演習課題の目的を達成し、ハードウェアからソフトウェアまでの幅広い分野を網羅する情報電子工学の実践的適用手法とそれを生かした製品デザインの能力を身に付ける。併せて、成果を得るまでの過程を通じて、与えられた演習課題の大枠の中で、自ら自立して課題を調査分析し、企画・設計したものを期限内に終わらせる能力、多様な観点に基づく問題解決能力、チームワーク力を養う。さらに、ものづくりに対する理解と見識を深める。
概要:
情報電子工学科および情報電子工学専攻におけるキャップストーン演習として、専攻科1年次の総合実験で作成するマイクロプロセッサの拡張版CPUを持つ演習用コンピュータ(Tokuyama Advanced Computer: TaC)を用いて、MP3プレイヤーの企画・設計・制作を行う。具体的には、TaC上で動作する簡素なリアルタイム・マルチタスクOSの内部設計および実装を理解し、このOS上で動作するアプリケーションソフトウェアの企画・設計と実装を行う。特に設計では、統一モデリング言語(Unified Modeling Language: UML)を用いたオブジェクト指向分析・設計手法を活用することに重点を置く。この演習によって、組み込み機器制御システムの企画から設計・製作までの開発工程をチームとして実践し、総合的なエンジニアデザイン能力を養成する。
授業の進め方・方法:
演習課題の理解と調査、原要求からの要求抽出と仕様作成、中間プレゼンテーション、製作、動作確認、成果報告書の作成、成果報告(最終プレゼンテーション)の一連の作業をチーム単位で学生が自主的・継続的に進める。なお、本演習ではUMLによる設計と実機を使った製作および動作確認を行うため、UMLによる設計法の概要と基本的なチャートについて、ハードウェアとOSの基本的な仕様については最初の数回で講義を行う。その後のチームによる課題遂行に付随して発生する調査、仕様作成、成果報告書等の作成については、各自で授業時間外で実施する。また、演習各回において、進捗を報告する「演習実施報告書」の提出を求める。演習終了後は、本演習に係る内容を総合的にまとめた成果報告書を担当教員に提出する必要がある。
注意点:
※本演習では,JABEEの学習教育到達度目標における、「専門工学(30%)」、「問題解決能力(10%)」、「デザイン能力(40%)」、「自主性・継続性(10%)」、「チームワーク(10%)」の観点から、成果物、プレゼンテーション、実施報告書、最終報告書等を基にした総合的評価を行う。評価の主な観点については、演習開始時のオリエンテーションで配布するルーブリックに示す。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。 | 4 | |
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。 | 4 | |
他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 4 | |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 4 | |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 4 | |
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 4 | |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 4 | |
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。 | 4 | |
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。 | 4 | |
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる | 4 | |
複数の情報を整理・構造化できる。 | 4 | |
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。 | 4 | |
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。 | 4 | |
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。 | 4 | |
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。 | 4 | |
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。 | 4 | |
事実をもとに論理や考察を展開できる。 | 4 | |
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 4 | |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 4 | |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 4 | |
目標の実現に向けて計画ができる。 | 4 | |
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。 | 4 | |
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。 | 4 | |
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。 | 4 | |
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 4 | |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 4 | |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 4 | |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 4 | |
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。 | 4 | |
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。 | 4 | |
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている | 4 | |
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。 | 4 | |
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。 | 4 | |
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。 | 4 | |
企業には社会的責任があることを認識している。 | 4 | |
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。 | 4 | |
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。 | 4 | |
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。 | 4 | |
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。 | 4 | |
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。 | 4 | |
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。 | 4 | |
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。 | 4 | |
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。 | 4 | |
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。 | 4 | |
総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。 | 4 | |
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。 | 4 | |
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。 | 4 | |
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。 | 4 | |
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。 | 4 | |
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。 | 4 | |