情報電子工学専攻総合演習

科目基礎情報

学校 徳山工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 情報電子工学専攻総合演習
科目番号 0031 科目区分 専門 / 必修
授業形態 演習 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 情報電子工学専攻 対象学年 専2
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 テキスト:株式会社テクノロジックアート「独習UML」翔泳社,その他、教員が作成した資料をを適宜配布する。
担当教員 重村 哲至,力 規晃

到達目標

1. ハードウェアからソフトウェアまでの幅広い分野を網羅する情報電子工学の実践的手法とそれを生かした製品企画・デザインができる。(デザイン能力)
2. 自ら企画・デザインした製品を,計画的かつ粘り強い取り組みにより完成することができる。(自主性・継続性)
3. チームで協力して製品の企画から完成までを行うことができる。(チームワーク力)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安(不可)
原要求から要求を抽出・定義し,制約条件を考慮しながら適切に仕様書として記述し,プレゼンテーションにより説明することができる.(デザイン能力・企画)原要求から要求を適切に抽出し,定義できている.不備なく,仕様書が作成できている.原要求から要求を抽出し,定義できている.不備なく仕様書が作成できている.原要求から要求を抽出し,定義できている.不備なく仕様書が作成できている.原要求と要求の区別ができていない.仕様に著しく不十分な点があるか,仕様書が適切に記述されていない.
"UMLによる設計結果を表現することができる.(デザイン能力・設計)UMLのチャートの特徴が十分に理解できている.目的と使用するチャートが適切に一致している.チャート内,チャート間での粒度が揃っている.UMLのチャートの特徴が理解できている.目的と使用するチャートがある程度一致している.チャート内,チャート間での粒度がある程度揃っている.不十分な点もあるがUMLのチャートの特徴が理解できている.目的と使用するチャートがある程度一致している.チャート内,チャート間での粒度がある程度揃っている.UMLのチャートの特徴が理解できておらず,目的と使用するチャートが一致しない.チャート内,チャート間での粒度が揃っていない.
課題の実施に際して,スケジュールの立案や締め切りを意識した自主的・継続的取り組みができる.(自主性・継続性)スケジュールが立案できている.締切が守れている.チーム全体のスケジュールと個人のスケジュールを意識した計画的・自主的課題遂行ができる.不測の事態に対して,適切なスケジュール調整ができる.スケジュールが立案できている.締切が守れている.チーム全体のスケジュールと個人のスケジュールを意識した計画的・自主的課題遂行ができる.不十分な点があるがスケジュールが立案できている.締切が守れている.スケジュールの立案ができない.締切りが守れない.自主性に欠ける.
多様性あるチーム活動において、チームとして成果をあげるために自己のなすべき行動を判断し、実行できる.(チームワーク力)チーム内における役割を深く理解しており,迅速・的確に実践することができる.チームメンバーとの対話を通して,より優れた成果を上げるための多様な改善案や新たな方策の提案ができる.チームとして成果をあげるために,チームの一員として自己のなすべき行動が理解・実践できている.さらに,チームメンバーとの対話を通して問題点や改善点の認識と行動への反映ができている.チームとして成果をあげるために自己のなすべき行動が理解・実践できている.チームメンバーとの対話・意思疎通ができている.スケジュールの立案ができない.締切りが守れない.自主性に欠ける.

学科の到達目標項目との関係

到達目標 C 1 説明 閉じる
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教育方法等

概要:
情報電子工学科および情報電子工学専攻におけるキャップストーン演習として、専攻科1年次の総合実験で作成するマイクロプロセッサの拡張版CPUを持つ演習用コンピュータ(Tokuyama Advanced Computer: TaC)を用いて、MP3プレイヤーの企画・設計・制作を行う。具体的には、TaC上で動作する簡素なリアルタイム・マルチタスクOSの内部設計および実装を理解し、このOS上で動作するアプリケーションソフトウェアの企画・設計と実装を行う。特に設計では、統一モデリング言語(Unified Modeling Language: UML)を用いたオブジェクト指向分析・設計手法を活用することに重点を置く。この演習によって、組み込み機器制御システムの企画から設計・製作までの開発工程をチームとして実践し、総合的なエンジニアデザイン能力を養成する。
授業の進め方・方法:
演習課題の理解、原要求からの要求抽出と仕様作成、仕様確認のための設計レビュー会、システム分析と設計モデリング、設計結果確認のための設計レビュー会、製作と動作確認、成果報告書の作成、成果報告(最終プレゼンテーション)の一連の作業をチーム単位で学生が自主的・継続的に進める。なお、本演習ではUMLによる設計と実機を使った製作および動作確認を行うため、UMLによる設計法の概要と基本的なチャートについて、ハードウェアとOSの基本的な仕様については最初の数回で講義を行う。その後のチームによる課題遂行に付随して発生する調査、仕様作成、成果報告書等の作成については、各自で授業時間外で実施する。演習終了後は、本演習に係る内容を総合的にまとめた成果報告書を担当教員に提出する必要がある。
演習の実施,設計レビュー会の準備,最終プレゼンの準備,最終レポートの作成に30時間の時間外学習を必要とする。
注意点:
※本演習では,JABEEの学習教育到達度目標における、「デザイン能力(60%)」、「自主性・継続性(20%)」、「チームワーク(20%)」の観点から、設計レビュー会、成果報告プレゼンテーション、最終レポート等を基にした総合的評価を行う。評価の主な観点については、演習開始時のオリエンテーションで配布するルーブリックに示す。
デザイン能力評価=(レビュー会1,レビュー会2,成果報告プレゼンテーション,レポート)から(仕様,機能,設計,成果物の完成度)を評価する.
自主性・継続性評価=(レビュー会2,成果報告プレゼンテーション,レポート)から(計画性,遂行能力)を評価する.
チームワーク力評価=(演習態度,成果報告プレゼンテーション(他班プレゼンの質疑含む),レポート)から(役割分担,貢献度)を評価する.
最終成績=デザイン能力評価(60点満点)+自主性・継続性評価(20点満点)+チームワーク力評価(20点満点)

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 演習のオリエンテーションと演習課題の説明 演習の目的と要求される成果物を説明できる。
2週 要求獲得+演習用コンピュータとリアルタムOS
【事前事後学習の内容(2時間)】ブレインストーミング
ブレインストーミングができる。
演習に使用する機材の仕様を説明できる。
3週 要求モデリング+モデリングツール
【事前事後学習の内容(2時間)】ユースケースモデル作成
ユースケースモデルが作成できる。
4週 要求モデリング+プレゼン準備
【事前事後学習の内容(2時間)】レビュー会準備
外部仕様が作成できる。
5週 設計レビュー会1(製品仕様の確認)
【事前事後学習の内容(2時間)】レビュー結果のフィードバック
要求モデリングが完成できる。
6週 システム分析(分析モデリング)
【事前事後学習の内容(2時間)】要求分析・システム分析
分析モデルが作成できる。
7週 設計(設計モデリング)
【事前事後学習の内容(2時間)】外部設計・内部設計
設計モデルが作成できる。
8週 設計(設計モデリング)
【事前事後学習の内容(2時間)】レビュー会準備
設計モデルが詳細化できる。
2ndQ
9週 設計レビュー会2(モデル,実装計画)
【事前事後学習の内容(2時間)】レビュー結果のフィードバック
設計を完成できる。
10週 実装・テスト
【事前事後学習の内容(2時間)】MP3デコーダ仕様書読み
使用するMP3デコーダLSIの機能が説明できる。
11週 実装・テスト
【事前事後学習の内容(2時間)】プログラミング
プログラミングができる。
12週 実装・テスト
【事前事後学習の内容(2時間)】プログラミング・テスト
プログラミングができる。
13週 実装・テスト
【事前事後学習の内容(2時間)】プログラミング・テスト
仕様と比較しながらテストができる。
14週 実装・テスト
【事前事後学習の内容(2時間)】プレゼン準備
仕様と比較しながらテストができる。
15週 成果報告プレゼンテーション
【事前事後学習の内容(4時間)】最終レポート作成
完成した製品と,それの企画から実装について説明できる。
聴講者からの質問に適切に答えることができる。
16週 (※上記計画は、授業時間4時間分を1週分として表記している。)
後期
3rdQ
1週
2週
3週
4週
5週
6週
7週
8週
4thQ
9週
10週
11週
12週
13週
14週
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。4
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。4
他者の意見を聞き合意形成することができる。4
合意形成のために会話を成立させることができる。4
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。4
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。4
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。4
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。4
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。4
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる4
複数の情報を整理・構造化できる。4
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。4
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。4
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。4
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。4
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。4
事実をもとに論理や考察を展開できる。4
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。4
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。4
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。4
目標の実現に向けて計画ができる。4
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。4
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。4
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。4
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。4
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。4
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。4
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。4
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。4
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。4
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている4
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。4
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。4
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。4
企業には社会的責任があることを認識している。4
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。4
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。4
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。4
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。4
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。4
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。4
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。4
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。4
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。4
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。4
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。4
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。4
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。4
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。4
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。4

評価割合

デザイン能力自主・継続性チームワーク力合計
総合評価割合602020100
専門的能力600060
分野横断的能力0202040