実験に対する基礎的能力を身につける。ここでいう基礎的能力とは、座学との関連性に気付き(予習態度)、実際に手を動かして(実験態度)、考えた結果を公表する(レポート作成)という一連のサイクルを実行する能力である。
概要:
各種素子の特性、電子回路の動作および電算回路の基本的な動作を実験によって十分に理解する。各講義で学んだ理論を実験を通して実証し、あわせて測定装置の理解と測定技術を習得する。また、実験と理論の関係づけを検討・考察し、さらに、研究課題によって関連技術の理解を深める。
授業の進め方・方法:
前期では、主に、回路素子の特性、回路の動作、計測装置を用いた測定方法の実験を行う。後期では、さらに、回路の設計および部分的な製作を含む電子回路の動作特性を測定する。また、マイコンの操作方法および入出力による制御方法を学ぶ。前期、後期において、以下に示すそれぞれのテーマについて3~4人の班編成により実験を行う。下記24テーマ(24週分)以外の時間は、実験に関するガイダンスやレポート指導などを行う。前期は、全ての班が同じテーマの実験を行い、基本的な実験に対する能力を段階的に養う。後期は、前期で学習した能力を基に、下記のテーマを班別にローテーションでテーマを変えて実験を行う。
注意点:
前期は、核実験ごとに評価シートを提出すること。この評価シートで得た得点を平均したものを最終評価とする。評価シートで評価する内容は、到達目標にある予習態度・実験態度・れおーと作成とする。評価シートの様式や使用法は、[工学実験指導書]に添付する。後期は、教員によるレポートの採点で評価を行う。参考として、皆さんの前期のレポートを教員が採点すると何割程度の得点になるかを後期授業開始までに通知する。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス |
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2週 |
オシロスコープの使い方
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オシロスコープの使い方が理解できる。
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3週 |
電子部品1(抵抗) |
電子部品(抵抗)の材料や製法、用途について理解できる。
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4週 |
電子部品2(コンデンサ・コイル)
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電子部品(コンデンサ、コイル)について材質、耐圧、精度などを理解できる。
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5週 |
コンデンサの特性測定(RC直列回) |
コンデンサの特性(RC直列回路)が理解できる。
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6週 |
オシロスコープの使い方の テスト |
各種信号波形をオシロスコープ上で正確に測定できる。
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7週 |
. RC回路のパルス応答と周波数応答
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RC回路のパルス応答および周波数応答が理解できる。
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8週 |
ダイオードの静特性 |
各種ダイオードの特性を実験を通して理解できる。
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2ndQ |
9週 |
トランジスタ、FETの直流特性 |
バイポーラトランジスタとMOSFETの基本増幅回路を制作し動作を理解できる。
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10週 |
ダイオード、トランジスタを用いた論理回路 |
ダイオード、トランジスタを用いた基本論理素子の回路を制作しその動作が理解できる。
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11週 |
ICによる論理回路 |
ICによる論理回路の動作を理解できる。
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12週 |
小信号増幅回路 |
トランジスタを用いた増幅回路の原理を実験通して理解できる。
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13週 |
オペアンプの基礎実験 |
オペアンプを用いた基本回路について動作原理を理解できる。
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14週 |
自己採点確認 |
自己評価の得点を教員と確認する。
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15週 |
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
回路網 |
回路網の定理について実験を通して確認理解できる。
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2週 |
共振回路 |
LとCを含む直列、並列共振回路の性質を理解する。
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3週 |
電源回路 |
電源回路について整流、平滑回路の原理を理解できる。
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4週 |
発振回路 |
LC発振回路の測定を行い、発振原理、発振条件を理解できる。
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5週 |
マルチバイブレータの基礎実験 |
無安定マルチバイブレータ、単安定マルチバイブレータの動作を理解できる。
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6週 |
マルチバイブレータの基礎実験のデータ整理 |
無安定マルチバイブレータ、単安定マルチバイブレータの動作を理解できる。
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7週 |
マルチバイブレータの基礎実験の理解度チェックインタビュー |
無安定マルチバイブレータ、単安定マルチバイブレータの動作を理解できる。
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8週 |
カウンタ回路 |
カウンタIC回路を用いて24時間時計を制作しカウンタ回路の動作を理解できる。
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4thQ |
9週 |
ワンボードマイコンの操作法および入出力法 |
ワンボードマイコンの使用法について基本的な操作法が理解できる。
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10週 |
ワンボードマイコンによるステッピングモーターの制御 |
ワンボードマイコンを用いてステッピングモータの制御の原理が理解できる。
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11週 |
ワンボードマイコンによるLED表示 |
ワンボードマイコンによりLED表示の制御方法が理解できる。
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12週 |
PICを用いたフルカラーLED制御 |
PICを用いたLED制御方法が理解できる。
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13週 |
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14週 |
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15週 |
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学についての基礎的原理や現象を、実験を通じて理解できる。 | 3 | |
物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 2 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 2 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 2 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電子回路 | ダイオードの特徴を説明できる。 | 3 | |
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。 | 3 | |
FETの特徴と等価回路を説明できる。 | 3 | |
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。 | 3 | |
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。 | 3 | |
演算増幅器の特性を説明できる。 | 3 | |
反転増幅器や非反転増幅器等の回路を説明できる。 | 3 | |
計測 | 計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。 | 2 | |
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。 | 2 | |
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。 | 2 | |
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。 | 2 | |
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。 | 2 | |
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。 | 2 | |
A/D変換を用いたディジタル計器の原理について説明できる。 | 2 | |
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。 | 2 | |
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。 | 2 | |
有効電力、無効電力、力率の測定原理とその方法を説明できる。 | 2 | |
電力量の測定原理を説明できる。 | 2 | |
オシロスコープの動作原理を説明できる。 | 4 | |
オシロスコープを用いた波形観測(振幅、周期、周波数)の方法を説明できる。 | 4 | |
分野別の工学実験・実習能力 | 電気・電子系分野【実験・実習能力】 | 電気・電子系【実験実習】 | 電圧・電流・電力などの電気諸量の測定が実践できる。 | 4 | |
抵抗・インピーダンスの測定が実践できる。 | 4 | |
オシロスコープを用いて実際の波形観測が実施できる。 | 4 | |
電気・電子系の実験を安全に行うための基本知識を習得する。 | 4 | |
直流回路論における諸定理について実験を通して理解する。 | 3 | |
交流回路論における諸現象について実験を通して理解する。 | 3 | |
過渡現象について実験を通して理解する。 | 2 | |
半導体素子の電気的特性の測定法を習得し、実験を通して理解する。 | 3 | |
論理回路の動作について実験結果を考察できる。 | 3 | |
情報系分野【実験・実習能力】 | 情報系【実験・実習】 | 与えられた問題に対してそれを解決するためのソースプログラムを、標準的な開発ツールや開発環境を利用して記述できる。 | 3 | |
ソフトウェア生成に利用される標準的なツールや環境を使い、ソースプログラムをロードモジュールに変換して実行できる。 | 3 | |
ソフトウェア開発の現場において標準的とされるツールを使い、生成したロードモジュールの動作を確認できる。 | 3 | |
与えられた数値を別の基数を使った数値に変換できる。 | 4 | |
与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計できる。 | 3 | |