力と変形

科目基礎情報

学校 徳山工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 力と変形
科目番号 0002 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 土木建築工学科 対象学年 1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 テキスト兼学習シートを配布する
担当教員 島袋 淳,海田 辰将

到達目標

複合分野の基礎となる力学的感覚と専門意識を醸成するため、以下①~④を到達目標とする。
① 外力の種類や材料の性質に対応した変形や破壊を感覚的に説明できる。
② モーメントの定義を理解し、シーソーや天秤等による簡単なつり合い計算ができる。
③ 桁、トラス、アーチといった一般的な構造形式の強さとしくみを感覚的に説明できる。
④ 楽しみながら他人と協働し、1つのモノを作り上げるチームワークの大切さを理解できる。
⑤ 土木基礎分野(構造・材料・地盤・水理・環境など)の概要を理解し、分かりやすく説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目①到達目標①について十分説明できる。到達目標①について説明できる。到達目標①について説明できない。
評価項目②到達目標②について十分理解し、計算できる。到達目標②について理解し、計算できる。到達目標②について理解しておらず、計算もできない。
評価項目③到達目標③について十分説明できる。到達目標③について説明できる。到達目標③について説明できない。
評価項目④到達目標④について十分協働し、理解している。到達目標④について協働し、理解している。到達目標④について協働できず、理解していない。
評価項目⑤到達目標⑤について十分理解し、分かりやすく説明できる。到達目標⑤について理解し、説明できる。到達目標⑤について理解しておらず、説明もできない。

学科の到達目標項目との関係

到達目標 A 1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
土木建築構造物の計画・設計・施工には様々な性能が求められますが、その中でも「安全性」が最も重要です。構造物に作用する力(外力)にはどんなものがあるでしょうか?構造物は、予想される外力に対して安全になるように建設します。これを実現するためには、構造物に作用する外力と、それによって生じる変形の関係を知り、両者の関係を数式で表す学問が必要です。これが2年生以上で学ぶ「構造力学」です。1年次の「力と変形」は、構造力学の導入科目として、目に見えない力と変形の関係や構造物の基本的な構造形式について、様々な模型製作・実験や調査・プレゼンを行うことにより、体験的かつ楽しみながら力学の基礎を学びます。
また、授業の後半では、土木には力学を応用した様々な専門分野(構造・材料・コンクリート・地盤・水理・環境衛生)があることを学習します。それぞれの分野の専門家である土木建築工学科の先生方に毎回の授業を担当して頂き、土木に関わる専門分野の概要・魅力・面白さ等について語って頂きます。これからの5年間で皆さんはどんな勉強をしていくのか、先生方や先輩方がどんな研究や活動をしているのかを知り、複合学科としての広い視野を持って学習に臨んでください。
なお、本科目は3年次までに必ず修得してください。
授業の進め方・方法:
この授業の前半では、毎回テーマについての説明や講義を行った後、模型づくりまたは調査・プレゼンを行います。班のメンバーと協力して効率的に作業を進めてください。作業を進める中で、たくさんの「ふしぎ」や「なぜ?」に遭遇すると思います。これらの疑問について、まずは学生どうしで積極的に意見を出し合いましょう。その上で、先生やTAに質問し、理解した内容を学習シートに記録してください。授業中に完成しなかった学習シートやプレゼン、作品については班のメンバーと協力して時間外を利用して仕上げてください。
授業の後半では、オムニバス形式によって土木の専門分野(構造・材料・コンクリート・地盤・水理・環境衛生)について学習します。毎回、異なる先生が授業を担当しますが、学習シートには自分が初めて知ったこと、印象に残ったこと、「おもしろい!」と思ったことなどを書き留めてください。
注意点:
この授業では、グループワークによる体験学習を主体としますが、項目によっては中学校までに学んだ数学(主に方程式、図形、三角形の性質など)や理科(主に力学)の知識を必要とします。その都度、必要な単元の復習に励んでください。
成績評価:定期試験(期末試験)40点、プレゼン・製作40点、学習シート20点(未提出が無いこと)
合格基準:60点以上で合格
再試験:実施します

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ペーパーブリッジコンテスト
(学習シート1)
「曲げを受ける部材」の力とかたちの関係について感覚的に理解できる。
2週 力と変形(破壊)の種類
(学習シート2)
物のいろいろな変形性状や破壊形態を調査し、見本を使ったプレゼンにより理解できる。
3週 力のつり合いとモーメント
(学習シート3)
身の回りにある道具を使って、モーメントを体感しながらその定義を理解する。モーメントを使った簡単なつり合い計算ができる。
4週 さまざまな構造形式
(学習シート4)
トラス、ラーメン、アーチ、シェル等の構造形式について調査し、模型を使ったプレゼンにより理解できる。
5週 トラスタワーコンテスト ~TAKE1~
(学習シート5)
パスタと油粘土を使ったタワーを製作を通じて、自重の概念と座屈現象を感覚的に理解できる。
タワーの高さを増すための構造的な工夫や破壊現象を考察できる。
6週 トラス構造入門
(学習シート6)
トラス構造の特徴、力の伝え方、部材名称などの基本的事項について理解できる。
7週 トラスタワーコンテスト ~TAKE2~
(学習シート7)
第5週の経験・反省と第6週で学んだことを活かし、より高いタワーの製作に取り組むことで、トラス構造について理解できる。
8週 土木工学概論(1)
(学習シート8)
複合学科で学ぶ学生として、土木工学と建築学の共通点と異なる点を正しく理解し、分かりやすく説明できる。
2ndQ
9週 土木工学概論(2)
(学習シート8)
この週に学んだ土木基礎分野の概要を理解し、分かりやすく説明できる。
10週 土木工学概論(3)
(学習シート8)
この週に学んだ土木基礎分野の概要を理解し、分かりやすく説明できる。
11週 土木工学概論(4)
(学習シート8)
この週に学んだ土木基礎分野の概要を理解し、分かりやすく説明できる。
12週 土木工学概論(5)
(学習シート8)
この週に学んだ土木基礎分野の概要を理解し、分かりやすく説明できる。
13週 土木工学概論(6)
(学習シート8)
この週に学んだ土木基礎分野の概要を理解し、分かりやすく説明できる。
14週 土木工学概論(7)
(学習シート8)
この週に学んだ土木基礎分野の概要を理解し、分かりやすく説明できる。
15週 期末試験 1~14回で学習した内容について確認するための筆記試験を行う。
16週 答案返却と解説 期末試験の内容を理解できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。1
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。1
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。1
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。2
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。2
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。2
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3
専門的能力分野別の専門工学建設系分野構造トラスの種類、安定性、トラスの部材力の意味を説明できる。1
橋の構成、分類について、説明できる。2
橋梁に作用する荷重の分類(例、死荷重、活荷重)を説明できる。2
建築系分野構造力の定義、単位、成分について説明できる。2
力のモーメントなどを用い、力のつり合い(合成と分解)に関する計算ができる。2
骨組構造物に作用する荷重の種類について説明できる。1
各種構造の設計荷重・外力を計算できる。1
トラスの種類を説明でき、トラスの部材力の意味について説明できる。2
はりの支点の種類、対応する支点反力、およびはりの種類やその安定性について説明できる。2
ラーメンやその種類について説明できる。1
分野別の工学実験・実習能力建設系分野【実験・実習能力】建設系【実験実習】各種構造形式(コンクリート、金属などによる)による試験体を用いた載荷実験を行い、変形の性状などを力学的な視点で観察することができる。4

評価割合

定期試験(期末)プレゼン・製作学習シート合計
総合評価割合404020100
基礎的能力4002060
専門的能力040040