材料学Ⅰ

科目基礎情報

学校 徳山工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 材料学Ⅰ
科目番号 0078 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械電気工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 日本材料学会編、「改訂 機械材料学」(日本材料学会)
担当教員 伊藤 尚

到達目標

材料学の最終的な到達目標は機械の設計において的確な材料に適切な熱処理を行って使用できるようになることである。その中で3 年次の材料学では材料の基礎的性質を理解するとともに最も使用されることが多い鉄鋼材料の種類、性質および用途を理解することを求める。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
機械材料に関する基礎的な知識を理解している機械材料に関する基礎的な知識を理解している金属学的なマクロな特徴については理解している機械材料の基礎項目を理解していない
鉄鋼材料に関する熱処理について理解している代表的な熱処理について,プロセスや原理などを理解している。代表的な熱処理について,そのプロセス理解している。鉄鋼材料の熱処理を理解していない
種々の鉄鋼材料について化学組成や利用法について理解している代表的な鉄鋼材料について化学組成や利用法について理解している代表的な鉄鋼材料の機械部品への適応について,理解している鉄鋼材料について化学組成や利用法について理解していない

学科の到達目標項目との関係

到達目標 A 1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
機械や構造物の開発や設計・製作に携わる技術者には、目的とする機械部品に適した材料を選定し、設計の意図を満足する方法を選んで適切な加工することが可能な知識が必要である。そこで、材料学では材料の性質、とりわけ強度などの機械的性質の本質を理解し、必要に応じてその材料に適した加工や熱処理などの処置が行えるようになることを目的に、材料の基礎的事項および、材料の変形、加工、熱処理など、主として機械的性質にかかわる処理法とその意味を学習する。
授業の進め方・方法:
前期は機械材料の基礎的性質、後期は鉄鋼材料について学習する。授業の進め方はおおむね教科書に沿って講義形式で進めるが、教科書だけでは説明不足の箇所に関しては適宜プリントを配布して説明する。また、各時間ごとに学習シートを配布し、授業で学んだ内容の確認を行う。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 オリエンテーション
物質の結合
シラバスにもとづきオリエンテーションを行った後、材料の性質の基礎となる物質の結合について学ぶ。
2週 結晶格子 原子が規則的に配列する結晶について学び、結晶格子における面と方向の表し方を知る。
3週 金属の結晶構造 金属における代表的な三つの結晶構造について学習する。
4週 結晶の欠陥
 -点欠陥、面欠陥-
金属の機械的性質に大きな影響を及ぼす格子欠陥の種類と特徴について学ぶ。
5週 結晶の欠陥
 -線欠陥-
材料の塑性変形に大きな影響を及ぼす転位の定義を学び、転位の運動を理解する。
6週 すべり変形 材料の塑性変形の大部分を占めるすべり変形について転位の運動と関連づけて理解する。
7週 破壊 材料の破壊形態を学び、その破壊機構を理解する。
8週 相律および平衡状態図 (1)
 -二元系平衡状態図-
共晶型平衡状態図について学び、共晶型合金の特徴を理解する。
2ndQ
9週 中間試験
10週 中間試験の解答、解説
平衡状態図 (2)
 -共晶型平衡状態図-
中間試験の答案を返却し、解説を行った後、相律および全率固溶体型平衡状態図について学び、全率固溶体型合金の特徴を理解する。
11週 凝固および相変態 材料の液相から固相への凝固過程について学び、固相内での相変態を理解する。
12週 加工と再結晶 冷間加工および熱間加工について学び、熱間加工中に生じる回復、再結晶を理解する。
13週 材料の機械的性質と試験法(1) 材料の引張り試験や機械的特性などについて理解する。
14週 材料の機械的性質と試験法(2) 材料の硬さ試験や機械的特性との関連について理解する。
15週 期末試験 合金を理解する上で重要な平衡状態図および加工と再結晶について理解
16週 解答返却など 期末試験の答案を返却し、解説を行う。
後期
3rdQ
1週 Fe-C 系平衡状態図 鉄鋼材料の製造法について学んだ後、鉄鋼材料の熱処理に必要不可欠なFe-C 系平衡状態図について学ぶ。
2週 組織に及ぼす冷却速度の影響 過冷オーステナイトの変態点に及ぼす冷却速度の影響を理解した後、恒温変態について学ぶ。
3週 焼入れおよび焼もどし 鋼のマルテンサイト変態を理解した後、焼入れおよび焼もどしの目的および方法について学ぶ。
4週 焼なましおよび焼ならし 鋼の焼なましおよび焼ならしの目的および方法について学ぶ。
5週 純鉄および極軟鋼 工業用純鉄および極軟鋼の性質および用途について学習する。
6週 一般構造用鋼および高張力鋼
一般構造用鋼の性質および用途について理解した後、高張力鋼について学ぶ。
7週 機械構造用鋼 (1) 鋼の性質に及ぼす合金元素の作用について理解し、鋼の焼もどし脆性について学ぶ。
8週 中間試験
4thQ
9週 中間試験の解答、解説
機械構造用鋼 (2)

中間試験の答案を返却し、解説を行った後、機械構造用鋼の種類、性質およびそれらを実際に使用する場合の選択方法について学習する。
10週 高強度鋼およびばね鋼 高強度鋼およびばね鋼の種類、性質および用途について学ぶ。
11週 工具鋼および軸受鋼 工具鋼および軸受鋼の種類および用途について学習する。
12週 ステンレス鋼 (1) 鋼の耐食性について理解した後、フェライト系およびマルテンサイト系ステンレス鋼の性質および用途について学ぶ。
13週 ステンレス鋼 (2) オーステナイト系および析出硬化型ステンレス鋼の性質および用途について学習する。
14週 鋳鉄および鋳鋼 鋳鉄の組織について学んだ後、鋳鉄および鋳鋼の種類、性質を理解する。
15週 期末試験 機械構造用鋼および各種合金鋼と鋳鉄の種類、方法や用途が理解できているか確認する出題。
16週 解答返却など 学年末試験の答案を返却し解説を行う。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

前期中間前期末試験後期中間試験学年末試験合計
総合評価割合20202040100
基礎的能力00000
専門的能力20202040100
分野横断的能力00000