶について学び、純金属における代表的な三つの結晶構造について学習する。
3週 格子欠陥 金属の機械的性質に大きな影響を及ぼす格子欠陥の種類と特徴が説明できる。
4週 加工と再結晶 加工による機械的性質の変化と温度上昇に伴う回復と再結晶について説明できる。
5週 強化機構 材料の塑性変形に大きな影響を及ぼす転位の定義を学び、転位の運動が説明できる。
6週 相律および平衡状態図 (1) 相律および全率固溶体型平衡状態図について理解し、全率固溶体型合金の特徴が説明できる。
7週 平衡状態図 (2) -共晶、共析型平衡状態図- 共晶、共析型平衡状態図について理解し、共晶、共析型合金の特徴が説明できる。
8週 平衡状態図 (3) -包晶、包析型平衡状態図- 包晶、包析型平衡状態図について理解し、共晶、共析型合金の特徴が説明できる。
2ndQ
9週 材料の機械的性質と試験法(1) 引張試験および硬さ試験法について理解し、その機械的性質を説明できる。
10週 材料の機械的性質と試験法(2) 疲労、破壊じん性およびクリープについて説明できる。
11週 鉄鋼材料について(ビデオ視聴)
【レポート作成】
鉄鋼材料に関するビデオを見て、炭素濃度の違いによる鉄鋼材料の性質変化に対する理解を深める。
12週 Fe-C 系平衡状態図 鉄鋼材料の熱処理に必要不可欠なFe-C 系平衡状態図の見方を説明できる。
13週 炭素鋼の標準組織 それぞれの炭素濃度で観察される標準組織と、その生成過程が説明できる。
14週 鉄鋼精錬 鉄鉱石から鋼材がどのように製造されるか基礎的なことが説明できる。
15週 期末試験 前期末までに学習した基本的な事項について出題。
16週 解答返却など 前期末試験の答案を返却し解説を行う。
後期
3rdQ
1週 炭素鋼の基本的な熱処理工程 炭素鋼の基本的な熱処理工程について理解し、ミクロ組織と冷却速度の関係が説明できる。
2週 焼入れおよび焼もどし 鋼のマルテンサイト変態を理解した後、焼入れおよび焼もどしの目的および方法が説明できる。
3週 焼なましおよび焼ならし 鋼の焼なましおよび焼ならしの目的および方法が説明できる。
4週 合金鋼および熱処理 鋼に及ぼす合金元素の影響を理解し、合金鋼に対する熱処理方法が説明できる。
5週 高張力鋼 一般構造用鋼の性質および用途を理解し、高張力鋼について説明ができる。
6週 構造用合金鋼 (1) 機械構造用鋼の種類、性質が説明できる。
7週 構造用合金鋼 (2) 機械構造用鋼を実際に使用する場合の選択方法について説明できる。
8週 工具鋼 炭素工具鋼および合金工具鋼の種類、性質および用途が説明できる。
4thQ
9週 高速度鋼、超硬合金 高速度鋼、超硬合金の種類、性質および用途が説明できる。
10週 ステンレス鋼 (1) 鋼の腐食および耐食性について理解し、ステンレス鋼の基礎が説明できる。
11週 ステンレス鋼 (2) フェライト系およびマルテンサイト系ステンレス鋼の性質および用途が説明できる。
12週 ステンレス鋼 (3) オーステナイト系の性質および用途を理解し、ステンレス鋼の使用上の留意点が説明できる。
13週 鋳鉄の組織と状態図 鋳鉄の基本的な性質および用途をミクロ組織と関連づけて説明できる。
14週 実用鋳鉄とその性質 ネズミ鋳鉄、可鍛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄の性質と用途が説明できる。
15週 期末試験 後期末までに学習した基本的な事項について出題。
16週 解答返却など 学年末試験の答案を返却し解説を行う。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野材料機械材料に求められる性質を説明できる。4前1
金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。4前1
引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。4前9
硬さの表し方および硬さ試験の原理を説明できる。4前9
脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。3前10
疲労の意味を理解し、疲労試験とS-N曲線を説明できる。3前10
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。3前10
金属と合金の結晶構造を説明できる。4前2
金属と合金の状態変化および凝固過程を説明できる。4前6,前7,前8
合金の状態図の見方を説明できる。4前6,前7,前8
塑性変形の起り方を説明できる。4前4
加工硬化と再結晶がどのような現象であるか説明できる。4前4
鉄鋼の製法を説明できる。4前14
炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。4前12
Fe-C系平衡状態図の見方を説明できる。4前11
焼きなましの目的と操作を説明できる。4後3
焼きならしの目的と操作を説明できる。4後3
焼入れの目的と操作を説明できる。4後2
焼戻しの目的と操作を説明できる。4後2

評価割合

各授業における課題前期末試験後期末試験合計
総合評価割合502525100
基礎的能力0000
専門基礎502525100
分野横断的能力0000