維持管理工学

科目基礎情報

学校 徳山工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 維持管理工学
科目番号 0019 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 環境建設工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 参考資料:橋の点検に行こう!―初心者のための橋梁点検講座【建設図書】、これだけは知っておきたい橋梁メンテナンスのための構造工学入門【建設図書】
担当教員 海田 辰将,温品 達也

到達目標

本科で習得した構造・材料を始めとする専門知識を基礎とし,土木分野における鋼・コンクリート構造物の機能や性能を長期にわたって保ち続けるための合理的な維持管理について,メンテナンスサイクル(点検・診断/評価・措置・記録)に基づいた技術の概要と最新の動向を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
老朽化の現状と維持管理の課題土木構造物の老朽化の現状や維持管理上の課題について理解し,具体的な実例を挙げて説明できる。土木構造物の老朽化の現状や維持管理上の課題について理解し,一般的なレベルでの説明ができる。土木構造物の老朽化の現状や維持管理上の課題について理解しておらず,説明もできない。
維持管理の基本 (メンテナンスサイクル)土木構造物のメンテナンスサイクルについて理解し,具体的な実例を挙げて説明できる。土木構造物のメンテナンスサイクルについて理解し,一般的なレベルでの説明ができる。土木構造物のメンテナンスサイクルについて理解しておらず,説明もできない。
構造物の劣化・損傷・変状鋼・コンクリート構造物に生じる劣化・損傷・変状の種類を理解し,そのメカニズムや原因について技術者の視点から分析・説明できる。鋼・コンクリート構造物に生じる劣化・損傷・変状の種類を理解し,一般的なレベルで考察・説明できる。 鋼・コンクリート構造物に生じる劣化・損傷・変状の種類を理解しておらず,考察や説明もできない。
鋼構造物の維持管理鋼構造物の維持管理手法および現状の課題を理解し,個々の構造物に応じた維持管理シナリオについての議論や説明ができる。鋼構造物の維持管理手法および現状の課題を理解し,一般的な維持管理シナリオについて説明できる。鋼構造物の維持管理手法および現状の課題を理解しておらず,維持管理シナリオも説明できない。
コンクリート構造物の維持管理コンクリート構造物の維持管理の手法および現状の課題について理解し,実例を持って説明できる。コンクリート構造物の維持管理の手法および現状の課題について理解できる。コンクリート構造物の維持管理の手法および現状の課題について理解できない。

学科の到達目標項目との関係

到達目標 C 1 説明 閉じる
JABEE d-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
我が国で建設されてきたインフラの機能や性能を長期にわたって安全かつ合理的に保つためには高度な維持管理技術が必要である。この授業では,主に土木分野の鋼・コンクリート構造物を対象として土木技術者が身に付けるべき維持管理の基本的事項を理解した上で,実際の構造物を題材にした具体的な維持管理手法(点検・診断/評価・措置・記録)について実地調査と併せて学習する。
授業の進め方・方法:
この授業は,①維持管理の基本事項(現状と課題,代表的な劣化損傷)②鋼構造物の維持管理③コンクリート構造物の維持管理の3つの内容から構成され,講義と実地調査(演習)の複合形式で行う。
また,実際の構造物を対象とした実地調査,耐久性評価・LCC評価,技術提案に関する演習を実施するため,本科で習得した構造・材料・計画・環境・地盤・水理・土木施工といった各専門科目の知識を総合して考察する必要があり,各単元や現象を理解するために本科で学んだ知識の復習が必要である。
注意点:
【最終成績評価】中間レポート50%+期末レポート30%+期末プレゼン20%
【主な関連科目】構造力学,鋼構造学Ⅰ~Ⅲ,鉄筋コンクリート工学,プレストレストコンクリート工学,建設マネジメント

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 老朽化の現状と維持管理の課題
維持管理の基本(メンテナンスサイクル)
インフラ老朽化の現状を理解し,メンテナンスサイクルに基づく今後の維持管理における技術的課題を理解できる。
2週 実構造物にみられる劣化・損傷・変状 実際の鋼・コンクリート構造物にみられる代表的な劣化・損傷・変状について理解できる。
3週 鋼構造物の維持管理①
鋼構造物の点検・調査
道路橋定期点検要領を参考に,鋼構造物の点検・調査項目およびその方法について理解できる。
4週 鋼構造物の維持管理②
鋼構造物の耐久性/健全性評価(腐食・疲労)
道路橋定期点検要領および学協会のマニュアルを参考に,鋼構造物の耐久性/健全度評価の概要を理解できる。
5週 鋼構造物の維持管理③
鋼構造物の実地調査1
実際の鋼構造物を調査して劣化・損傷・変状を記録するとともに,現地で劣化メカニズムやリスクを考察できる。
6週 鋼構造物の維持管理④
鋼構造物の実地調査2
実際の鋼構造物を調査して劣化・損傷・変状を記録するとともに,現地で劣化メカニズムやリスクを考察できる。
7週 鋼構造物の維持管理⑤
鋼構造物に対する診断および対策提案【演習/課題】
調査した鋼構造物の損傷等に対する診断を行い,対策(再劣化の防止/補修補強など)についての技術提案ができる。
8週 コンクリート構造物の維持管理 コンクリート構造物の維持管理について,基本事項を学ぶ
4thQ
9週 コンクリート構造物の耐久性 コンクリート標準示方書を参考に塩害照査を行う
10週 海洋構造物の実地調査1 過酷な塩害環境にあるコンクリート構造物を調査する
11週 海洋構造物の実地調査2 過酷な塩害環境にあるコンクリート構造物を調査する
12週 コンクリート構造物の劣化診断・評価試験 劣化診断および評価試験を実施する
13週 LCCを考慮したコンクリート構造物の維持管理 概論 コンクリート構造物のライフサイクルコストの算出方法について学ぶ
14週 LCCを考慮したコンクリート構造物の維持管理 演習 コンクリート構造物のライフサイクルコストの算出する
15週 LCCを考慮したコンクリート構造物の維持管理提案 長寿命化技術を踏まえ,ライフサイクルコストに優れるコンクリート構造物を提案する
16週 まとめ 提案内容について相互フィードバックを行う。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野材料各種コンクリートの特徴、用途について、説明できる。5
非破壊試験の基礎を説明できる。5
コンクリート構造物の維持管理の基礎を説明できる。5
コンクリート構造物の補修方法の基礎を説明できる。5

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力2010000030
専門的能力4010000050
分野横断的能力1010000020