道路工学の最終的な到達目標は、安全で快適な道路を計画、設計、施工、維持管理する技術を修得することである。道路工学Ⅰでは、全体の流れをつかんだうえで、個々の単元の重要な部分を知識として理解し、規準に従って正しく計算し,計画・設計に展開できるようにする。
1.道路の歴史を理解し、道路新設の手続きについて説明できる。
2.交通調査を理解し、調査結果をもとに交通需要推計の計算ができる。
3.道路の幾何構造について理解し、測量学の知識等も踏まえて計画・設計に展開できる。
4.道路設計の手順の手順と具体的な内容について理解し、説明ができる。
5.交通安全施設の意義と役割,道路整備がもたらす経済効果等について理解し,具体的に説明できる。
概要:
道路工学 I では、道路計画・道路設計分野を中心に学ぶ。道路の計画、設計および施工する技術者は、目的とする道路の設計に適した計画を立てる必要がある。現在の交通量から将来予測をし、重要性の高い道路から設計する。これらの一連の技術を学習し理解する。
この科目は,企業で、道路計画並びに道路設計の実務経験のある教員(技術士・建設部門,科目:道路)が、その経験にもとづいて、道路調査、道路計画、道路設計などについて講義形式の授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
教科書もしくは学習シートに沿って講義形式で学修を進めるが、教科書だけでは説明不足の所は、適宜演習形式で理解を深める。学修内容を確実に身につけるために、予習復習が必須である。事前の学習として,単元ごとの教科書を読んでおきたい。事後の学習として、毎回、1ページ程度の演習課題を課すので、自宅で学習し、授業開始時または期限までに教員に提出し、評価を受けること。
注意点:
【関連科目】 道路工学 II(選択、本科5年)、都市計画(本科4年)、測量実習(本科3年、路線測量)、地盤工学基礎(本科3年)、地盤工学(本科4年)、鋼構造学Ⅱ(選択、本科5年)、工学デザインⅠ(本科4年、土木系)、工学デザインⅡ(本科5年、土木系)
成績評価 試験(80%)+レポート(10%)+演習(10%)=100%
※レポート 単元ごとの学習シート 10回程度
演習 中間試験、期末試験時のおさらいとなる演習課題 計2回
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
オリエンテーション |
シラバスに基づき、本科目でどのようなことを理解すべきかのオリエンテーションを行う。
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2週 |
道路の歴史と道路の区分 |
世界各国および日本の道路の歴史を学ぶ。特に先進国で道路の発達の様子を理解する。道路は高速道路と一般道、都市部と地方部および交通量で区分されている。道路の種級により設計速度等が異なるを理解できる。
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3週 |
道路新設の手順
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道路新設要求から調査、設計、用地買収、施工までの手順を理解できる。
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4週 |
交通調査
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各種調査方法を学び、とくに OD 表の作成方法を理解し、簡単な集計計算ができる。
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5週 |
交通需要推計
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交通需要の 4 段階的推計法を理解し、説明できる。
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6週 |
交通流と交通容量 |
車両の挙動、交通流の表現、交通流の特性をふまえ、交通容量と設計交通量について理解し、説明できる。
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7週 |
交通運用と交通管理
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交通渋滞、交通規制、交通信号および道路管理について理解し、説明できる。
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8週 |
道路の経済効果
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道路を新設した場合の経済効果を直接効果と間接効果から負の効果まで理解し、事例をあげて説明できる。
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2ndQ |
9週 |
中間試験 |
道路の調査、計画について理解していることを確認する。
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10週 |
道路の線形
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道路の線形には平面線形と縦断線形がありそれらの組み合わせと設計速度の関係を理解し、計画・設計に展開できる。
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11週 |
道路の平面交差 |
道路の交差のうち、平面交差について学び、安全な通行を確保し、交通を円滑にする方法を理解し、計画・設計に展開できる。
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12週 |
道路の立体交差
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道路の交差のうち、立体交差について学び、安全な通行を確保し、交通を円滑にする方法を理解し,計画・設計に展開できる。
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13週 |
道路設計の実際
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実際の道路設計事例を学び、設計の実務を理解できる。
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14週 |
道路の交通安全 これまでの学習の振り返り |
道路の交通安全の意義や役割について理解できる。また、学習内容全体を振り返り、必要に応じて補足説明を行う。
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15週 |
期末試験 |
道路の設計について理解していることを確認する。
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16週 |
解答返却など |
答案を返却し正解答を示す。全体の学びを振り返り,理解を深める。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。 | 3 | |
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。 | 3 | |
分数式の加減乗除の計算ができる。 | 3 | |
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。 | 3 | |
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。 | 3 | |
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。 | 3 | |
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。 | 3 | |
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。 | 3 | |
簡単な連立方程式を解くことができる。 | 3 | |
無理方程式・分数方程式を解くことができる。 | 3 | |
1次不等式や2次不等式を解くことができる。 | 3 | |
恒等式と方程式の違いを区別できる。 | 3 | |
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。 | 3 | |
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。 | 3 | |
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。 | 3 | |
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。 | 3 | |
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。 | 3 | |
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。 | 3 | |
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。 | 3 | |
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。 | 3 | |
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。 | 3 | |
角を弧度法で表現することができる。 | 3 | |
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。 | 3 | |
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。 | 3 | |
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。 | 3 | |
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。 | 3 | |
一般角の三角関数の値を求めることができる。 | 3 | |
2点間の距離を求めることができる。 | 3 | |
内分点の座標を求めることができる。 | 3 | |
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。 | 3 | |
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。 | 3 | |
放物線、楕円、双曲線の図形的な性質の違いを区別できる。 | 3 | |
簡単な場合について、不等式の表す領域を求めたり領域を不等式で表すことができる。 | 3 | |
積の法則と和の法則を利用して、簡単な事象の場合の数を数えることができる。 | 3 | |
簡単な場合について、順列と組合せの計算ができる。 | 3 | |
等差数列・等比数列の一般項やその和を求めることができる。 | 3 | |
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。 | 3 | |
不定形を含むいろいろな数列の極限を求めることができる。 | 3 | |
無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。 | 3 | |
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。 | 3 | |
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。 | 3 | |
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。 | 3 | |
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。 | 3 | |
空間内の直線・平面・球の方程式を求めることができる(必要に応じてベクトル方程式も扱う)。 | 3 | |
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。 | 3 | |
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。 | 3 | |
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。 | 3 | |
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。 | 3 | |
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。 | 3 | |
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。 | 3 | |
独立試行の確率、余事象の確率、確率の加法定理、排反事象の確率を理解し、簡単な場合について、確率を求めることができる。 | 3 | |
条件付き確率、確率の乗法定理、独立事象の確率を理解し、簡単な場合について確率を求めることができる。 | 3 | |
1次元のデータを整理して、平均・分散・標準偏差を求めることができる。 | 3 | |
2次元のデータを整理して散布図を作成し、相関係数・回帰直線を求めることができる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建設系分野 | 計画 | 都市計画法と都市計画関連法の概要について、説明できる。 | 3 | |
土地利用計画と交通計画について、説明できる。 | 3 | |
交通流調査(交通量調査、速度調査)、交通流動調査(パーソントリップ調査、自動車OD調査)について、説明できる。 | 4 | |
交通需要予測(4段階推定)について、説明できる。 | 4 | |
交通流、交通量の特性、交通容量について、説明できる。 | 4 | |
性能指標に関する道路構造令の概要を説明できる。 | 4 | |
計画の意義と計画学の考え方を説明できる。 | 4 | |
二項分布、ポアソン分布、正規分布(和・差の分布)、ガンベル分布、同時確率密度関数を説明できる。 | 4 | |
費用便益分析について考え方を説明でき、これに関する計算ができる。 | 4 | |