応用解析学概論

科目基礎情報

学校 徳山工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 応用解析学概論
科目番号 0104 科目区分 一般 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 3
開設学科 機械電気工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 前期:1 後期:2
教科書/教材 [テキスト] 新 応用数学, 佐藤志保 他, 新日本図書[参考文献]・ベクトル解析 (工学基礎演習シリーズ2), H.P.スウ, 森北出版・Vector Calculus (Springer Undergraduate Mathematics Series), Springer・フーリエ解析 (工学基礎演習シリーズ1), H.P.スウ, 森北出版・An Introduction to Laplace Transforms and Fourier Series (Springer Undergraduate Mathematics Series) , P. Dyke , Springer・制御工学(第2版) フィードバック制御の考え方, 斉藤 制海, 森北出版・Schaum's Outline of Advanced Mathematics for Engineers and Scientists (Schaum's Outlines), M.Spiegel, McGraw-Hill Education・複素関数入門 (現代数学への入門), 神保 道夫, 岩波書店・Complex Variables and Applications, J.Brown and R.Churchill, McGraw Hill Higher Education
担当教員 山本 拓生

到達目標

1. ベクトル解析における種々の微分・積分及び積分定理を理解し計算する事が出来る.
2. フーリエ級数・複素フーリエ級数・逆フーリエ変換を理解し種々の計算する事が出来る.
3. ラプラス変換を計算しLTIの解析をする事が出来る.
4. 複素関数、正則性、コーシーの定理等を理解し計算する事が出来る.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 ベクトル解析ベクトル解析における種々の微分・積分の定義を理解し計算する事が出来る。またガウス・ストークスの定理を理解し問題に応用する事が出来る。.ベクトル解析における種々の微分・積分の定義を理解し、簡単な計算をする事が出来る。左記に準じない
評価項目2 フーリエ解析フーリエ級数・複素フーリエ級数・逆フーリエ変換を理解し種々の計算する事が出来る。信号を周波数ごとに分解する事による有用性を理解し、フィルタ等の応用への計算が出来る。フーリエ級数・複素フーリエ級数・逆フーリエ変換を理解し種々の簡単な計算をする事が出来る.左記に準じない
評価項目3 ラプラス解析ラプラス変換の定義を把握し計算する事が出来る。また逆変換を表を用いて求める事が出来る。関数の畳み込み及びインパルス応答を理解しLTIの解析をする事が出来る。ラプラス変換の定義を把握し計算する事が出来る。また逆変換を表を用いて求める事が出来る。左記に準じない
評価項目4 複素解析複素数値関数と複素関数の違いを理解し、複素平面による初等幾何・微分積分に習熟している。特に正則性の判定、多価関数、コーシーの定理、グルサの定理、テーラー・ローラン展開などを理解し計算する事が出来る。複素数値関数と複素関数の違いを理解し、複素平面による初等幾何・微分積分に習熟している。左記に準じない

学科の到達目標項目との関係

到達目標 A 1 説明 閉じる
JABEE c-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
工学の専門科目を学ぶために必須と思われるベクトル解析・フーリエ解析・ラプラス解析・複素関数論を解説する。
数学的厳密さよりも、実際に計算し応用できるようになることを目的とする。・

ベクトル解析とは大まかに言って「x,y,zを変数とするベクトルに関する微分積分」の事である。
フーリエ解析とは大まかに言って「信号の保存・伝達・解析の為に関数を無限次元のベクトルとみて三角関数の和で書く解析手法」の事である。
ラプラス変換とは大まかに言って「様々なシステムを表す微分方程式を変形して、代数方程式のように解析するための手法」である。
複素解析とは大まかに言って「変数・取りうる値のいずれもが複素数であるような関数に対する微分積分学」である。

本科目を受講する諸君には、受講後に上記のようなことを把握している事を望む。
特に扱う内容が高度になればなるほど、「今何をやっているのか?」を十分把握せねば一気に理解不能になる事に留意せよ。

なお、本科目は学修単位科目のため、週に最低1.5時間の自学自習を必要とする。
自学自習の効果については定期試験でその確認を行う。
授業の進め方・方法:
講義の基本的な流れは下記のようなものである
①前回の復習 ②板書を用いた内容の説明 ③例題の解答を示す ④演習
また、試験前には集中的な演習と、質疑応答の時間を設ける。

本講義ではスライドを用いず黒板で授業を行う。
また、各自が手書きのノートを作成する事を推奨する。
これは担当教員の経験から「数学をやるには、紙とペンを用意し、実際に書くことが最も重要」と考えられるからである。


* 過去の定期試験の内容は、office365のsherepoint「035_数学教室_山本資料」を参照されたい。

この科目は学修単位科目のため,以下のような自学自修を必要とする(計45時間)。
1. 事後学習として、講義ノートの復習
2. 1.に該当する内容の付属問題集への取り組み
(週:1.5時間)

注意点:
1.数学は暗記科目ではない
100個の問題に対して100通りの解答法を暗記してはならない。
100個の問題を5通りの方法で解決できるなら良い勉強をしていると言ってよい。
また、それは実際に可能である。

2.他科目との関連
数学全科目、専門科目多数
数学は工学の要であるが、本講義で扱う内容は高学年での専門科目と特にかかわりが深い。

*1 再試験は年度に1度限り行う。9月末の補講期間に実施するのが慣例である。
*2 成績は基本的に定期試験のみで評価するが、状況を鑑みてレポート等を課すこともある

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 【内容】ベクトルの復習とベクトル値関数
【方法】数学IIBで習ったベクトルに関して簡単な復習を行う。また数学IIAで習った関数の拡張概念であるベクトル値関数について学ぶ。
ベクトルの復習とベクトル値関数を理解し、計算する事が出来る。
2週 【内容】曲線の長さと曲面の面積
【方法】曲線・曲面をベクトル値関数で表し、その長さや面積を求められるようにする。
曲線の長さと曲面の面積を理解し、計算する事が出来る。
3週 【内容】スカラー場とベクトル場及び勾配
【方法】例を交えてスカラー場とベクトル場を解説する。ナブラ演算子と勾配について学ぶ。
スカラー場とベクトル場及び勾配を理解し、計算する事が出来る。
4週 【内容】ベクトル場の発散と回転
【方法】発散と回転を定義し、計算ができるようにする。
ベクトル場の発散と回転を理解し、計算する事が出来る。
5週 【内容】線積分の計算
【方法】種々の線積分を定義し、計算ができるようにする。
線積分の計算を理解し、計算する事が出来る。
6週 【内容】面積分の計算
【方法】種々の面積分を定義し、計算ができるようにする。
面積分の計算を理解し、計算する事が出来る。
7週 【内容】演習
【方法】問題を割り当て、演習を行う。
これまでの内容に関する問題を自力で解決できる。
8週 【内容】中間試験
【方法】以上の範囲で試験を行う。
これまでの内容で中間試験を実施し、講義内容の理解度を確認する。
2ndQ
9週 【内容】ガウスの定理と発散の意味
【方法】ガウスの定理の証明の概略を示し、発散の直感的意味について学ぶ。また、電磁気学との関連性について述べる。
ガウスの定理と発散の意味を理解し、計算する事が出来る。
10週 【内容】ストークスの定理と回転の意味
【方法】ストークスの定理の証明の概略を示し、回転の直感的意味について学ぶ。また、電磁気学との関連性について述べる。
ストークスの定理と回転の意味を理解し、計算する事が出来る。
11週 【内容】複素数の復習
【方法】1年次に習った複素数について復習を行う。
複素数の復習を理解し、計算する事が出来る。
12週 【内容】関数空間の直交関数系と内積及びフーリエ級数の意味
【方法】3次元ベクトルとの類似からフーリエ級数を解説する。ベクトルの成分に当たるものがフーリエ係数であることを理解する。
関数空間の直交関数系と内積及びフーリエ級数の意味を理解し、計算する事が出来る。
13週 【内容】フーリエ級数の計算(1)
【方法】具体的にフーリエ級数を求められるようにする。
基本的なフーリエ級数の計算を理解し、計算する事が出来る。
14週 【内容】フーリエ級数の計算(2)
【方法】一般の周期関数について理論の拡張を行う。
一般周期のフーリエ級数の計算を理解し、計算する事が出来る。
15週 【内容】期末試験
【方法】以上の範囲で試験を行う。
これまでの内容で期末試験を実施し、講義内容の理解度を確認する。
16週 【内容】答案返却など
【方法】答案返却及び解説を行う。
これまでの内容の全体像を俯瞰する事が出来る。
後期
3rdQ
1週 【内容】フーリエ変換の定義と計算
【方法】フーリエ級数の周期を拡張することによってフーリエ変換を直感的に理解し、計算できるようにする。
フーリエ変換の定義と計算を理解し、計算する事が出来る。
2週 【内容】フーリエ変換の性質及び畳み込み
【方法】フーリエ変換の持つ種々の性質を理解する。また、応用上重要な畳み込みを定義して計算してみる。フーリエ級数の周期を拡張することによってフーリエ変換を直感的に理解し、計算できるようにする。
フーリエ変換の性質及び畳み込みを理解し、計算する事が出来る。
3週 【内容】サンプリング定理, ディラックのデルタ関数とへヴィサイドのステップ関数
【方法】工学で重要なデルタ関数とステップ関数を用いた計算を行う。
サンプリング定理を理解し、計算する事が出来る。,ディラックのデルタ関数とへヴィサイドのステップ関数を理解し、計算する事が出来る。
4週 【内容】ラプラス変換の定義と計算
【方法】ラプラス変換に対する種々性質を示し、実際に計算に用いてみる。
ラプラス変換の定義と計算を理解し、計算する事が出来る。
5週 【内容】相似性と移動法則及び微分積分法則
【方法】ラプラス変換に対する種々性質を示し、実際に計算に用いてみる。
相似性と移動法則及び微分積分法則を理解し、計算する事が出来る。
6週 【内容】逆ラプラス変換とへヴィサイドの展開定理,微分方程式とラプラス変換
【方法】ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことを学ぶ。
逆ラプラス変換とへヴィサイドの展開定理を理解し、計算する事が出来る。
微分方程式とラプラス変換を理解し、計算する事が出来る。
7週 【内容】ラプラス変換と畳み込み, 古典的制御と線形時不変システム
【方法】LTIの安定性について簡単なモデルを扱い、ラプラス変換の応用に触れてみる。
ラプラス変換と畳み込みを理解し、計算する事が出来る。
古典的制御と線形時不変システムを理解し、伝達関数の計算をする事が出来る。
8週 【内容】中間試験
【方法】以上の範囲で試験を行う。
これまでの内容で中間試験を実施し、講義内容の理解度を確認する。
4thQ
9週 【内容】複素関数の定義と性質
【方法】複素数が変数の複素数値関数を学ぶ。複素関数論における、べき・指数・三角関数について学ぶ。
複素関数の定義と性質を理解し、計算する事が出来る。
10週 【内容】複素関数論と多価関数
【方法】正則関数について学ぶ。簡単な計算ができるようになることを目的とする。対数関数と無理関数について簡単に触れる。
複素関数論と多価関数を理解し、計算する事が出来る。
複素関数の微分を理解し、計算する事が出来る。
11週 【内容】複素積分の定義と計算
【方法】簡単な複素積分について学ぶ。
複素関数の微分積分を理解し、計算する事が出来る。
12週 【内容】コーシーの定理と積分定理及びグルサの定理
【方法】最も重要なコーシーの定理の意味を学ぶ。
コーシーの定理と積分定理及びグルサの定理を理解し、計算する事が出来る。
13週 【内容】正則関数のテイラー展開
【方法】正則関数はいつでもテイラー展開できる事を学ぶ。
正則関数のテイラー展開を理解し、計算する事が出来る。
14週 【内容】特異点周りのローラン展開,留数定理と実積分
【方法】孤立特異点周りでのローラン展開を学ぶ。またローラン展開を用いて留数定理を証明した後、実積分の計算に応用する。
特異点周りのローラン展開を理解し、計算する事が出来る。
留数定理と実積分を理解し、計算する事が出来る。
15週 【内容】期末試験
【方法】以上の範囲で試験を行う。
これまでの内容で期末試験を実施し、講義内容の理解度を確認する。
16週 【内容】答案返却など
【方法】答案返却の後、解説を行う。
これまでの内容の全体像を俯瞰する事が出来る。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験平常点合計
総合評価割合34060400
前期中間8515100
前期期末8515100
後期中間8515100
後期期末8515100
000