技術者倫理

科目基礎情報

学校 徳山工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 技術者倫理
科目番号 0154 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 機械電気工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 1
教科書/教材 杉本泰治他大学講義技術者の倫理入門(丸善出版)及び(社)日本技術士協会著:「技術士の倫理(改訂新版)」
担当教員 大西 祥作

到達目標

①社会や自然に及ぼす技術の効果と影響について、技術者がその責任を負っていることに気付き、将来技術者をめざす者として技術者の責務について自覚をもつようになること。②また、将来技術者倫理に沿った行動をする必要がある時の参考にする知識や応用力を身につけること。
本学習内容は、国際理解を深め、技術者としての倫理観とコミュニケーション能力を養うための学習(技術者倫理)であるため、教員による講義と合わせ、事例研究や課題演習を通じた学習形態とし、技術者倫理の何たるかを理解し、活用できるスキルを身につける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1社会や自然に及ぼす技術の効果と影響について、技術者がその責任を負っていることに気付き、将来技術者をめざす者として技術者の責務について自覚をもち、実行できるようになること。社会や自然に及ぼす技術の効果と影響について、技術者がその責任を負っていることに気付き、将来技術者をめざす者として技術者の責務について自覚をもつ。社会や自然に及ぼす技術の効果と影響について、技術者がその責任を負っていることに気付き、将来技術者をめざす者として技術者の責務について自覚をもつまでに至らない。
評価項目2将来技術者倫理に沿った行動をする必要がある時の参考にする知識や応用力が身についている。将来技術者倫理に沿った行動をする必要がある時の参考にする知識が身についており多少は活用できる。。将来技術者倫理に沿った行動をする必要がある時の参考にする知識が身についていない。
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

到達目標 A 2 説明 閉じる
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教育方法等

概要:
現在、技術者としてのモラルが問われる事故や事件が多く報じられている。それらのことがらに対し、何が問題でどうしなければならなかったのか、講義、事例研究、講義、課題演習の手順で授業を行い問題意識を高め、技術者倫理に沿った行動が行える知識と応用力を得ることを目標とする。
尚、この科目は企業で計画・設計(広義の設計)を担当していた教員がその経験を生かし講義等を行うものである。
授業の進め方・方法:
まず、技術者倫理の概要を説明する。次に技術者倫理の基本的部分について教科書に従って講義する。尚、途中でミニ討論を行う。
次に技術者倫理の基本を踏まえた上で過去に発生した技術者倫理問題について教科書やWeb情報を参考に、調査・検討しその内容を報告する。それについて討論を行う形式で授業を進める。担当するテーマについて、事前に自学自習を含めた十分な調査・検討が必要となる。
中盤は、専門職として技術者が仕事をしていくために必要なことを講義する。
後半に仮想事例について課題演習(総合的な演習)を行う。
尚、最後に授業により得たこと等をまとめた最終レポートを作成する。(授業外にて)
この科目は学習単位科目であるため、予習復習、事例研究の調査・発表資料作成及び最終レポート作成に計15時間掛けることが必要である。
技術者の資格に関し、「技術士制度に関する特別講義」を実施予定。
注意点:
本 科:哲学、心理学
専攻科:技術者の倫理、安全工学概論
成績評価式:成績(100満点)=事例研究+課題演習+最終レポート

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 オリエンテーションで授業の概要と進め方について説明する。
技術者の倫理とは何かについて、概要を説明する。
尚、概要には、技術者倫理の基本と実践、情報倫理、環境倫理、国際貢献・地域貢献、知的財産、法令順守、持続可能性を含む
左記の理解
2週 第1章モラルへのとびら
第2章技術者と倫理
左記の理解
3週 第3章組織の中の個人の役割
第4章組織上の人間関係
同上
4週 第5章倫理実行の手法
事例研究のテーマ等の決定
同上
これまでの講義内容を踏まえ、学生の興味がある過去の事件や事故について学生が独自に調査する。尚、対象は教科書の事例でもいいし、それ以外のものでもいい。それを整理&調整し、グループに分け(5人から6人が基準)、担当するテーマと発表日を決める。
プレゼンテーションの方法については理解する。事例研究、聴講、質疑を通じた技術者倫理に基づく対応力を付ける。
5週 事例研究(調査・発表資料作成) 同上
6週 事例研究発表 同上
7週 事例研究発表 同上
8週 第6章技術者のアイデンティティ
第7章技術者の資格
第8章事故責任の法の仕組み
左記の理解
4thQ
9週 第9章法的責任とモラル責任
第10章コンプライアンスと規制行政
第11章説明責任
第12章警笛ならし
第13章環境と技術者
同上
10週 第14章技術者の財産的権利
第15章技術者の国際関係
同上
11週 技術士制度の説明(土木建築工学科との合同により外部講師による特別講義) 同上
12週 課題演習:グループ内議論 仮想事例に対し、技術者倫理に沿った対応かどうか等を議論し、技術者倫理に基づく対応力を付ける。
13週 課題演習:全体討議 同上
14週 課題演習:全体討論 同上
15週 最終レポートの提出、総括 技術者倫理の理解とそれに基づ対応の仕方の考え方を再確認する。
16週 ※1 事例研究のポイント
・事件や事故の概要    ・何が問題か    ・技術者としてどうすべきだったか
・この事例から、技術者としてなにを学ぶべきか ・情報の出典は必ず明記する
※2 最終レポートのまとめ方
この授業を受け、多くの事例を通して学んだ「技術者倫理」についてまとめる。
まとめる際には、「将来技術者をめざす者として学んだことがら」をいくつかの項目について類別し、どのような心がけでどのように対応すべきか、社会一般のことがらとして捉えるとともに、自分自身のことがらとしても捉えるようにすること。
レポートはA4判とし、4ページ程度を目安とする。


モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。3
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。3
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3

評価割合

事例研究課題演習最終レポート合計
総合評価割合300400300100
基礎的能力0000000
専門的能力300400300100
分野横断的能力0000000