到達目標
複合分野にわたる知識を有機的に結びつける設計能力(構造分野)を身に付けるため、以下①~③を到達目標とする。
① 土木建築構造物に作用する振動現象(主に地震・風)を理解し、そのメカニズムを説明できる。
② 実際に生じた被害に対して、振動現象に関する力学的視点に基づいてその原因やメカニズムを考察できる。
③ 簡単な構造系に対する振動方程式を理解し、応答波形から振動の特徴や構造物の振動特性(復元力・減衰など)を説明できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目① | 到達目標①について十分に理解し、説明できる。 | 到達目標①について概ね理解し、説明できる。 | 到達目標①について理解しておらず、説明できない。 |
評価項目② | 到達目標②について十分に考察できる。 | 到達目標②について概ね考察できる。 | 到達目標②について考察できない。 |
評価項目③ | 到達目標③について十分に理解し、説明できる。 | 到達目標③について概ね理解し、説明できる。 | 到達目標③について理解しておらず、説明できない。 |
学科の到達目標項目との関係
到達目標 C 1
説明
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JABEE d-1
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教育方法等
概要:
授業の前半では、土木建築構造物に作用する振動現象として、地震動や空力振動を取り扱い、その発生メカニズム、種類、特性、被害事例などについて学習する。特に、地震については過去に発生した実際の被害事例と観測された各種応答波形・スペクトルを関連付けて学習することで、地震被害と振動工学の結びつきについて理解を深める。授業の後半では、構造物を構成する要素や振動現象の特性に応じた簡単な振動モデルに関する振動方程式を考え、数学的手法によって求めた解(応答)に対し、構造物を設計する観点から力学的な解釈ができるよう理解を深める。
授業の進め方・方法:
この授業ではPower Pointと板書を併用し、単元ごとの学習シートを用意する。基本的に、教科書に沿った内容で進めるが、過去の地震被害における学術調査資料や動画なども独自の補助教材として適宜使用する。また、グループワークor個人による演習の時間を設けることで学生相互の理解を促進する。ただし、本授業の内容に関連する災害や事故などが発生した場合には授業内容の一部を変更し、土木建築技術者として最低限目を向けるべき技術的な時事的話題の解説や視察等に充てることがある。本授業では、調査や数値計算に関する数回のレポートを課しているが、これまでに学んだ情報処理技術やアプリケーションを活かして取り組んで欲しい。各単元の内容を確実に身につけるために、関連科目を含めた予習復習が必須である。
注意点:
数学系科目で学んだ微分積分・三角関数・線形微分方程式(2階)・行列計算および構造力学基礎/構造力学の知識について、これらの理解に不安がある場合には、前もって各自で復習しておくこと。
成績評価:3つのレポート点(それぞれ100点満点で評価)の平均点で評価する。
※ 各レポートはA4サイズ1ページの論文形式とし、所定の様式を守り専攻科生としてふさわしい内容・レベルで作成すること。
合格基準:60点以上を合格とする。
再試験:合格基準を満たすレベルのレポートを期限までに再提出すること。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス(なぜ、耐震や振動を学ぶのか?) |
過去の巨大地震における地震被害と振動特性を理解できる。
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2週 |
地震の基礎知識① |
振動工学/耐震工学の位置づけを理解できる。 地震の種類と発生メカニズムを理解できる。
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3週 |
地震の基礎知識② |
地震の強さの表し方を理解できる。
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4週 |
地震の基礎知識③ 【レポート】過去に観測された地震波の特徴 |
地震波の種類と振動特性を表す基本的事項を理解でき る。
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5週 |
地震の基礎知識③ |
地震による直接被害/2次被害を理解できる。 (過去に起きた地震被害の解説①)
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6週 |
地震の基礎知識④ 【レポート】地震による2次被害 |
橋梁や建築物に施される耐震補強について説明できる。
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7週 |
空力振動と振動工学の役割・適用範囲 |
自励振動の理解(渦励振/フラッタ/ギャロッピングなど) 線形振動と非線形振動に関する基礎知識を理解できる。
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8週 |
1~7週のまとめ、振り返り |
前半の授業内容を振り返り、返却されたレポートのブラッシュアップ、再提出を行う。
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4thQ |
9週 |
振動の解析① ~振動要素のモデル化と復元力計算~ |
構造物の振動要素/モデル化を理解できる。 部材が有する復元力の計算ができる。
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10週 |
振動の解析② ~1自由度系の非減衰自由振動~ |
振動方程式における数学的解法と力学的解釈を理解できる。
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11週 |
振動の解析③ ~簡単な構造モデルへの適用~ |
簡単な構造系について振動方程式を組み立て、解くことができる。
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12週 |
振動の解析④ ~1自由度系の減衰自由振動~ |
振動方程式の解法と減衰効果による力学現象(過減衰、臨界減衰、減衰振動)を理解できる。
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13週 |
振動の解析⑤ ~1自由度系の減衰自由振動~
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減衰定数の測定・計算方法、対数減衰率を理解できる。
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14週 |
振動の解析⑥ ~1自由度系の減衰強制振動~ 【必須レポート】減衰振動における振動応答解析 |
定常周期外力・その他の外力、共振現象を理解できる。
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15週 |
9~14週のまとめ、振り返り |
後半の授業内容を振り返り、レポートの作成およびブラッシュアップを行う。
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16週 |
レポート提出・レビュー |
返却されたレポートのブラッシュアップ、再提出を行う。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建設系分野 | 構造 | 断面1次モーメントを理解し、図心を計算できる。 | 5 | |
断面2次モーメント、断面係数や断面2次半径などの断面諸量を理解し、それらを計算できる。 | 5 | |
各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。 | 5 | |
トラスの種類、安定性、トラスの部材力の意味を説明できる。 | 5 | |
節点法や断面法を用いて、トラスの部材力を計算できる。 | 5 | |
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。 | 5 | |
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。 | 5 | |
はりのたわみの微分方程式に関して、その幾何学的境界条件と力学的境界条件を理解し、微分方程式を解いて、たわみやたわみ角を計算できる。 | 5 | |
仮想仕事の原理を用いた静定の解法を説明できる。 | 5 | |
評価割合
| レポート | 合計 |
総合評価割合 | 100 | 100 |
基礎的能力 | 20 | 20 |
専門的能力 | 80 | 80 |