材料力学Ⅱ

科目基礎情報

学校 徳山工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 材料力学Ⅱ
科目番号 0107 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械電気工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 教科書:中原一郎「実践材料力学」(養賢堂)   参 考 書:図書館に各種あり
担当教員 福田 明

到達目標

曲げでは曲げ応力、たわみと平等強さの梁、ねじりでは代表的な問題、座屈ではEulerの式の理解をもって到達レベルを推測する。60%の得点をもって最低の到達レベルとする。
1.簡単な梁(はり)について、せん断力図(SFD)と曲げモーメント図(BMD)を描くことができ、曲げ応力およびその分布を計算できる。
2.各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。
3.各種のはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。
4.丸棒および中空丸棒のねじりに関する各種問題において、せん断応力とねじれ角を計算できる。
5.Eulerの式を使って座屈荷重と座屈応力を計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1不静定梁(はり)について、せん断力図(SFD)と曲げモーメント図(BMD)を描くことができ、曲げ応力およびその分布を計算できる。簡単な梁について、せん断力図と曲げモーメント図を描くことができ、曲げ応力およびその分布を計算できる。簡単な梁について、せん断力図と曲げモーメント図を描くことができない。
評価項目2各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を計算できる。簡単な断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を計算できない。
評価項目3ラーメンや平等強さの梁について、たわみ角とたわみを計算できる。簡単な梁について、たわみ角とたわみを計算できる。簡単な梁について、たわみ角とたわみを計算できない。
評価項目4丸棒および中空丸棒のねじりに関する各種問題において、せん断応力とねじれ角を計算でき、部材の寸法を決定できる。丸棒および中空丸棒のねじりに関する各種問題において、せん断応力とねじれ角を計算できる。丸棒のねじりに関する問題において、せん断応力を計算できない。
評価項目5両端の拘束条件を適切に判断し、Eulerの式を使って座屈荷重と座屈応力を計算できる。Eulerの式を使って座屈荷重と座屈応力を計算できる。Eulerの式を使って座屈荷重と座屈応力を計算できない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
材料力学の目的は材料を正しく、すなわち安全で経済的に使用することにあり、そのためには、そこに作用する力と変形を的確に知る必要がある。4年次では曲げ(主として曲げ応力とたわみ)、ねじり、座屈の基本的な問題に関して基礎力と応用力を養う。
授業の進め方・方法:
おおむね教科書に沿って講義を進める。学習シートは毎回用意し、理解を深めることに役立てる。受講者には、授業内容を理解して指定した演習問題を自力で解けるように自学自習が必要となる。授業内容の理解のためにグループワークを適宜実施し、その成果を成績に反映させる。なお、授業の進行度合いに応じて、授業計画を変更することがある。
注意点:
【評価方法】
前期末と後期末の総合評価の平均を学年末評価とする。
前期末と後期末の総合評価は、試験の評価(90%)とグループワークの評価(10%)により行う。
前期末の試験の評価は、中間と期末の試験成績の平均(90%)とRQMテスト(10%)により行う。
後期末の試験の評価は、中間と期末の試験成績の平均により行う。
グループワークの評価は、グループワークの取り組み姿勢と各試験におけるグループの平均点で評価する。
最終評価=(前期末総合評価+後期末総合評価)/2
前期末総合評価=(((中間試験成績+期末試験成績)/2)×0.9+RQMテスト(10点満点))×0.9+グループワークの評価(10点満点)
後期末総合評価=((中間試験成績+期末試験成績)/2)×0.9+グループワークの評価(10点満点)
【関連科目】
本 科:数学、物理、工業力学、材料力学I、弾塑性論、材料学I、材料学II、機械設計論I、機械設計論II、計算力学、有限要素法
専攻科:弾性力学、材料強度学、材料設計工学、CAE

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 【ガイダンス、せん断力と曲げモーメント(片持梁、両端支持梁)】
材料力学の位置づけや目的を再確認する。片持梁と両端支持梁の考え方について説明する。
種々の負荷が加わる片持梁や両端支持梁の反力R、せん断力Q、曲げモーメントMを求め、SFD、BMDを描く。
2週 【せん断力と曲げモーメント(両端支持梁、単純梁)】
集中モーメントが作用する場合の両端支持梁の考え方について説明する。集中荷重と等分布荷重が作用する場合の2点支持梁の取り扱いについて説明する。
種々の負荷が加わる両端支持梁の反力R、せん断力Q、曲げモーメントMを求め、SFD、BMDを描く。
3週 【せん断力と曲げモーメントの復習】
これまでに学習した梁の反力、せん断力、曲げモーメントを復習する。
複雑そうな梁でも全て同様に解けることを理解し、これまでに学習した梁の反力R、せん断力Q、曲げモーメントMの求め、SFD、BMDを描く。
4週 【RQMテスト、重ね合せの原理】
代表的な10通りの梁について、反力、せん断力、曲げモーメント、SFD、BMDの試験をする。練習問題を通して重ね合せを理解する。
RQMテストは80点をクリアすることを目標とする。
5週 【せん断力と曲げモーメントの関係】
曲げモーメントを微分した値がせん断力であることを説明し、せん断力が0の位置で曲げモーメントが最大値をもつことを説明する。
せん断力と曲げモーメントの関係を把握する。
6週 【曲げ応力の基礎式、梁全体の応力分布状態】
曲げ応力の基礎式を導き、その意味するところを梁全体の応力分布状態を描くことで説明する。
横断面における中立軸の位置と曲げ応力分布、軸線方向の曲げモーメント分布と曲げ応力の関係を理解して、梁全体の応力分布状態を描く。
7週 【断面二次モーメント、断面係数、曲げ応力】
基本的な形状(長方形と円形)の断面係数を紹介するとともに、両端支持梁に生じる曲げ応力の求め方を説明する。
基本的な断面形状(長方形と円形)の梁について、曲げ応力を求める。
8週 【断面二次モーメント(上下対象形状)、断面二次極モーメント、重ね合わせの原理】
定義式を用いて代表的な断面形状の断面二次モーメント、断面二次極モーメントを求める。断面二次モーメントに関する重ね合わせの原理を説明する。
断面二次モーメント、断面二次極モーメントの定義式を用い、幾つかの断面の値を求める。断面二次モーメントに関する重ね合わせの原理も理解する。
2ndQ
9週 【中間試験】
梁のせん断力や曲げモーメントに関する応用問題(含基本問題)が解けるか。梁全体に生じる曲げ応力分布が理解できているか、簡単な曲げ応力が求めれるか確認する。
10週 【中間試験の解答。曲げ応力、上下対称形状への応用】
中間試験の解答。上下対称形状の梁について、曲げ応力を求めたり、逆に許される梁の形状や長さ、荷重を求めるなど、曲げに関する式を自在に使いこなせるようにする。
上下対称形状の梁について、曲げ応力を求めたり、逆に許される梁の形状や長さ、荷重を求めるなど、曲げに関する式を自在に使いこなせるようにする。
11週 【図心と平行軸の定理】
断面一次モーメントを用いた図心の求め方、ならびに断面二次モーメントに関する平行軸の定理を説明する。
断面一次モーメントを用いて図心を求めるとともに、平行軸の定理を使って断面二次モーメントを求める。
12週 【断面二次モーメント(上下不対称形状)】
上下が不対称な形状まわりの断面二次モーメントを求める一連の手順を説明する。
上下が不対称な形状まわりの断面二次モーメントを求める。
13週 【曲げに強い断面形状(断面係数の比較)】
曲げに強い形状が断面係数の比較により判定できることを説明し、正方形と同じ断面積をもつさまざまな形状について比較し、その特徴を把握する。
正方形と同じ断面積をもつさまざまな形状について断面係数を求め、曲げに強い形状を判定する。
14週 【曲げに強い断面形状(最適形状の求め方)】
曲げに弱い形状を分析することにより、とがった先端を削れば強くなることを説明し、曲げに強い最適形状の求め方を説明する。
曲げに強い最適形状を求める。
15週 【期末試験】
上下対称形状をした梁の曲げ応力問題が自在に解けるか。上下不対称形状の曲げ応力を求める問題により、曲げに強い形状と一連の内容が理解できているかどうかを確認する。
16週 【答案返却など】
前期末試験の答案を返却し、解答。曲げ応力に関する総復習。
後期
3rdQ
1週 【たわみ曲線(基礎式)】
たわみの基礎式の導出過程を照会し、曲げの全貌を把握する。
はりのたわみ、たわみ曲線、たわみ角の定義を憶え、たわみ曲線の基礎式を憶える。
2週 【たわみ曲線(片持梁)】
片持梁の例題を通し、たわみの基礎式の使い方を理解し、たわみ曲線の意味するところを説明する。
片持梁について、たわみの基礎式を使ってたわみ曲線を求める。
3週 【たわみ曲線(両端支持梁)】
たわみ曲線の構成が異なる二つの両端支持梁に適用し、境界条件の求め方をそれぞれ説明する。
両端支持梁について、たわみの基礎式を使ってたわみ曲線を求める際に必要な境界条件を求める。
4週 【たわみ曲線(傾きを生じる梁)】
剛体あるいは無負荷状態において傾きを生じる場合のたわみの求め方について説明する。
剛体あるいは無負荷状態において傾きを生じる場合のたわみを求める。
5週 【ラーメン】
L形フレームを通し、曲げを受けるラーメンの取り扱い方を説明し、先端のたわみの求め方を説明する。
曲げを受ける幾つかのラーメンのたわみを求める。
6週 【平等強さの梁】
梁の最外層で曲げ応力が等しくなる形状の求め方、またその場合の最大たわみの求め方を説明する。
平等強さの梁の形状とたわみを求める。
7週 【静定梁のたわみの総復習】
これまでに学習した静定梁のたわみについて復習する。
これまでに学習した静定梁のたわみを求める。
8週 【中間試験】
静定梁について、たわみ問題や平等強さの梁が解けるか確認する。
4thQ
9週 【中間試験の解答、不静定梁(一端固定他端支持梁)】
中間試験の解答。一端固定他端支持の不静定梁について、せん断力、曲げモーメント、SFD、BMDとたわみの求め方を説明する。
一端固定他端支持の不静定梁について、せん断力、曲げモーメント、SFD、BMDを求める。
10週 【不静定梁(両端固定梁)】
両端固定梁について未知反力を求め、曲げの各種値を得る方法を説明する。
両端固定梁について未知反力を求めるとともに、最大曲げモーメントと最大たわみを求める。
11週 【ねじり(基礎式、中実丸棒と中空丸棒の比較)】
ねじりの基礎式の導出過程を学び、その過程と結果が曲げと類似の現象であることを説明する。また、中実丸棒と中空丸棒を比較し、中空丸棒がねじりに対しても強いことを説明する。
中実丸棒と中空丸棒について、最大せん断応力と比ねじれ角の式を導出する。
12週 【ねじり(動力伝達軸、両端固定棒)】
動力伝達軸において動力、トルク、回転数の相互関係を理解し、ねじり応力との関係を熟知する。
動力伝達軸において動力、トルク、回転数の相互関係を使って軸の直径を求める。
13週 【ねじり(延性材料と脆性材料の破壊形態の比較)】
延性材料をねじると軸に対し垂直に破壊するのに対し、脆性材料をねじるとらせん状に破壊する理由について説明する。
部材は弱い方向に壊れることを理解する。
14週 【長柱の座屈(Eulerの式)】
曲げの式からEulerの式を導出し、両端の拘束条件により座屈荷重にかかる定数の変化を説明する。
座屈が曲げによって生じることを理解し、Eulerの式を使って座屈荷重と座屈応力を求める。
15週 【期末試験】
不静定梁の基本的な問題、ねじりに関する問題、座屈の基本問題が解けるか確認する。
16週 【答案返却など】
期末試験の解答。まとめ。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。3前11
荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。4後1
ねじりを受ける丸棒のせん断ひずみとせん断応力を計算できる。3後11,後12
丸棒および中空丸棒について、断面二次極モーメントと極断面係数を計算できる。3後11,後12
軸のねじり剛性の意味を理解し、軸のねじれ角を計算できる。3後11,後12
はりの定義や種類、はりに加わる荷重の種類を説明できる。3前1,後9,後10
はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。3前2,前3,前4,前5,後9,後10
各種の荷重が作用するはりのせん断力線図と曲げモーメント線図を作成できる。3前2,前3,前4,前5,後9,後10
曲げモーメントによって生じる曲げ応力およびその分布を計算できる。3前6,前7,前10
各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。3前7,前8,前11,前12,前13,前14
各種のはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。3後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10

評価割合

試験グループワーク合計
総合評価割合9010100
基礎的能力000
専門的能力90090
分野横断的能力01010