アナログ回路

科目基礎情報

学校 徳山工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 アナログ回路
科目番号 0087 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報電子工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:家村道雄『入門電子回路 アナログ編』(オーム社)   和泉勲 『ポイントマスター 電子回路トレーニングノート』(コロナ社)  参考図書:和泉勲 『わかりやすい電子回路』(コロナ社)
担当教員 山田 健仁

到達目標

トランジスタ増幅回路の動作原理を理解し、等価回路などを利用して説明できること、また、各種電子回路の基本動作を理解し、説明できることを到達目標とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
トランジスタの増幅動作について基本問題が解ける。トランジスタの増幅動作について基本問題が解ける。トランジスタの増幅動作について基本問題が解けない。
トランジスタの等価回路を理解する。トランジスタの交流回路、等価回路が書ける。トランジスタの交流回路、等価回路が書けない。
等価回路を用いて増幅回路などの基本的な解析が出来る。等価回路を用いて増幅回路などの基本的な計算が出来る。等価回路を用いた増幅回路の計算が出来ない。

学科の到達目標項目との関係

到達目標 A 1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
トランジスタ、ダイオードなどの電子素子を用いたアナログ電子回路の動作原理を理解する。これを基に各種電子回路の基本動作を理解し、基礎的な電子回路解析技術を習得することを目的とする。特に、電子素子を電気回路の等価回路で考えることで、電子回路が単純な電気回路として扱えることを理解し、これを基に実際の電子回路に適用できる基礎的な考え方を学ぶ。
この科目は企業で、機構制御システム開発(電子回路、制御プログラムの開発など)を担当していた教員が,その経験を生かしてアナログ回路について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
座学の講義が主体であるが、自宅でトレーニングノートによる復習をしていることを前提として講義を進める。適宜小テストを実施し、理解度を確認する。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 基礎電気回路の復習、交流回路の復習 電気回路の基礎的事項の復習と電子回路で扱う単位系に関して復習。交流電気回路の基礎的事項の復習。
2週 電子の性質、原子の構造、金属の電気的性質 電子の性質、原子の構造、金属の電気的性質について習得する。
3週 半導体の性質 半導体の性質とp型、n型半導体について習得する。半導体のエネルギーバンド図を理解する。
4週 ダイオード 接合ダイオードの基本原理を習得する。
5週 ダイオードの整流作用とスイッチング作用 ダイオードの整流作用とスイッチング作用について習得する。
6週 バイポーラトランジスタの働き
バイポーラトランジスタの構造と動作原理を習得する。
7週 トランジスタの静特性 トランジスタの静特性とh定数の関係について習得する。
8週 中間試験 ダイオードおよびトランジスタの働き、静特性、増幅作用について演習課題、トレーニングノートからの類題を出題する。
2ndQ
9週 トランジスタの増幅作用 トランジスタの増幅作用と直流負荷線について習得する。
10週 簡単な増幅回路
増幅のしくみと増幅回路の構成を習得する。
11週 バイアス回路
バイアスの考え方と増幅について習得する。
12週 交流回路と直流回路 トランジスタ回路の直流回路(バイアス回路)と交流回路の考え方を習得する。
13週 トランジスタ増幅回路の等価回路 h定数を用いたトランジスタの動作基本式と等価回路について習得する。
14週 増幅度とインピーダンス
増幅回路の増幅度と入出力インピーダンスについて習得する。
15週 前期末試験 等価回路、基本増幅回路について、演習課題、トレーニングノートからの類題を出題する。
16週 答案返却など 答案返却など
後期
3rdQ
1週 負帰還増幅回路(1) 帰還の原理を学び、負帰還増幅回路の構成、その利点などを習得する。
2週 負帰還増幅回路(2) 負帰還増幅回路について回路例を通して習得する。
3週 エミッタホロワ増幅回路 コレクタ接地方式における増幅器の構成とその特性を習得する。
4週 電界効果トランジスタ(FET)の原理 電界効果トランジスタ(FET)の基本動作原理を習得する。
5週 FETの静特性とバイアス MOS形FETの静特性とバイアスについて習得する。
6週 FET増幅回路の動作解析 MOS形FET増幅回路の動作解析について習得する。
7週 発振回路の原理 発振の原理を帰還の原理を基に学ぶ。また、発振回路の構成要素の一つになる共振回路について習得する。
8週 中間試験 負帰還増幅回路、FET増幅回路、演算増幅器について、演習課題、トレーニングノートからの類題を出題する。
4thQ
9週 LC発振回路 LC発振回路の構成と解析について習得する。
10週 CR発振回路、水晶発振回路 CR発振回路、水晶発振回路の動作原理と回路構成について習得する。
11週 演算増幅器(1) オペアンプの動作原理と基本回路について習得する。
12週 演算増幅器(2) オペアンプを使用した加算器、積分器、微分器について習得する。
13週 振幅変調 振幅変調(AM)波の動作原理について習得する。
14週 周波数変調 周波数変調(FM)波の動作原理について習得する。
15週 期末試験 演算増幅器、発振回路、変復調について、演習課題、トレーニングノートからの類題を出題する。
16週 答案返却など 後期末試験の解答・解説を行う。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4前1
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4前1
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4前1
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4前1
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4前14
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4後9
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4後9
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。4後9
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4後9
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4前1
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4前14
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4後9
電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4前4
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。4前13
FETの特徴と等価回路を説明できる。4後6
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。4前14
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。4前11
演算増幅器の特性を説明できる。4後11
演算増幅器を用いた基本的な回路の動作を説明できる。4後12
発振回路の特性、動作原理を説明できる。4後7
変調・復調回路の特性、動作原理を説明できる。4後13
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4前2
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4前2
原子の構造を説明できる。4前2
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4前2
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4前3
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4前3
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4前4
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4前6
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4後4
情報系分野その他の学習内容オームの法則、キルヒホッフの法則を利用し、直流回路の計算を行うことができる。4前1
トランジスタなど、ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。4前5

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合9010100
基礎的能力20020
専門的能力601070
分野横断的能力10010