材料力学Ⅱ

科目基礎情報

学校 徳山工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 材料力学Ⅱ
科目番号 0096 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械電気工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 教科書:中原一郎「実践材料力学」(養賢堂)   参 考 書:図書館に各種あり
担当教員 福田 明

到達目標

1.簡単なはりについて、せん断力図(SFD)と曲げモーメント図(BMD)を描くことができ、曲げ応力およびその分布を計算できる。
2.各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。
3.各種のはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。
4.丸棒および中空丸棒のねじりに関する各種問題において、せん断応力とねじれ角を計算できる。
5.Eulerの式を使って座屈荷重と座屈応力を計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1不静定はりについて、せん断力図(SFD)と曲げモーメント図(BMD)を描くことができ、曲げ応力およびその分布を計算できる。簡単なはりについて、せん断力図と曲げモーメント図を描くことができ、曲げ応力およびその分布を計算できる。簡単なはりについて、せん断力図と曲げモーメント図を描くことができない。
評価項目2各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げに強い最適形状を求めることができる。各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。簡単な断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を計算できない。
評価項目3ラーメンや平等強さのはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。簡単なはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。簡単なはりについて、たわみ角とたわみを計算できない。
評価項目4丸棒および中空丸棒のねじりに関する各種問題において、せん断応力とねじれ角を計算でき、部材の寸法を決定できる。丸棒および中空丸棒のねじりに関する各種問題において、せん断応力とねじれ角を計算できる。丸棒のねじりに関する問題において、せん断応力を計算できない。
評価項目5両端の拘束条件を適切に判断し、Eulerの式を使って座屈荷重と座屈応力を計算できる。Eulerの式を使って座屈荷重と座屈応力を計算できる。Eulerの式を使って座屈荷重と座屈応力を計算できない。

学科の到達目標項目との関係

到達目標 C 1 説明 閉じる
JABEE d-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
機械や構造物などを安全で経済的に設計するには、それらを構成する部品や部材に生じる力や変形を的確に知る必要がある。材料力学は、機械や構造物などを簡単なモデルに置き換えて、各部分に生じる力や変形を大雑把ではあるものの定量的に明らかにする学問である。4年次では曲げ(主として曲げ応力とたわみ)、ねじり、座屈の基本的な問題に関して基礎力と応用力を養う。
授業の進め方・方法:
おおむね教科書に沿って講義を進め、個々の現象が共通の原理に支配されていることを示すとともに、その物理的意味を把握できるようにする。学習シートを毎回用意し、理解を深めることに役立てる。また、理解度を確認するために、適宜レポートを課す。受講者には、指定した演習問題を自力で解けるように自学自習する姿勢が必要となる。なお、授業の進行度合いに応じて、授業計画を変更することがある。
注意点:
【評価方法】
最終評価は試験成績(80%)とレポート(20%)により行う。
試験は4回(前期中間、前期末、後期中間、後期末)実施する。
前期末評価は前期中間試験と前期末試験の平均点とする。
最終評価点=(4回の試験成績)×0.8+レポート(20点満点)
【関連科目】
本 科:数学、物理、工業力学、材料力学I、弾塑性論、材料学I、材料学II、機械設計論I、機械設計論II、計算力学、有限要素法
専攻科:弾性力学、材料強度学、材料設計工学、CAE
【徳山高専学習・教育目標】C1 【JABEE基準】1(2)d-1

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 【ガイダンス、せん断力と曲げモーメント(片持ちはり)】
材料力学の位置づけや目的を再確認する。片持ちはりの考え方について説明する。
種々の負荷が加わる片持ちはりの反力R、せん断力Q、曲げモーメントMを求め、SFD、BMDを描く。
2週 【せん断力と曲げモーメント(両端支持はり)】
両端支持はりの考え方について説明する。重ね合わせについて説明する。
種々の負荷が加わる両端支持はりの反力R、せん断力Q、曲げモーメントMを求め、SFD、BMDを描く。(レポート)
3週 【せん断力と曲げモーメントの関係】
曲げモーメントを微分した値がせん断力であることを説明し、せん断力が0の位置で曲げモーメントが最大値をもつことを説明する。
せん断力と曲げモーメントの関係を把握する。
4週 【曲げ応力の基礎式、はり全体の応力分布状態】
曲げ応力の基礎式を導き、その意味するところをはり全体の応力分布状態を描くことで説明する。
横断面における中立軸の位置と曲げ応力分布、軸線方向の曲げモーメント分布と曲げ応力の関係を理解して、はり全体の応力分布状態を描く。(レポート)
5週 【断面二次モーメント、断面係数】
長方形の断面二次モーメントを定義式から導出する。断面二次モーメントに関する加法定理を理解する。上下対称形状の断面係数を求める。
断面二次モーメントに関する加法定理を使用して上下対称形状の断面係数を求める。
6週 【曲げ応力】
はりに生じる曲げ応力の求め方を説明する。
上下対称な断面形状のはりについて、曲げ応力を求める。
7週 【曲げ応力】
より複雑なはりに生じる曲げ応力を求る。
複雑そうなはりでも全て同様に解けることを理解し、曲げ応力を求める。(レポート)
8週 【これまでに学習した内容の復習】
はりの反力、せん断力、曲げモーメント、SFD、BMD、断面二次モーメント、断面係数、曲げ応力を復習する。
これまでに学習したはりの反力、せん断力、曲げモーメント、SFD、BMD、断面二次モーメント、断面係数、曲げ応力を確実に理解する。
2ndQ
9週 【中間試験】
右に記載の内容について確認する。
はりのせん断力や曲げモーメントに関する応用問題(含基本問題)を解ける。
はり全体に生じる曲げ応力分布を理解できている。
上下対称な断面形状のはりの曲げ応力を求められる。
10週 【中間試験の解答。断面二次極モーメント】
中間試験の解答。断面二次モーメントと断面二次極モーメントの関係を説明する。
断面二次極モーメントを使って円形断面と正方形断面の断面二次モーメントを求める。
11週 【図心と平行軸の定理】
断面一次モーメントを用いた図心の求め方を説明する。
断面一次モーメントを用いて図心を求める。(レポート)
12週 【断面二次モーメント(上下非対称形状)】
上下が非対称な形状の断面二次モーメントについて、平行軸の定理を使って求める一連の手順を説明する。
上下が非対称な断面形状のはりについて断面二次モーメントを求める。(レポート)
13週 【曲げに強い断面形状(断面係数の比較)】
曲げに強い形状が断面係数の比較により判定できることを説明する。正方形と同じ断面積をもつさまざまな形状について比較し、その特徴を把握する。
正方形と同じ断面積をもつさまざまな形状について断面係数を求め、曲げに強い形状を判定する。
14週 【これまでに学習した内容の復習】
上下非対称な断面形状のはりの図心、断面二次モーメント、断面係数、曲げ応力。曲げに強い断面形状。
これまでに学習した上下非対称な断面形状のはりの図心、断面二次モーメント、断面係数、曲げ応力や、曲げに強い断面形状について確実に理解する。
15週 【期末試験】
右に記載の内容について確認する。
さまざまな形状の図心や断面二次モーメントを求められる。
上下非対称な断面形状のはりの曲げ応力を求められる。
曲げに強い断面形状を理解できている。
16週 【答案返却など】
前期末試験の答案を返却し、解答。曲げ応力に関する総復習。
(レポート)
後期
3rdQ
1週 【ガイダンス】
シラバスで学習状況を確認し、前期の学習内容を復習する。
はりの反力、せん断力、曲げモーメント、SFD、BMD、曲げ応力を復習する。
2週 【はりのたわみ】
たわみ曲線(たわみの微分方程式)
はりのたわみ、たわみ曲線、たわみ角の定義を憶え、たわみ曲線の微分方程式を憶える。
3週 【はりのたわみ】
微分方程式による解法(たわみ曲線が1つの式で表せるはり)
たわみ曲線が1つの式で表せるはりについて、たわみの微分方程式を使ってたわみ曲線を求める。(レポート)
4週 【はりのたわみ】
微分方程式による解法(たわみ曲線が2つ以上の式で表せるはり)
たわみ曲線が2つ以上の式で表せるはりについて、たわみの微分方程式を使ってたわみ曲線を求める際に必要な境界条件を求める。
5週 【はりのたわみ】
重ね合わせによる解法、切断法による解法
L形フレームの問題を通し、切断法でたわみを求める。(レポート)
6週 【はりのたわみ】
断面が変化するはりのたわみ
断面が変化するはり(平等強さのはり)のたわみを求める。
7週 【これまでに学習した内容の復習】
はりのたわみの復習
これまでに学習したはりのたわみについて確実に理解する。
8週 【中間試験】
右に記載の内容について確認する。
さまざまな静定はりについて、たわみ曲線が解けるか確認する。
4thQ
9週 【中間試験の解答、複雑なはり】
中間試験の解答。不静定はり(一端固定・他端支持はり)
一端固定・他端支持はりについて、せん断力、曲げモーメント、SFD、BMDを求める。
10週 【複雑なはり】
不静定はり(両端固定はり)
両端固定はりについて未知反力を求めるとともに、最大曲げモーメントと最大たわみを求める。(レポート)
11週 【ねじり(基礎式、中実丸棒と中空丸棒の比較)】
ねじりの基礎式の導出過程を説明する。また、中実丸棒と中空丸棒を比較し、中空丸棒がねじりに対して強いことを説明する。
中実丸棒と中空丸棒について、最大せん断応力と比ねじれ角の式を導出する。
12週 【ねじり(動力伝達軸、両端固定棒)】
動力伝達軸において動力、トルク、回転数の相互関係を理解し、ねじり応力との関係を熟知する。
動力伝達軸において動力、トルク、回転数の相互関係を使って軸の直径を求める。(レポート)
13週 【ねじり(延性材料と脆性材料の破壊形態の比較)】
延性材料をねじると軸に対し垂直に破壊するのに対し、脆性材料をねじるとらせん状に破壊する理由について説明する。
部材は弱い方向に壊れることを理解する。
14週 【長柱の座屈(Eulerの式)】
曲げの式からEulerの式を導出し、両端の拘束条件により座屈荷重にかかる定数の変化を説明する。
座屈が曲げによって生じることを理解し、Eulerの式を使って座屈荷重と座屈応力を求める。
15週 【期末試験】
右に記載の内容について確認する。
不静定はりの基本的な問題、ねじりに関する問題、座屈の基本問題が解けるか確認する。
16週 【答案返却など】
期末試験の解答。まとめ。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。3前11,前12
荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。4後14
ねじりを受ける丸棒のせん断ひずみとせん断応力を計算できる。3後11,後12
丸棒および中空丸棒について、断面二次極モーメントと極断面係数を計算できる。3後11,後12
軸のねじり剛性の意味を理解し、軸のねじれ角を計算できる。3後11,後12
はりの定義や種類、はりに加わる荷重の種類を説明できる。3前1,前2,前6,前7,前8,前14,前16,後1
はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。3前1,前2,前6,前7,前8,前14,前16,後1,後10
各種の荷重が作用するはりのせん断力線図と曲げモーメント線図を作成できる。3前1,前2,前3,前6,前7,前8,前14,前16,後1,後10
曲げモーメントによって生じる曲げ応力およびその分布を計算できる。3前4,前6,前7,前8,前13,前14,前16,後1
各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。3前5,前8,前10,前11,前12,前13,前14,前16
各種のはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。3後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000